課題

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

日本経済は、新型コロナウイルス感染症による厳しい状況が徐々に緩和される中で、持ち直しの動きが続きました。一方で、地政学的リスク等による原材料価格の上昇や供給面での制約等による下振れリスク、感染症による影響など、不確実性は高い状況が続いております。

当社グループをとりまく経済環境は、警備業は社会活動を維持するために必要不可欠なサービスであり、その社会的ニーズは底堅く推移しております。一方で、感染症による影響、競合他社との競争にともなう価格低下圧力の高まり、人手不足を背景とした労務費や採用コストの上昇は、警備業界に影響を及ぼしております。

このような経営環境の下、当社グループは、長期的な事業の成長に向けて、売上及び利益拡大に取り組んでまいりました。

 

経営方針、経営戦略

当社グループは、長期視点での経営方針として、売上高800億円、社員数2万人規模を目指すとし、「M&Aへの投資」「積極的な若手人材の採用」「社員の資格取得支援」を取り組むべき施策としております。

 

<M&Aへの投資について>

国内の警備市場は約3兆5千億円(警察庁生活安全局生活安全企画課「令和2年における警備業の概況」)となっております。このうち機械警備業の推定市場は6,595億円(公益社団法人日本防犯設備協会「2020年版 統計調査報告書」)となっており、差額の約2兆8千億円が当社グループの活動する市場規模と考えられます。

また、国内の警備業者は中小企業を中心に約1万社あり、事業承継問題が顕在化していることから業界再編が活発化している傾向がみられます。当社グループは、前述の市場シェアを拡大するためM&Aを成長戦略のひとつに位置づけており、規模による効率的な利益創出をめざすことにより、社員及び株主の皆様への還元につなげてまいりたいと考えております。

 

・想定スキーム

・マジョリティー取得にこだわらず、戦略的アライアンス(マイノリティー出資)を含め、案件を幅広く検討する。

 

・想定されるシナジー(買い手となる当社が上場会社であることのメリット)

社員持株会等のグループ福利厚生によるエンゲージメント向上

・コンプライアンス指導

・大手との直接取引による高単価での受注活動

・基幹システムの共有による業務高度化及びコストメリット

 

当社は、2021年6月に警備事業を行うKSE株式会社(広島県広島市)をセフトHD株式会社と共同出資で設立、事業を開始いたしました。また、2022年4月には警備事業を行う日本セキユリテイサービス株式会社(大阪府大阪市)の全株式を取得し、完全子会社化いたしました。

当社グループは、業界再編へ関与することは、当社グループ及びステークホルダーの利益創出のみならず、持続可能な社会の実現に向けて警備業界の社会価値を創出すると考えており、今後も積極的に取り組んでまいります。

 

<積極的な若手人材の採用>

当社グループは、新卒採用はもとより、第二新卒及び既卒の通年採用にも注力しております。若手人材の採用は、収益確保と幹部候補生育成のため、引き続き積極的に取り組んでまいります。当社グループは、施設警備など安定的な収益基盤が構築されていることから、責任感と向上心の強い正社員の比率50%をめざし、品質向上による収益力強化につなげたいと考えております。

また、女性、外国人、中途採用を含めて、積極的に管理職登用のチャンスを与え、人材育成を加速してまいります。

 

<社員の資格取得支援>

当社グループは、"One Person, One License"から"One Person, 10 License"にスローガンをあらため、社員の資格取得支援を加速しております。1人の社員が複数の資格を所有することによって、品質向上による収益力強化、及び社員エンゲージメントの向上と離職率低下をめざしてまいります。また、社員の技術的・職業的スキルの開発により、持続可能な社会の実現へ貢献してまいります。

 

経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標

当社グループは、長期視点での経営方針として、売上高800億円、社員数2万人規模を目指すとし、売上成長と利益拡大に取り組んでおります。売上成長の経営指標として、「売上高成長率」及び「警備員等の人員数の推移」、利益拡大の経営指標として「営業利益」及び「営業利益率」を主要なKPIと位置づけております。

 

