(1)業績等の概要
① 業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症拡大の防止策を講じるなかで、各種政策の効果や海外経済の改善もあって、持ち直しの動きが続くことが期待されますが、ウクライナ情勢等による不透明感がみられる中で、原材料価格の上昇や金融資本市場の変動、供給面での制約等による下振れリスクに十分注意する必要があります。
このような状況の中で当社グループは、音響機器事業のうちハイエンドオーディオ機器事業は、次世代アンプの要素技術の確立と新規カテゴリーへの挑戦でラインナップを拡充し、海外市場を伸ばす事で堅実な成長路線を目指してまいりました。プレミアムオーディオ機器事業は、当社デジタル及びアナログ技術の枠を結集したReferenceシリーズを主軸に、すべてのカテゴリーにおいて新製品が競合に比べ常に個性的な価値を持つ事で、収益向上とブランド・イメージの回復を引き続き目指してまいりました。音楽制作・業務用オーディオ機器事業では、世界各国で連携したデジタルマーケティングの強化および多数の戦略的新製品の投入により製品ラインナップを更に拡充いたしました。情報機器事業においては、IoTやAIなどの市場の先端技術への取り組みを行う事により、新しい市場への開拓を進めてまいりました。
当連結会計年度におきましては、新製品が好評を博したことで売上収益は増加し、前連結会計年度の営業利益は127百万円の一過性の個別開示項目の利益(年金制度変更等)の発生がありましたが、当連結会計年度は本業のみで前期比増益となる営業利益を計上しました。
この結果、当社グループの連結会計年度の売上収益は16,004百万円(前期比9.7%増)、営業利益は654百万円(前期比28.8%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益392百万円(前期比30.1%増)となりました。
セグメントの業績は次のとおりであります。
1) 音響機器事業
音響機器事業の売上収益は10,985百万円(前期比9.1%増)となり、セグメント営業利益は1,283百万円(前期比4.6%増)となりました。
ハイエンドオーディオ機器(ESOTERICブランド)は、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う度重なる緊急事態宣言の影響や半導体不足、サプライチェーンの混乱などの影響を受けましたが、新しく上市したネットワーク関連製品が予想以上の売上で推移しました。またアジア市場をはじめ北米、欧州の海外市場全般で売上が伸び全体で増収を達成いたしました。
プレミアムオーディオ機器(TEACブランド)も、新たに上市したReferenceシリーズのネットワーク関連製品が国内外で順調に推移しました。また欧州市場を中心にターンテーブルカテゴリー製品の需要増が継続し全体としては増収を達成いたしました。
音楽制作・業務用オーディオ機器(TASCAMブランド)は、BtoC事業において、新生活様式の浸透により成長を続けるクリエーター市場向けに今年度投入した新製品三機種が好調な受注となり、既存品共々堅調な販売となりましたが、港湾混雑等や部品調達難により欧米市場の高い需要を満たせない状況が続いています。BtoB事業においては、世界各国で市況の回復が見られることに加え、部品調達難による設計変更を実施した製品群の供給再開などもあって業務用機器の販売が好調に推移しました。その結果、音楽制作・業務用オーディオ機器全体としては増収となりました。
2) 情報機器事業
情報機器事業の売上収益は4,317百万円(前期比8.5%増)となり、セグメント営業利益は254百万円(前期比106.2%増)となりました。
機内エンターテインメント機器は、第4四半期に計画していた海外顧客向け出荷において一部部品の調達が間に合わず翌期に延期となったことから、減収となりました。計測機器関連は、データレコーダーは第4四半期で期待した市場回復が見られず低調に推移しました。センサー関連は半導体製造装置市場向け出荷が好調を維持、シリコンウエハー製造機メーカーからプローバーメーカーまで業界全般に渡り大きく出荷を伸ばし、結果として計測機器全体では増収となりました。医用画像記録再生機器は、国内消化器内視鏡向けレコーダーの販売は好調に推移、手術画像用レコーダーも国内・海外共に好調を維持しました。特に海外市場では米国向け出荷が大きく伸長、インド、南米等の医療新興国においても安定した出荷を維持できました。また、第4四半期にはフラッグシップモデルとなる新製品の4Kレコーダーの出荷も開始しました。結果として医用画像記録再生機器全体では、増収となりました。ソリューションビジネスは、大手顧客向けITサポートが計画を大きく下回り減収となりましたが、大型の受託開発案件の獲得、販管費の削減により増益となりました。一部海外販売子会社で継続している産業用光ディスクドライブは、医療機器メーカー、防衛等の特定顧客からの需要増により増収となりました。
② 生産、受注及び販売の実績
1) 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
生産高(百万円) |
前年同期比(%) |
音響機器事業 |
3,299 |
10.4 |
情報機器事業 |
1,126 |
0.7 |
その他 |
608 |
6.7 |
合計 |
5,034 |
7.6 |
(注)1 金額は製造原価によっております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2) 受注実績
当社グループの製品は、原則として需要見込生産であり、該当事項はありません。
3) 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
販売高(百万円) |
前年同期比(%) |
音響機器事業 |
10,985 |
9.1 |
情報機器事業 |
4,317 |
8.5 |
その他 |
703 |
29.2 |
合計 |
16,004 |
9.7 |
(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
③ 財政状態及びキャッシュ・フローの状況の分析
1) 財政状態の分析
資産合計
当連結会計年度末における資産合計は10,081百万円と前連結会計年度末と比較して429百万円増加しました。主な増減は、現金及び現金同等物の減少565百万円、棚卸資産の増加945百万円、営業債権及びその他の債権の増加310百万円、有形固定資産の減少297百万円であります。
負債合計
