業績

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度においては、米中貿易摩擦等の影響を受けた世界的な経済の減速局面に終わりが見え始め、2019年後半には製造活動全般が上向きになり始めました。これは政治的な要因で解決の糸口が見え始めたことのみに拠らず、各国市場における在庫調整が進んだことにも影響を受けている模様です。

当社グループの主力事業であるリチウムイオン二次電池セパレータ事業においては、需要セグメントの大きな転換期となりました。従来の主力市場であった民生機器向け需要は低調に推移し市場の拡大が停滞する中、景気の低迷及び価格の値崩れから、多くの電池メーカーにおいて中国製品への転換が進みました。一方で、欧州自動車OEMのEV戦略に裏打ちされたハイエンド車載用電池向けの需要は急増を続けております。

このような市場環境の中、当社では2017年より計画的に推進してきましたハイエンド車載用電池向けの製品開発と量産体制の構築を概ね2019年中頃までに完了し、当第4四半期からはこの分野での製品販売を大きく伸ばすに至りました。その結果として自動車セグメントの売上構成比は2018年通年で約16%であったものが当期通年では約41%にまで拡大し、特に12月には大きく売上が伸びた為、単月黒字に回復しました。これらの要因により当期連結売上高は13,167百万円と、前期比4,436百万円(前期比51%増)の増収となりました。

地域別には車載用電池向け需要が大幅に伸びた韓国顧客向け売上高において、民生需要の減少を車載案件の成長が大きく上回った為9,264百万円(前期比90%増)となりました。一方で中国顧客向け販売は引き続き債権回収を優先しながらの販売になった為、売上を下げ1,739百万円(前期比25%減)となり、日本顧客においてはほぼ前年と同様の1,369百万円(前期比2%減)となりました。

営業利益においては、原価開発費(製造原価に計上)約26億円の負担(ほぼ前年並み)が大きくなっておりますが、売上高の増加に伴い25億円の増益、製造ライン投資を続けていることから減価償却費約15億円の増加、更には生産規模拡大の為に従業員数も1年間で約1.6倍になり人件費が前年同期比約18億円の増加となりました。これらの結果営業損失は前年同期比で若干改善し3,286百万円となりました。

製造の状況に関しましてはW-SCOPE KOREACO.,LTD.(以下WSK)の製造ラインにおいて一部の製造ラインでの新規車載用電池向けの案件の量産を上期に開始し、生産性の改善に注力してまいりましたが期末には一定のレベルまでの改善に達しました。その他の製造ラインの一部では民生案件の受注が低調となった為、若干の生産調整を実施しました。W-SCOPE CHUNGJU PLANT CO., LTD.(以下WCP)においては一部の製造ラインにおいてWSKと同様民生案件の受注低調による生産調整はあったものの、下期に据え付けが完了した累計12-13号ラインは短期間の内に車載用セパレータの量産供給を開始するための準備を整え、第4四半期から順次量産を開始し当期の売上高増に大きく貢献しました。また、コーティングラインの増設も順調に進み、車載用コーティング製品の供給能力を大幅に増強しております。

当期の平均為替レートにつきましては、米ドルが108.96円、1,000韓国ウォンが106.98円となりました。

なお、当社グループはリチウムイオン二次電池用セパレータ事業の単一セグメントであるため、セグメント情報に関連付けた記載を省略しております。

また、当連結会計年度末における財政状態の概況は次のとおりであります。

(資産)

流動資産につきましては20,535百万円となり、前連結会計年度末に比べ10,700百万円の増加となりました。これは主として、現金及び預金の増加7,311百万円、受取手形及び売掛金の増加1,576百万円、商品及び製品の増加1,394百万円によるものであります。固定資産につきましては49,591百万円となり、前連結会計年度末に比べ11,929百万円の増加となりました。これは主として、機械装置及び運搬具の増加18,198百万円、建物及び構築物の増加3,128百万円、建設仮勘定の減少10,300百万円によるものであります。

(負債)

