業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営成績等の状況の概要

当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態の状況

(資産)

当連結会計年度末における総資産は1,540,544千円となり、前連結会計年度末に比べ52,362千円増加しました。これは主に、現預金及び売掛金の増加に伴い、流動資産が34,174千円増加したこと、福岡オフィス増床(2021年9月)に伴い、固定資産が18,187千円増加したことによるものであります。

 

(負債)

当連結会計年度末における負債は1,172,537千円となり、前連結会計年度末に比べ131,180千円増加しました。これは主に、長期借入金の増加に伴い、固定負債が104,421千円増加したことによるものであります

 

(純資産)

当連結会計年度末における純資産は368,007千円となり、前連結会計年度末に比べ78,818千円減少しました。これは主に、利益剰余金が79,133千円減少したことによるものであります。

 

 

② 経営成績の状況

当連結会計年度(2021年1月1日~2021年12月31日)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による厳しい状況が徐々に緩和される中で、このところ持ち直しの動きが見られております。
 人材サービス業界においては、2021年平均の有効求人倍率は1.13倍で、前年に比べて0.05ポイント低下するなど、新型コロナウイルス感染症の影響により弱い動きとなっているなかで、一部求人等には持ち直しの動きも見られております。新卒採用市場においても、厚生労働省と文部科学省による「令和4年3月大学等卒業予定者の就職内定状況調査(2021年12月1日現在)」では、大学生の就職内定率が83.0%と前年同期を0.8ポイント上回り、持ち直しの動きが表れております。

 

このような経営環境の中、当社グループは「全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時にスポーツが持つ可能性を様々なフィールドで発揮し、個人、法人、地域社会そして日本の発展に貢献すること」という経営理念のもと、スポーツ人財(※)がスポーツを通じて培った素養を活かし、ビジネスというフィールドで輝けるよう、最適な企業と結びつけることに取り組んでまいりました。

(※スポ―ツに打ち込んだ経験を通じて社会・企業が求める高い価値を身につけた人財。新卒者においては、現役体育会学生、大学スポーツサークル・高校部活・クラブチーム等での競技経験者。既卒者においては、体育会出身者及び現役アスリートも含めたスポーツに打ち込んだ経験を持つ社会人。)

 

当社グループの主要3事業である、新卒者向けイベント事業、新卒者向け人財紹介事業、既卒者向け人財紹介事業については以下のとおりであります。

 

新卒者向けイベント事業の当連結会計年度における売上高は、845,802千円(前期比12.5%増)となりました。2020年は4、5月の緊急事態宣言において、来場型イベントは全面中止としましたが、2021年は新型コロナウイルス感染症の感染防止対策を十分に行いながら 来場型イベントの開催を継続しオンライン型と併せイベント開催数は前期比で増加しました。販売枠数は、営業活動の見直しを図ったことで、企業の来場型イベントに対する需要拡大に迅速に対応することが可能となり、前期比で増加しました。特に2023年3月卒向け来場型イベントに対する企業の出展ニーズが強く、受注進捗が前年を上回り、2021年12月期の売上高にも寄与し、新卒者向けイベント事業として過去最高の売上高となりました。イベントへの参加学生のべ人数につきましても、来場型、オンライン型イベントともに大幅に増加しました。

新卒者向け人財紹介事業の当連結会計年度における売上高は、684,497千円(前期比16.5%増)となりました。2021年3月卒学生に対する企業の採用需要が年明け(2021年1月~3月まで)においても、前年同期と比較して根強く2021年3月卒学生の内定承諾人数が前年同期比増加しました。2022年3月卒学生については、ユニーク紹介学生数が、就職活動の早期化、オンライン面談の活用、人財・企業を担当する営業人員数を増強したことにより、前期比で増加し、また、ユニーク紹介企業数(学生に紹介した重複しない企業数)が、契約締結先の掘り起こしと新規顧客企業獲得等の営業施策により前期比で大幅に上回ったことから、内定承諾率が向上し、内定承諾人数が前期比で増加しました。2020年9月より開始したスポーツ経験者のための就職支援サービス「スポチャレ」も売上高増加に寄与し、新卒者向け人財紹介事業としては過去最高の売上高を更新しました。2022年3月卒学生向けスポナビ2022の登録人数は2021年12月末時点において前期比で増加となり過去最高となった一方、カバー率(登録者の内、面談対応により、アナログな関係が構築できている登録者の比率)は、前年同期比小幅上昇に留まり、来期への課題となりました。

