業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)  経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財務状況及び経営成績の状況

1.経済状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルスのワクチン接種が進み、行動制限が徐々に緩和されると、経済活動が再開され景気の回復が続きました。しかしながら、新たな変異株が確認され、感染が再拡大するなど、世界レベルでの新型コロナウイルス感染収束が見通せず、経済の先行き不透明な状況が続いております。

 

2.市場環境

当社グループの事業が関わる医療・看護・介護の環境につきましては、高齢者の増加と共に市場が拡大し需要が増加する一方で、社会保障費の抑制を目的として、病院を中心とした施設から在宅を中心とした医療へのシフトが進み、医療と介護の連携や地域単位でのケア体制の整備等が促進されると予想しております。

 

3.2021年におけるホスピス施設の状況

このような状況の中、当社グループは「すべては笑顔のために」というコーポレートスローガンを掲げ、在宅での看取りを前提とした、在宅ホスピスの事業を推進してまいりました。当連結会計年度においては、新規開設を6施設行いました。詳細は、「第3 設備の状況  1 設備投資等の概要」に記載しております。

 

4.2021年10月~12月において満床に至る過程にある施設の状況

2020年12月に開設した「ナーシングホームOASIS藤が丘(名古屋市名東区)」、2021年3月に開設した「ファミリー・ホスピス大口ハウス(横浜市神奈川区)」及び2021年6月に開設した「ファミリー・ホスピス神戸垂水ハウス(神戸市垂水区)」は満床に至る過程にありますが、利益貢献期間に入っております。

 

5.離職率の低下

創業以来注力してきた教育研修、ホスピス人材の育成とチーム作り、地域ドミナント展開の実現等により、当第2四半期連結会計期間より離職率が低下しました。例年、看護師等の流動性が高まる春に採用を集中させるため、離職率が想定より低下したことにより、2021年4月以降、一時的に人員が余剰になりましたが、2021年7月末で余剰状態は解消しております。また、離職率が低下したことで、採用費が前期と比べ減少しております。

 

6.前年同期比較

当連結会計年度においては、既存の安定稼働施設が高い水準の稼働率を維持しており、昨年新型コロナウイルスの影響を受けた5施設が満床に至り、さらには満床過程に至る過程にある施設の一部が利益貢献期間に入ったこと等により、新規開設施設の開設コスト及び黒字化に至るまでの赤字期間があったものの、前期に比べ、増収増益となっております。

 

7.当社グループの施設損益

当社グループの運営する施設は、開設に先立って看護師等の従業員を採用することでホスピスチームを作り、ホスピスチームが確立した事を確認して施設を開設し、開設した後に順次入居者を受け入れる形で運営を行っていることから、一定の稼働率に至るまでは売上に対して人件費等の費用が先行して発生することになります。また、施設開設後、約半年から1年をかけて当社グループが満室の目安とする85%の稼働率に至る計画で展開しております。

 

この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

a.財政状態

当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ2,850,416千円増加し、9,147,141千円となりました。

 

当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ2,573,770千円増加し、7,611,305千円となりました。

当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ276,646千円増加し、1,535,836千円となりました。

 

b.経営成績

当連結会計年度の経営成績は、売上高6,019,237千円(前年同期比22.4%増)、営業利益598,180千円(前年同期比66.9%増)、経常利益は417,493千円(前年同期比102.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は240,801千円(前年同期比124.9%増)となりました。

なお、当社グループは、在宅ホスピス事業のみの単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末と比べて75,621千円増加し、1,035,077千円となりました。

 

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は467,099千円(前連結会計年度は236,194千円の収入)となりました。これは主に売掛金の増加額186,344千円があった一方で、税金等調整前当期純利益417,493千円、減価償却費172,742千円、未払費用の増加額61,633千円、のれん償却額55,872千円等が生じたことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は1,982,062千円(前連結会計年度は541,737千円の支出)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出1,907,442千円、差入保証金の差入れによる支出69,628千円が生じたことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果得られた資金は1,590,584千円(前連結会計年度は437,310千円の収入)となりました。これは主に、短期借入金の純増額223,140千円、長期借入金の借入れによる収入1,618,000千円、新株予約権の行使による株式の発行による収入36,000千円があった一方で、長期借入金の返済による支出226,684千円が生じたことによるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

該当事項はありません。

 

b.受注実績

該当事項はありません。

 

 

c.販売実績

当社グループは、在宅ホスピス事業の単一セグメントであるため、地域別の販売実績を記載しております。

地域別

当連結会計年度

(自 2021年1月1日

至 2021年12月31日)

前年同期比(%)

中部地区(千円)

2,369,486

112.3

関東地区(千円)

3,478,178

124.0

関西地区(千円)

171,573

合計(千円)

6,019,237

122.4

(注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2020年1月1日

至 2020年12月31日)

