(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度の世界経済は全般的にコロナ渦といわれる事態に直面する中、当該年度において、コロナ渦が当社グループの財政状態及び経営成績に与える影響は限定的でした。
ICT(情報通信技術)や自動車を含むエレクトロニクスマーケットにおきましては、一部で半導体不足の影響を受けたものの、次世代通信規格「5G」に対応したスマートフォンが立ち上がり、自動車ではADAS(先進運転支援システム)の普及や電装化が進展するなど、マーケット全体として堅調に推移しました。
このような状況下におきまして、当社グループはフォトリソ技術を応用した小型製品などの生産設備を増強するとともに、モールドタイプ水晶発振器を開発するなど、製品ラインアップを拡充しました。
これらの結果、当連結会計年度におきまして、車載マーケットの回復や5G対応スマートフォンの拡大など通信、車載、民生、産業、全ての分野で販売が増加しました。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ12,689百万円増加し、81,317百万円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ6,228百万円増加し、41,086百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ6,461百万円増加し、40,231百万円となりました。
b.経営成績
当連結会計年度の経営成績は、売上高は41,306百万円(前年同期比24.5%増)、営業利益は5,194百万円(前年同期比148.7%増)、経常利益は6,547百万円(前年同期比158.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は3,848百万円(前年同期比214.6%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
日本は、売上高は8,238百万円(前年同期比47.8%増)、セグメント利益は2,153百万円(前年同期比803.9%増)となりました。
北米は、売上高は1,498百万円(前年同期比30.5%増)、セグメント利益は20百万円(前年同期比226.0%増)となりました。
欧州は、売上高は3,150百万円(前年同期比31.7%増)、セグメント利益は59百万円(前年同期はセグメント損失3百万円)となりました。
中国は、売上高は14,772百万円(前年同期比14.0%増)、セグメント利益は471百万円(前年同期比4.4%減)となりました。
台湾は、売上高は11,353百万円(前年同期比21.2%増)、セグメント利益は2,650百万円(前年同期比93.1%増)となりました。
アジアは、売上高は2,293百万円(前年同期比31.0%増)、セグメント利益は93百万円(前年同期比59.2%増)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、税金等調整前当期純利益などがあったことにより、前連結会計年度末に比べ4,575百万円増加し、当連結会計年度末には18,516百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の営業活動の結果得られた資金は8,762百万円(前期比6,055百万円増加)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益6,066百万円などによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の投資活動の結果使用した資金は5,176百万円(前期比212百万円減少)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出5,667百万円などによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の財務活動の結果得られた資金は382百万円(前期比487百万円減少)となりました。これは主に長期借入金の返済による支出13,636百万円、長期借入れによる収入14,335百万円などによるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前年同期比(%) |
日本(千円) |
17,644,253 |
6.1 |
中国(千円) |
4,149,840 |
49.0 |
台湾(千円) |
13,357,913 |
26.0 |
アジア(千円) |
6,944,521 |
11.7 |
合計(千円) |
42,096,527 |
16.1 |
(注)金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
b.受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
受注高 (千円) |
前年同期比 (%) |
受注残高 (千円) |
前年同期比 (%) |
日本 |
8,717,962 |
31.2 |
2,783,446 |
39.7 |
北米 |
1,650,277 |
35.0 |
399,988 |
70.9 |
欧州 |
3,696,529 |
37.4 |
1,152,305 |
100.9 |
中国 |
14,642,510 |
△4.0 |
4,609,310 |
6.5 |
台湾 |
13,007,316 |
40.8 |
2,468,634 |
230.6 |
アジア |
2,900,151 |
46.6 |
1,098,690 |
124.3 |
合計 |
44,614,747 |
20.5 |
12,512,374 |
49.6 |
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前年同期比(%) |
日本(千円) |
8,238,442 |
47.8 |
北米(千円) |
1,498,542 |
30.5 |
欧州(千円) |
3,150,279 |
31.7 |
中国(千円) |
14,772,541 |
14.0 |
台湾(千円) |
11,353,102 |
21.2 |
アジア(千円) |
2,293,360 |
31.0 |
合計(千円) |
41,306,270 |
24.5 |