既卒者向け人財紹介事業の当連結会計年度における売上高は、513,534千円(前期比6.0%増)となりました。新型コロナウイルス感染症による企業の採用活動への影響により、第1四半期及び第2四半期は紹介成約人数が減少したものの、企業の採用需要に持ち直しの動きが徐々に顕在化し、第3四半期以降は紹介成約人数が前年同期を大きく上回り、下半期売上高としては過去最高となりました。新規登録者数が、広告宣伝費の投下によるスポチャレ転職の新規登録増加を主因に、第2四半期以降は前年同期比でプラスに転じたことによりユニーク紹介人財数(企業に紹介した重複しない人財数)が前年同期比増加し、企業の採用需要の拡大に対応できたことが紹介成約人数の増加に寄与しました。また、ユニーク紹介企業数が、第2四半期以降前年同期を大幅に上回り、成約率の改善が進みました。

 

売上原価に関しては、前期比で増加となりました。新卒者向けイベントにおいて来場型イベントの開催数増加及び新型コロナウイルス感染症対策による会場規模拡大により会場費が増加、また、デュアルキャリア事業の売上増加に伴い派遣人件費が増加しました。

営業利益及び経常利益に関しては、前期比で減益となりました。営業体制・内部管理体制の強化に伴う人件費の増加、前年実施したオフィスの拡充及び横浜オフィスの移転、福岡オフィス増床に伴う地代・家賃の増加並びに広告宣伝費の投下により販売費及び一般管理費が増加しました。

 

この結果、当連結会計年度における売上高2,130,256千円(前期比13.1%増)、営業損失は32,469千円(前期は営業利益16,215千円)、経常損失は35,298千円(前期は経常利益32,016千円)、親会社株主に帰属する当期純損失は79,133千円(前期は親会社株主に帰属する当期純利益17,055千円)となりました。

 

なお、当社グループは、スポーツ人財採用支援事業の単一セグメントのため、セグメント別の記載を省略しております。

 

 ③ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は965,648千円となり、前連結会計年度末に比べ3,985千円増加しました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における営業活動の結果、増加した資金は53,789千円となりました。これは主に、未払費用の増加55,128千円、前受金の増加31,748千円によるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における投資活動の結果、減少した資金は67,943千円となりました。これは主に、オフィス拡充に伴う有形固定資産の取得による支出51,230千円、福岡オフィス拡張に伴う敷金及び保証金の差入による支出18,945千円によるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における財務活動の結果、増加した資金は18,139千円となりました。これは主に、長期借入れによる収入350,000千円、長期借入金の返済による支出256,459千円、短期借入金の返済による支出75,000千円によるものです。

 

 ④ 生産、受注及び販売の実績

 当社グループは、受注生産形態をとる事業を行っていないため、生産規模及び受注規模を金額及び数量で示す記載をしておりません。

 

   事業別の販売実績については次のとおりであります。

区分

販売高(千円)

前期比(%)

新卒者向けイベント売上高

845,802

12.5

新卒者向け人財紹介売上高

684,497

16.5

既卒者向け人財紹介売上高

513,534

6.0

その他売上高

86,424

46.1

合計

2,130,256

13.1

 

(注)1 上記の金額には返金引当金繰入、売上戻り高を含んでおります。 

 2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績に対する割合が10%以上の相手先がいないため、記載を省略しております。

 3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 4 当社グループはスポーツ人財採用支援事業の単一セグメントであるため、セグメントごと記載はしておりません。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

① 重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたりましては、経営者による会計方針の採用、資産・負債及び収益・費用の計上に影響を及ぼす見積り及び予測を必要としております。経営者は過去の実績値や状況を踏まえ、合理的と判断される前提に基づき、見積り及び予測を行っておりますが、見積り及び予測には不確実性が伴うため、実際の結果と異なる場合があります。

 当社グループの財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表のための基本となる重要な事項)」に記載しております。

 

② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当連結会計年度(2021年1月1日~2021年12月31日)におけるわが国経済及び人財サービス業界は、新型コロナウイルス感染症による厳しい状況が徐々に緩和される中で、一部求人等に持ち直しの動きが見られた1年となりました。

 当社グループにおいては、前述の経営成績の状況に記載した通り、主要3事業においては売上高が増加したものの、営業体制・内部管理体制の強化に伴う人件費並びに広告宣伝費の増加により販売費及び一般管理費が増加した結果、売上高2,130,256千円(前期比13.1%増)、営業損失は32,469千円(前期の営業利益16,215千円)、経常損失は35,298千円(前期の経常利益32,016千円)、親会社株主に帰属する当期純損失は79,133千円(前期の親会社株主に帰属する当期純利益17,055千円)となりました

