業績

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

(経営成績の状況)

当連結会計年度における我が国の経済は、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行、及び経済活動の抑制に伴う影響を受け、景況感は依然として厳しい状況にありますが、各種政策の効果とそれを踏まえた社会経済活動の段階的な再開もあり、徐々に持ち直しの動きが見られました。一方、同感染症の再拡大に伴う経済の下振れリスクや、ウクライナ情勢等による不透明感の中、原材料価格の上昇や金融資本市場の変動など、国内外経済の不確実性は極めて高く、景気の先行きが見通しにくい状況が続いております。

当社グループが属する人材サービス業界におきましては、2022年9月の有効求人倍率(季節調整値)は1.34倍、完全失業率は2.6%となり、飲食や旅行業界を中心とした事業再開に伴い、人材需要は回復傾向にて推移しました。

このような市場環境のもと、当社グループにおきましては、「人のチカラとIT」の融合を事業方針として掲げ、主力の人材派遣紹介事業における継続的な労働力の提供に加え、業務効率化の支援を行うことを目的に、人材派遣紹介事業にて培ったナレッジを活かした採用支援・BPOなどの各種代行事業や、AI・RPA(注1)・OCR(注2)などを活用したITソリューション事業を行っており、人手不足という大きな課題を解決するためのトータルサポートを提供してまいりました。また、近年、潜在労働力として期待されているシニア、女性、グローバル人材の活用や、障がいをお持ちの方の雇用機会の創出や処遇の確保・改善にも注力してまいりました。

当連結会計年度におきましては、当社グループの従業員の新型コロナウイルス感染防止に努めたほか、市場の悪化を踏まえ、一層の経費の削減を図るなど経営資源の最適化を行いました。また、新型コロナウイルス感染症に関連した業務の獲得に邁進することに加え、経済活動の再開から今後の国内旅行の事業再開やインバウンド需要が回復することを見据えた新規事業である「リゾートワーク事業」などの派遣先業界・業種の拡大、障がい者雇用サポート拠点の新設、事業シナジーの最大化を図ることを目的とした拠点の統合、協業による事業シナジー等を前提とした資本業務提携、各種新規事業に係る運営体制の整備など、様々な施策に注力してまいりました。

以上の結果、当連結会計年度の売上高は21,380百万円(前年同期比9.8%増)となり、事業部門別内訳は、人材派遣紹介事業が18,942百万円(前年同期比10.8%増)、製造請負事業が2,211百万円(前年同期比0.6%増)、その他事業が226百万円(前年同期比25,9%増)となりました。また、利益面では、営業利益が483百万円(前年同期比28.5%増)、経常利益が463百万円(前年同期比2.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益が287百万円(前年同期比6.6%減)となりました。

なお、当社グループは、人材派遣紹介関連事業を主な事業としており、他のセグメントの重要性が乏しいため、セグメント別の記載を省略しております。

 

(注)1.Robotic Process Automationの略。主にパソコンで作業している定型化された業務を、ロボットにより自動化する取り組みのこと。

 2.Optical Character Recognition/Readerの略。手書きや印刷された文字を、イメージスキャナやデジタルカメラによって読みとり、コンピュータが利用できるデジタルの文字コードに変換する技術のこと。

 

 

(財政状態の状況)

a.資産の部

当連結会計年度末における流動資産は4,467百万円となり、前連結会計年度末に比べ59百万円増加いたしました。これは主にその他が38百万円減少したものの、現金及び預金が16百万円、受取手形及び売掛金が79百万円増加したこと等によるものであります。

固定資産は1,345百万円となり、前連結会計年度末に比べ608百万円増加いたしました。これは主に投資有価証券が603百万円増加したこと等によるものであります。

この結果、総資産は、5,812百万円となり、前連結会計年度末に比べ668百万円増加いたしました。

 

b.負債の部

当連結会計年度末における流動負債は2,724百万円となり、前連結会計年度末に比べ382百万円増加いたしました。これは主に1年内返済予定の長期借入金が107百万円減少したものの、短期借入金が250百万円、未払消費税等が218百万円、未払法人税等が27百万円増加したこと等によるものであります。

固定負債は16百万円となり、前連結会計年度末に比べ3百万円減少いたしました。これは主にその他が5百万円増加したものの、長期借入金が9百万円減少したこと等によるものであります。

 

c.純資産の部

当連結会計年度末における純資産合計は3,070百万円となり、前連結会計年度末に比べ289百万円増加いたしました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が287百万円増加したことによるものであります。