当連結会計年度

(自 2021年1月1日

至 2021年12月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

愛知県国民健康保険団体連合会

1,695,948

34.5

1,824,264

30.3

神奈川県国民健康保険団体連合会

1,000,798

20.4

1,447,532

24.0

東京都国民健康保険団体連合会

975,161

19.8

1,227,190

20.4

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2)  経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者により一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映されております。これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行ってまいりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果は、これらと異なることがあります。この連結財務諸表の作成にあたって重要となる会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.  経営成績等

1) 財政状態の分析

(資産)

当連結会計年度末における流動資産は、2,081,329千円(前連結会計年度末1,824,814千円)となり、前連結会計年度末に比べて256,515千円増加しました。その主な要因は現金及び預金の増加、売上規模の拡大に伴って売掛金が増加したことによるものであります。

当連結会計年度末における固定資産は、7,065,811千円(前連結会計年度末4,471,911千円)となり、前連結会計年度末に比べて2,593,900千円増加しました。その主な要因は、新規施設開設に伴う固定資産の購入及びリース資産が増加したことによるものであります。

 

(負債)

当連結会計年度末における流動負債は、1,971,968千円(前連結会計年度末1,050,718千円)となり、前連結会計年度末に比べて921,249千円増加しました。その主な要因は、事業の拡大に伴う未払費用等の増加、ホスピス施設の新規施設開設及び運転資金として短期借入金が増加したことによるものであります。

当連結会計年度末における固定負債は、5,639,337千円(前連結会計年度末3,986,816千円)となり、前連結会計年度末に比べて1,652,520千円の増加となりました。その主な要因は、ホスピス施設の新規施設開設に伴って、長期借入金が増加したことや建物施設の賃借が開始されたことにより、リース債務が増加したことによるものであります。

 

(純資産)

当連結会計年度末における純資産は、1,535,836千円(前連結会計年度末1,259,190千円)となり、前連結会計年度末に比べて276,646千円の増加となりました。これは主に、ストック・オプション行使により、資本金及び資本準備金がそれぞれ18,000千円増加したこと、親会社株主に帰属する当期純利益240,801千円を計上したことによるものであります。

この結果自己資本比率は、16.7%(前連結会計年度は19.9%)となりました。

 

2) 経営成績の分析

(売上高)

当連結会計年度における売上高の合計は6,019,237千円(前連結会計年度は4,916,896千円)となりました。これは主に、当連結会計年度において、新たなホスピス施設を6施設オープンしたことにより、当社グループのホスピス施設における提供可能室数が191室増加し、合計715室となったことによるものであります。

 

(売上原価)

当連結会計年度における売上原価の合計は4,900,195千円(前連結会計年度は4,056,693千円)となりました。これは主に新規開設したホスピス施設に係る開設準備費用、看護師・介護士を新規採用したことによる労務費の増加等によるものであります。

 

(販売費及び一般管理費)

当連結会計年度における販売費及び一般管理費の合計は520,861千円(前連結会計年度は501,690千円)となりました。また売上高に対する割合は8.7%(前連結会計年度は10.2%)となりました。これは主に事業拡大に備えた管理部門の強化に伴う人件費等の増加によるものであります。

 

(経常利益)

当連結会計年度における営業外収益は34,464千円(前連結会計年度は4,519千円)となりました。

当連結会計年度における営業外費用は215,150千円(前連結会計年度は156,964千円)となりました。これは主に支払利息によるものであります。

この結果、当連結会計年度における経常利益は417,493千円(前連結会計年度は206,067千円)となりました。

 

(税金等調整前当期純利益)

当連結会計年度における税金等調整前当期純利益は417,493千円(前連結会計年度は206,067千円)となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

当連結会計年度における法人税等の合計は176,692千円(前連結会計年度は99,007千円)となりました。

この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は240,801千円(前連結会計年度は107,060千円)となりました。

 

b.経営成績に重要な影響を与える要因について

当社グループは、在宅ホスピス事業を展開するにあたり、組織体制の強化及び質の高いケアサービスを提供することで、医療機関等をはじめとした地域医療との連携を図っていく方針でありますが、必要とする看護師及び介護士の採用及び十分な人数の確保ができない場合又は十分な研修等を実施できない場合には、当社グループの経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があると考えております。

また、従業員の人為的なミス又は不測の事態の発生等による訴訟が生じた場合、個人情報の流出等により当社の信用が著しく低下した場合に、経営成績に重要な影響を与えると考えております。

この対応策として、看護師及び介護士の積極的な採用を行い、研修等を通じて経営理念を浸透させるとともに、質の高いホスピスサービスを提供するよう従業員に対する指導、教育体制の充実を図っております。

 

c.資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、従業員の給与及び手当、ホスピス施設の賃借料のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。