負債につきましては54,882百万円となり、前連結会計年度末に比べ25,230百万円の増加となりました。流動負債につきましては14,997百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,924万円の増加となりました。これは主として、買掛金及び支払手形の増加1,011百万円、1年内返済予定の長期借入金の増加685百万円、短期借入金の増加542百万円によるものであります。固定負債につきましては39,884百万円となり、前連結会計年度末に比べ22,306百万円の増加となりました。これは主として、転換社債型新株予約権付社債の増加13,327百万円、長期借入金の増加5,715百万円、オプション負債の増加2,741百万円によるものであります。

(純資産)

純資産につきましては15,245百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,599百万円の減少となりました。これは主として、親会社株主に帰属する当期純損失の計上3,517百万円、為替換算調整勘定の減少1,808百万円、資本金の増加1,402百万円、資本剰余金の増加1,402百万円によるものであります。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末に比べ7,311百万円(+37.7%)増加し、12,619百万円となりました。主な要因は以下のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動によるキャッシュ・フローは2,087百万円の支出(前期943百万円の支出)となりました。これは主として、減価償却費の計上3,953百万円、仕入債務の増加1,014百万円があった一方で、税金等調整前当期純損失の計上3,950百万円、たな卸資産の増加1,810百万円、売上債権の増加1,593百万円によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動によるキャッシュ・フローは16,225百万円の支出(前期9,825百万円の支出)となりました。これは主として、有形固定資産の取得による支出16,190百万円によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは25,833百万円の収入(前期5,644百万円の収入)となりました。これは主として、新株予約権付社債の発行による収入15,988百万円、長期借入れによる収入10,155百万円、新株予約権の行使による株式の発行による収入2,777百万円、短期借入金の純増加額828百万円があった一方で、長期借入金の返済による支出3,817万円によるものであります。

 

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a. 生産実績

当連結会計年度における生産実績は、次のとおりであります。

事業部門の名称

当連結会計年度

(自  2019年1月1日

至  2019年12月31日)

生産高(百万円)

前年同期比(%)

リチウムイオン二次電池用セパレータ

16,477

164.8

合計

16,477

164.8

 

(注) 1  当社及び連結子会社は、リチウムイオン二次電池用セパレータ事業の単一セグメントであるため、生産実績は、セグメント情報に関連付けた記載を省略しております。

2  金額は、製造原価によっております。

3  上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

b. 受注実績

当社グループの製品は、販売先からの受注による受注生産ですが、生産から納入までの期間が極めて短いため、現実的には販売先からの月次あるいは四半期の購入計画情報を基に、過去の実績、生産能力を勘案した見込生産的な生産形態を採っており、受注高及び受注残高を算出することが困難でありますので、その記載を省略しております。

c. 販売実績

当連結会計年度における販売実績は、次のとおりであります。

事業部門の名称

当連結会計年度

(自  2019年1月1日

至  2019年12月31日)

販売高(百万円)

前年同期比(%)

リチウムイオン二次電池用セパレータ

13,167

150.8

合計

13,167

150.8

 

(注) 1  当社及び連結子会社は、リチウムイオン二次電池用セパレータ事業の単一セグメントであるため、販売実績は、セグメント情報に関連付けた記載を省略しております。

2  主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

相手先

前連結会計年度
(自  2018年1月1日
  至  2018年12月31日)

当連結会計年度
(自  2019年1月1日
  至  2019年12月31日)

販売高(百万円)

  割合(%)

販売高(百万円)

  割合(%)

 Samsung SDIグループ

6,372

48.4

  LG CHEM.グループ

3,973

45.5

2,709

20.6

 東北村田製作所グループ

1,318

15.1

1,323

10.1

  東莞市旭冉電子有限公司

 (Xuran Electronics Co., Ltd.)

