業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

 当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

 当事業年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により依然として厳しい状況にあります。感染拡大の防止策を講じるなかで、各種政策の効果や海外経済の改善もあって、先行きは持ち直しの動きが続くことが期待されますが、内外の感染拡大による下振れリスクの高まりや、金融資本市場の変動等の影響を注視する必要があります。

 人材サービス業界を取り巻く環境につきましては、経済活動の停滞を通じて雇用情勢に影響を及ぼすことが懸念されておりますが、このところ持ち直しの動きがみられており、景気の先行指標となる新規求人数については横ばい圏内となっております。

 一方、介護分野における有効求人倍率は依然として全産業の中で高い水準で推移しておりますが、他業界からの求職者流入等の複線的な要因による雇用に対する充足感の高まりで低下傾向がみられます。当該有効求人倍率が2020年6月以降前年水準を下回る等、当社サービスへの影響が出ており、新型コロナウイルス感染症の影響により不確実性の高い事業環境となっております。

 また、2020年4月からは、働き方改革関連法により同一労働同一賃金の実現に向けた改正労働者派遣法が施行され、適切な対応が求められております。

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 このような情勢の中、当社は、新型コロナウイルス感染拡大防止に向けて対策本部を立ち上げており、継続的にガイドラインを更新し、適切に対応しながらサービスの提供に努めてまいりました。

 業界団体からの応援派遣事業をはじめ、2020年12月より広島県において「新型コロナウイルス感染症軽症者等宿泊療養施設運営業務」、2021年1月より「新潟県介護サービス施設・事業所への応援職員派遣事業」を受託しております。

 教育研修においては、コロナ禍における教育研修環境の最適化のため、福祉業界に特化したeラーニングサービス「E care labo(イーケアラボ)」の無償提供を一定期間行い、より多くの従業員の方々が研修を受講できるよう取り組んでまいりました。

 また、競争優位性の確立のため求職者獲得に向けた求人投資と営業支援部門の強化を図り、生産性向上のためのシステム投資等により、持続的成長の実現に向けた体制づくりを継続してまいりました。

 なお、当事業年度における営業拠点については、1店舗当たりの事業規模の拡大を図るため、新規出店は行わず既存店38支店で展開いたしました。

 以上の結果、当事業年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

. 財政状態

(単位:千円)

 

前事業年度

(自 2019年4月1日

至 2020年3月31日)

当事業年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

増減額

増減率

総資産

3,168,644

3,060,811

△107,832

△3.4%

負債

1,038,257

968,346

△69,910

△6.7%

純資産

2,130,387

2,092,464

△37,922

△1.8%

自己資本比率

67.2%

68.4%

1.2pt

 

. 経営成績

(単位:千円)

 

前事業年度

(自 2019年4月1日

至 2020年3月31日)

当事業年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

増減額

増減率

売上高

8,257,215

7,658,133

△599,082

△7.3%

営業利益

(営業利益率)

365,815

(4.4%)

59,548

(0.8%)

△306,267

△83.7%

経常利益

(経常利益率)

357,267

(4.3%)

57,616

(0.8%)

△299,651

△83.9%

当期純利益

(当期純利益率)

226,075

(2.7%)

4,824

(0.1%)

△221,250

△97.9%

(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

2.当社は人材サービス事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載はしておりません。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前事業年度末に比べ 123,105千円減少 し、 1,851,160千円 (前期末比6.2%減)となりました。

 当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 なお、本書提出日現在における新型コロナウイルス感染症に伴う影響は、軽微であると考えておりますが、今後さらなる感染拡大や流行が長期化した場合には、当社の事業活動に支障が生じ、翌事業年度のキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は、18,965千円(前年同期比82.4%減)となりました。これは主に、税引前当期純利益57,616千円の計上、退職給付引当金の増加額38,433千円、売上債権の減少額103,992千円等の資金増加要因が、未払消費税等の減少額66,520千円、法人税等の支払額122,336千円等の資金減少要因を上回った結果であります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は、99,323千円(前年同期比383.8%増)となりました。これは主に、無形固定資産の取得による支出97,032千円等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は、42,747千円(前年同期比7.8%増)となりました。これは主に、配当金の支払額48,050千円等によるものであります。

