業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における我が国経済は、昨年に引き続き長引く新型コロナウイルス感染症による厳しい状況が残る中で不安定な推移となりました。国内においては社会全体で徹底した新型コロナ感染防止対策が行われ、ワクチン接種が促進されたこと等により、昨年9月末には緊急事態宣言が全面解除され、10月以降は新規感染者が急速に減少するなど若干の落ち着きを見せる兆しも見受けられましたが、年末にかけては新型コロナウイルス感染症の変異株であるオミクロン株の世界的な再拡大により、依然として新型コロナウイルス感染症の収束は見通せず、また、2月にはウクライナ情勢の変化により原油価格や原材料価格の高騰、為替の影響による輸入物価の上昇が起こり、国民の生活に大きな影響を与えるなど、依然として景気は先行き不透明な状況が続いております。

当社グループの主要事業が属する情報サービス産業においては、こうしたコロナ渦の状況を背景に企業における働き方のデジタルトランスフォーメーション(DX)化などDXへの流れが加速し、テレワークをはじめとした柔軟な働き方に対応した労働環境の整備が推進されるなどあらゆる領域でのデジタル化が推進されておりますが、一方で世界的な半導体等の部材の価格高騰が続くなど、不透明な状況も続いております。

このような状況のもと、当社グループは、従業員の健康及び事業の継続・拡大を図るため、オフィス内の勤務環境の整備、リモートを活用した在宅勤務による出社人数の制限、出社時間の分散などの勤務体制の見直しを行い、当社グループ内での徹底した新型コロナ感染症の防止対策に努めて参りました。

システム開発事業領域においても、様々な技術革新に対応し、顧客満足度の高いサービスを提供することで、業容の拡大及び業績の改善を図るべく、新規顧客に対する営業力の強化及び技術者採用活動の強化に積極的に取り組んで参りました。また、グループ各社のシナジー効果を最大限活用するために、グループ内の人材配置の最適化及び組織体制の強化を図るとともに、従業員のモチベーション向上を図るための人材制度改革に取り組んで参りました。

一方、当社グループのより強固な収益基盤の確立のため、美容関連事業の推進を目的として、2021年4月に株式会社Glotusを設立しました。同社は、まつ毛エクステンションの施術サービスを行うアイラッシュサロン「FLASH」の運営、化粧品・健康食品等の販売を主な事業目的としており、2021年8月には「FLASH」の旗艦店として池袋東口店をオープンするとともに、積極的なマーケティング活動を展開し、売上規模拡大に向けた取り組みを推進して参りました。中長期的には「FLASH」のフランチャイズ展開に向けた取り組みを開始する予定であります。

 

当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

a.財政状態

資産、負債及び純資産の状況

 (資産)

当連結会計年度末における流動資産は1,727,868千円(前連結会計年度末と比較して299,953千円増)となりました。これは主に、短期貸付金及び長期貸付金の早期回収を行ったこと、第三者割当増資による新株式の発行を行ったこと、システム開発セグメントにおける子会社の業績が好調であったこと等により、短期貸付金が134,037千円減少したものの、現金及び預金が109,407千円増加、受取手形及び売掛金が30,716千円増加、法人税等の中間納付を実施したことにより未収還付法人税が282,497千円増加したこと等によるものであります。

固定資産は158,820千円(前連結会計年度末と比較して1,005,605千円減)となりました。これは主に、株式会社Glotusの池袋東口店のオープンに当たって内装工事や保証金の支払いを実施したこと、2022年7月に移転を予定している建物に保証金を支払ったこと等により、有形固定資産が6,123千円増加、投資その他の資産その他が18,367千円増加、資金回収により長期貸付金が1,034,798千円減少したこと等によるものであります。増加した有形固定資産のうち主なものは建物附属設備、機械装置、増加した投資その他の資産その他のうち主なものは敷金及び保証金です。

この結果、総資産は1,886,688千円(前連結会計年度末と比較して705,651千円減)となりました。

(負債)

当連結会計年度末における流動負債は180,090千円(前連結会計年度末と比較して631,860千円減)となりました。

これは主に、法人税、住民税及び事業税の支払いにより未払法人税等が635,063千円減少したこと、貸付金回収に伴い利息の前受分が減少したことにより流動負債その他が23,976千円減少したこと等によるものであります。減少した流動負債その他のうち主なものは前受収益であります。

固定負債は118,471千円(前連結会計年度末と比較して8,547千円減)となり、これは主に、金融機関からの借入金の返済を行ったことにより長期借入金が17,476千円減少、2022年7月の移転に伴い原状回復工事代金の見積り額を計上したことにより固定負債その他が8,821千円増加したこと等によるものであります。増加した固定負債その他のうち主なものは資産除去債務であります。

この結果、負債合計は298,561千円(前連結会計年度末と比較して640,408千円減)となりました。

(純資産)

