業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 ①財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度における世界経済は、各国の経済対策により経済活動の再開が進みましたが、相次ぐ変異種の発生による新型コロナウイルス感染症の拡大が続きました。原材料価格上昇、部材不足やコンテナ不足によるサプライチェーンの混乱が続く中、地政学上のリスクの高まりなどもあり、依然として先行き不透明な状況が続いております。

 このような経済状況の中、当社グループでは、主として車載用リチウムイオン電池の販売が増加していることや、海外の自動車電池事業における鉛電池の販売が増加したことに加え為替の円安影響もあり、当連結会計年度の売上高は、4,321億33百万円と前連結会計年度に比べて456億22百万円増加(11.8%)しました。営業利益は、主に原材料価格上昇の影響を受け、226億64百万円と前連結会計年度に比べて21億46百万円減少(△8.6%)しました。(なお、のれん等償却前営業利益は、238億53百万円と前連結会計年度に比べて32億16百万円減少しました。)経常利益は、246億84百万円と前連結会計年度に比べて25億95百万円減少(△9.5%)しました。親会社株主に帰属する当期純利益は、連結子会社における減損損失を計上したこと等により、84億68百万円と、前連結会計年度に比べて29億87百万円減少(△26.1%)しました。

 

(自動車電池)

 国内における売上高は、補修用電池の販売は堅調に推移したものの、新車販売台数の減少に伴い、新車用電池の販売数量が前年同期を下回ったことに加えて、収益認識に関する会計基準の適用の影響により、814億94百万円と前連結会計年度に比べて21億44百万円減少(△2.6%)しました。セグメント損益(のれん等償却前)は、原材料価格上昇の影響により、58億78百万円と前連結会計年度に比べて27億91百万円減少(△32.2%)しました。

 海外における売上高は、アセアン・欧州を中心に販売数量が増加したことに加え為替の円安影響もあり、1,867億43百万円と前連結会計年度に比べて214億46百万円増加(13.0%)しました。セグメント損益は、原材料価格に加え、コンテナ不足による物流費の上昇の影響等により、99億65百万円と前連結会計年度に比べて22億59百万円減少(△18.5%)しました。

 これにより、国内・海外合算における売上高は、2,682億37百万円と前連結会計年度に比べて193億1百万円増加(7.8%)しました。セグメント損益(のれん等償却前)は、158億43百万円と前連結会計年度に比べて50億51百万円減少(△24.2%)しました。

 

(産業電池電源)

 売上高は、大型風力発電用リチウムイオン電池の販売増加や、㈱GSユアサインフラシステムズを連結化した影響により994億65百万円と前連結会計年度に比べて154億28百万円増加(18.4%)しました。セグメント損益は、原材料価格の上昇や販売構成の変化により、57億75百万円と前連結会計年度に比べて11億14百万円減少(△16.2%)しました。

 

(車載用リチウムイオン電池)

 売上高は、ハイブリッド車用リチウムイオン電池の販売が増加したことに加え、前年度に販売が減少していたプラグインハイブリッド車用リチウムイオン電池の販売が回復し、476億37百万円と前連結会計年度に比べて116億87百万円増加(32.5%)しました。セグメント損益は、売上高増加の影響により、16億54百万円と前連結会計年度に比べて25億6百万円改善しました。

 

(その他)

 売上高は、167億91百万円と前連結会計年度に比べて7億95百万円減少(△4.5%)しました。全社費用等調整後のセグメント損益は5億79百万円と前連結会計年度に比べて4億43百万円増加(324.7%)しました。

 

 ②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末の現金及び現金同等物は258億45百万円と前連結会計年度末に比べて99億62百万円減少(△27.8%)しました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況と主たる要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動によるキャッシュ・フローは、売上債権の増加、棚卸資産の増加、法人税等の支払がありましたが、税金等調整前当期純利益や減価償却費、仕入債務の増加などにより、128億79百万円のプラス(前年同期は358億17百万円のプラス)となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動によるキャッシュ・フローは、主として有形固定資産の取得や子会社株式の取得による支出などにより、302億4百万円のマイナス(前年同期は193億27百万円のマイナス)となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払がありましたが、借入金の増加により、52億3百万円のプラス(前年同期は70億18百万円のマイナス)となりました。

 

 ③生産、受注及び販売の実績

 a.生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

 自 2021年4月 1日

至 2022年3月31日

前年同期比(%)

自動車電池国内(百万円)

67,751

106.8

自動車電池海外(百万円)

142,772

125.7

産業電池電源(百万円)

72,447

127.4

車載用リチウムイオン電池(百万円)

