当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度は、地球温暖化やそれに伴う様々な自然環境の悪化を背景に脱炭素の機運が高まり、COP26(国連気候変動枠組条約第26回締約国会議)の開催をはじめ、世界各国の企業や団体による取り組みが進みました。また2020年から続くコロナ禍はデジタル化を一気に加速させ、人々の働き方や生活様式が一変しました。こうした流れを受けて、企業においては再エネ・省エネ投資に加えて、デジタルトランスフォーメーションを指向した情報化投資が加速しました。
このような状況の中、当社グループは創立100周年を迎え、中期経営計画(SEIKO IC2021)のもと、「事業の拡大」と「高収益体質への転換」の実現に向け、「グループ総合力発揮による社会インフラ事業の展開」「海外事業の拡大」「生産性の向上」の3つの重点施策に取り組んでまいりました。
当連結会計年度の業績は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により、海外拠点では営業・生産活動が一時的に停滞し、サービス部門でも再生可能エネルギー関連で工事着工や進捗遅れが発生したことにより売上高が減少したものの、全社で付加価値向上に取り組み、電力部門及び環境エネルギー部門などの国内主力事業は堅調に推移しました。
その結果、当連結会計年度の業績は、電力部門の情報制御や発変電分野、環境エネルギー部門の公共分野や情報部門が堅調に推移したことにより、受注高は26,994百万円(前期比 1.9%増)、売上高は24,596百万円(同 5.2%増)となりました。利益面につきましては、営業利益は1,406百万円(同 6.1%増)、経常利益は1,540百万円(同 14.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,056百万円(同 1.6%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
(電力部門)
電力会社における業務のデジタル化、高度化、省人化を目的とした運用・制御システムに加えて、再エネの固定価格買取制度(FIT)が適用される水力発電所向けシステムが堅調に推移し、売上高は7,388百万円(前期比 24.2%増)、セグメント利益は607百万円(同 23.3%増)となりました。
(環境エネルギー部門)
国内において、公共分野の水処理設備向け監視制御システムが堅調であったものの、一般産業向けが低調となりました。また中国において、新型コロナウイルス感染症の影響により事業活動が停滞したことなどにより、売上高は11,065百万円(前期比 5.7%減)、セグメント利益は426百万円(同 23.5%減)となりました。
(情報部門)
受託開発分野においては、国内でセキュリティシステムや金融機関向けシステムが堅調に推移し、フィリピンでも日系企業向けのシステム開発が増加しました。一方、港湾分野においては、受注は堅調であったものの、売上が次年度に集中したことにより、売上高は1,182百万円(前期比 4.4%減)となりましたが、利益率は改善し、セグメント利益は156百万円(同 112.1%増)となりました。
(サービス部門)
顔認証カメラ等の需要が一巡したことで販売数が減少しました。太陽光発電設備関連製品は堅調に推移し、売上高は3,022百万円(前期比 3.3%増)となりましたが、利益率は悪化し、セグメント利益は99百万円(同 17.3%減)となりました。
(その他)
発変電所向け工事が堅調に推移したことや、オフィス向けの調光フィルムの販売が増加したこと等により、売上高は1,937百万円(前期比 26.1%増)、セグメント利益は116百万円(同 44.0%増)となりました。
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ1,885百万円増加の25,793百万円となりました。負債は、
前連結会計年度末に比べ1,092百万円増加の14,853百万円となりました。純資産は、前連結会計年度末に比べ793百万円増加の10,940百万円となりました。
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は前連結会計年度末に比べ25百万円増加の1,845百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得られた資金は、1,638百万円(前連結会計年度は644百万円の減少)となりました。これは、電力部門において情報制御システム関連の大型プロジェクトが進んだこと等で売上債権が1,219百万円増加したものの、税金等調整前当期純利益1,540百万円の計上や、たな卸資産の減少650百万円及び仕入債務の増加652百万円等により収入が増加したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により支出した資金は、1,785百万円(前連結会計年度は617百万円の減少)となりました。これは主に、有形固定資産の取得により1,672百万円支出したことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により得られた資金は、154百万円(前連結会計年度は1,518百万円の増加)となりました。これは、古賀事業所のリニューアル投資のために長期借入1,600百万円を実行し、収入が増加した一方で、長期借入金133百万円の返済や短期借入金974百万円の減少、及び配当金302百万円の支払い等により、支出が発生したことによるものであります。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2 金額は、販売価格によっております。
3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
