① 財政状態及び経営成績の状況
当社の事業分野である情報サービス市場における当期の概況につきましては、IT関連人材の旺盛な需要が継続し、慢性的な人手不足と働き方改革を背景とした企業の生産性向上のための合理化・省力化に向けた投資需要は活発でありました。今春から5G通信システムの整備による各種サービスが始まり、これに付随した新たな投資需要が増加していくと思われます。
このような事業環境下、当社は投資需要の拡大に伴う人件費の高騰により人材確保が厳しい状態が続き、予定していた案件の獲得は不調に終わりましたが、社員の配置転換を行うなど、より高単価な案件へとシフトし、得意分野である組込み領域における車載系開発等、通信領域におけるクラウド関連開発等において業績拡大を図るとともに、公共・自治体向け開発案件等にも積極的に参入し、事業拡大を図ってまいりました。なお、当期末における新型コロナウイルスの感染拡大に伴う当社業績への影響はありません。
以上の結果、当事業年度の売上高は2,973,010千円となり、前期比197,062千円 (△6.2%)の減収となりました。営業利益は243,796千円となり前期比105,301千円(76.0%)の増益、経常利益は248,754千円となり前期比103,263千円(71.0%)の増益、当期純利益は特別利益に投資有価証券売却益3,431千円を計上した結果、237,802千円と前期比308,454千円(△56.5%)の減益となりました。
当事業年度末の資産の部は1,821,817千円であり、前事業年度末の2,191,116千円に比べ、369,299千円減少しています。主な内訳はそれぞれ現金及び預金284,148千円、投資有価証券78,598千円、並びに売掛金56,574千円の減少であります。
当事業年度末の負債の部は1,171,931千円であり、前事業年度末の1,179,957千円に比べ、8,026千円減少しています。主な内訳は、それぞれ未払費用18,598千円及び預り金11,402千円の減少、並びに退職給付引当金14,838千円の増加であります。
当事業年度末の純資産の部は649,886千円であり、前事業年度末の1,011,158千円に比べ、361,272千円減少しています。主な内訳は、当期純利益237,802千円の計上及び自己株式577,500千円の消却による減少、並びにその他有価証券評価差額金21,276千円の減少であります。
また、当社はシステム開発並びにこれらの付随業務を事業内容とする単一セグメントであるため、セグメントごとの記載を省略しております。
② キャッシュ・フローの状況
当事業年度における現金及び現金同等物は980,227千円となり、前事業年度より284,148千円減少しました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況と主な要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
主な増加要因は、税引前当期純利益が252,185千円(前事業年度は546,075千円)あったことに加え、売上債権の増減額が56,574千円の減少(前事業年度は76,264千円の減少)となったこと、未払消費税等の増減額が17,483千円の増加(前事業年度は6,017千円の減少)となったこと及び退職給付引当金の増減額が14,838千円の増加(前事業年度は74,199千円の増加)となったことが挙げられます。
一方、主な減少要因は、仕入債務の増減額が8,367千円の減少(前事業年度は41,932千円の減少)となったことに加え、賞与引当金の増減額が4,963千円の減少(前事業年度は22,104千円の増加)となったこと並びに受取利息及び受取配当金が4,821千円(前事業年度は5,106千円)となったことが挙げられます。
この結果、当事業年度の営業活動によるキャッシュ・フローは前事業年度より44,238千円増加し、297,888千円となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資有価証券の取得による支出は1,256千円となり、前事業年度より30,079千円減少しました。一方、投資有価証券の売却収入については431千円でしたが、大部分の銘柄が銀行の信託財産口として未精算であり手許資金化されておらず、前事業年度より35,746千円減少しました。また、支店の閉鎖に関わる敷金及び保証金の回収による収入が1,682千円あり、前事業年度より1,495千円増加しましたが、支店の移転に関わる新たな敷金及び保証金の差入による支出が5,095千円あり、前事業年度より4,135千円増加しました。
この結果、当事業年度における投資活動によるキャッシュ・フローは前事業年度より5,979千円減少し、△4,237千円となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
過年度より継続するA種優先株式の取得・消却を主な活動として行いました。当事業年度においても売上債権の回収を主な原資とし55万株の取得・消却を行った結果、自己株式の取得による支出は577,799千円となり、前事業年度より346,495千円増加しました。
