業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況

 ① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルスの感染者数が増加と減少を繰り返すなか、国内では緊急事態宣言、まん延防止等重点措置の影響で個人消費は低迷が続きましたが、企業においては設備投資や生産活動が正常化に向かい緩やかな回復が見られました。世界経済では、米中の貿易摩擦問題の長期化やロシアのウクライナ侵攻により事業年度末にかけて不透明感が高まりました。

当社グループが属するエレクトロニクス業界は、半導体の大幅な需要増による世界的な半導体不足や東南アジアからの部品調達難による自動車の大幅減産を主因として低迷しましたが、供給制約の緩和に伴い、緩やかなペースでの回復が見られました。また、部品ユーザーのBCP対応の在庫積み増し等により、自動車やICT関連、産業用途等で部品需要が堅調に推移いたしました。

このような環境の中、今年度は、基本方針を「1.商品群を増強する。2.海外ビジネスを強化/拡大する。3.収益力を強化する。」とし、運営方針である「1.コネクタ(ハーネス含む)事業の底上げを推進する。機器事業の付加価値ビジネスへの転換を推進する。2.欧州、中国、北米の販売体制を強化する。3.工業・車載・画像・医療・5G/IoT周辺機器を注力市場とする。4.車載市場を強化開拓する(ADAS/EV等CASE分野)。5.エネルギー分野を調査、開拓する(バッテリー/電力新分野関連機器)。」を推進し、付加価値ビジネスを強化し、海外事業の拡大を進め、コストマネジメントの強化による収益性の向上に努めてまいりました。また、5G/IoT周辺機器市場向け高速伝送コネクタの開発やフローティングコネクタ・防水コネクタの拡充など、市場・顧客のニーズに応える製品を開発・提供してまいりました。

以上の結果、当連結会計年度の業績は、工業機器市場及び車載機器市場の受注が引き続き好調に推移したことに加え、産業機器市場、遊技機器市場においても受注が増加したことにより、売上高は127億93百万円(前連結会計年度比25.9%増加)、利益面につきましては、営業利益21億14百万円(同114.0%増加)、経常利益21億42百万円(同112.4%増加)、親会社株主に帰属する当期純利益14億55百万円(同100.6%増加)となりました。

なお、当連結会計年度より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第 29 号  2020 年3月 31 日)等を適用しております。これによる財政状態及び経営成績に与える影響はありません。

 

品目別の業績を示すと、次のとおりであります。なお、当社グループは、単一セグメントに属するコネクタ、ラック、ソケット等の製造・販売を行っているため、品目別の業績を示しております。

イ.コネクタ

  コネクタの売上高は、車載機器向けフローティングコネクタ、FA・制御装置・半導体製造装置等の工業機器向けを中心に受注が好調に推移したことにより113億28百万円(前連結会計年度比29.6%増加)となりました。

ロ.ラック

  超音波診断・内視鏡等の電子応用医療機器向け特注ラック等の受注は増加しましたが、工業機器向け特注ラックの受注が減少したことにより11億39百万円(同7.4%減少)となりました。

ハ.ソケット

  遊技機器向けの受注が増加したことにより2億24百万円(同86.5%増加)となりました。

ニ.その他

  その他の売上高は1億1百万円(同36.6%増加)となりました。

 

 ② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ7億89百万円増加(前連結会計年度は6億56百万円の増加)し、53億89百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における営業活動の結果得られた資金は、15億82百万円(前連結会計年度は14億60百万円の獲得)となりました。これは、法人税等の支払額3億49百万円があったものの、税金等調整前当期純利益21億34百万円の計上、売上債権の増加額9億15百万円並びに減価償却費8億62百万円の計上があったこと等によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における投資活動の結果使用した資金は、6億3百万円(前連結会計年度は5億57百万円の使用)となりました。これは、有形固定資産の取得による支出7億19百万円があったこと等によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における財務活動の結果使用した資金は、3億12百万円(前連結会計年度は2億83百万円の使用)となりました。これは、配当金の支払額3億12百万円があったこと等によるものであります。

 

 ③ 生産、受注及び販売の実績

 当社グループは、単一セグメントに属するコネクタ、ラック、ソケット等の製造・販売を行っているため、生産、受注及び販売の状況については、品目別に記載しております。

イ.生産実績

 当連結会計年度における生産実績を品目別に示すと、次のとおりであります。

品目別

生産高(千円)

前期比(%)

コネクタ

11,556,652

32.5

ラック

1,121,528

△7.3

ソケット

213,589

82.3

その他

103,862

30.0

合計

12,995,634

28.3

 (注) 金額は販売価格によっております。

ロ.受注実績

 当連結会計年度における受注状況を品目別に示すと、次のとおりであります。

品目別

受注高(千円)

前期比(%)

受注残高(千円)

