(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、下記の基本方針にもとづき、株主、投資家及びお客様満足度の向上を図ることで企業価値を高めてまいります。
①顧客満足の増進
複雑化、高度化するお客様の課題に対し、技術、価格、納期、アフターサービスなどに迅速かつ柔軟に対応し、お客様満足度の向上を目指します。
②生産技術の革新
製造業の基本であるコスト競争力を高めるため、製造装置の標準化(モジュール化、ユニット化)を中心とした継続的な生産技術の革新を行います。
③独創的な商品開発
競合他社が真似することのできない最先端の独創技術を商品化し、開発型のソリューションを提供する企業を目指します。
④自由闊達な組織
経営方針や情報が迅速に伝わる風通しのよい組織と企業風土を継続して形成します。
⑤企業価値の向上
株主価値の向上にとどまらず、技術の総合利用を通じて産業と科学の発展に貢献することを目指します。
(2)経営環境
当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルスの世界的流行の継続、ウクライナ問題の長期化等による地政学リスクの増大などに伴う、世界的なサプライチェーンの混乱、半導体等に関する各種材料や部品の供給不足による価格の上昇や納期の長期化、そして各国におけるインフレ抑制に向けた金融引締めに伴う景気後退懸念の高まりなど、世界経済の先行きに対する不透明感が高まりました。
当連結会計年度における当社グループを取り巻く事業環境は、上記の地政学リスクや金融引締めに伴う大きな影響は出ておりません。新型コロナウイルスの世界的流行の継続に伴う各地への移動制限などによる影響は、世界各地で事業を展開している当社グループの事業にも影響は出ましたが、状況に応じた必要な対策を講じることで、事業活動への影響を最小限にとどめるよう努めてまいりました。半導体業界において、ファウンドリーやロジックメーカーによる先端投資が活発化するとともに、メモリ投資も高水準で推移しています。エレクトロニクス業界においては、5Gの普及に伴うスマート社会化の実現に向けた各種電子デバイス投資、グリーンエネルギー化やEV化進展等に伴うパワーデバイス投資、その他中国のエレクトロニクス国産化に向けた投資が活発化しています。フラットパネルディスプレイ(FPD)業界においては、タブレットやPC、車載用などのITパネル用液晶投資が活発化するとともに、スマートフォンやタブレットなどについての液晶から有機ELディスプレイ(OLED)へのシフトに対応した投資も継続しています。さらに、タブレットやPC、医療用・車載用・ゲーム用の有機EL大型基板量産開発への取組みもみられます。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループは、「互いに協力・連携し、真空技術及びその周辺技術を総合利用することにより、産業と科学の発展に貢献することを目指す」という前掲の経営基本理念のもと、真空及びその周辺技術を、装置、材料、成膜加工、分析、カスタマーサポートといった幅広い事業領域において取り扱うことで生み出されるシナジー効果を強みとした事業経営を行っております。また、このシナジー効果をより効果的に発揮できるよう、当社グループ間の連携強化や世界の多様な企業や研究所などとビジネスパートナーシップの形成を推進することで、よりグローバルに事業を展開し、更なる持続的成長と企業価値向上を実現する高い収益性を有する企業集団となることを目指しています。
また、当社グループは、「真空技術及びその周辺技術の総合利用により、経済価値、社会価値、環境価値を創造する」というサステナビリティ方針も定めており、当社グループの事業活動を通して、幅広いステークホルダーとともに、産業と科学の発展に貢献し、環境負荷の低減や健康と幸せの創造により適正な利潤を追求し、気候危機や資源不足など地球の持続可能性を脅かす環境問題の解決に向けての取組みも推進しております。
当社グループは、2021年6月期を初年度とする3年間(2021年6月期~2023年6月期)の中期経営計画「Breakthrough 2022」を策定しています。この中期経営計画については、その基本方針などは堅持しつつ、市場環境を勘案した数値目標の変更を2022年8月に行っております。また、この目標の達成のための具体的な取組みについても適宜見直しをしています。
中期経営計画「Breakthrough 2022」の骨子は次のとおりです。
①基本方針
・成長に向けた開発投資(選択と集中)
・体質転換による利益重視の経営
②数値目標(連結)
指 標 |
2023年6月期業績予想 (2022年8月公表) |
2023年6月期目標 (2021年8月公表時) |
売上高 |
2,500億円 |
2,350億円 |
売上総利益率 |
33% |
35%以上 |
営業利益 |
345億円 |
380億円 |
営業利益率 |
13.8% |
16%以上 |
当期純利益 |
230億円 |
- |
ROE(自己資本利益率) |
12% |
13%以上 |
営業キャッシュ・フロー |
240億円 |
290億円 |
③具体的取組み
1.成長事業の強化 |
半導体、電子部品、FPD事業の更なる強化 |
①半導体:ロジックの微細化工程及びメモリの工程について、更なる拡販活動の強化に努める |
②電子部品:当社グループが注力すべき主要5分野(パワーデバイス、オプトデバイス、通信デバイス、電子部品、実装)を選定し、これらの分野について、モジュール化推進による顧客要望に応じた複数の製造装置の組み合わせ提供の実現による更なる拡販活動の強化に努める |
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③FPD:大型基板OLED向けに開発する新製品及びEVバッテリー用装置について、更なる拡販活動の強化に努める |
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コンポーネント、マテリアル、カスタマーサポートの強化 |
①コンポーネント:当社グループが注力すべき製品として選定した主要製品における新製品開発による新規市場参入及び更なる拡販活動の強化に努める |
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②マテリアル:半導体分野における新製品開発による新規市場参入及び更なる拡販の強化に努める |
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③カスタマーサポート:保守、表面処理、洗浄、部品販売などの事業について、装置の拡販活動と連携した更なる拡販活動の強化及び新たなビジネスモデルの構築と推進に努める |
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2.研究開発力強化 |
マーケティング体制強化による成長市場への技術革新に対応した製品開発強化 |
①半導体、電子部品及びFPD事業についての開発投資の拡大に努める |
②世界のリーディング企業との最先端技術の共同開発の推進によるグローバル開発体制の強化に努める |
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③プロセス開発から製品開発への注力に努める |
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3.モノづくり力 強化 |
技術・設計から生産体制まで全ての工程における生産性向上による売上総利益率の改善 |
①技術設計改革:設計バリューエンジニアリング強化による製品品質の更なる向上を目指す |
②購買体制改革:部品長納期化への対応及びバリューエンジニアリングに連動した購買体制の柔軟な再編に努める |
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③生産改革:当社グループの製造製品の生産拠点を集約化することによる各拠点の製造技術の専門特化の推進に努める |
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④情報システム基盤強化:各業務プロセスの標準化による生産性向上と生産情報の共有化の更なる推進に努める |
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4.経営基盤の強化 |
人財育成・活性化 |
人財スキルの見える化、次世代リーダー育成、ダイバーシティを推進することにより、人的資本の更なる強化に努める |
ビジネスユニット経営の推進 |
当社グループ会社間の事業についての更なる連携強化に努める |
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財務基盤の強化 |
当社グループの更なる成長のための開発投資や資金効率改善を実現するためのキャッシュ・フローマネジメントの更なる強化に努める |
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サステナビリティ経営の推進 |
①スマート社会、デジタル社会やグリーンエネルギーの推進という社会的課題に対し、当社グループの技術での貢献に努める |
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②TCFD提言に根差した気候変動が当社グループの事業活動に影響を及ぼすリスクと機会についての積極的な情報開示に努める |
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