業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等を当連結会計年度の期首から適用しております。この結果、前連結会計年度と収益の会計処理が異なることから、以下の経営成績に関する説明において増減額及び前年同期比(%)を記載せずに説明しております。

①  財政状態及び経営成績の状況

a 経営成績

当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染再拡大に伴う個人消費の低迷など厳しい状況が続いてきましたが、ワクチン接種率の上昇や感染症対策の継続、また、世界経済の堅調な回復を背景に、輸出や製造業全般で設備投資需要が増加するなど、景気は緩やかな持ち直しの動きが続いております。しかしながら、感染再拡大や世界的な半導体、工業製品の部品等の需給逼迫、更にはロシアによるウクライナへの軍事侵攻に端を発した資源価格の高騰等、依然として予断を許さない状況が続いております。

また、海外経済においては、米国、欧州及び中国を中心に回復基調が続いておりますが、原材料価格の上昇やウクライナ情勢等により、先行きは不確実性が高まっております。

一方、当社グループが属する電気計測器業界においては、世界各国でのカーボンニュートラル実現に向けた取り組み等により、自動車関連市場や半導体関連市場、また、5G(第5世代移動通信システム)関連市場など、グローバルで需要の回復が進んでおります。

このような状況の中、当社グループは、新型コロナウイルス感染再拡大の影響により、営業活動の制約を受けたものの、受注環境は好調に推移しており、グローバル需要を捉えるべく、重点市場である航空宇宙、電池、自動車のCASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)、サーバー・ICT(情報通信技術)関連市場へ顧客ニーズに合わせたソリューション提案営業を積極的に展開し、感染拡大防止に対応したオンライン商談やWebを活用した販売促進活動等を進めるなど売上拡大に努めると共に、部品調達活動、生産活動にも努力を重ねてまいりました。

この結果、当連結会計年度の売上高は、米国、中国を中心に海外売上高の大幅な増収により、100億7千6百万円(前年同期は81億6千3百万円)となりました。

損益面におきましては、部品調達価格等仕入コストの上昇や売上高の増加により輸出輸送費等販売費並びに研究開発費の増加はあったものの、営業利益10億3千3百万円(前年同期は4億1千8百万円の営業利益)、経常利益10億8千7百万円(前年同期は4億6千万円の経常利益)、親会社株主に帰属する当期純利益7億9百万円(前年同期は3億2千5百万円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。

なお、収益認識会計基準等の適用により、当連結会計年度の売上高は1億3千4百万円、営業利益は1千5百万円それぞれ減少しております。また、経常利益及び税金等調整前当期純利益への影響額は僅少であります。

 

当社は、2022年3月30日開催の取締役会において、持株会社体制へ移行すること、及びその移行準備として分割準備会社を2社設立することを決議し、それぞれ2022年4月1日に設立いたしました。

 

当社グループは、電気計測器等の製造、販売を行っているものであり、セグメントは単一であります。したがいまして、セグメントごとに経営成績の状況は開示しておりません。

 

なお、当社グループにおける営業品目の製品群別売上の概況は、次のとおりであります。

 

《電子計測器群》

電子計測器群では、航空機器用電子機器の測定器に動きがありました。また、安全関連試験機器は、EV(電気自動車)用バッテリの耐電圧・絶縁試験抵抗試験器として電池関連市場向けに大きく伸長いたしました。

以上の結果、売上高は23億6千9百万円(前年同期は17億1百万円)となりました。

なお、収益認識会計基準等の適用により、当連結会計年度の売上高は2千2百万円減少しております。

 

《電源機器群》

電源機器群では、直流電源は、宇宙産業市場、次世代車載関連市場、半導体関連市場、5G関連市場及び電子部品市場への評価試験や製造設備用として大きく伸長いたしました。交流電源は、次世代車載関連市場、ICT関連市場やエネルギー関連市場への評価試験や製造設備用として大きく伸長いたしました。電子負荷装置は、次世代車載関連市場への評価試験用として大きく伸長いたしました。

以上の結果、売上高は72億8千5百万円(前年同期は61億2千5百万円)となりました。

なお、収益認識会計基準等の適用により、当連結会計年度の売上高は1億1千万円減少しております。

 

修理・校正サービス等

修理・校正サービス等につきましては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により停滞していた製品の修理・校正サービス等の売上が回復してまいりました。

