業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

(1) 経営成績

当連結会計年度(2021年4月1日~2022年3月31日)における世界経済は、主要国におけるワクチン接種の更なる進捗により、新型コロナウイルスの猛威がようやく終息するかに見えたものの、オミクロン株の爆発的感染拡大もあり、景気回復に向けた機運がそがれ続けました。ただし、各国の新常態に向けた政策が明らかになるなかで、世界各地の観光地は従来の賑わいを取り戻しつつあり、また、各種スポーツイベントでは多くの観客が熱狂する様が見られました。

他方、2月に始まったロシアによるウクライナ侵攻は、小さな希望を抱いて新常態に向かう人々に大きな暗い影を落としています。一日も早く平和が訪れることを心から願ってやみません。当然、当社を取り巻く経済環境もまた、コロナ禍に端を発した想定を上回る長期的なサプライチェーンの歪み、かつてない原材料高や材料調達難、そして上記ロシアによるウクライナ侵攻の長期化により、見通しが更に難しく、精密な舵取りが要求されています。

国内経済におきましても、同様の爆発的感染拡大による日本らしい慎重な感染対策は今も変わらず、ウイルスによる健康被害、特に死亡者数は他国に比べ抑えられているものの、経済の徹底した停滞は否めず、景気回復の時期はますます不透明と言わざるを得ません。加えて、何よりも半導体の絶対的な不足を中心としたサプライチェーンの不安は、引き続き私たちものづくり企業にとって非常に大きな脅威となっており、鉄、銅、原油価格の上昇、電子部品については価格上昇のみならず同じく供給不足に悩まされる毎日が歳末どころか期末まで続く始末でした。

それでも、厳しいコロナ惨禍の制約のなかで開催された東京五輪や東京パラリンピック、北京五輪や北京パラリンピックにてアスリート達が躍動したこと、その後世界各国で開催されているラグビーやその他多くのスポーツイベントで、同じくアスリート達が躍動し、多くのつめかけた観客が久方ぶりの熱狂に浸れていること大慶の至りであります。

また、進行期ではありますが、咲き乱れる桜の下、家族連れの花見客が多く見られ、その朗らかに団欒する様は経済復興への兆しと捉えるべきと、桜前線を時に追い越し時に迎えにいくような出張を繰り返すなかで思い至った次第です。

このような状況の下、当社グループは、変わらず「DSA2021再点火反転攻勢版」にて策定した「車と家をものづくりでつなぐ」を更に具現化すべく2021年6月7日にリリースした「再点火反転攻勢のむこうがわ」に基づき、「必達目標」と「次の狙い」を定め、新常態及び脱炭素社会で求められる再生可能エネルギー拡大の中心となるパワーコンディショナ並びに蓄電システム、電動化を含むモータリゼーション並びにエアコンのインバータ化の世界的展開等への電力変換技術を核とした技術、それらの深化及び発展、加えて収益構造の更なる強化、ESG経営の強化に連戦猛進して参りました。

進行期におきましても、半導体の絶対的な不足を中心としたサプライチェーンの不安、すなわち、ものづくりが叶わぬ不安に押しつぶされることなく、今だからこそできる「環境整備」、「カイゼン」にみんなで取り組みます。加えて、「つくりやすさ」、「買いやすさ」のつくりこみ、既に開設及び運用されている鳥取コールセンターの改善及び増強、アフターサービスの充実、グローバルサプライチェーン再構築に挙社一致体制で取り組み続けます。

また、直近で仲間化したクラフト社の働く仲間達のものづくりの力も同じく結集し、当社御仕入先様持株会組織である「All Diamonds」の企業様方々と共に歩むことで、上記グローバルサプライチェーン再構築に、大きな意味でのグループ一致体制で挑み続けてまいります。

そして、「再点火反転攻勢のむこうがわ」で耀き疾走するべく、2016年7月より不変の方針である「お客様要求品質第一に徹する」ものづくり企業としてお客様の発展に寄与し、ひいては社会の豊かさに貢献するべく、女性や外国人の方々の積極採用、並びに女性や外国人の働く仲間達の登用にも積極的に取り組み、多面体に耀き働く仲間達一致して、現業の改善並びに新常態の時代に資する独自の技術開発に連戦猛進して参ります。

 

最後になりますが、2年以上に及び未知のウイルスと闘ってきた医療関係者の方々、学校に行けぬ子供達のケアや人々の生活を守るために働いてきた方々に最大限の敬意と感謝を表します。そして、ゆえなき戦争で命を奪われ、或いは生活を奪われたすべての人々に哀悼の意を表し、重ねて、一日も早い平和が訪れることを願ってやみません。

 

当連結会計年度の売上高は762億71百万円前年同期比8.0%増)、営業利益は4億92百万円前年同期比78.1%減)、経常利益は12億68百万円前年同期比48.7%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は12億87百万円前年同期親会社株主に帰属する当期純利益95百万円)となりました。営業利益の減少につきましては、売上高が新型コロナ禍による需要低迷から回復しつつあった中、材料費の上昇による売上総利益率の悪化、エネルギーソリューション事業における世界的な半導体不足による生産低迷等の影響を受けたことによるものです。一方、親会社株主に帰属する当期純利益の増加につきましては、為替差益が発生し、また、米国の新型コロナウイルス感染症に係る雇用保護政策であるPaycheck Protection Program(給与保護プログラム)ローンの返済が免除されたことにより「債務免除益」を特別利益に計上し、さらに、当社及び子会社で繰延税金資産を計上したことによるものであります。

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、引き続き世界的な半導体不足や原材料価格の高騰、入手難が考えられます。一方、自動車事業における米国を中心とした受注復活への設備投資に見合う売上及び利益を見込んでおりますが、上記リスクと共に生産が何らかの理由で計画通りに立ち上がらない場合にも、業績に影響を与える可能性があります。