この結果、自己資本比率は52.8%(前連結会計年度末は54.1%)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物は、2,015百万円と前連結会計年度末に比べ16百万円の増加となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は652百万円(前年同期は244百万円の獲得)となりました。これは主に、売上債権の増加額が75百万円、法人税等の支払額が146百万円あったものの、未払消費税等の増加額が218百万円、減価償却費の計上が61百万円、未払金の増加額が31百万円、法人税等の還付額が65百万円、助成金の受取額が11百万円、税金等調整前当期純利益が463百万円あったこと等によるものであります。

 
(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は742百万円(前年同期は188百万円の使用)となりました。これは主に、敷金の回収による収入が3百万円あったものの、投資有価証券の取得による支出が653百万円、有形固定資産の取得による支出が56百万円あったこと等によるものであります。

 
(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果得られた資金は106百万円(前年同期は170百万円の使用)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出が117百万円、シンジケートローン手数料による支出が23百万円あったものの、短期借入金の借入による収入が250百万円あったこと等によるものであります。

 

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当社グループの提供するサービスの性質上、生産体制、販売経路の記載と関連づけ難いため、記載を省略しております。

 

b.受注実績

当社グループの提供するサービスの性質上、受注実績の記載につきましても上記「a.生産実績」同様に、記載を省略しております。

 

c.販売実績

当連結会計年度の販売実績は、次のとおりであります。なお、当社グループは人材派遣紹介関連事業を主な事業としており、他のセグメントの重要性が乏しいため、事業部門別に記載しております。

 

事業部門の名称

当連結会計年度

(自 2021年10月1日

至 2022年9月30日)

前年同期比(%)

人材派遣紹介事業(千円)

18,942,319

110.8

製造請負事業(千円)

2,211,798

100.6

その他事業(千円)

226,718

125.9

合計(千円)

21,380,837

109.8

 

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産・負債、収益及び費用の金額に影響を与える見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績の分析

(売上高)

当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ1,906百万円増加し、21,380百万円(前年同期比9.8%増)となりました。これは主に、コールセンター、物流倉庫内作業、イベント関連等の人材需要が多く寄せられ、当社グループの手配力という強みも活き、人材派遣紹介事業が好調に推移した結果によるものです。

 

(売上原価、売上総利益)

当連結会計年度の売上原価は、前連結会計年度に比べ1,528百万円増加し、17,341百万円(前年同期比9.7%増)となりました。これは主に、前述の売上高の増加に伴う派遣スタッフの人件費の増加によるものです。また、利益面では、前述の売上高の増加、及び顧客との派遣単価の交渉により、売上総利益は、4,039百万円(前年同期比10.3%増)となりました。

 

(販売費及び一般管理費、営業利益)

当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ270百万円増加し、3,555百万円(前年同期比8.2%増)となりました。これは主に、新規事業の開始等に伴う人件費の増加、及び派遣スタッフの求人費の増加、その他の経費の増加等によるものであります。この結果、営業利益は、483百万円(前年同期比28.5%増)となりました。

 

(経常利益)

当連結会計年度の経常利益は、前連結会計年度に比べ10百万円減少し、463百万円(前年同期比2.3%減)となりました。これは主に、助成金収入が減少したこと等によるものであります。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ20百万円減少し、287百万円(前年同期比6.6%減)となりました。これは主に、経常利益が減少したことによるものであります。

 

経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2.事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

b.資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社グループは、収益力の強化や事業基盤の整備を実施しつつ、内部留保の状況及び企業を取り巻く事業環境を勘案した上で、株主に対して安定的かつ継続的な利益還元を実施することを基本方針としております。

当社グループの資金需要は主に運転資金需要と設備資金需要があります。運転資金需要は稼動スタッフの労務費と販売費及び一般管理費等の営業費用によるものです。設備資金需要につきましては、拠点の新設及び移転に伴う改装費用やシステム関連投資であります。

この資本の財源は内部資金、当座貸越契約及びコミットメントライン契約等の銀行借入によります。

また、当社グループは、新規事業への新たな取り組みに関する運転資金の確保及び財務基盤の安定性向上のために機動的な資金調達手段を確保することを目的に2021年12月に株式会社三井住友銀行を含む5金融機関と新たにシンジケート方式によるコミットメントライン契約を締結しております。これにより従前からの当座貸越契約及びコミットメントライン契約を含め総額2,550百万円の融資枠を確保しております。なお、当連結会計年度における借入実行残高は、500百万円となります。

なお、キャッシュ・フローの状況の分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

 

③ 経営者の問題意識と今後の方針について

経営者の問題意識と今後の方針につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりでありますが、今後収益を拡大するためには、既存の事業の更なる拡大、新規事業の展開が必要であると認識しております。

そのためには、優秀な人材の確保や教育の強化、組織体制の整備を引き続き行い、これらの課題に対して最善の事業戦略を立案するよう、努めてまいります。  

 

 

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