以上の結果、売上高は4億2千万円(前年同期は3億3千6百万円)となりました。

なお、収益認識会計基準等の適用による当連結会計年度の売上高は1百万円減少しております。

また、「修理・校正サービス等」は、前連結会計年度までは「サービス・部品等」と記載しておりましたが、当連結会計年度の期首から名称を変更しております。

 

上記に含まれる海外市場の売上の概況は以下のとおりであります。

 

《海外市場》

米国では、宇宙産業市場や半導体関連市場への直流電源が好調に推移いたしました。また、グリーンエネルギー政策により需要が拡大しているエネルギー関連市場への交流電源及び設備投資が好調な半導体関連市場及び宇宙産業市場への電子負荷装置が大きく伸長いたしました。

欧州では、全般的に動きがあり、特にパワー半導体関連市場への直流電源や車載関連市場への電子負荷装置に動きがありました。

アジアにおいては、一部地域ではロックダウンによる活動制限がありましたが、全般的に投資活動は活発であり、その内、中国では、自動車のEV化が加速する中、電池関連市場への安全関連試験機器、5G関連需要による半導体関連市場や車載関連市場への直流電源がそれぞれ大きく伸長いたしました。一方、韓国では、車載関連市場への交流電源及び電子負荷装置が好調に推移し、東南アジアでは、電子部品市場への安全関連試験機器、ICT関連市場への交流電源及び車載関連市場への電子負荷装置が好調に推移いたしました。

以上の結果、海外売上高は45億1千6百万円(前年同期は27億5千7百万円)となりました。

なお、収益認識会計基準等の適用により、当連結会計年度の売上高は2千2百万円減少しております。

 

b 財政状態

当連結会計年度末における総資産は、好調な受注環境の中で安定した生産活動等のための商品及び製品、原材料及び貯蔵品の増加に加え、一部の部品等の納入遅延等もあり、仕掛品が増加したこと、並びに投資有価証券の期末時価の上昇による増加等により、前連結会計年度末に比べ14億6千4百万円増加し、134億5千1百万円となりました。

負債は、棚卸資産の仕入等の増加による支払手形及び買掛金の増加並びに法人税、住民税及び事業税の増加による未払法人税等の増加等により、前連結会計年度末に比べ5億3千6百万円増加し、25億3千4百万円となりました。

純資産は、配当の実施による剰余金の減少等により減少したものの、親会社株主に帰属する当期純利益の計上及び投資有価証券の期末時価の上昇によるその他有価証券評価差額金の増加等により、前連結会計年度末に比べ9億2千7百万円増加し、109億1千7百万円となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度の期末残高に比べ1億7千8百万円(5.8%)減少し、29億9百万円となりました。

 

 (営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、6千3百万円の収入(前連結会計年度10億7千万円の収入)となりました。これは、棚卸資産の増加額9億9千万円及び法人税等の支払額3億5千2百万円並びに売上債権の増加額2億2千3百万円等による資金の減少が、税金等調整前当期純利益10億8千7百万円の計上並びに仕入債務の増加額3億1千1百万円等による資金の増加を上回った結果によるものであります。

 

 (投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、1億1千9百万円の支出(前連結会計年度2億7千7百万円の支出)となりました。これは、有形固定資産の取得による支出1億3千6百万円及び無形固定資産の取得による支出1千3百万円等による資金の減少が、有価証券の売却及び償還による収入4千万円による資金の増加を上回った結果によるものであります。

 

 (財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、1億7千万円の支出(前連結会計年度1億9千5百万円の支出)となりました。これは、配当金の支払額1億6千6百万円等により資金が減少したことによるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の状況

当社グループは、電気計測器等の製造、販売を行っているものであり、セグメントは単一であります。したがいまして、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。

このため生産、受注及び販売の状況については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況 a 経営成績」における営業品目の製品群別に関連付けて示しております。

 

a 生産実績

当連結会計年度における生産実績を区分別に示すと、次のとおりであります。

 

区分

生産高(千円)

前年同期比(%)

電子計測器

2,247,794

+45.1

電源機器

7,136,960

+23.8

合計

9,384,755

+28.3

 

(注) 金額は販売価額によっております。

 

b 外注実績

当社グループは、製品の製造において、組立配線、調整等の作業を外注に依存しております。

その依存度は、総製造費用に対して前連結会計年度5.8%、当連結会計年度5.3%であります。

なお、外注加工の依頼先は、主に昇辰電気㈱、㈱光洋電子工業、㈱ハイビックであります。

 

c 受注実績

当社グループは、原則として販売計画に基づく生産計画によって生産をしており、該当事項はありません。

 

