文中の将来に関する事項は、当事業年度の末日現在において当社が判断したものであります 。
(1) 経営成績等の状況の概要
当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による経済活動や社会生活全般への影響と半導体をはじめとする部材の供給不足により、先行きが見通しにくい状況が続いております。
当社に関連深い半導体製造装置市場は、世界的な半導体需要の高まりを背景に大手半導体メーカーの設備投資が継続し、順調に推移しております。
このような経営環境のもと、 当社は、新型コロナウイルス感染防止対策と部材の供給不足による影響を最小限に止め、顧客満足度の更なる向上のために、市場ニーズを先取りした新製品の投入と安定生産に向けた取り組みを強化することにより、お客様の装置の競争力向上に取り組みました。
この結果、当事業年度における売上高は9,795百万円(前期比14.7%増)、営業利益は1,926百万円(前期比9.5%増)、経常利益は2,017百万円(前期比9.9%増)、当期純利益は1,492百万円(前期比9.9%増)となりました。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等を当事業年度の期首から適用しており、当事業年度の売上高は115百万円減少し、営業利益及び経常利益はそれぞれ7百万円減少しております。
当該セグメントは、半導体製造装置関連、産業用制御機器および計測機器の開発・製造・販売を行っております。新型コロナウイルス感染症の影響は軽微であり、半導体製造装置関連におきましては、大手半導体メーカーの設備投資が順調に推移しており、産業用制御機器および計測機器に落ち込みが見られますものの、受託製品全般において順調に推移いたしました。
この結果、売上高は6,366百万円(前期比32.8%増)、セグメント利益(営業利益)は1,145百万円(前期比39.0%増)となりました。
なお、収益認識会計基準等の適用により、当事業年度の売上高は28百万円減少し、セグメント営業利益は7百万円減少しております。
イ)半導体製造装置関連
この結果、売上高は5,452百万円(前期比43.4%増)となりました。
ロ)産業用制御機器
この結果、売上高は626百万円(前期比8.0%減)となりました。
ハ)計測機器
当該品目は、各種計測機器のコントローラ、通信機器の制御部の開発・製造を行いカスタマイズ製品として提供しており、従来顧客の受注が一巡しております。
この結果、売上高は287百万円(前期比7.6%減)となりました。
この結果、売上高は3,429百万円(前期比8.4%減)、セグメント利益(営業利益)は1,306百万円(前期比9.9%減)となりました。
なお、収益認識会計基準等の適用により、当事業年度の売上高は86百万円減少し、セグメント営業利益は0百万円増加しております。
イ)組込みモジュール
この結果、売上高は375百万円(前期比9.4%減)となりました。
ロ)画像処理モジュール
この結果、売上高は1,712百万円(前期比18.4%増)となりました。
ハ)計測通信機器
当該品目は、超高速シリアル通信モジュール「GiGA CHANNEL」シリーズを提供しております。「GiGA CHANNEL」シリーズ関連の検査装置向けの受注は、堅調に推移しておりますが一部顧客に落ち込みが見られました。
この結果、売上高は1,287百万円(前期比25.5%減)となりました。
ニ)自社製品関連商品
この結果、売上高は54百万円(前期比65.1%減)となりました。
なお、前期比の減少は、他の品目と比べ、収益認識会計基準等の適用による影響を比較的多く受けたことによる減少となります。
当社を取り巻く環境はあるものの、経営方針に基づき、経営資源を投入し、自社製品技術をベースにした提案型製品の増強等により受託製品の販売の増加を継続するとともに、自社製品においては、更なるシリーズ化を継続し、受託製品の複合化も含めての製品の差別化を行い、受託製品および自社製品の両輪にて、強固な経営基盤および事業基盤を確立いたします。
当事業年度末における資産は24,402百万円(前事業年度末比4,174百万円の増加)となりました。
流動資産につきましては、主に、半導体需要の高まりから、顧客の供給責任を果たすため、原材料を購入しており、この結果、原材料及び貯蔵品が2,611百万円増加しております。その他、主な増減要因といたしましては、売掛金が128百万円、商品及び製品が109百万円それぞれ増加し、現金及び預金が846百万円減少しております。
この結果、2,201百万円増加し12,564百万円となりました。
固定資産につきましては、主に、投資その他の資産が投資有価証券の時価変動の影響等により1,957百万円、差入保証金が21百万円、それぞれ増加しております。差入保証金の増加は、主に、2022年5月に、営業拠点の移転に伴うものとなります。
この結果、1,973百万円増加し11,837百万円となりました。
当事業年度末における 負債は5,995百万円 (前事業年度末比 1,704百万円の増加 )となりました。