当連結会計年度末における純資産は1,588,127千円(前連結会計年度末と比較して65,243千円減)となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純損失の計上等により利益剰余金が119,542千円減少したこと等によるものであります。

 

b.経営成績

当連結会計年度の経営成績は、売上高1,225,685千円(前年同期比16.8%減)、営業損失144,988千円(前年同期は営業損失177,162千円)、経常損失108,315千円(前年同期は経常損失100,057千円)、税金等調整前当期純損失95,322千円(前年同期は税金等調整前当期純損失2,429,978千円)、そして親会社株主に帰属する当期純損失119,542千円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失5,449,412千円)となりました。

 

なお、当社グループの報告セグメントは、従来「システム開発」と「WEBサービス」の2つに区分して報告しておりましたが、当連結会計年度より「システム開発」の単一セグメントに変更しております。

「システム開発」は、ITシステムや組込系システム、業務系システム等の受託開発、システムエンジニアリングやバックオフィスに関する人材派遣、PCデータ消去・リサイクル、医用画像表示ソフトウェアの販売等を行っております。当該事業は、主に「人材派遣サービス及びシステム開発部門」と「受託開発事業及び産業用グラフィックス部門」から構成されておりますが、各々の事業内容及び経営成績は以下のとおりであります。

 

1) 人材派遣サービス及びシステム開発部門

人材派遣サービス部門は、システムエンジニアリング及びバックオフィス関連業務等の専門性の高い業務に対応できる人材を派遣し、業務の最適化・効率化に貢献するサービスとなります。

システム開発部門は、ハード・ソフトの調達を含めたシステム構築により企業のIT関連をトータルにサポートし、顧客の業務効率化・コスト削減に貢献するために付加価値の高いサービスをワンストップで提供するサービスとなります。

上記以外にも、廃棄パソコンの買取りやサーバーのHDDデータの消去、パソコン本体及び周辺機器のリサイクルなど法人向けのリサイクルサービスを提供しております。

当連結会計年度においては、新型コロナウイルス感染症の影響によるテレワークの普及等を原因として、業務の自動化や効率化、環境整備等の業務改善に係る案件の需要が増加し、人材派遣サービス部門において既存顧客に対する安定的な受注が継続したこと、システム開発部門において外注先の見直しを行い売上原価が抑制されたこと、中古PC相場の高騰によりパソコンデータ消去・リサイクルに関する収益が増加したこと、テレワーク体制の定着に伴い通勤費等の経費が削減されたこと等により、大幅な増収増益で推移いたしました。

 

2) 受託開発及び産業用グラフィックス部門

受託開発部門は、プリンターや通信機器等の組込システム・各種業務システム・健診システム等の受託開発、ポータルWEBサイト構築・サーバー環境設計/構築/運用/保守・簡易外観検査装置等の受託開発を行っております。

産業用グラフィックス部門は、医療機関で使われる画像参照用モニタの調整や品質管理を行うソフトウェアである「FVT-air」を、当社独自のモニタソリューションとして全国の大小様々な医療機関に導入頂けるよう営業を推進しております。

当連結会計年度においては、前年度において全般的に抑制傾向にあった顧客企業のIT投資が徐々に再開される傾向となったことにより、受託開発部門において既存顧客に対する契約獲得が安定的に推移したこと、開発要員の一部内製化により収益性が向上したこと、在宅勤務体制の定着により従業員のモチベーション及び業務効率が向上したこと等により、大幅な増収増益で推移いたしました。

また、産業用グラフックス部門では、新型コロナウイルス感染症の影響等により、病院・クリニック等への立入りが制限されたこと等から新規営業活動が一部停滞したものの、既存顧客への販売活動の推進により利益面では堅調に推移いたしました。

 

これらの結果、システム開発セグメントの上記 1) 人材派遣サービス及びシステム開発部門、2) 受託開発及び産業用グラフィックス部門に関わる業績(内部取引消去前)を示すと、売上高は1,202,645千円(前年同期比12.6%増)となり、営業利益は67,479千円(前年同期比555.3%増)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)については、以下の活動により、前連結会計年度末と比較して108,207千円増加し、当連結会計年度末で1,027,543千円となりました。当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況は次のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果、使用した資金は1,060,251千円(前連結会計年度は46,917千円の使用)となりました。これは主に、賞与引当金の増加額14,156千円、仕入債務の増加額13,022千円があった一方、法人税等の支払額△908,681千円、税金等調整前四半期純損失95,322千円があったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果、獲得した資金は1,143,358千円(前連結会計年度は1,037,134千円の使用)となりました。これは主に、長期貸付金の回収による収入1,053,160千円、貸付金の回収による収入216,674千円があった一方、貸付けによる支出△120,000千円があったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果、獲得した資金は25,100千円(前連結会計年度は152,982千円の獲得)となりました。これは主に、株式の発行による収入50,050千円があった一方、長期借入金の返済による支出△25,821千円があったことによるものであります。

