(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
a.経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済情勢は、新型コロナウイルス感染症に対するワクチン接種が進み、行動制限の段階的緩和により、経済活動が再開され景気の回復が継続いたしました。一方で、世界的な半導体・電子部品の不足や、物流の需給逼迫が深刻化するなど、先行き不透明な状況は継続しております。
このような状況の中、当社グループは、「ベンチャースピリット溢れる企業集団を目指す。」を企業理念とし、グループ本社機能を強化することで、グループ企業におけるシナジーを追求するとともに、既存事業の拡大と新規事業の展開加速を経営方針に掲げてまいりました。
また、本年度は、「グループ間の相互連携の更なる強化と体制整備」、「既存事業の原価率低減、経費削減及びビジネスモデル変革」、「行動変革による一人当たりの生産性の向上」の3点を重点施策として、更なる企業価値の向上を図ってまいりました。
この結果、当連結会計年度は、既存主力事業の大幅な伸長及び新規事業会社による寄与等により、売上高は458億66百万円と前年度に比べ31.6%の増収となり、過去最高売上高を更新しました。利益面につきましても、売上高の伸長に伴う売上総利益の増加が販売費及び一般管理費の増加を大きく上回ったため、営業利益は46億30百万円(前年度比120.7%増)となりました。また、経常利益は為替差益の増加等により51億30百万円(前年度比135.7%増)と過去最高益を更新し、親会社株主に帰属する当期純利益は、37億62百万円(前年度比169.7%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より報告セグメントの区分及び名称を変更しております。以下の前年度比較については、変更後のセグメント区分に組替えた数値で比較しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に記載しております。
(SS事業)
SS事業は、売上高201億64百万円(前年度比15.9%増)、営業利益は22億1百万円(前年度比53.8%増)となりました。
防犯関連は、売上高は136億52百万円(前年度比18.2%増)となりました。海外におきましては、米国及びヨーロッパでの屋外用センサーの販売が順調に推移した結果、前年度実績を大幅に上回りました。国内におきましても、警備会社向け及び大型重要施設向けの販売が堅調に推移した結果、前年度実績を上回りました。
自動ドア関連は、海外向けの販売が順調に推移し、国内向けの販売も堅調に推移した結果、売上高は44億42百万円(前年度比12.8%増)となりました。
(IA事業)
IA事業は、売上高244億9百万円(前年度比48.0%増)、営業利益は27億円(前年度比148.6%増)となりました。
FA関連は、半導体、電子部品及び二次電池向けが好調に拡大し、国内及び中国を中心とした海外向けの販売が大幅に伸長した結果、売上高は97億11百万円(前年度比32.9%増)となりました。
MVL関連も、半導体及び電子部品向けが好調に拡大し、特に、海外向けの販売が大幅に伸長した結果、売上高は113億64百万円(前年度比23.8%増)となりました。
IPC関連は、売上高は33億34百万円となりました。なお、当連結会計年度より、2020年12月に連結子会社化したサンリツオートメイション株式会社を、IA事業のIPC関連として新たに追加しております。
※IPC:Industrial PC(産業用コンピュータ)
(EMS事業)
EMS事業における外部顧客への売上高は、生産受託案件の増加により7億56百万円(前年度比60.5%増)となりました。営業利益もグループ内製品の製造量が増加した結果、3億10百万円(前年度比366.8%増)となりました。なお、営業利益は、セグメント間の内部売上の影響を多分に受けるため、当該内部売上が増加したことにより、前年度に比べ増加幅が大きくなっております。
なお、当連結会計年度において、自動化機械装置、画像処理検査装置の企画開発及び製造販売並びに保守サービスを手掛けるミツテック株式会社の全株式を取得し、連結子会社化いたしましたが、2021年12月31日をみなし取得日としているため、当連結会計年度の連結損益計算書に同社の業績は含まれておりません。
b.財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末における資産合計は577億69百万円となり、前連結会計年度末に比べ103億78百万円増加しました。
流動資産は425億44百万円となり、94億77百万円増加しました。これは主に、原材料及び貯蔵品等のたな卸資産が33億17百万円増加したことに加え、2021年11月のミツテック株式会社の連結子会社化等により現金及び預金が25億36百万円、売上高の増加により受取手形及び売掛金が21億39百万円それぞれ増加したことによるものであります。
固定資産は152億24百万円となり、9億円増加しました。これは主に、償却等により顧客関係資産や商標権等の無形固定資産が5億38百万円減少したものの、建物及び構築物等の有形固定資産が8億26百万円、投資その他の資産が6億12百万円それぞれ増加したことによるものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は224億8百万円となり、前連結会計年度末に比べ76億43百万円増加しました。これは主に、ミツテック株式会社の株式取得資金の借入れ等により短期借入金が44億78百万円増加したことに加え、未払法人税等が9億49百万円、支払手形及び買掛金が6億27百万円それぞれ増加したことによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は353億60百万円となり、前連結会計年度末に比べ27億35百万円増加しました。これは主に、自己株式の取得等が9億96百万円あったものの、利益剰余金が26億77百万円、為替換算調整勘定が9億58百万円増加したことによるものであります。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末と比較して25億36百万円増加し、171億20百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況と主な要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は31億2百万円(前年同期は38億94百万円の獲得)となりました。これは主にたな卸資産の増加(25億42百万円)、売上債権の増加(19億83百万円)、法人税等の支払(8億78百万円)により資金が減少したものの、税金等調整前当期純利益の確保(50億31百万円)、により資金が増加したものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は28億45百万円(前年同期は32億28百万円の使用)となりました。これは主に有価証券並びに投資有価証券の売却および償還による収入(5億2百万円)があったものの、子会社株式の取得による支出(20億61百万円)、有形固定資産の取得による支出(9億30百万円)、無形固定資産の取得による支出(1億59百万円)により資金が減少したものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果獲得した資金は17億93百万円(前年同期は15億78百万円の獲得)となりました。これは主に長期借入金の返済による支出(4億46百万円)、配当金の支払(11億12百万円)、自己株式の取得による支出(10億円)があったものの、短期借入金の純増加(44億76百万円)により資金が増加したものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年1月1日 至 2021年12月31日) |