当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

短期運転資金は自己資金を基本としており、設備投資や長期運転資金につきましては、金融機関からの長期借入やリースによる調達を基本としております。

なお、当連結会計年度末における有利子負債の残高(リース債務を含む)は6,673,090千円、有利子負債依存度(リース債務を含む)は73.0%と依然として高い水準にありますが、事業運営上、必要な資金を安定的に確保していると認識しております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は1,035,077千円となっており、事業運営上、必要な流動性を確保していると認識しております。

 

d.主要な経営指標等の状況

当社グループは、経常利益率並びにホスピス施設における提供可能室数及び平均入居率(延べ入居室数÷(提供可能室数×稼働日数))を経営成績に影響を与える主要な経営指標として捉えております。それぞれの状況については次のとおりです。

 

1)経常利益率

2021年12月期における当社グループの経常利益率は、6.9%(前年は4.2%)となりました。経常利益率が上昇したのは、安定稼働施設が増加したことに加えて、前期に新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けた立ち上げ途中の施設も、当期において安定稼働に至り、利益に貢献し始めたことによるものであります。

なお、当社グループとして、経常利益率を重要な経営指標として捉えており、経常利益率の安定と向上を目指してまいりますが、一方で当社グループは成長途上にあると考えており、今後の新規ホスピス施設の開設数及び開設時期によっては、一時的に経常利益率が変動する可能性があります。

 

2)提供可能室数及び平均入居率

2021年12月末日時点においては、当社グループのホスピス施設における提供可能室数は、715室(2020年12月末日時点は524室)となり、6つのホスピス施設を新規に開設した結果、合計191室が増加しました。

当社グループでは安定稼働時の目標平均入居率を85.0%に設定しており、2021年12月期における既存のホスピス施設(2020年12月期以前に開設したホスピス施設)の年平均入居率(年間延べ入居室数 ÷ (提供可能室数 × 年間日数)は86.2%と、設定基準値を超える水準となりました。

また、新規のホスピス施設(2021年12月期に開設した新規のホスピス施設)の年平均入居率は47.6%となりました。当社グループのホスピス施設は、開設後に順次利用者を受け入れていく運営方法を採用しているため、開設の初年度は年平均入居率が低くなります。

それぞれの経営指標の具体的な推移は次のとおりです。

 

(提供可能室数の推移)

 

2020年12月期

2021年12月期

提供可能室数(室)

524

715

(注)提供可能室数は各期末日時点における数値を記載しております。

 

 

(年平均入居率の推移)

(単位:%)

施設名称

開設時期

室数

(室)

2020年

12月期

2021年

12月期

ナーシングホームJAPAN

2009年1月

26

92.2

93.2

ナーシングホームOASIS

2013年9月

36

88.9

88.1

ナーシングホームOASIS南

2017年1月

34

93.8

92.8

ナーシングホームOASIS北

2017年5月

30

72.2

86.2

ナーシングホームOASIS知立

2018年2月

28

81.5

79.0

ナーシングホームOASIS志賀公園

2018年4月

26

96.5

95.1

ナーシングホームOASIS藤が丘

2020年12月

36

10.5

65.4

ファミリー・ホスピス鴨宮ハウス

2014年8月

24

78.3

74.9

ファミリー・ホスピス本郷台ハウス

2016年10月

12

95.8

96.2

ファミリー・ホスピスライブクロス

2016年10月

50

94.2

93.4

ファミリー・ホスピス四之宮ハウス

2017年4月

37

80.4

77.5

ファミリー・ホスピス成瀬ハウス

2018年4月

20

96.1

90.4

ファミリー・ホスピス池上ハウス

2018年8月

52

66.4

82.4

ファミリー・ホスピス東林間ハウス

2019年5月

28

77.6

89.3

ファミリー・ホスピス二子玉川ハウス

2019年12月

38

50.1

76.2

ファミリー・ホスピス茅ヶ崎ハウス

2020年3月

24

70.2

86.3

ファミリー・ホスピス江田ハウス

2020年7月

23

48.0

86.6

ファミリー・ホスピス大口ハウス

2021年3月

28

53.0

ファミリー・ホスピス京都北山ハウス

2021年5月

37

27.0

ファミリー・ホスピス神戸垂水ハウス

2021年6月

28

55.7

ファミリー・ホスピス成城ハウス

2021年10月

30

18.1

ファミリー・ホスピス本牧ハウス

2021年11月

36

9.4

ファミリー・ホスピス荒川ハウス

2021年12月

32

4.1

(注)1.室数は2021年12月末日時点における数値を記載しております。

2.年平均入居率は下記の方法により算出しております。

年平均入居率 = 年間延べ入居室数 ÷ (提供可能室数 × 年間日数)

3.新規のホスピス施設は、開設後に段階的に利用者を受け入れることにより運営を行っているため、開設初年度においては入居率が低くなる傾向があります。

 

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