 

③生産、受注及び販売の実績

a. 生産実績

 当社は生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。

 

b. 受注実績

 当社は人材サービス事業を営んでおり、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじ まないため当該記載を省略しております。

 

. 販売実績

 販売実績は次のとおりであります。なお、当社は人材サービス事業の単一セグメントであるため、サービス別に記載しております。

(単位:千円)

サービスの名称

前事業年度

(自 2019年4月1日

至 2020年3月31日)

当事業年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

増減額

増減率

人材派遣

7,231,734

6,741,065

△490,669

△6.8%

紹介予定派遣

130,250

95,174

△35,076

△26.9%

人材紹介

733,252

708,063

△25,188

△3.4%

委託

108,258

70,572

△37,686

△34.8%

教育研修

47,014

38,672

△8,341

△17.7%

その他

6,705

4,584

△2,120

△31.6%

合 計

8,257,215

7,658,133

△599,082

△7.3%

(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2) 経営者の 視点による 経営成績等の 状況に関する 分析 ・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により依然として厳しい状況にあります。感染拡大の防止策を講じるなかで、各種政策の効果や海外経済の改善もあって、先行きは持ち直しの動きが続くことが期待されますが、内外の感染拡大による下振れリスクの高まりや、金融資本市場の変動等の影響を注視する必要があります。

 当社が展開する人材派遣、人材紹介サービスの提供先は介護・医療事業者であり、介護サービスを受けるご利用者は、重症化リスクの高い高齢者が多いことから、クライアント及び当社における安全対策を十分にとる必要があります。そのため、新型コロナウイルス感染症の影響の長期化に伴い、求職者の面接及び施設見学の見合わせ等が増加することで業績への影響を及ぼす可能性があります。

 また、教育研修サービスにおいて、クライアントの従業員を一堂に会して実施する集合研修は、そのサービスの特色から新型コロナウイルスの感染拡大による影響を受けやすいサービスであると考えておりますが、マスクの着用の徹底、社会的距離の確保、ワクチン接種数の増加等の感染防止対策を講じることで、回復基調で推移することが見込まれます。一方、eラーニングサービス「E care labo(イーケアラボ)」は、研修受講の場所を選ばないため、新型コロナウイルスの感染拡大の影響は受けないものと考えております。

 このような環境下、当社は競争優位性の確立のため登録スタッフ獲得に向けた積極的求人投資と営業支援部門の強化を図り、生産性向上のためのシステム投資等、持続的成長の実現のための先行投資を計画しております。

 また、経営成績に重要な影響を与える要因として、介護保険利用者の増加に伴い介護職員や看護師に対する需要は増大しておりますが、少子高齢化の進展により労働力人口が減少しており、施設等へ派遣または紹介する登録スタッフの獲得ができない場合やコーポレート・ガバナンスやリスク管理、コンプライアンスについて継続的な強化の反面、業務の適正を図れない場合には、当社の人材サービス事業の量的、質的な低下を招くおそれがあります。その他、経営成績に重要な影響を与え得る様々なリスクにつきましては「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」をご参照ください。

 なお、財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 

a. 財政状態

(流動資産)

 当事業年度末における流動資産合計は2,764,527千円となり、前事業年度末に比べ207,678千円の減少となりました。その主な要因は、営業支援部門の強化及び生産性向上のためのシステム投資を積極的に行ったことに伴い、現金及び預金が123,105千円減少、また、改正労働者派遣法による派遣先の一部利用控えに加え、新型コロナウイルス感染症の影響による売上高減少に伴い、売掛金が103,992千円減少したことによるものであります。

 

(固定資産)