対前年度比増減率(%) |
SS事業(百万円) |
19,121 |
43.1 |
IA事業(百万円) |
23,095 |
60.1 |
EMS事業(百万円) |
377 |
△1.6 |
その他(百万円) |
- |
- |
合計(百万円) |
42,594 |
51.2 |
(注)1.上記金額は販売価格で表示しており、消費税等は含まれておりません。
2.当連結会計年度より、報告セグメントを従来の「SS事業」「FA事業」「MVL事業」「EMS事業」の4区分から、「SS事業」「IA事業」「EMS事業」の3区分に変更しております。対前年度比増減率は変更後の区分に基づき算定しております。
b.商品仕入実績
当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年1月1日 至 2021年12月31日) |
対前年度比増減率(%) |
SS事業(百万円) |
493 |
11.7 |
IA事業(百万円) |
862 |
52.4 |
EMS事業(百万円) |
- |
- |
その他(百万円) |
0 |
△90.8 |
合計(百万円) |
1,355 |
34.4 |
(注)1.上記金額は仕入価格で表示しており、消費税等は含まれておりません。
2.当連結会計年度より、報告セグメントを従来の「SS事業」「FA事業」「MVL事業」「EMS事業」の4区分から、「SS事業」「IA事業」「EMS事業」の3区分に変更しております。対前年度比増減率は変更後の区分に基づき算定しております。
c.受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年1月1日 至 2021年12月31日) |
対前年度比増減率(%) |
SS事業(百万円) |
316 |
25.0 |
IA事業(百万円) |
16,933 |
93.4 |
EMS事業(百万円) |
384 |
△2.0 |
その他(百万円) |
139 |
96.6 |
合計(百万円) |
17,774 |
87.7 |
(注)1.上記金額は販売価格で表示しており、消費税等は含まれておりません。
2.当社グループ(当社及び連結子会社)の一部の事業では、見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
3.当連結会計年度より、報告セグメントを従来の「SS事業」「FA事業」「MVL事業」「EMS事業」の4区分から、「SS事業」「IA事業」「EMS事業」の3区分に変更しております。対前年度比増減率は変更後の区分に基づき算定しております。
d.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年1月1日 至 2021年12月31日) |
対前年度比増減率(%) |
SS事業(百万円) |
20,164 |
15.9 |
IA事業(百万円) |
24,409 |
48.0 |
EMS事業(百万円) |
756 |
60.5 |
その他(百万円) |
534 |
9.7 |
合計(百万円) |
45,866 |
31.6 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、当該割合が100分の10未満のため記載を省略しております。
3.上記金額には消費税等は含まれておりません。
4.当連結会計年度より、報告セグメントを従来の「SS事業」「FA事業」「MVL事業」「EMS事業」の4区分から、「SS事業」「IA事業」「EMS事業」の3区分に変更しております。対前年度比増減率は変更後の区分に基づき算定しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。連結財務諸表の作成にあたっては、連結会計年度末における資産・負債の報告数値及び偶発債務の開示並びに報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積りや仮定を使用する必要があるため、過去の実績や法制度の変更など様々な要因に基づき、見積り及び判断を行っております。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
なお、新型コロナウイルス感染症の今後の広がり方や収束時期等を含む仮定に関する情報は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.当連結会計年度の経営成績等
売上高は458億66百万円となり、前連結会計年度に比べ110億19百万円増加しました。これは主に、新たに当社グループに加わった産業用コンピュータシステム関連製品の寄与をはじめ、ウィズコロナの下で社会経済活動が再開され、半導体及び電子部品業界向けの産業用各種センサーの売上高が国内及びアジアで増加したことによるものであります。
営業利益は46億30百万円となり、前連結会計年度に比べ25億32百万円増加しました。これは主に売上高の増加に加え、販売費および一般管理費の売上高比率が5.2ポイント低下したことによるものであります。
親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ23億67百万円増加し、37億62百万円となりました。
b.経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2事業等のリスク」に記載のとおりです。
c.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
イ.キャッシュフローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
ロ.資本の財源及び資金の流動性の分析
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、原材料、製商品の仕入れのほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、事業拡大のための生産設備増強などの設備投資、新製品開発、製造のための金型投資、グループ基盤強化のためのM&A投資等であります。
当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、大型の投資案件や長期運転資金につきましては、自己資金及び金融機関からの長期借入を基本に、調達規模や市場環境に応じて柔軟に調達手段を選択していく方針です。
なお、当連結会計年度末における借入金残高は108億95百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は171億20百万円となっております。
d.経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、連結売上高10%伸長、連結営業利益率15%以上、ROE10%以上を経営指標としております。当連結会計年度は、売上高31.6%増、営業利益率10.1%、ROE11.2%となり、営業利益率を除き目標とする経営指標を上回る業績結果となりました。
世界的な原材料価格や物流諸費用の高騰など厳しい経営環境が継続しているものの、今後とも更なる成長に向けて、グループシナジーの拡大や全体最適視点による経営資源の有効活用に努め、「ソリューション型ビジネス」への変革などに積極果敢に挑戦することにより、経営指標の達成に取り組んでまいります。
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