 

d 販売実績

当連結会計年度における販売実績を区分別に示すと、次のとおりであります。

 

区分

販売高(千円)

前年同期比(%)

電子計測器

2,369,987

電源機器

7,285,986

修理・校正サービス等

420,331

合計

10,076,306

 

(注) 1  「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しております。この結果、前連結会計年度と収益の会計処理が異なることから、前年同期比(%)を記載しておりません。

2  最近2連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

 

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

日本電計㈱

2,052,009

25.1

1,802,304

17.9

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するに当たって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5  経理の状況  1  連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表  注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

なお、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う会計上の見積りにつきましては、「第5  経理の状況  1  連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表  注記事項 (重要な会計上の見積り) (繰延税金資産の回収可能性)」に記載のとおりであります。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a 当連結会計年度の経営成績等の分析

当社グループの当連結会計年度における財政状態及び経営成績の状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

b 経営成績に重要な影響を与える要因について

当社グループにおける経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおり、経済状況、市場環境、人材確保及び新型コロナウイルス感染症拡大等、様々なリスク要因が当社グループの経営成績に影響を与える可能性があると認識しております。

そのため、当社グループは常に市場動向に留意しつつ、優秀な人材を確保し、顧客ニーズに合った製品・サービスを提供していくことにより、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散・低減し、適切に対応を行ってまいります。

 

c 戦略的現状と見通し

当社グループといたしましては、目標とする客観的な経営指標は定めておりませんが、経営の基本方針のもと、グローバル化と多様化する顧客ニーズへの対応力の強化のため、新製品の開発、ソリューション営業活動の推進、Webマーケティングを活用したプレゼンスの向上、さらに納期短縮と原価低減に努めてまいります。

具体的には、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

 

d 資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社グループでは、株主還元とのバランスを考えながら、将来の事業拡大及び収益性向上に不可欠な設備投資や研究開発投資の実行に備えた内部留保を充実させていくことを基本としております。

資金調達に関しましては、自己資金を基本としており、自己資金で賄えない場合は金融機関から借入れることとしております。

また、資金需要の主なものは、製品製造のための材料及び部品購入、商品及び製品の仕入のほか、製造費用、販売費及び一般管理費等の運転資金需要であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資等によるものであります。

なお、当社グループの当連結会計年度における資金状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであり、設備投資等の概要につきましては、「第3 設備の状況 1 設備投資等の概要」に記載のとおりであります。

新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた資金繰り等について、現金及び現金同等物の期末残高に加え、当社は取引銀行3行と10億円の貸出コミットメント契約(借入未実行残高10億円)を締結しており、不測の事態にも備えております。

また、重要な資本的支出の予定はありません。

 

③ 経営者の問題認識と今後の検討内容について

当社グループの経営陣は、現在の事業環境及び入手可能な情報に基づき最善の経営方針を立案し実行するよう努めております。しかしながら、技術の進歩は目覚しく、それに伴い顧客ニーズも目まぐるしく変化いたします。当社グループといたしましては、このような技術進歩と顧客ニーズへの対応がむしろビジネスを大きくする好機でもあると捉え、業績を伸長しかつ当社グループ全体の企業価値を高めるべく、新製品の開発、グローバルビジネス及びソリューションビジネスのさらなる拡大、事業領域拡大、経営基盤の強化を経営の最重点課題として取り組んでいく所存でございます。

なお、今後の検討内容につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

また、当社は、2021年10月28日開催の取締役会において、当社グループが更なる企業価値の向上と持続的な成長を実現するためには、より一層の経営基盤の強化と経営の効率化や市場環境の変化に柔軟に対応できるよう、グループガバナンスの強化及び経営資源配分の最適化並びに次世代に向けた経営人材の育成、機動的な組織体制を構築することが必要であるとの認識の下、持株会社体制への移行持株会社体制への移行及びそれに伴う組織再編の検討を開始することについて決議いたしました。さらに、2022年3月30日開催の取締役会において、持株会社体制への移行に向けて分割準備会社を設立することを決議し、2022年4月1日に分割準備会社である菊水電子準備株式会社及び菊水エムズ株式会社を設立いたしました。

詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (追加情報)会社分割による持株会社体制への移行に向けた準備会社設立及び吸収分割契約締結」に記載のとおりであります。

 

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