当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等を当連結会計年度の期首から適用しております。収益認識会計基準等の適用が財政状態及び経営成績に与える影響の詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表 注記事項 (会計方針の変更)及び(セグメント情報等) セグメント情報 2.報告セグメントごとの売上高、利益又は損失、資産、その他の項目の金額の算定方法」をご参照ください。
① 財政状態及び経営成績の状況
(財政状態)
当連結会計年度の財政状態は以下のとおりであります。
資産合計は26,590百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,659百万円増加(前期比6.7%増)いたしました。
負債合計は5,788百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,321百万円減少(同18.6%減)いたしました。
純資産合計は20,802百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,980百万円増加(同16.7%増)いたしました。
(経営成績)
当連結会計年度の当社グループの売上高は16,276百万円(前期比9.2%増)、営業利益は1,998百万円(同8.6%減)、経常利益は2,091百万円(同11.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,940百万円(同27.4%増)となりました。
セグメント別の業績は以下のとおりであります。
ウォーターヘルスケア事業の売上高は14,367百万円(前期比8.2%増)、営業利益は1,821百万円(同14.0%減)となりました。
医療関連事業の売上高は1,909百万円(前期比16.8%増)、営業利益は177百万円(同157.4%増)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末より2,201百万円増加して11,878百万円となりました。
営業活動の結果、得られた資金は1,145百万円(前年同期は2,679百万円の収入)となりました。
これは主に法人税等の支払額926百万円及び仕入債務の減少380百万円がありましたが、税金等調整前当期純利益2,091百万円及び減価償却費427百万円を計上したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、得られた資金は432百万円(前年同期は887百万円の支出)となりました。
これは主に有形固定資産の取得による支出416百万円及び無形固定資産の取得による支出120百万円がありましたが、定期預金の払戻による収入750百万円及び有価証券の償還による収入300百万円があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、得られた資金は568百万円(前年同期は109百万円の収入)となりました。
これは主に長期借入金の返済による支出1,011百万円、配当金の支払額465百万円及び自己株式の取得による支出346百万円がありましたが、連結範囲の変更を伴わない子会社株式の売却による収入1,777百万円及び非支配株主からの払込みによる収入644百万円があったことによるものであります。
③ 生産、受注及び販売の状況
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は製造原価によっております。
b. 受注実績
当社グループは見込生産を行っているため、該当事項はありません。
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 上記販売高のうち、日本トリム単体の販売高は電解水素水整水器7,276,669千円(前期比109.9%)、カートリッジ4,802,144千円(同100.8%)であります。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
財政状態の分析
当連結会計年度の総資産は26,590百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,659百万円増加(前期比6.7%増)いたしました。
流動資産は18,160百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,718百万円増加(同10.5%増)いたしました。主な要因は、営業活動のほか、子会社であるステムセル研究所の株式上場に伴う同社株式の一部売却等により、現金及び預金が1,451百万円増加したことによるものであります。
固定資産は8,430百万円となり、前連結会計年度末に比べ59百万円減少(同0.7%減)いたしました。主な要因は、建物及び構築物をはじめとした有形固定資産の取得や繰延税金資産の増加がありましたが、投資有価証券の償還期限による流動資産への振替があったことによるものであります。