流動負債につきましては、主に、原材料の購入に伴い、支払手形が892百万円、買掛金が310百万円、それぞれ増加し、当事業年度は未収消費税等の計上により未払消費税等の計上がなく、結果、未払消費税等が118百万円減少しております。
この結果、 1,052百万円増加し 3,297百万円 となりました。
固定負債につきましては、繰延税金負債が651百万円増加し2,697百万円となりました。
当事業年度末における純資産は18,406百万円(前事業年度末比2,470百万円の増加)となりました。
増加要因として、その他資本剰余金が24百万円、利益剰余金が971百万円、その他有価証券評価差額金が1,448百万円それぞれ増加となり、自己株式が25百万円減少となりました。
なお、自己株式が 25百万円 減少しておりますが、内訳として、「信託型従業員持株インセンティブ・プラン」による減少が18百万円、2019年6月21日開催の第60期定時株主総会にて決議された、譲渡制限付株式報酬制度に基づく減少が2百万円、「信託型従業員持株インセンティブ・プラン」の終了に伴い、「社員持株会向け譲渡制限付株式インセンティブ」を導入し、自己株式の処分を行ったこと による減少 が、4百万円となります。
また、当社が目標とする経営指標である、自己資本比率(80%以上)は、75.4%(前事業年度末比3.4%の減少)となり、自己資本当期純利益率(9%以上)は、8.69%(前事業年度9.73%)となりました。なお、当事業年度より、資本コストを的確に把握し、更に株主価値を重視する観点から、自己資本当期純利益率(ROE)の目標数値を前事業年度8%以上から1%増加の9%以上に変更しております。
当事業年度末における現金及び現金同等物は、3,497百万円(前事業年度末比846百万円の減少)となりました。
また、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合計した、フリー・キャッシュ・フローは、当事業年度は 344百万円の減少(前事業年度は1,861百万円の増加)であります。
営業活動、投資活動および財務活動によるキャッシュ・フローの主な内容は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、323百万円の減少(前事業年度は1,990百万円の増加)となりました。
主に、税引前当期純利益および減価償却費の計上、仕入債務の増加等の増加要因を、半導体需要の高まりから、顧客の供給責任を果たすため、原材料の購入による棚卸資産の増加、法人税等の支払、未払消費税等の減少等の減少要因が上回ったことによる減少となります 。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、21百万円の減少(前事業年度は129百万円の減少)となりました。
主に、投資有価証券の売却による収入等の増加要因を、固定資産の取得および差入保証金の差入といった減少要因が上回ったことによる減少となります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、502百万円の減少(前事業年度は405百万円の減少)となりました。
自己株式の売却による収入といった増加要因を、配当金の支払、長期借入金の返済による支出等の減少要因が上回ったことによる減少となります。
なお、自己株式の売却による収入および長期借入金の返済による支出は、「信託型従業員持株インセンティブ・プラン」によるものであります。
① 生産実績
当事業年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1 金額は製造原価にて表示しております。
2 自社製品セグメントにおいては、記載した詳細品目に付属する周辺機器の提供として、自社製品関連商品の販売を行っておりますが、当該仕入実績は、② 商品仕入実績として別途記載しております。
② 商品仕入実績
当事業年度における商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は仕入価格にて表示しております。
③ 受注実績
当事業年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1 金額は販売価格にて表示しております。
2 当事業年度において、受注実績に著しい変動がありました。これは、半導体をはじめとする部材の供給不足を背景に、顧客からの長期的な発注が集中したことによる増加となります。
3 自社製品セグメントにおいては、需要予測に基づく見込生産を行っているため、該当事項はありません。
④ 販売実績
当事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1 当事業年度から、収益認識に関する会計基準等を適用しております。自社製品関連商品は、他の品目と比
べ本基準の影響を比較的大きく受けたことによる減少となります。
2 主な相手先別の販売実績及び総販売額に対する割合は、次のとおりであります。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