 当事業年度末における固定資産合計は296,283千円となり、前事業年度末に比べ99,845千円の増加となりました。その主な要因は、生産性向上のためのシステム投資を積極的に行ったことに伴い、ソフトウエア仮勘定が83,500千円増加したことによるものであります。

 

(流動負債)

 当事業年度末における流動負債合計は853,719千円となり、前事業年度末に比べ108,630千円の減少となりました。その主な要因は、前事業年度と比較し法人税の所得金額が大幅に減少し、前事業年度の所得をベースとした予定納税額が過大となったため、未払法人税等が45,003千円減少、また、前事業年度と比較し課税売上高が減少したことに伴い、未払消費税等が66,520千円減少したことによるものであります。

 

(固定負債)

 当事業年度末における固定負債合計は114,626千円となり、前事業年度末に比べ38,719千円の増加となりました。その主な要因は、2020年4月1日施行の改正労働者派遣法「同一労働同一賃金」により派遣スタッフの退職給付債務の見込額を計上したことに伴い、退職給付引当金が38,433千円増加したことによるものであります。

 

(純資産)

 当事業年度末における純資産合計は2,092,464千円となり、前事業年度末に比べ37,922千円の減少となりました。その主な要因は、新株予約権の行使による株式の発行により資本金が2,698千円、資本準備金が2,688千円増加、また、当期純利益の計上により利益剰余金が4,824千円増加、一方配当金の支払により利益剰余金が48,050千円減少したことによるものであります。

  なお、自己資本比率は68.4%(前事業年度末は67.2%)となりました。

 

b. 経営成績

(売上高)

 当事業年度は、改正労働者派遣法による派遣先の一部利用控えに加え、新型コロナウイルス感染症の影響で雇用に対する充足感の高まりによる影響が生じております。このような環境下、人材派遣、紹介予定派遣及び委託は、派遣単価が増加したものの、派遣スタッフ数に連動して総稼働時間が減少した結果、6,906,812千円(前年同期比7.5%減)となりました。人材紹介は、前事業年度に実施した料率改定による改善効果で紹介単価が増加したものの、成約件数が低調となった結果、708,063千円(同3.4%減)となりました。教育研修は、新型コロナウイルス感染症の影響により、「E care labo(イーケアラボ)」を推進したものの、講師派遣型集合研修が前年水準まで回復しなかった結果、38,672千円(同17.7%減)となりました。この結果、当事業年度の売上高は、 7,658,133千円 (同7.3%減)となりました。

 

(営業利益)

 当事業年度の売上原価は、 6,569,220千円 (同5.9%減)となりました。これは主に派遣スタッフの減少に伴い、派遣スタッフ人件費が減少したことによるものであります。販売費及び一般管理費は、 1,029,365千円 (同12.8%増)となりました。これは主に組織体制強化による人件費及び求職者獲得のための自社WEBサイトの広告費用ならびにシステム導入費用等の増加によるものであります。この結果、営業利益は 59,548千円 (同83.7%減)となりました。

 

(経常利益)

 当事業年度の営業外収益は 2,567千円 (同207.8%増)、営業外費用は 4,500千円 (同52.0%減)となりました。この結果、経常利益は 57,616千円 (同83.9%減)となりました。

 

(当期純利益)

 当事業年度の法人税等は 52,791千円 (同59.8%減)となりました。この結果、当期純利益は 4,824千円 (同97.9%減)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容ならびに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

(キャッシュ・フロー)

 当社は、健全な財務バランスを重視した経営に努めております。

 当事業年度においては、競争優位性確立のための登録スタッフ獲得へ向けた積極的求人投資と営業支援部門の強化を図り、生産性向上のためのシステム投資等、持続的成長実現のために先行投資を行った結果となります。

