業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①経営成績の状況

当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の拡大防止を目的とした、政府による断続的な緊急事態宣言等が長期化したことを受け、経済活動が停滞するなど先行き不透明な厳しい状況が続きました。2021年9月末の緊急事態宣言の解除以降は、徐々に持ち直しの動きがみられ始めたものの、感染再拡大は依然としてリスク要因であり、ウクライナ情勢等による建築資材価格の上昇や金融資本市場の変動、供給面での制約による景気の下振れリスクが警戒される状況にあります。

当社グループの主要顧客が属する建設業界においては、公共投資が引き続き堅調に推移したことに加え、感染症の影響により減少していた民間建設投資についても、延期されていた再開発案件の再開等に伴い、前年を上回って推移いたしました。当社グループ事業においても、感染症拡大の影響を受けたものの、建設業界が抱える技術者の高齢化及び若手不足の構造的な問題は依然として続いており、将来的に労働生産性向上等による省人化を前提とした場合でも、派遣技術者の利用は継続的に増加すると見込んでおります。一方、景況感の持ち直し、及び企業の新型コロナウイルス対策の推進による経済活動の正常化に伴う人手不足を受け、技術者の確保は難しさを増しております。

このような事業環境のもと、当社グループのコアサービスである建設・プラント技術者派遣・紹介では、成長の礎である付加価値の高いエンジニアを確保するため、建設業界の経験者をメインターゲットとし、有料媒体で積極的に募集を行ったほか、自社求人サイト「現キャリ」の全面リニューアルを実施する等、採用の強化に取り組みました。しかしながら、経験者を中心とした労働需給のタイト化を受け、中途技術者を中心に採用数が伸び悩み、当連結会計年度末における建設・プラント技術者派遣の技術者数は1,995人(前連結会計年度末2,020人)となりました。足もとでは、取引先からの月間の取得案件数が2,000件を超える等旺盛な人財需要に対して積極的な採用コストを投下しており、採用戦略の更なる強化に舵を切っております。また、売上原価率の改善に対しては、前連結会計年度より経営の優先課題の一つに掲げていたチャージアップ(派遣技術社員一人当たりの契約単価の向上)交渉に引き続き注力いたしました。加えて、勤怠管理や請求書作成等の自動化を目的に基幹システムの刷新を行い、バックオフィス業務の生産性向上に努めました。さらに、グループ全体の更なる事業成長と収益の安定性向上を目指し、2021年4月の株式会社アトモスの子会社化に続き、付加価値の高いエンジニアに特化した事業ポートフォリオの構築を目的として2021年9月にバリューアークコンサルティング株式会社の発行済全株式を取得し、子会社化いたしました。海外事業においては、2021年4月に海外事業子会社COPRO VIETNAM CO., LTD.をベトナム社会主義共和国に設立いたしました。新型コロナウイルス禍により海外渡航に制限がかかる中、現地教育機関との提携等の内部準備を進め、アフターコロナを見据えたサービス展開の基盤固めを行ってまいりました。

これらの結果、当連結会計年度の業績につきましては、2021年6月より機械設計開発技術者派遣を中心とする株式会社アトモスを、また2021年10月よりSES(システムエンジニアリングサービス)を展開するバリューアークコンサルティング株式会社を連結した結果、当連結会計年度末の連結技術者数が2,201人(前連結会計年度末2,020人)と増加したため、売上高15,589,085千円(前年同期比5.1%増)となりました。利益面につきましては、M&A関連等の一時費用が発生した一方で、チャージアップによる原価率の改善及びその他経費の抑制により、営業利益は1,621,460千円(同12.8%増)、経常利益1,619,771千円(同12.5%増)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、前期の特別利益の剥落の影響と、当連結会計年度における支店統廃合に伴う減損損失の計上等により、962,953千円(同4.6%減)となりました。

なお、当社グループは技術者派遣事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載を省略しております。

 

②財政状態の状況

(資産の部)

当連結会計年度末における資産合計は8,841,319千円となり、前連結会計年度末に比べ326,974千円増加いたしました。

これは主に、子会社取得による支払、自己株式の取得及び配当金の支払等により流動資産が659,125千円減少した一方で、子会社取得、本社移転及び新規基幹システム開発等に伴い固定資産が986,100千円増加したことによるものであります。

 

 

(負債の部)

当連結会計年度末における負債合計は2,266,154千円となり、前連結会計年度末に比べ24,212千円増加いたしました。

これは主に、未払消費税等の減少212,009千円及び社債の減少70,000千円の一方で、未払法人税等の増加216,524千円及び、子会社の新規連結等により未払金が197,879千円増加したことによるものであります。

また、今後の積極的な事業展開を推進していくための資金需要に対して、迅速で自由度の高い安定的な資金調達手段の確保を目的として取引銀行2行と総額30億円のコミットメントライン契約を締結しております。なお、当連結会計年度末において、本コミットメントラインに基づく借入実行残高はありません。

 

(純資産の部)