前期比(%)

コネクタ

13,260,480

50.4

2,565,517

305.1

ラック

1,356,355

11.2

394,459

121.5

ソケット

268,170

110.7

62,600

230.3

その他

139,864

84.9

49,151

366.4

合計

15,024,871

46.7

3,071,730

265.3

 

ハ.販売実績

 当連結会計年度における販売実績を品目別に示すと、次のとおりであります。

品目別

販売高(千円)

前期比(%)

コネクタ

11,328,204

29.6

ラック

1,139,963

△7.4

ソケット

224,520

86.5

その他

101,251

36.6

合計

12,793,940

25.9

(注) 最近2連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、以下のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

サンワテクノス㈱

1,410,922

13.9

1,918,353

15.0

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

・財政状態の状況の分析

 当連結会計年度末の財政状態は以下のとおりであります。

区分

金額(千円)

前期比(%)

資産の部

18,385,914

15.2

負債の部

4,531,739

30.8

純資産の部

13,854,174

10.9

イ.資産

 前連結会計年度末に比べ24億27百万円増加し、183億85百万円となりました。これは、現金及び預金の増加額8億16百万円、原材料及び貯蔵品の増加額6億11百万円、並びに売掛金の増加額4億95百万円があったこと等によるものであります。

 

ロ.負債

 前連結会計年度末に比べ10億67百万円増加し、45億31百万円となりました。これは、未払法人税等の増加額3億82百万円、電子記録債務の増加額5億8百万円があったこと等によるものであります。

 

ハ.純資産

 前連結会計年度末に比べ13億59百万円増加し、138億54百万円となりました。これは、利益剰余金の増加額11億43百万円、その他有価証券評価差額金の増加額88百万円があったこと等によるものであります。

 

・経営成績の状況の分析

 当連結会計年度の経営成績は以下のとおりであります。

区分

金額(千円)

前期比(%)

売上高

12,793,940

25.9

営業利益

2,114,719

114.0

経常利益

2,142,874

112.4

親会社株主に帰属する当期純利益

1,455,470

100.6

イ.売上高

 売上高は工業機器市場、車載機器市場の受注が高水準で推移したことにより、前連結会計年度に比べ26億30百万円増加し、127億93百万円となりました。

 

ロ.売上総利益及び営業利益

 売上総利益は売上の増加に伴い、前連結会計年度に比べ14億21百万円増加し、41億60百万円となりました。営業利益は11億26百万円増加し、21億14百万円となりました。

 

ハ.営業外損益及び経常利益

 営業外損益は、前連結会計年度に比べ純額で7百万円の増加となり、営業利益の増加に伴い、経常利益は前連結会計年度に比べ11億34百万円増加し、21億42百万円となりました。

 

ニ.特別損益

 特別損益は固定資産除却損の増加により、前連結会計年度に比べ純額で71百万円減少となりました。

 

ホ.親会社株主に帰属する当期純利益

 親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ7億30百万円増加し、14億55百万円となりました。

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、7億89百万円増加し、現金及び現金同等物の期末残高は、53億89百万円となっております。当該残高は、売上高の2.4か月相当であり、事業を運営するにあたり十分な残高を有しております。また、キャッシュ・フロー対有利子負債比率(有利子負債÷営業キャッシュ・フロー×100)は28.4%であり、財政状況も良好であります。

 

・資本の財源及び資金の流動性

イ.資本の財源

 当社グループの属するエレクトロニクス業界、特に電子機器業界の進歩は目覚ましく、小型化・高性能化製品が求められる状況にあります。そのような市場ニーズに対応するため、当社グループは、最近3年間以内に開発された新製品の売上割合を30%とする目標を定め、研究開発・設備投資(金型及び機械装置等)を行っております。これらの資金需要は、利益等を源泉とした内部資金・金融機関からの借入等で対応しております。

 また、事業活動の拡大に伴う売掛債権及び棚卸資産等への資金需要につきましても、内部資金・金融機関からの借入等で対応しております。

ロ.資金の流動性

 当社グループの当連結会計年度末の流動比率(流動資産÷流動負債×100)は、304%であり、また、現金預金比率(現金及び預金÷流動負債×100)につきましても129%となっており、安定した資金運営を行っております。なお、各子会社の資金状況は当社で把握・管理しており、当社がグループ資金を一元管理しております。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。

 また、連結財務諸表の作成にあたっては、第5〔経理の状況〕1〔連結財務諸表等〕連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項に基づき作成しておりますが、採用する会計基準には、当社の判断及び見積りを伴うものが含まれております。

 

④経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、経営効率を判断する指標として、「株主資本利益率(ROE)」を重要と考えており、その向上を目指しております。当連結会計年度の「株主資本利益率(ROE)」は11.0%となり、前連結会計年度に比べ5.1ポイント増加いたしました。

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