課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末日現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営環境

①コンサルティング市場

IDC Japan㈱によりますと、ビジネスコンサルティング市場は2020年半ばに新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大により、新規案件の停滞や継続案件の凍結といった影響を強く受けましたが、その後は需要が急速に回復し、2020年もプラス成長を遂げました。さらに、2020年~2025年の年間平均成長率は9.3%で拡大、2025年に8,012億円になると予測されており、また米国の同市場規模が約10兆円と言われていることなどから、まだまだ十分に成長の余地があるものと考えております。

 

②M&A市場

㈱レコフのデータによりますと、2011年以降M&Aが増加傾向にあります。2020年は新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により、一時的に件数が減少したものの、2021年は再び増加し過去最高件数を記録しました。高齢化の進展による事業承継型のM&Aの増加や、新型コロナウイルス感染症の拡大をきっかけとした事業構造の変化への対応のための事業再編型のM&Aの増加のほか、人口減少及び少子化に伴う国内市場の縮小による国内中堅・中小企業の再編のためのM&Aや、日本企業が海外市場へ進出するために海外企業を買収するM&Aの増加等により、今後もM&Aは継続して増加する見込みであります。

 

③事業再生市場

㈱帝国データバンクによりますと、2021年の企業倒産件数は6,015件(前年比23.0%減)となり、1966年に次いで過去3番目に少ない、半世紀ぶりの歴史的低水準を記録しました。持続化給付金など政府による事実上の資本注入策に加え、各金融機関による無利子・無担保(ゼロゼロ)融資、既存融資のモラトリアムなど、官民一体の複層的な中小企業対策による「資金繰り破たんの先送り」が、結果として記録的な低水準への着地に大きく貢献したと見られます。2022年も引き続き、事業継続を目的とした資金支援が行われ、経営不振企業に退場を促す内容へと大きく舵を切る事態は中長期的に考えづらいものの、慢性的な財務不健全リスクを抱える「経営破たん懸念企業」は相当数あり、事業再生の潜在的なニーズは拡大していると考えられます。

 

(2)今後の経営方針

上記の経営環境のもと、既存事業の成長を図るとともに顧客企業の課題に対する最適なサービスを提供するため、以下のようなソリューションの拡充を図っております。

 

①中堅・中小企業への投資や投資事業に関連する新しいコンサルティング事業の強化

中堅・中小企業においては、市場が縮小する中で新規事業の展開が大きな課題となっており、そのためのコンサルティング支援ニーズは増加しています。同時に新規事業の展開を目的としたリスクマネーの需要が高まっており、当社グループとしてはファンドや自己投資を通じて顧客企業をサポートし、経営者派遣やコンサルティングを実施することによって、投資先である顧客企業の企業価値の向上を図り、投資資金の回収とそれに伴う成功報酬の収受を目指します。

また、地域金融機関が行う投資事業を支援するコンサルティングについても引き続き実施してまいります。

さらに、日本企業においては、カーボンニュートラル等の環境問題への対応、デジタル化等の生産性向上への対応、少子高齢化や事業承継問題等を抱えている地域経済活性化への対応、そしてアフターコロナへの対応等、ビジネスモデルの変革が求められています。このような企業の重要課題を解決するとともに、社会課題の解決を図っていくため、中長期的かつ経営人材の派遣を伴う投資を可能とする投資会社を設立し、投資先企業のビジネスモデルの変革や業界再編による成長を図ってまいります。

 

②大企業に対するコンサルティング及びM&A実行支援の強化

大企業のクライアントにとって事業構造の転換に関する支援ニーズは多く、事業ポートフォリオの見直しに関するコンサルティングからM&Aの実行、そしてPMI(ポスト・マージャー・インテグレーション)までをワンストップで行う支援体制は、今後さらに拡大することが想定されるため、当社グループとしても注力していきます。

 

③中堅・中小企業のM&A支援の強化

国内の中堅・中小企業の経営者の高齢化に伴い、事業承継に関する課題が増えており、同時に事業承継型M&Aも増加しています。当社グループは、当社独自の金融法人ネットワークを通じて持ち込まれる事業承継型M&A案件を中心に、事業承継サービスを伸長させてまいります。

 

④ESGやサステナビリティ戦略、及びDX(デジタルトランスフォーメーション)戦略を通じたコンサルティング事業の強化

ESGやサステナビリティへの対応やDXへの対応に関する顧客企業からの支援ニーズは急速に高まっており、当社グループとして専門人材の確保を進め、コンサルティング領域を拡大してまいります。

 

(3)対処すべき課題

当社グループの既存事業の成長のため、及び上記のソリューションの拡充のため、以下の課題に注力をしてまいります。

①専門家人材の積極的採用・育成の強化並びに社員の働きやすい環境の整備

当社グループにとって最も重要な経営資源は人材であり、多様化する案件需要に対応できる専門人材を確保するために積極的な採用を継続し、当社の規模拡大を図ってまいります。

また、他社との差別化を推進するため、経営コンサルティング事業において、産業知見を豊富に有する人材や特定の業務分野に精通した人材のさらなる採用・育成を強化するとともに、M&A案件やグローバル案件の増加に対応するため、当該分野における優秀な専門人材を積極的に採用・育成してまいります。

さらに、幅広い産業へのサポート体制構築のため、各産業分野のアナリストを招聘し重点産業分野の拡大を図るとともに、中期的にさらなる領域拡大を目指してまいります。

加えて、多様な人材が活躍できる職場環境の構築と同人材の採用、時間外労働の抑制、ハラスメントの根絶、マネジメント層に対する研修などについても取り組んでまいります。

 

②認知度及びブランド力の向上

当社グループの潜在顧客の信頼を高めるため、当社グループの認知度及びブランド力の向上が必要となります。

そのための方策として、当社グループのオウンドメディアである「FRONTIER EYES ONLINE」や、当社主催のウェビナーの運営等にも注力してまいります。

 

③組織的営業体制の整備

当社グループの売上の最大化を図るため、近年の成長ドライバーとなっている事業法人向けの組織的なカバレッジ体制を構築してまいります。

 

 

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