当連結会計年度末における負債合計は、7,613百万円と前連結会計年度末と比較して194百万円減少しました。主な増減は、リース負債の減少319百万円、長期未払金の減少229百万円、その他の流動負債の増加137百万円であります。
資本合計
当連結会計年度末における資本合計は、2,468百万円と前連結会計年度末と比較して623百万円増加しました。主な増減は、為替の円安に伴う在外営業活動体の換算差額の増加によるその他の資本の構成要素の増加406百万円、退職給付の再測定から発生した利益剰余金の減少93百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益392百万円の計上であります。
2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度と比較して565百万円減少し、1,304百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、以下のとおりであります。
(a) 営業活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における営業活動の結果得られた資金は、153百万円のマイナス(前期866百万円のプラス)となりました。主な内訳は、プラス要因として、減価償却費及び償却費の計上487百万円、マイナス要因として、営業債権及びその他の債権の増加268百万円、棚卸資産の増加758百万円であります。
(b) 投資活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における投資活動の結果得られた資金は、136百万円のマイナス(前期164百万円のマイナス)となりました。主な内訳は、プラス要因として、有形固定資産及び無形資産の売却による収入6百万円、マイナス要因としては、有形固定資産の取得による支出149百万円であります。
(c) 財務活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における財務活動の結果得られた資金は、299百万円のマイナス(前期314百万円のマイナス)となりました。主な内訳は、プラス要因として、社債の発行による収入471百万円、マイナス要因としては、短期借入金の純増減額276百万円、リース負債の返済による支出363百万円であります。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度末における資産、負債及び収益、費用の報告金額に影響を与える見積り、判断及び仮定を使用することが必要となります。経営者は、これらの見積り、判断及び仮定を過去の実績等を勘案し合理的に判断していますが、これらの見積り、判断及び仮定は不確実性を伴うため、実際の金額と異なる場合があります。
なお、重要な会計方針及び見積りにつきましては「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 2.作成の基礎 (4)判断及び見積りの使用 3.重要な会計方針」に記載しております。
② 経営成績の分析
各事業における経営成績については「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)業績等の概要 ① 業績」及び「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 連結財務諸表注記 5.セグメント情報」をご参照下さい。売上収益、営業利益、当期利益の主要な増減については次のとおりであります。
1)売上収益
当連結会計年度の売上収益は、16,004百万円と前連結会計年度よりも1,416百万円増加しております。音響機器事業の売上収益の増加が大きく影響しました。
2)営業利益
営業利益は、654百万円と前連結会計年度よりも146百万円増加しております。
(a) 販売費及び一般管理費
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、6,127百万円と前連結会計年度と比較して237百万円増加しております。これは、主に人件費の増加156百万円、賞与引当金繰入額の増加78百万円によるものであります。
(b) その他の損益
当連結会計年度のその他の損益は、8百万円の利益と前連結会計年度と比較して5百万円減少しております。これは、主に固定資産の減損損失16百万円を計上したことによります。
3)当期利益
当期利益は、392百万円と前連結会計年度よりも106百万円増加しております。これは、主に営業利益の増加によるものであります。
(a) 金融収益
金融収益は、3百万円と前連結会計年度よりも4百万円減少しております。これは、主に為替差益の減少によるものであります。
(b) 金融費用
金融費用は、176百万円と前連結会計年度よりも3百万円増加しております。これは、主に為替差損の増加19百万円によるものであります。
(c) 法人所得税費用
法人所得税費用は、90百万円と前連結会計年度よりも33百万円増加しております。これは、主に法人税、住民税及び事業税の増加44百万円によるものであります。
③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
運転資金及び設備資金につきましては、自己資金または借入金により調達することとしております。借入金につきましては、2021年9月27日期日となっていた既存シンジケートローン契約は終了し、相対型コミットメントライン契約(上限2,140百万円)を締結しましたが、本契約は2022年3月24日で終了し、新たにシンジケートローン契約(上限2,540百万円)を締結いたしました。当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)業績等の概要 ③ 財政状態及びキャッシュ・フローの状況の分析」に記載のとおりであります。
④ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、目標とする重要な経営指標を営業利益とフリーキャッシュ・フローとし、収益性、及びキャッシュ・フロー改善を目指しております。
当社グループは、「BOX+SOLUTION」を戦略骨子とし、機器販売に留まらず、クラウド・IoT・5G等の新技術がもたらす利便性を、ユニークなソリューションとしてエンドユーザーに提供し顧客満足度を高めることで、BtoB事業の安定的な成長を目指すことで、営業利益、フリーキャッシュ・フローの改善を目指していきます。
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