当項目に記載されている将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
当社の事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 (1)経営成績の状況」に記載したとおりですが、その他の事項としては以下のとおりであります。
売上原価は、前事業年度5,299百万円に対し、当事業年度は1,003百万円増加し、6,302百万円となりました。
当事業年度における、売上高に対する売上原価の比率は、前事業年度62.1%に対して当事業年度は64.3%と2.2%増加となりました。これは、自社製品は、一部の主要部品の調達に影響があったことにより、自社製品売上が前事業年度と比べ減少したことが要因となります。
販売費及び一般管理費は、前事業年度1,478百万円に対し、当事業年度は88百万円増加し、1,566百万円となりました。
これは、主に、新たな技術リソース獲得のための積極的な研究開発活動による、研究開発費の増加によるものとなります。
当社が、目標とする経営指標の1つに、売上高経常利益率を22.0%以上と掲げております。実績としては、20.6%となっております。
営業外収益は、前事業年度76百万円に対し、当事業年度は14百万円増加し、91百万円となりました。主な要因としては、受取配当金の受入による増加となります。
特別利益は、非上場の株式となりますが、1銘柄売却したことに伴う、投資有価証券売却益12百万円を計上しております。
特別損失は、固定資産除却損を計上したことに伴い、前事業年度より、1百万円増加しております。
税効果会計適用後の法人税等は、前事業年度484百万円に対し、51百万円増加し、535百万円となりました。これは主に税引前当期純利益の増加に伴い、法人税、住民税及び事業税の増加によるものとなります。
キャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 (3) キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
当社の資本の財源及び資金の流動性につきましては、営業活動によるキャッシュ・フローの安定的な確保による自己資本を中心として財源を確保しております。
短期運転資金は自己資金を基本といたします。
なお、当社の資金の流動性につきましては、材料の購入に伴い、現金及び預金の減少、棚卸資産の増加、支払手形および買掛金の増加といった要因があり当事業年度の流動比率は381.0%と前事業年度の流動比率461.5%を大きく減少したものの、財務の健全性を維持していると考えております。
当社の運転資金需要のうち主なものは、製品製造のための材料の仕入、外注費の支払および製造費用並びに販売費及び一般管理費等によるものであります。また設備資金需要のうち主なものは、品質および生産並びに製造技術効率の向上のための設備投資であります。
当社の主たる市場である半導体業界は、特有の急激な需要変動が生じやすいため、このような経営環境に対応すべく自己資本比率の向上により強固な財務体質の強化・維持に努めております。このような方針のもとに、現在、運転資金だけでなく設備投資資金における需要についても、内部資金にて対応しております。
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。これらの財務諸表の作成にあたって、期末日における資産・負債の報告金額および報告期間における収益・費用の報告金額に対して、影響を与える見積り、判断および仮定を行う必要があります。見積りおよび判断は、過去の実績や状況等に応じ合理的であると考えられる方法に基づいて行われております。当社の重要な会計方針のうち、見積り及び当該見積りに用いた仮定は以下のものであります。
当社は、棚卸資産については、滞留期間に応じて収益性の低下に基づく簿価切り下げ額の測定を行っており、将来、正味売却可能価額がさらに低下した場合または陳腐化資産が増加した場合、追加の評価減が必要となる場合があります。
当社は、繰延税金資産については、将来の一定期間における課税所得の発生やタックス・プランニングに基づき、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得見積りに依存しているため、その見積りの前提となる仮定に変更が生じた場合には、繰延税金資産の取り崩しが必要となり、当該期間における税金費用が増加する可能性があります。また、追加的に繰延税金資産の回収可能性があると判断された場合には、当該期間において税金費用が減少することになります。
非上場株式の評価については、投資時点の事業計画の達成可能性および財務体質並びに回復可能性等を総合的に勘案した結果、減損損失を計上した場合には、当社の財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
④ その他
開発業務における収益認識に関しては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
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