流動負債は4,896百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,436百万円減少(同22.7%減)いたしました。主な要因は、前期において新型コロナウイルス感染症拡大に備え銀行より資金調達を実行しましたが、当期において返済を実行したため1年内返済予定の長期借入金が1,003百万円減少したほか、当期において支払手形の運用を廃止したことから支払手形及び買掛金が372百万円減少したことによるものであります。
固定負債は891百万円となり、前連結会計年度末に比べ115百万円増加(同14.9%増)いたしました。主な要因は、ボトルドウォーター事業においてガロンボトルの販売が増加したことに伴い、ボトルのデポジットが増加し、長期預り保証金が増加したことによるものであります。
純資産は20,802百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,980百万円増加(同16.7%増)いたしました。主な要因は、配当金の支払466百万円及び自己株式の取得346百万円を行った一方で、親会社株主に帰属する当期純利益1,940百万円、子会社の増資及び子会社株式の一部売却に伴い非支配株主持分417百万円、資本剰余金1,555百万円の計上を行ったことによるものであります。
経営成績の分析
(売上高)
売上高は前連結会計年度に比べ、1,365百万円増加し、16,276百万円(前期比9.2%増)となりました。
次期につきましては、18,130百万円(前期比11.4%増)と過去最高売上高更新を計画しております。
<ウォーターヘルスケア事業>
ウォーターヘルスケア事業の売上高は14,367百万円(前期比8.2%増)となりました。
整水器関連事業においては、上半期の緊急事態宣言の長期化及び第4四半期のオミクロン株の蔓延により、特に職域販売のセミナー数において、第4四半期は前年同期比で約74%の結果となるなど大きな影響を受けました。本年3月21日のまん延防止等重点措置の全面解除の後は、セミナー数は徐々に増え、4月、5月のセミナー数は前年を超える水準まで回復しております。一方で、第3四半期より取り組んでおります営業力の底上げを目的とした営業トークの見直しにより、販売効率向上に成果が現れてきております。また、職域販売部門で5,000台/月、取付紹介販売部門で1,700台/月を実現できる体制構築に向けて人員増強を並行して進めております。直販部門におきましては、昨今の部材調達コスト増への対策として、本年5月20日より、現在のメイン製品であるTRIM ION Refineの特別価格を2.2万円(税込)引き上げました。また、今後、最高機種であり、収益性の高いTRIM ION GRACEの販売を強化してまいる方針です。
卸・OEM部門においては、既存取引先もコロナ禍により苦戦する結果となりましたが、現在、国内外での販売拡大に向けて新たに複数社とOEMの商談を進めており、次期は回復を見込んでおります。
一方、コロナ禍のような対面販売機会減少のリスク対策と今後の成長促進のための新たな販売チャネル構築を目的として注力しておりますWEBマーケティングにつきましては、順調に立ち上がり、今後のさらなる伸長に取り組んでまいります。
ストックビジネスである浄水カートリッジ販売は、前期比0.8%増と堅実に進捗しております。
インドネシアのボトルドウォーター事業を展開するPT.SUPER WAHANA TEHNOでは、売上高が1,402百万円(前期比22.7%増、2021年1月〜12月実績)となり、過去最高の売上高を記録しました。当期初は外出制限によりペットボトルの店頭への販売が減少したものの、現地政府のウィズコロナ戦略による人流の回復に伴い販売数は回復いたしました。一方、各家庭へのガロン販売は堅実に伸長いたしました。
次期につきましては、ウィズコロナにおいても、コロナ禍前の水準への回復、さらには成長路線へ進んでいくことができると考えており、ウォーターヘルスケア事業では売上高15,682百万円(前期比9.2%増)を計画しております。また、コロナ禍が終息した折には、延期してきた多数の展開先が稼働するため、成長は一気に加速してまいります。
<医療関連事業>
医療関連事業の売上高は1,909百万円(前期比16.8%増)となりました。
電解水透析事業では、コロナ禍により医療施設への訪問が制約されるなど営業活動に大きな影響を受けたことで、当期は2施設への導入にとどまり、売上高は43百万円となりました。その中でも、ウェビナーなど可能な営業活動を精力的に展開し、現在、2年以内に導入可能性のある58施設からの要請で見積もり(総計約12億円)を出して商談を進めております。また、全国展開する大手病院グループの主病院や地域で主導的立場の病院への導入を進めており、それらを起点に普及を促進してまいります。次期につきましては、10施設207百万円の売上高を計画しております。
再生医療関連事業では、売上高が前期比23.4%増となりました。細胞バンク事業のステムセル研究所におきましては、一昨年より実施している、デジタル・マーケティング活動の強化、そして、昨年4月より新たに開始した、日本初の「さい帯保管サービス」が寄与し、過去最高の売上高を記録しました。次期につきましては、同社での、デジタル・マーケティング(Web広告、SEO、オンラインセミナー等)と従来のリアル・マーケティング(産科施設における母親学級等でのスピーチ等)をミックスした、ウィズ、アフターコロナ時代に対応した「Ⅹ(クロス)マーケティング」などにより、再生医療関連事業の売上高は2,240百万円(前期比20.0%増)を計画しております。