 当事業年度の営業活動の結果得られた資金は、改正労働者派遣法による派遣先の一部利用控えに加え、新型コロナウイルス感染症の影響による売上高減少に伴い、 18,965 千円(前年同期比82.4%減)、投資活動の結果使用した資金は、営業支援部門の強化及び生産性向上のためのシステム投資を積極的に行ったことに伴い、 99,323 千円(前年同期比383.8%増)、財務活動の結果使用した資金は、配当金の支払に伴い、 42,747 千円(前年同期比7.8%増)となりました。この結果、当事業年度末における現金及び現金同等物は、前事業年度末に比べ 123,105千円減少 し、 1,851,160 千円(前期末比6.2%減)となりました。

 

(財務政策)

 当社は、運転資金及び設備資金につきましては、原則内部資金で対応しております。本書提出日現在、借入金はございませんが、金融機関との間で合計500,000千円の当座貸越契約を締結しており、急な資金需要や不測の事態に備えております。今後も十分な流動性の維持に努めてまいります。

 なお、本書提出日現在における新型コロナウイルス感染症に伴う影響は、軽微であると考えておりますが、今後さらなる感染拡大や流行が長期化した場合には、当社の事業活動に支障が生じ、翌事業年度のキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。

 財務諸表の作成に際し、決算日における資産・負債の報告数値及び会計年度における収益・費用の報告数値に影響を与える見積りは、過去の実績や当社を取り巻く環境等に応じて合理的と考えられる方法により計上しておりますが、見積り特有の不確実性があるために実際の結果は異なる場合があります。

 当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (重要な会計方針)」に記載しておりますが、特に以下の会計方針が財務諸表作成における重要な見積りの判断等に影響を及ぼすと考えております。

 なお、当社の新型コロナウイルス感染症による影響につきましては、変異ウイルスの拡大、緊急事態宣言の再発出、及びワクチン接種の進捗が遅れていることから、不透明な状況が続く予想ではあるものの、翌事業年度中には、当社の事業運営が正常化することを仮定して、以下の会計上の見積りを行っております。

 新型コロナウイルス感染症による影響は、不確定要素が多く、今後、実際の経過が上述の仮定と乖離する場合には翌事業年度の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

.貸倒引当金

 債権の貸倒損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については、個別に回収可能性を勘案し、回収不能見込額を計上しております。

 なお、取引先の財政状態が予測を大幅に超えて悪化し、その支払能力が著しく低下した場合、追加引当処理が必要となる可能性があります。

 

b.  返金引当金

 人材紹介サービスにおいては、人材紹介業界での取引慣行に基づき、求職者が入社した日から3ヵ月未満で自己都合により退職した場合には、その退職までの期間に応じて紹介料を返金する旨を求人先との契約に定めております。

 当社は、求人先と求職者双方のニーズを十分に斟酌した上で紹介を進めておりますが、人材紹介手数料の返金等の負担に備えるため、過去の返金実績に基づき返金引当金を計上しております。

 

c. 退職給付引当金

 従業員の退職給付に備えるため、当事業年度末における退職給付債務の見込額に基づき計上しております。

 退職給付債務の算定にあたり、退職給付見込額を当事業年度末までの期間に帰属させる方法については、給付算定式基準によって行っております。

 過去勤務費用については、その発生時における従業員の平均残存勤務期間以内の一定の年数(3年)による定額法により費用処理しております。

 数理計算上の差異については、各事業年度の発生時における従業員の平均残存勤務期間以内の一定の年数(3年)による定額法により按分した額を、それぞれ発生の翌事業年度から費用処理しております。

 

d. 繰延税金資産

 繰延税金資産は毎期、過去の課税所得の推移や将来の課税所得の見込額を勘案し、回収可能性を慎重に検討した結果をもとに、法定実効税率を用いて繰延税金資産を計上しております。

 繰延税金資産の回収可能性を評価するに際しては、将来の課税所得を十分に検討し、合理的と考えられる様々な要因を考慮した上で判断しておりますが、実際の結果は、見積り根拠となる仮定または条件等の変化により、見積り内容が実際の結果と異なる可能性があります。また、将来の課税所得が予想を下回った場合には、繰延税金資産の修正が必要となる可能性があります。

 

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