課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

(1) 経営方針

当社は、「社会の繁栄と発展に貢献すること。これは私たちインスペックの目的であり社員の喜びである。この目的達成のため、私たちは常に考え、勇気ある行動とたゆまぬ努力を積み重ね、もって私たちの幸福を目指すものとする。」との経営理念に基づき、以下の課題に取り組んでおります。

 

(2) 中長期的な会社の経営戦略

当社は、2022年6月14日に2023年4月期を初年度とした中期経営計画を発表いたしました。新型コロナウイルス感染症の収束が見通しにくく、不確実な要素が多くあることから、各事業年度の具体的な数値目標を設定しておりませんが、2025年4月期までに「売上高成長率毎期20%以上、営業利益率15%以上、海外売上比率50%以上、自己資本比率35%以上」を目標とした中期経営計画を策定いたしました。

当社は、ニーズが拡大しているFPC向けロールtoロール型検査装置、チップ部品やフラットパネルディスプレイ向けのインライン検査システム、さらにクラウドサーバーの継続的な拡大やAIの急速な進化の対応で微細化が加速しているCPUやGPU向け超精密基板向け検査装置を主力製品として、競争力を更に高め顧客との信頼関係を強固にして、検査装置事業の拡大に取り組んでまいります。

また、新規事業として取り組んでいるEV(電気自動車)向けロールtoロール型シームレスレーザー直描露光装置については、販売活動の強化策として、当社ホームページを生かしたデジタルマーケティングを活用するなど受注獲得に努めてまいります。

 

(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

① 人材育成の強化

事業の継続的な成長の原資である人材は、企業の競争優位性を決定づける大切な要素であると考えております。変化に柔軟に対応し、課題解決に向けて主体的に取り組むことのできる人材の確保と今後の会社を支える幹部社員の育成を重要課題として、教育・研修制度の充実及び人事評価制度の改正等、各種施策を進め、社員一人ひとりが能力を最大限発揮できる体制を整備してまいります。

 

② 品質管理の徹底

「基本を守り規律ある職場を作る」という経営目標のもと、生産工程の遵守、納期管理の徹底等、基本に立ち返って全社員が品質に対して高い意識をもって仕事に取り組んでおります。

加えて、出荷後のクレームや故障をゼロにすることを目的とし、新たに品質保証に特化したプロジェクトチームを立ち上げました。今一度生産工程や検査体制を見直し、これまで築き上げてきたインスペックブランドを守りつつ、さらなる品質向上に向けて取り組んでまいります。

 

③ 海外のサービス体制の構築

当社の装置は、現在台湾を始めアジア各国で多くのお客様に導入されており、今後も計画的に複数台の導入が予定されています。当社は従来、台湾の現地法人からアジア各国へ顧客サポート活動を実施しておりましたが、必ずしも十分なサポート体制とは言えませんでした。特に高い成長を見込んでいる中国市場におけるサポート体制については、中国国内に幅広いネットワークを有したビジネスパートナーとの事業連携を前提に、日本国内と遜色ないレベルでサポートできる体制の構築を進めてまいります。東アジア地域におけるサポートについては、コロナ禍で得たリモートによるサポートのノウハウを生かしつつ、サポート専門の企業と保守サービスに関する契約を結び、現地で迅速に対応できる体制を構築してまいります。

 

④ 競争力を持った製品の開発

当社の装置は従来、顧客の要望に合わせた完全受注生産、オーダーメイドで製作を行ってまいりましたが、昨今の部材の長納期化や受注増に伴う生産部門の負荷が大きな課題となっております。これに対し、全ての設計・開発を自社内で行っている機動力を生かし、柔軟な設計変更等で部材納期の短縮に対応するとともに、協力企業による生産能力の増強により、安定した製品供給を実現してまいります。また、顧客ごとの個別の要望(特注仕様)についても、充実したオプションで対応してまいります。