売上原価は前連結会計年度に比べ、613百万円増加し、5,027百万円(前期比13.9%増)となり、売上総利益は751百万円増加し、11,249百万円(同7.2%増)となりました。ともに主な要因は、整水器関連事業、ボトルドウォーター事業、再生医療関連事業でそれぞれ売上高が伸長したことによります。売上原価率が、30.9%となり、前期比1.3ポイント増となりました。浄水カートリッジと比較し、整水器などの他の商品の売上の伸びが高かったことにより、粗利率の高い浄水カートリッジの売上シェアが下がったことによる影響や、コロナ禍による部材調達コスト増の影響によるものです。次期につきましては、主力商品の実売価格の引き上げなどの対策を講じるものの、サプライチェーンにおけるコロナ禍の後遺症や昨今のウクライナ情勢から、部材調達コスト増を保守的に見積もり、売上原価率32.4%を計画しております。
(販売費及び一般管理費)
販売費及び一般管理費は前連結会計年度に比べ、940百万円増加し、9,250百万円(前期比11.3%増)となりました。整水器関連事業においては、コロナ禍で営業活動自体が制限されていた前期に比べ、当期は営業費が増加いたしました。また、昨年来注力しておりますWEBマーケティング費用約250百万円増や収益認識基準変更による影響などが主な要因です。これらの結果、販売費及び一般管理費の売上高に対する比率は56.8%となり、前期比1.1ポイント増となりました。
当社グループでは、将来の飛躍に向けた先行投資として研究開発やPR活動に積極的に取り組むとともに、継続的にコスト削減にも鋭意取り組んでおります。次期におきましてもより筋肉質な経営体制を目指してまいります。
(経常利益)
経常利益は前連結会計年度に比べ、265百万円減少し、2,091百万円(前期比11.3%減)となりました。
当社グループでは経常利益率20%以上を中期的目標としておりますが、当期におきましては、WEBマーケティングへの先行投資、基幹システムの入替え、新商品発売に伴うコストに加え、今般のコロナ禍やウクライナ情勢による部材調達コスト増もあり、当指標は12.9%の結果となりました。次期につきましては、部材調達コスト増について保守的に織り込み、また、営業体制強化に伴う人員増や引き続きのWEBマーケティングへの投資等を見込んでいるものの、売上伸長により、当指標を14.4%と計画しております。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については次のとおりであります。
ウォーターヘルスケア事業においては、原則、営業活動により獲得した自己資金により運営しております。一昨年6月に、コロナ禍により先行きが不透明であったことから銀行より資金調達いたしました30億円は、コロナ禍の影響を受けながらも事業は堅調に進捗したことから、昨年6月に完済しております。医療関連事業においても自己資金により運営しており、必要に応じて借入れによる資金調達を行ってまいりましたが、細胞バンク事業を展開するステムセル研究所におきましては、昨年6月25日に東証マザーズ市場に上場し(現在は東証グロース、証券コード:7096)、市場での資金調達が選択肢として加わりました。今後の資金調達につきましては、両事業共に中長期的視野に立ち、機動的な展開を念頭に検討してまいります。
当社は、収益性の高い整水器関連事業を軸に経営基盤確立のための内部留保の充実を図りつつ、安定的かつ継続的な株主還元を実施する方針のもと運営しております。これらを実現するための整水器普及拡大にはエビデンスの取得が不可欠であるとの考えのもと、電解水素水の新たな機能の解明や他分野への用途拡大を見据えた産学共同研究開発を積極的に推進し、投資を行っております。また、浄水カートリッジ販売につきましては毎期着実に伸長しており、安定的収益基盤として当社グループの財務健全性に大きく寄与しております。
整水器関連事業とともに、電解水透析事業、再生医療関連事業の医療関連事業の成長により、グローバルなメディカルカンパニーへと発展を遂げ、持続的成長を実現してまいります。
株主還元につきましては、上記方針のもと、上場以来毎期配当を実施し、自己株式の取得も積極的に行っております。当期は、親会社株主に帰属する当期純利益が前期比27.4%増となりましたが、中国病院運営事業関連の債権譲渡及びステムセル研究所の株式売り出しによる税金費用の減少という特殊要因によるところが大きく、営業利益、経常利益は減益となった状況を鑑み、前期と同額の60円の配当を実施いたしました。次期につきましては、当期と同額の1株60円とさせていただいております。今後の市場環境の動向、業績の状況を見極めながら、適正な配当金額について検討を継続し、変更する場合は速やかに公表いたします。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
詳細については、「第5経理の状況 1(1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
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