 一方、新卒者向けイベント事業及び新卒者向け人財紹介事業は過去最高の売上高を記録しました。今後は、人員拡充の適正化及び生産性の向上により人件費売上高比率の引き下げを図り、広告宣伝費については費用対効果を見極めながら機動的に対応することで、利益改善を図ります。また、教育・研修制度の充実による営業活動の見直し、生産性の向上、拠点拡充による登録者の更なる増加とカバー率の向上によって、より多くのスポーツ人財・企業に当社のサービスを提供してまいります。2022年12月期通期の連結業績予想につきましては、下記の通り、2022年2月14日公表いたしました業績予想から変更はありません。

区分

当連結会計年度

(自 2021年1月1日

 至  2021年12月31日

翌連結会計年度

連結業績予想

(自 2022年1月1日
 至 2022年12月31日)

増減

増減率

(%)

売上高(千円)

2,130,256

2,398,377

268,120

12.6

営業利益又は営業損失(△)(千円)

△32,469

61,042

93,511

経常利益又は経常損失(△)(千円)

△35,298

56,480

91,779

親会社株主に帰属する当期純利益又は親会社株主に帰属する当期純損失(△)(千円)

△79,133

49,604

128,737

 

(注)上記連結業績見通しに関する注意事項

まん延防止等重点措置及び緊急事態宣言下においても、感染症対策を講じたうえで就職イベント開催や人財との面談が可能であること、また企業の採用選考手続きが大きな支障なく可能であることなど、事業運営を阻害されることなくサービスをスポーツ人財・企業ともに提供できることを前提としております。

 上記に記載した業績予想については、現時点で入手可能な情報に基づいており、実際の業績等は様々な要因により予想数値と異なる可能性があります。

 

 なお、当社グループはスポーツ人財採用支援事業の単一セグメントであるため、セグメントごと記載はしておりません。

 

 ③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性についての分析

 キャッシュ・フローの状況の分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 資本の財源及び資金の流動性について、当社グループの資金需要の主なものは、採用費及び人件費、会員獲得を主な目的とした広告宣伝費に加え、拠点開設に係る有形固定資産等への投資等があります。これらの資金需要に対しては、営業活動から得た自己資金を充当することを基本としながら、必要に応じて追加の資金調達を実施いたします。具体的には短期の運転資金については自己資金や金融機関からの短期借越枠にて充当し、長期の設備投資等については金融機関からの長期借入金により充当いたします。

 なお、新型コロナウイルス感染症の拡大により、経済情勢の先行きが不透明な状況下において現預金水準を高め、当社グループの財務的な安定性を高めることを目的として、長期借入で総額350,000千円の資金調達を行いました。手元流動性の目安としては月商平均に対して3か月程度から6か月程度の範囲を想定しております。

 

 ④ 経営成績に重要な影響を与える要因について

 当社グループは、スポーツ人財採用支援事業を展開するにあたり、組織体制の強化及び質の高いスポーツ人財採用支援サービスを提供することで、各地域における大学をはじめとした教育機関との良好な関係を構築・連携を図っていく方針でありますが、必要とする従業員の採用及び十分な人数の確保ができない場合又は十分な研修等を実施できない場合は、当社グループの経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があると考えております。

 また、従業員の人為的なミス又は不測の事態の発生等による訴訟が生じた場合、個人情報の流出等により当社の信用が著しく低下した場合に、経営成績に重要な影響を与えると考えております。

 この対応策として、優秀な従業員の積極的な採用を行い、研修等を通じて、経営理念及び行動指針を浸透させるとともに、質の高いスポーツ人財採用支援サービスを提供するよう従業員に対する指導、教育体制の充実を図っております。

 

 ⑤ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。一般に公正妥当と認められる連結財務諸表の作成においては、期末日における資産及び負債の報告額や、報告対象期間中の収益及び費用の報告額に影響する判断及び見積りを行うことが求められております。当社グループの連結財務諸表作成においては、過去の実績等を勘案し合理的に判断及び見積りを行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。

 当社グループの財務諸表で採用する重要な会計方針は「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。

 連結財務諸表に関して、認識している特に重要な見積りを伴う会計方針は、以下のとおりであります。

 

(a)返金引当金

当社グループは、新卒人財の紹介において求職者が内定を辞退した場合、紹介先企業から収受した紹介手数料の全額を返金する制度を設けております。当該返金の支払に備えるため、売上高に返金実績率を乗じた金額を、売上高より直接控除する方法により計上しております。

返金実積率の算定にあたっては、過去の実積をもとに慎重に算定を行っておりますが、経営環境等の諸前提の変化により、引当金見積りにおいて想定していなかった返金の発生や、返金の実績が引当金の額を下回った場合は、当社グループの業績が変動する可能性があります。

 

(b)繰延税金資産

当社グループは、将来の利益計画に基づいた課税所得の見積りを行い、将来減算一時差異等に対して繰延税金資産を計上しております。

繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が取り崩され、税金費用が計上される可能性があります。

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