4 金額には、仕入実績を含んでおります。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。その作成において見積りが必要となる事項につきましては、過去の実績やその時点で合理的と考えられる情報に基づき会計上の見積りを行っております。特に、工事進行基準による収益の計上については、会計上の見積りが経営成績等に重要な影響を与えると判断しております。なお、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果とは異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表作成において採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 財政状態の分析
(流動資産)
当連結会計年度における流動資産の残高は16,945百万円(前連結会計年度は16,473百万円)となり、471百万円増加いたしました。
これは、仕掛品が減少(2,333百万円から1,621百万円に減少)したものの、受取手形及び売掛金が増加(10,885百万円から12,155百万円に増加)したためであります。
(固定資産)
当連結会計年度における固定資産の残高は8,848百万円(前連結会計年度は7,434百万円)となり、1,414百万円増加いたしました。
これは、主に有形固定資産が取得により増加(4,137百万円から5,399百万円に増加)したためであります。
(流動負債)
当連結会計年度における流動負債の残高は11,252百万円(前連結会計年度は11,573百万円)となり、320百万円減少いたしました。
これは、主に短期借入金が減少(3,190百万円から2,475百万円に減少)したためであります。
(固定負債)
当連結会計年度における固定負債の残高は3,600百万円(前連結会計年度は2,186百万円)となり、1,413百万円増加いたしました。
これは、主に長期借入金が1,237百万円増加したためであります。
(純資産)
当連結会計年度における純資産の残高は10,940百万円(前連結会計年度は10,147百万円)となり、793百万円増加いたしました。
これは、主に親会社株主に帰属する当期純利益の計上等により利益剰余金が増加(4,817百万円から5,570百万円に増加)したためであります。
b. 経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度の売上高は24,596百万円(前期比 5.2%増)となり、前連結会計年度と比較して1,213百万円増加いたしました。セグメント別の売上高につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。
(売上総利益)
当連結会計年度における売上総利益は4,415百万円(前期比 5.9%増)となり、前連結会計年度と比較して246百万円増加し、売上総利益率は0.2ポイント増加し、18.0%となりました。これは、主に電力部門が堅調に推移したためであります。
(営業利益)
当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、前連結会計年度と比較して164百万円増加し、3,008百万円(前期比 5.8%増)となりました。
以上の結果、当連結会計年度の営業利益は前連結会計年度と比較して81百万円増加し、1,406百万円(前期比 6.1%増)、営業利益率は5.7%となりました。
(経常利益)
当連結会計年度における営業外収益は、当連結会計年度は補助金収入が発生したこと等により、前連結会計年度と比較して57百万円増加し、183百万円(前期比 45.4%増)となりました。
営業外費用は、投資有価証券評価損の発生がなかったこと等により、前連結会計年度と比較して54百万円減少し、49百万円(前期比 52.5%減)となりました。
以上の結果、当連結会計年度の経常利益は前連結会計年度と比較して192百万円増加し、1,540百万円(前期比 14.3%増)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度における法人税等合計は、前連結会計年度と比較して176百万円増加し、484百万円(前期比 57.2%増)となりました。これは、税金等調整前当期純利益が増加したことや、前連結会計年度に発生していた完全子会社の吸収合併による税務上の繰越欠損金の引継ぎや、税効果会計の評価見直しによる税負担の軽減効果がなくなったためであります。
以上の結果、当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度と比較して16百万円増加し、1,056百万円(前期比 1.6%増)、ROEは0.7ポイント減少し、10.0%となりました。
c. 経営成績に重要な影響を与える要因について
「2 事業等のリスク」に記載しております。
d. 資本の財源及び資金の流動性についての分析
(キャッシュ・フローの分析)
当社グループの当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末と比較して25百万円増加し、1,845百万円となりました。なお、各キャッシュ・フローの状況につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
(資金需要)
当社グループの資金需要は営業・生産活動に必要な運転資金の他に、設備投資及び研究開発費並びに配当支払いなどがあります。なお、重要な設備の新設等については、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除去等の計画」に記載しております。
(資金調達)
当社グループは資金需要に対して、営業活動により獲得した資金を充当し、不足分については取引先金融機関から調達しております。
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