なお、経営成績に重要な影響を与える要因の詳細は、「2 事業等のリスク」に記載しております。

 

・連結

売上高

762億71百万円

前年同期比8.0%増

 

営業利益

4億92百万円

前年同期比78.1%減

 

経常利益

12億68百万円

前年同期比48.7%減

 

親会社株主に帰属する当期純利益

12億87百万円

前年同期は親会社株主に帰属する当期純利益95百万円

 

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

 

[自動車機器事業] 

自動車機器事業は、世界的な半導体不足や新型肺炎の感染拡大による生産台数調整はありましたが、昨年の販売減少からは回復し、 売上高275億4百万円(前年同期比12.7%増)となりました。利益面では原材料価格の高騰、物流価格の上昇や北米での人手不足による人件費上昇などの影響を受けセグメント損失は15億64百万円(前年同期セグメント損失14億31百万円)となりました。

 

[エネルギーソリューション事業]

エネルギーソリューション事業は、第2四半期まで好調であった蓄電ハイブリッドシステム(EIBS7)が第3四半期以降、世界的な半導体不足により生産が停滞し、 売上高219億32百万円(前年同期比8.0%減)となりました。利益面でも上記売上高減少の影響を受け、セグメント利益は37億87百万円(前年同期比16.2%減)となりました。

 

[電子機器事業] 

電子機器事業は、電子部品の調達逼迫による生産減少の影響はありましたが、グローバルにおける冷暖房機器用部品の販売が増加したことにより、 売上高268億34百万円(前年同期比19.8%増)となりました。利益面においては、半導体及び電子部品の高騰や入手難による生産ロス、更には銅や鉄などの原材料価格の上昇の影響を受け、セグメント利益は2億77百万円(前年同期比66.4%減)となりました。

 

 

生産、受注及び販売の実績は次のとおりであります。
① 生産実績 

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

自動車機器事業

22,513

90.1

エネルギーソリューション事業

23,556

99.9

電子機器事業

19,037

83.2

合計

65,107

91.2

 

(注) 金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。

 

② 受注実績

当社グループ(当社及び連結子会社)の製品は、自動車機器事業においては、得意先から1~3ヶ月前より指定部品の生産計画内示を受け生産の予測をたてますが、実際の納入は、得意先の生産に合わせた提示によりラインに納入している状況であります。従って、内示と実際とは異なる場合もあり、受注高及び受注残高を算出することは困難であるため、受注実績の記載は省略しております。

また、エネルギーソリューション事業及び電子機器事業においては、得意先からの生産計画の提示を受け、過去の実績及び将来の予測と生産能力を勘案して見込み生産を行っているため、受注実績の記載は省略しております。

 

③ 販売実績 

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

自動車機器事業

27,504

112.7

エネルギーソリューション事業

21,932

92.0

電子機器事業

26,834

119.8

合計

76,271

108.0

 

(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

ダイキン工業株式会社

8,156

11.5

9,718

12.7

 

 

 

(2) 財政状態

当連結会計年度末の総資産は687億27百万円となり、前連結会計年度末に比べて46億42百万円増加しました。主な増加は、原材料及び貯蔵品54億38百万円、建物及び構築物(純額)13億4百万円であり、主な減少は、現金及び預金46億73百万円であります。

負債は585億51百万円となり、前連結会計年度末に比べて16億51百万円増加しました。主な増加は、長期借入金17億23百万円、1年内返済予定の長期借入金11億82百万円であり、主な減少は、未払金8億39百万円であります。

純資産は101億76百万円となり、前連結会計年度末に比べて29億90百万円増加しました。主な増加は、資本剰余金13億76百万円、為替換算調整勘定9億95百万円であります。

この結果、自己資本比率は前連結会計年度末の11.0%から14.7%となりました。

 

(3) キャッシュ・フロー

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ46億73百万円減少し、107億39百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー) 

営業活動により使用した資金は、43億88百万円前年同期37億16百万円の獲得)となりました。主な要因は、棚卸資産の増加額が44億10百万円、未払金の減少額が13億円、売上債権の減少額が13億84百万円あったものの、減価償却費が21億69百万円、税金等調整前当期純利益が14億16百万円あったことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー) 

投資活動により使用した資金は、38億66百万円前年同期18億65百万円の使用)となりました。主な要因は、有形固定資産の取得による支出が34億75百万円あったことによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー) 

財務活動により得られた資金は、32億32百万円前年同期55億15百万円の獲得)となりました。主な要因は、長期借入金の返済による支出140億37百万円があった一方、長期借入れによる収入169億43百万円あったことによるものであります。

 

当社グループの財政状態に関する指標のトレンドは下記のとおりであります。

 

 

2019年3月

2020年3月

2021年3月

2022年3月

自己資本比率(%)

13.3

11.7

11.0

14.7

時価ベースの自己資本比率

(%)

6.2

6.2

30.2

11.1

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)

578.7

△13.9

8.3

△7.7

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

0.3

△11.1

21.6

△19.2

 

(注) 自己資本比率:自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い

Ⅰ. 各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。

Ⅱ. 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。

Ⅲ. 営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。

 

 

(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、決算日における資産・負債の報告数値、報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積り及び仮定設定を行っております。主なものは貸倒引当金、繰延税金資産、賞与引当金、退職給付に係る資産及び負債、製品保証引当金、減損損失、棚卸資産の評価、のれんであり、その見積り及び判断については継続して評価を行っております。

なお、見積り及び判断・評価については、過去の実績や状況に応じて合理的と考えられる要因等に基づき行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果とは異なる場合があります。

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

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