経営環境並びに事業上及び財務上の対処すべき課題

2020年以前の国内警備市場5年間(2015年~2019年)のCAGR(年平均成長率)は1.45%であり、市場規模は緩やかに拡大してきました。また、コロナ禍である2020年の成長率は2.25%の減少に留まっており、警備業に対する社会的ニーズは底堅く推移していることがうかがえます。一方で、感染症による影響、価格低下圧力、人手不足といった要因によって、警備業界の見通しは不透明性が増しております。

 

<新型コロナウイルス感染症に対する取り組み>

病院の経営支援などを行う株式会社ユカリアと業務提携契約を締結し、感染症対策ガイドラインに基づいたサービスの提供に努めており、社員及びお客様の安全確保、感染拡大の防止を最優先に取り組んでおります。例えば、契約先との協議において、同一の警備対象施設内で班分けによる完全交替制の勤務を行うなど、警備体制への影響を最小限に抑えるべく取り組んでおります。また、全従業員を対象とした安否確認システムにより、感染者の早期発見につとめております。

 

<競合他社との競争にともなう価格低下圧力の高まり>

国内の警備業者は中小企業を中心に約1万社あり、競合他社との競争にともなう価格低下圧力の高まりに直面しております。当社グループは、競争優位性を失わないため、規模による動員力を高め、"One Person, 10 License"というスローガンのもと、社員の資格取得によってサービス付加価値を高め、受注力を強化してまいります。

 

<人手不足を背景とした労務費や採用コストの上昇>

2022年3月の有効求人倍率は5.89倍であり、深刻な人手不足が続いております。当社グループは、前述の資格取得支援による技術的・職業的スキルの開発を通じて社員エンゲージメントを高め、社員のキャリア形成を後押しすることなどにより、採用力の強化と離職率の低下を図り、人手不足を克服してまいります。また、人件費の上昇にともなって、適正な料金設定につとめてまいります。

 

 

サステナビリティーについて

当社グループは、事業を通じた持続的な成長のためには「マンパワー」が最も重要な経営資産であると認識しており、「マンパワー」である社員エンゲージメントを高めることが、当社グループの持続的な成長と、社会価値創出を実現し、持続可能な社会の実現に貢献するものと考えております。

当社グループが心得るべき持続可能な開発目標(SDGs)は以下の通りであると認識しております。

持続可能な開発目標(SDGs)

当社が貢献すべきアクションプラン

1.貧困をなくそう

安全・安心のラストワンマイルを担うのは、適応力を備えた「マンパワー」であり、当社グループは多くの人材を必要としております。当社グループは、雇用創出やダイバーシティへの取り組みを通じて、地域社会に貢献してまいります。

3.すべての人に健康と福祉を

当社グループは、社員の資格取得支援などを通じて、社員の受傷事故防止を含めた道路交通事故の減少に取り組み、一人でも多くの人々が安全・安心な日常社会を営む社会に貢献してまいります。

4.質の高い教育をみんなに

当社グループは、"One Person, 10 License"とスローガンを掲げて社員の資格取得をサポートしており、技術的・職業的スキルの開発による社員エンゲージメントの向上に貢献してまいります。

5.ジェンダー平等を実現しよう

当社グループは、ダイバーシティ推進及び人材確保のため、女性の職域確保を重要な戦略と位置づけており、当社グループの成長を通じて、ジェンダー平等に貢献してまいります。

8.働きがいも経済成長も

当社グループの事業は労働集約型セクターに該当しており、サービスの付加価値向上による生産性向上を目指しております。また、警備業は、持続可能な社会の実現に多大な影響を及ぼす事業であると認識しており、警備業界と警備員の社会的地位の向上につとめてまいります。

11.住み続けられるまちづくりを

当社グループは、事業を通じてユーザーの防災・減災に貢献しております。また、災害発生時には、コントロールセンターが指揮命令系統の中枢として、当社グループ及びユーザーのBCPを担います。

16.平和と公正をすべての人に

当社グループは、安全・安心の提供による社会価値の創出を通じて、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。

 

 

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