新規事業として取り組んでいる、EV(電気自動車)向けロールtoロール型シームレスレーザー直描露光装置「RD3000」は、国内外の複数顧客と評価試験を重ね、高い評価を頂くなど具体的に商談が進んでおります。本露光装置がターゲットとするEV(電気自動車)向け長尺FPC(フレキシブル基板)は、生産が急拡大しており、シームレスに露光できる本露光装置のニーズが高まっていることから、RD3000の受注活動及び次世代装置の開発に全力を挙げて取り組んでまいります。

 

⑤ 生産性の向上

新型コロナウイルス感染症に端を発した運送費の高騰、世界的な半導体不足による部材の長納期化・価格の高騰に加え、ウクライナ情勢の影響による資源価格の高騰等、当社を取り巻く環境は日々変わりつつあり、今後の需給状況によっては生産体制に大きく影響してくることが考えられます。当社では、生産管理システムの刷新や部材調達先の開拓、作業プロセスの改善などサプライチェーンマネジメントを強化し、柔軟で機動的な生産体制の構築に取り組んでまいります。

 

⑥ SDGsへの取組み

持続可能な世界を実現するための取り組みである「持続可能な開発目標:SDGs(Sustainable Development Goals)」に取り組むことは、企業の社会的責任であると認識しています。前事業年度に発足したSDGs委員会では、地域貢献活動やリサイクル活動などを実施しました。当事業年度は、当社の事業活動とSDGsへの取り組みを連動させることをテーマに、バリューチェーンの分析を実施し、各部門が自部門の施策にSDGsと関連した項目を策定することで、全社員が日々の業務においてSDGsに対して主体的に取り組むことはもちろん、事務処理のペーパーレス化、女性の働きやすい環境整備など、事業活動のさまざまな機会において、SDGsの目標達成に向けた活動を積極的に展開してまいります。

 

(4) スリムでシンプルな経営体制

当社は製造業ですが、メーカーとしては極めて小規模な企業体制を取っております。この小規模体制であることを強みとして活かし、その上でグローバルマーケットに向けて事業を展開していくため、コア技術及び業務は社内で確立し、アウトソーシングが可能な業務については、外部企業の協力を得ることで必要な生産能力を確保し事業の拡大を図ってまいります。

このため、販売活動のみならず生産業務、サービス業務、一部の開発業務等についても、国内外を問わず求める能力とコストのバランスを検討し、最適なパートナーと判断できる企業との協力関係を構築して事業活動を進めてまいります。

なお、計画実現のため、販売部門、サービス・サポート部門、設計及び開発部門それぞれの部門でマンパワーの増強に取り組んでおり、若手社員の育成とともに、将来の事業拡大を支える経営基盤の強化に取り組んでおります。

この方針のもとに、高成長・高収益を目指し、強固な経営基盤の構築を実現してまいります。

 

(5) 財務及びキャッシュ・フロー方針

当社は、製品の生産活動及び技術開発や製品開発等の投資活動を通し、継続的な成長を実現し、最適な財務及びキャッシュ・フロー戦略を実行してまいります。

今後、中期経営計画の中で創出されるキャッシュ・フローは、戦略投資と財務基盤の強化について健全なバランスを維持して活用してまいります。

また、大口受注等による一時的な資金需要については、現状の金融機関との良好な関係をもとに資金需要のロットに合わせて機動的な資金調達方法により事業資金の安定化に努めてまいります。

剰余金の配当につきましては、当期の業績及び財政状態等を総合的に勘案した結果、期末配当として1株当たり3円の復配を実施いたしました。

 

(6) 目標とする経営指標

当社は、3ヵ年の中期経営計画を採用し、経営環境の変化に応じて毎年見直すローリング方式を採用しております。

中期経営計画策定のガイドラインは「売上総利益率40%以上」「経常利益率10%以上」を目標としております。これは、中長期の事業戦略に必要な研究開発を中心とした投資コストの確保、配当政策及び財務の健全化を図るため、中期経営計画の損益ストラクチャから目標とした経営指標であります。

 

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