この結果、当事業年度における財務活動によるキャッシュ・フローは前事業年度より346,496千円減少し、△577,799千円となりました。
(注) 1 金額は販売価格で表示しており、消費税等は含まれておりません。
2 当社は単一セグメントであります。
(注) 1 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2 当社は単一セグメントであります。
(注) 1 当社は単一セグメントであります。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は以下のとおりであります。
3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本報告書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。財務諸表の作成にあたり、当社は財務諸表に記載されている資産・負債の額及び偶発債務の開示、並びに収益・費用の額などに影響を与える可能性のある見積り及び前提条件を使用しており、この財務諸表の作成のための重要な会計基準等は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項 財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
当社はたな卸資産の評価、繰延税金資産、貸倒引当金及び投資の減損、並びに賞与引当及び退職給付に係る会計処理の方法の重要な会計方針に関して、見積りや仮定を必要としています。ただし、これらの見積りや仮定は、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果とは異なる場合があります。
上記の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
(イ)繰延税金資産の回収可能性
繰延税金資産の回収可能性は、将来の税金負担額を軽減する効果を有するかどうかで判断しております。当該判断は、収益力に基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性、タックス・プランニングに基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性及び将来加算一時差異の十分性のいずれかを満たしているかどうかにより判断しております。
収益力に基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性を判断するにあたっては、一時差異等の解消見込年度及び繰戻・繰越期間における課税所得を見積っております。課税所得は、経営環境等の外部要因に関する情報や当社が用いている内部の情報と整合的に修正し見積っております。当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌事業年度以降の財務諸表において認識する繰延税金資産及び法人税等調整額の金額に重要な影響を与える可能性があります。
なお、今般の新型コロナウイルスの感染拡大により、次事業年度の業績予想に不透明感が増加している影響を鑑み、顧客からの年間受注額を減額するに当たり、当該見積り時点で入手可能な情報に基づき、一定の仮定(新型コロナウイルスの感染収束までの期間(少なくとも1年間)や減収率)を置き、スケジューリングを行っております。
② 当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当事業年度は改定後の4ヵ年の中期経営計画を実行する初年度となりましたが、当初計画の数値目標を達成することが困難な状況となっております。達成困難な理由は、IT分野での投資需要の拡大に伴う人件費の高騰により人材確保が厳しい状態が続き、予定していた案件の獲得は不調に終わり、期初の目標数値を達成するに十分な案件を受注できなかったことによります。これにより、売上高は2,973,010千円となり、前期比197,062千円 (△6.2%)の減収となりました。昨年度で整理統合した6分野の各事業領域において、より安定的で高単価であり、かつ拡大が見込める顧客の選別や商流の見直しを行った結果、売上総利益率が22.7%と前期比で4.5%の改善が見られました。また、業務効率の向上による販売管理費等7,877千円の固定費削減を行った結果、営業利益は243,796千円となり前期比105,301千円(76.0%)の増益となり、営業利益率も8.2%と前期比で3.8%の改善が見られました。利益率を増加させるには平均単価を上げることが重要であり、体系的な研修制度の導入と整備により技術レベルの向上を図るとともに顧客の選択と集中を行い、上記6分野でのより高単価な案件へと契約を移行することを継続してまいります。さらに新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、当社の従来からの取組み方による事業展開だけでは今後の急激な変化に対応することは不十分と考え、新たな勤務体系や業務効率等を考慮し、固定費削減等も引き続き取り組んでまいります。
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