(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績は、下記のとおりです。
a.財政状態
(資産)
当連結会計年度末における資産は81,317百万円であり、前連結会計年度末と比較して12,689百万円増加しております。これは現金及び預金並びに建設仮勘定の増加などによるものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債は41,086百万円であり、前連結会計年度末と比較して6,228百万円増加しております。これは主に借入金の増加などによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は40,231百万円であり、前連結会計年度末と比較して6,461百万円増加しております。これは主に利益剰余金の増加などによるものであります。
これらにより自己資本比率は0.1ポイント増加して、40.7%となりました。
b.経営成績
(売上高)
車載マーケットの回復や5G対応スマートフォンの拡大など通信、車載、民生、産業、全ての分野で販売が増加し、売上高は前連結会計年度に比べ24.5%増加の41,306百万円となりました。そのうち、国内売上高は6,205百万円、海外売上高は35,100百万円となりました。
(売上原価、販売費及び一般管理費)
売上原価は、売上高が増加したことなどの影響により、前連結会計年度に比べ16.9%増加の29,081百万円となりました。
販売費及び一般管理費は、研究開発費の増加などにより前連結会計年度に比べ12.8%増加の7,029百万円となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
親会社株主に帰属する当期純利益は、為替差益1,317百万円を営業外収益に計上し、減損損失293百万円を特別損失に計上したことなどにより3,848百万円(前年同期比214.6%増)となりました。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、水晶製品事業における価格競争は引き続き厳しいものとなっており、当社グループが属する製品市場における市場価格についても顧客製品の価格動向によっては競争の激化に直面すると思われます。また、為替につきましても、為替相場の変動によっては業績に影響を及ぼす可能性があります。
c.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(日本)
日本国内におきましては、産業、民生向けなどが前年を上回り、売上高は8,238百万円と前年同期と比べ2,665百万円(47.8%増)の増収となり、セグメント利益(営業利益)は2,153百万円と前年同期と比べ1,915百万円(803.9%増)の増益となりました。
(北米)
北米におきましては、産業、車載向けなどの販売が増加し、売上高は1,498百万円と前年同期と比べ350百万円(30.5%増)の増収となり、セグメント利益(営業利益)は20百万円と前年同期と比べ14百万円(226.0%増)の増益となりました。
(欧州)
欧州におきましては、産業、車載向けなどが前年を上回った結果、売上高は3,150百万円と前年同期と比べ757百万円(31.7%増)の増収となり、セグメント利益(営業利益)は59百万円と前年同期と比べ63百万円(前年同期はセグメント損失3百万円)の改善となりました。
(中国)
中国におきましては、民生、車載向けなどが前年を上回り、売上高は14,772百万円と前年同期と比べ1,812百万円(14.0%増)の増収となりましたが、セグメント利益(営業利益)は471百万円と前年同期と比べ21百万円(4.4%減)の減益となりました。
(台湾)
台湾におきましては、民生向けを中心に販売が増加し、売上高は11,353百万円と前年同期と比べ1,988百万円(21.2%増)の増収となり、セグメント利益(営業利益)は2,650百万円と前年同期と比べ1,277百万円(93.1%増)の増益となりました。
(アジア)
その他アジアにおきましては、民生、産業向けなどの販売が増加し、売上高は2,293百万円と前年同期と比べ542百万円(31.0%増)の増収となり、セグメント利益(営業利益)は93百万円と前年同期と比べ34百万円(59.2%増)の増益となりました。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの資本の財源及び資本の流動性については、下記のとおりです。
a.財務戦略の基本的な考え方
当社グループは、財務の健全性・資本効率・株主還元の観点からバランスのとれた最適な資本構成のもと、継続的に企業価値を向上させることを基本としております。財務の健全性については「負債資本倍率(DEレシオ)」や「自己資本比率」の改善を図り、資本効率については「株主資本利益率(ROE)」を、企業価値を高める目的として「投下資本利益率(ROIC)」を向上させることを目指してまいります。また、CCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)の改善をさらに推進するとともに手元資金の活用などによりキャッシュ・フローの最大化と資金効率の改善を強化いたします。
b.資金需要
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品仕入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。また、設備資金需要につきましては、当社グループの製品製造のための生産設備及び建物の購入等になります。
c.資金調達
当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、内部資金の活用及び金融機関からの借入により資金調達を行っております。設備投資に必要な資金は、事業が生み出す営業キャッシュ・フローおよび手元流動性資金で賄うことを基本とし、また、長期経営計画の基盤整備となる第1中期経営計画の実現を可能にするための成長投資実行については、銀行借入または資本市場からの調達も検討し、堅実かつ柔軟な資金調達を行うものとしています。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
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