51,990

127.9

報告セグメント計(百万円)

334,962

122.0

その他(百万円)

14,068

96.3

合計(百万円)

349,031

120.7

 (注)金額は製造原価によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。

 

 b.受注実績

 当社グループは、大型蓄電池及び大型電源装置等の一部を除き、主として見込生産を行っておりますので、受注高及び受注残高について特記すべき事項はありません。

 c.販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

 自 2021年4月 1日

至 2022年3月31日

前年同期比(%)

自動車電池国内(百万円)

81,494

97.4

自動車電池海外(百万円)

186,743

113.0

産業電池電源(百万円)

99,465

118.4

車載用リチウムイオン電池(百万円)

47,637

132.5

報告セグメント計(百万円)

415,341

112.6

その他(百万円)

16,791

95.5

合計(百万円)

432,133

111.8

 (注)セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中における将来に関する事項は有価証券報告書提出日(2022年6月29日)現在において判断したものであります。

 ①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。

 

 この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 なお、新型コロナウイルス感染症の影響につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載のとおりであります。

 

 ②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

(経営成績)

 当連結会計年度の経営成績の状況については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況 」に記載しております。

 

(財政状態)

 当連結会計年度末における総資産は、固定資産の減損による減少があったものの、棚卸資産の増加や㈱GSユアサ インフラシステムズの新規連結に伴い、4,807億63百万円と前連結会計年度末に比べて488億49百万円増加しました。

 負債は、サステナビリティ・リンク・ローンによる長期借入の実施や㈱GSユアサ インフラシステムズの新規連

結により、2,308億24百万円と前連結会計年度末に比べて334億81百万円増加しました。

 純資産は、配当の支払や自己株式の取得等がありましたが、親会社株主に帰属する当期純利益による増加や為替レ

ートの変動による為替換算調整勘定の増加により、2,499億38百万円と前連結会計年度末に比べて153億67百万円増加

しました。

 

(経営成績に重要な影響を与える要因について)

 当社グループを取り巻く経営環境は依然として厳しく、とりわけ各事業分野での激しい価格競争が続いております。また、当社グループの主要製品である自動車用鉛蓄電池の販売数量は、季節の変化、特に(冷夏、暖冬など)気候の変化による影響を大きく受けます。一方、コストの面では、当社グループの主要製品である鉛蓄電池は、主要原材料に鉛を使用しておりますので、この鉛価格の変動は製造コストに影響を与えます。

 また、地政学上のリスクの高まり、サプライチェーン混乱、感染症が継続等のリスクがあり、依然として先行き

の不透明感が続きます。加えて、感染症や災害等をきっかけにサプライチェーンの乱れが発生し、当社業績に影響を与える可能性があります。

 

(資本の財源及び資金の流動性についての分析)

 a.キャッシュ・フロー

 当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況 」に記載の通りです。

 

 b.資金需要

 当社グループの資金需要の主なものは、設備投資・出資などの長期資金需要と製品製造のための材料及び部品購入のほか、製造費用、販売費及び一般管理費等の運転資金需要であります。

 

 c.財務政策

 当社グループは、事業活動のための適切な資金調達、適切な流動性の維持及び財務構造の安定化を図ることを財務方針としております。

 営業キャッシュ・フロー及び手元資金を中長期的な成長のための投融資、成長を支えるための財務基盤の強化、適正な株主還元、これらにバランス良く配分し企業価値の向上を図ってまいります。

 

 なお、当社グループの当連結会計年度におけるキャッシュ・フロー指標のトレンドは、次のとおりであります。

 

2020年3月期

2021年3月期

2022年3月期

 自己資本比率(%)

45.8

46.8

44.8

 時価ベースの自己資本比率(%)

30.6

56.0

39.2

 キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)

2.2

2.0

7.0

 インタレスト・カバレッジ・レシオ

40.57

43.75

13.61

(注)1.自己資本比率:自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い

2.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。

3.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。

4.営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。

また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。

 

(経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成の状況を判断するための客観的な指標等)

 当社グループは、「第五次中期経営計画」において連結売上高4,600億円以上、営業利益280億円以上、ROE(のれん等償却前純利益) 8% 以上、総還元性向 30% 以上を2023年3月期最終目標に設定し収益性や資産効率の向上に取り組んでおります。

 当年度における進捗状況は、連結売上高4,321億円、営業利益226億円、ROE(のれん等償却前純利益) 4.6% 、総還元性向 42.4% であり、引き続き目標達成に向け総力を挙げて努めてまいります。

 

(セグメント別の状況)

 セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況 」に記載の通りであります。

 

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