976

11.2

 

3  上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

4 前連結会計年度のSamsung SDIグループについては、当該割合が100分の10未満であるため記載を省略してお

  ります。

5  当連結会計年度のXuran Electronics Co., Ltd.については、当該割合が100分の10未満であるため記載を

  省略しております。

6  東北村田製作所グループには、Murata Energy Device Wuxi Co., Ltd.及びMurata Energy Device

  Singapore Pte. Ltd.を含んでおります。

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度のROICは、親会社株主に帰属する当期純損失が3,517百万円であったために△4.06%となりました。これは昨年に引き続き、先進国向け電気自動車用途への参入に向けた先行投資を行ったためにコストが増加したものであり、2020年連結会計年度はROICをプラスに転換し、2021年連結会計年度では投資家の皆様の期待収益率を上回るROIC(5%以上を想定)を目標として取り組んでまいります。経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたり、当社グループが採用している重要な会計処理基準は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しているとおりであります。また、連結財務諸表の作成にあたっては、固定資産の評価、繰延税金資産の計上、退職給付債務及び年金資産の認識等の重要な会計方針に関する見積り及び判断を行っております。これらの見積りは、過去の実績等を慎重に検討した上で行い、見積りに対しては継続して評価し、必要に応じて見直しを行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性によって異なる場合があります。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a. 経営成績の分析

  (売上高)

当社グループの主力事業であるリチウムイオン二次電池セパレータ事業においては、需要セグメントの大きな転換期となりました。従来の主力市場であった民生機器向け需要は低調に推移し市場の拡大が停滞する中、景気の低迷及び価格の値崩れから、多くの電池メーカーにおいて中国製品への転換が進みました。一方で、欧州自動車OEMのEV戦略に裏打ちされたハイエンド車載用電池向けの需要は急増を続けております。

このような市場環境の中、当社では2017年より計画的に推進してきましたハイエンド車載用電池向けの製品開発と量産体制の構築を概ね2019年中頃までに完了し、当第4四半期からはこの分野での製品販売を大きく伸ばすに至りました。その結果として自動車セグメントの売上構成比は2018年通年で約16%であったものが当期通年では約41%にまで拡大し、特に12月には大きく売上が伸びた為、単月黒字に回復しました。これらの要因により当期連結売上高は13,167百万円と、前期比4,436百万円(前期比51%増)の増収となりました。

地域別には車載用電池向け需要が大幅に伸びた韓国顧客向け売上高において、民生需要の減少を車載案件の成長が大きく上回った為9,264百万円(前期比90%増)となりました。一方で中国顧客向け販売は引き続き債権回収を優先しながらの販売になった為、売上を下げ1,739百万円(前期比25%減)となり、日本顧客においてはほぼ前年と同様の1,369百万円(前期比2%減)となりました。

 

 (売上総利益)

当社グループの当連結会計年度の売上総損失は、1,752百万円(前期は1,051百万円の売上総損失)となりました。
 主な要因は、労務費や減価償却費及び研究開発費等の固定費増加によるものであります。

 

 (販売費及び一般管理費並びに営業損益)

当社グループの当連結会計年度の販売費及び一般管理費は1,534百万円となりました。販売費及び一般管理費のうち主要なものは役員報酬160百万円、給与手当216百万円、見本費160百万円、支払手数料364百万円であります。
 この結果、当連結会計年度の営業損失は3,286百万円(前期は3,348百万円の営業損失)となりました。

 

 (営業外損益及び経常損益)

当社グループの当連結会計年度の営業外収益は、主に助成金収入32百万円、オプション評価益43百万円により122百万円となり、営業外費用は、主に支払利息538百万円、為替差損230百万円により785百万円となりました。
 この結果、当連結会計年度の経常損失は3,950百万円(前期は経常損失3,305百万円)となりました。

 

 (特別損益及び親会社株主に帰属する当期純損益) 

当社グループの当連結会計年度の特別利益及び特別損失の発生はありませんでした。この結果、税金等調整前当期純損失は3,950百万円(前期は税金等調整前当期純損失3,294百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失は3,517百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失2,861百万円)となりました。 

 

b. 資本の財源及び資金の流動性の分析

当社の資金需要のうち主なものは、設備投資資金のほか、材料等の仕入や研究開発費用等であります。設備投資資金につきましては、自己資金及び金融機関からの長期借入金を基本としており、運転資金につきましては、金融機関からの短期借入金を基本としております。なお、当連結会計年度における借入金残高は34,243百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び預金の残高は12,619百万円となっております。