当連結会計年度末における純資産合計は、6,575,164千円となり、前連結会計年度末に比べ302,761千円増加いたしました。これは主に剰余金配当357,236千円の実施、親会社株主に帰属する当期純利益を962,953千円計上したことによる利益剰余金の増加605,716千円、自己株式の取得等による自己株式の増加347,871千円、従業員に対するストック・オプション発行による新株予約権の増加36,299千円によるものであります。

この結果、自己資本比率は74.0%(前連結会計年度末は73.7%)となりました。

 

③キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、4,021,037千円となり、前連結会計年度末に比べ1,262,782千円減少いたしました。

各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得た資金は824,767千円(前年同期は988,646千円の収入)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益1,556,050千円、減価償却費121,337千円、減損損失125,289千円、売上債権の増加額133,876千円及び法人税等の支払額504,803千円によるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は1,264,136千円(同83,185千円の支出)となりました。これは主に連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出921,327千円、有形固定資産の取得による支出230,176千円及び無形固定資産の取得による支出75,237千円によるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は825,027千円(同417,059千円の支出)となりました。これは主に配当金の支払額356,727千円及び自己株式の取得による支出349,942千円によるものです。

 

④生産、受注及び販売の実績

当社グループは、技術者派遣事業の単一セグメントであるため、セグメント情報の記載を省略しておりますが、派遣先の業種別に示すと次のとおりであります。

 

a.生産実績

当社グループは、生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。

 

b.受注実績

当社グループは、受注生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。

 

c.販売実績

当連結会計年度の販売実績をサービス別に示すと、次のとおりであります。

サービス

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

金額(千円)

前連結会計年度比(%)

建設・プラント技術者派遣

建築

4,771,601

106.1

土木

2,600,833

94.7

設備

3,462,456

93.6

プラント

2,169,419

98.5

CAD

1,232,615

102.0

機械設計開発技術者派遣

662,847

SES

95,021

その他

594,288

122.3

合計

15,589,085

105.1

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度の財政状態に関する認識及び分析・検討内容については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」に記載のとおりであります。

 

当社グループの当連結会計年度の経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

(売上高)

当連結会計年度の売上高は、15,589,085千円(前年同期比5.1%増)となりました。

2021年6月より機械設計開発技術者派遣を中心とする株式会社アトモスを、また2021年10月よりSES(システムエンジニアリングサービス)を展開するバリューアークコンサルティング株式会社を連結した結果、当連結会計年度末の連結技術者数が2,201人(前連結会計年度末2,020人)と増加したことが寄与し、売上高が伸長いたしました。

 

(売上原価、売上総利益)

売上原価は、10,744,245千円(同1.9%増)となりました。売上原価の増加率と売上高との増加率の差については、チャージアップによる原価率の改善及び原価低減に努めたことによるものであります。この結果、売上総利益は、4,844,839千円(同12.7%増)となりました。また、売上高総利益率は31.1%となりました。

 

(販売費及び一般管理費、営業利益)

販売費及び一般管理費は、3,223,379千円(同12.7%増)となりました。これは主に本社移転関連費用、2社の新規連結に伴う費用、当該M&A費用及びのれん償却額等の増加によるものであります。この結果、営業利益は1,621,460千円(同12.8%増)となりました。

 

 

(営業外収益、営業外費用及び経常利益)

営業外収益は1,380千円(同72.6%減)、営業外費用は為替差損1,571千円の計上等により3,069千円(同1.1%増)となり、この結果、経常利益は1,619,771千円(同12.5%増)となりました。

 

(特別利益、特別損失及び親会社株主に帰属する当期純利益)

特別利益として保険解約返戻金60,433千円、特別損失として減損損失125,289千円を計上した結果、税金等調整前当期純利益は1,556,050千円(同8.1%増)となりました。

また、法人税等合計を593,097千円計上したことにより法人税等の税額負担が大幅に増加した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は962,953千円(同4.6%減)となりました。

 

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおり、事業環境に由来するリスク、事業内容に由来するリスク等様々なリスク要因が当社グループの経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。これらの経営成績に重要な影響を与えるリスクに対応するため、組織体制の更なる強化等を行ってまいります。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、当社グループの資金需要の主なものは、事業規模拡大に伴い必要となる運転資金、及び当社グループが将来に向けた更なる付加価値向上を図るための設備投資であります。これらの資金需要は手元資金で賄うことを基本としております。余裕資金の運用は定期預金を中心とした安全で流動性の高い金融資産であり、流動性を確保しております。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 注記事項(重要な会計上の見積り)及び(追加情報)」に記載しております。

 

④経営者の問題認識と今後の方針について

当社グループは、現在の経営環境及び予測や取得可能な情報に基づき、企業価値を最大限に向上させるよう経営戦略の見直し及び再検討を随時行っております。

また、関連法規制の遵守は経営上最も重要な課題と位置付けており、法令遵守に対する一層の意識向上と体制強化を図るため、社内教育や継続的な施策を実施し、社会的信用をより一層得ることに努めてまいります。

 

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