 

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当社グループは生産活動を行っていないため、該当事項はありません。

 

b.受注実績

当社グループは、システム開発の単一セグメントであり、当連結会計年度の受注実績は、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

システム開発

1,336,044千円

122.1

233,456千円

249.8

合計

1,336,044千円

122.1

233,456千円

249.8

 

 

c.販売実績

当社グループは、システム開発の単一セグメントであり、当連結会計年度の販売実績は、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(千円)

前年同期比(%)

システム開発

1,200,795千円

112.5

全社(共通)

24,889千円

995.6

合計

1,225,685千円

114.5

 

 

(注) 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社

191,882

15.7

 

※前連結会計年度においては、当該割合が100分の10未満のため記載を省略しております。

 

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準にもとづき作成されております。当社はこの連結財務諸表の作成にあたって、有価証券の減損、棚卸資産の評価、減価償却資産の耐用年数、偶発債務の認識等の重要な会計方針に関する見積り及び判断を行っております。当社は、過去の実績や状況に応じ合理的であると考えられる様々な要因にもとづき、見積り及び判断を行い、それらに対して継続して評価を行っております。なお、見積りによる不確実性があるため、実際の結果が見積りと異なる場合もあります。

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積及び過程のうち、重要なものは以下のとおりであります。

なお、新型コロナウイルス感染症の影響等、不確実性が大きく、将来事業計画の見込値への反映が困難な要素もあるものの、外部の情報のほか、当社グループ各事業の事業特性や足元の事業進捗状況等、現時点で入手可能な情報を基に検証等を行っております。

 

a.繰延税金資産

当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積に依存するため、その見積の前提とした仮定や条件に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用を計上する可能性があります。

 

b.固定資産の減損損失

当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、回収可能額まで帳簿価額を減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積の前提とした仮定や条件に変更が生じ減少した場合、減損損失を計上する可能性があります。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.財政状態の分析

当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べ705,651千円減少1,886,688千円となりました。これは主に、金銭消費貸借契約に基づく貸付金残額の期限前弁済を受けたことにより、短期貸付金、長期貸付金等が減少、現金及び預金が増加した一方で、法人税、住民税及び事業税の支払いにより現金及び預金が減少したことによるものです。

負債は298,561千円となり、前連結会計年度末に比べ640,408千円減少いたしました。これは主に、法人税、住民税及び事業税の支払いや貸付金の期限前弁済に伴い利息の前受分が減少したことにより、未払法人税等、流動負債その他等が減少したことによるものです。

これらの結果、純資産は前連結会計年度末に比べ65,243千円減少1,588,127千円となりました。

 

 

b.経営成績の分析

(売上高)

売上高は、前年同期に比べ248,323千円減少1,225,685千円(前年同期比16.8%減)となりました。これは主に、システム開発事業セグメントにおける人材派遣サービス部門や受託開発部門において契約獲得が堅調に推移した一方で、前年同期においてWEBサービス事業セグメントに係る子会社株式を譲渡したこと等によるものであります。

 

(営業損益)

営業利益は、前年同期に比べ32,174千円増加営業損失144,988千円(前年同期は営業損失177,162千円)となりました。これは主に、システム開発セグメントにおいて業務自動化・効率化及び環境整備等の業務改善に係る開発案件の需要の増加、開発要員の一部内製化による収益性の向上等により、同セグメントの経営成績が堅調に推移したこと等によるものであります。

 

(親会社株主に帰属する当期純損益)

営業外収益38,766千円(前年同期比53.6%減)、営業外費用2,094千円(前年同期比67.1%減)の計上により、経常損失は108,315千円(前年同期は経常損失100,057千円)となりました。

特別利益は、残余財産分配金15,392千円の計上により、15,392千円(前年同期比96.5%減)となりました。

特別損失は、減損損失2,399千円の計上により、2,399千円(前年同期比99.9%減)となりました。

また、法人税等調整額2,967千円の計上により、法人税等合計は24,219千円(前年同期比99.2%減)となりました。

これらの結果、親会社株主に帰属する当期純損失は119,542千円(前年同期は5,449,412千円)となりました。

 

c.キャッシュ・フローの分析

当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

d.資本の財源及び資金の流動性

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、システム開発に係る労務費及び外注費、人件費であります。また、その資金の原資は主に営業キャッシュ・フローであります。また、当社グループの一部連結子会社において、運転資金として短期借入金を調達しております。当社グループは、財務の健全性を保ち、営業キャッシュ・フローを生み出すことによって、当社グループの将来必要な運転資金及び設備投資資金を調達することが可能と考えております。

 

e.経営方針、経営戦略、経営上の目標達成の状況を判断するための客観的な指標等

当社は、継続的な事業拡大と企業価値向上のため、売上高、営業利益、営業キャッシュ・フローを指標として経営を執行しております。

 

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