 

c. 継続企業の前提に関する重要事象等

当社グループは当連結会計年度において、ハイエンド車載用電池向けの量産を開始し、同案件の売上が急速に拡大しています。一方で、2017年より計画的に推進してきた同案件の製品開発と量産体制の構築は当連結会計年度において一巡しましたが、それに伴うサンプル制作及び製造ライン承認のためのライン稼働に係るコストが損益を圧迫し、2期連続で営業損失を計上しています。
 また、継続して経常損失を計上したこと等により当社の長期借入金及び連結子会社の転換社債型新株予約権付社債の財務制限条項等に抵触しており、同財務制限条項等が適用された場合、長期借入金等に係る期限の利益を喪失することとなるため、継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせる状況が存在しています。

当社グループはこのような状況を解消すべく、先に締結した顧客との長期供給量の合意に基づくハイエンド車載用電池向け等の出荷拡大や製造ラインの稼働率上昇等によるコスト低減による来期の黒字化に向けて取り組んでおります。また、資金面では、来期以降の事業計画等をもとに各金融機関等に対し説明を行い、その結果、韓国子会社2社(W-SCOPE KOREA CO.,LTD.、W-SCOPE CHUNGJU PLANT CO., LTD.)による当社借入金に対する保証差入及び当社借入金の返済条件の見直しと担保設定の条件を満たすことを条件にすべての金融機関等から期限の利益喪失請求権の行使についてウェイブする旨の合意を得ております。金融機関から提示されたウェイブの条件を含め、今後1年に必要となる資金の調達の一部については既に金融機関の合意を得ておりますが、本年3月以降の外部環境の変化に伴い当社の株価が急激に下落し、当初見込んでいた調達額に不足が生じる見込みとなったため、複数の金融機関等との間で追加的な資金調達について具体的な協議を進めています。

なお、W-SCOPE CHUNGJU PLANT CO., LTD.による当社借入金に対する保証差入については同社の社債権者の同意が必要とされており、社債権者の同意を得るべく手続きを進めています。

これらの状況に鑑み、現時点において、継続企業の前提に関する重要な疑義を解消すべく取り組んでいる当社の対応策は実施途上にあり、今後の事業進捗や追加的な資金調達の状況等によっては、当社の資金繰りに重要な影響を及ぼす可能性があることから、継続企業の前提に関する重要な不確実性が存在するものと認識しております。なお、連結財務諸表は継続企業を前提として作成しており、このような継続企業の前提に関する重要な不確実性の影響を連結財務諸表に反映しておりません。

 

d. 経営戦略の現状と見通し

当社グループの主力事業であるリチウムイオン二次電池向けセパレータ事業におきましては2019年までの先行投資期間が概ね完了し、昨年量産販売を開始したハイエンド車載用電池向け案件に関し、顧客からの強い供給量増の要望による急激な販売量の拡大が見込まれる状況となり、今後の当社事業の大きな柱となります。

更に、ハイエンド車載用電池向けの新規案件及び昨年製品発表した高耐熱性セパレータの量産販売を開始する見通しも出来ております。これらを主要案件に向けた安定供給実現の為に昨年まで、設備投資を推進してきた結果として、13本の成膜ラインと14本のコーティングラインの量産体制の整備が完了しており、更に今期においても2本の成膜ラインと4本のコーティングラインの増設を計画しております。費用面では昨年まで負担が大きかった新規車載用案件に係わる製品開発及び、量産立ち上げにかかわる費用(原価開発費)が、すでに量産を開始したことから大幅に低減できる見通しであり、人件費に於いても今期の増員は前年の60%にとどまる計画となっていることから、売上高の増加に見合った安定した費用の増加となる計画です。

これらの要因により2020年12月期の売上高は第1四半期には主要顧客民生用電池工場が多数ある中国の旧正月休みによる稼働日減少と、コロナウイルス感染拡大の市場への影響が不透明なことから、やや売上が弱含みに推移する見通しであるものの通期では自動車需要の販売量の拡大が見込まれるため、売上高20,000百万円(対前期増減率51.9%)、営業利益2,000百万円(前期は営業損失3,286百万円)経常利益800百万円(前期は経常損失3,950百万円)親会社株主に帰属する当期純利益800百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失3,517百万円)となる見通しです。

業績見通しの前提となる通期平均為替レートにつきましては1米ドル108.0円、1米ドル1,120韓国ウォンを想定しております。

 

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