課題

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営方針

当社グループは、「私が変わる愛の経営「響働」」を経営理念として、「少子高齢化社会の課題に挑戦し、地域社会を明るく元気にする」をミッションとしております。0歳から高齢者までの健康と生活を守る企業として社会に貢献し、医薬、介護、保育事業の連携により「地域包括ケアシステム」を推進し、「健康・安心・絆のライフライン」を構築し、その実現をコア・コンピタンスとして、利用者様や地域社会の信頼を確立してまいりたいと考えております。

 

(2) 経営環境及び中長期的な会社の経営戦略

当社グループの経営環境は「少子高齢化社会」で表現されるように、2025年には65歳以上の高齢者は全人口の約30%となり、2040年にはさらに約37%と増加していくことが推測されます。

また、少子化により児童数は減少していますが、共働きの子育て世代が増え東京圏に人口が集中していることから、東京圏では待機児童が発生し、政府も待機児童の解消に向けて予算を大幅に増額するなど、保育ニーズは高い状況にあります。

現在、厚生労働省は高齢化社会への対応策として「地域包括ケアシステム」を推進し、医療、介護、生活支援、高齢者住宅の整備に取り組んでおり、当社グループはこうした市場環境を活かし、「地域包括ケアシステム」の担い手として、当社グループのミッションである「少子高齢化社会の課題を解決し、地域社会を明るく元気にする」の実現に向け、当社グループの医薬、介護、保育事業の連携により、「地域包括ケアシステム」のまちづくりを推進し、事業の成長を実現する方針です。

地域包括ケアシステムの実践例として、当社グループはこれまでに、ミアヘルサオアシス和光(官民協働モデル)、ミアヘルサケアヴィレッジひばりが丘(団地再生モデル)の実績があります。

また、2020年8月にサービス付き高齢者向け住宅「ミアヘルサオアシス東新小岩」に「在宅ホスピス専用フロア(定員15名)」を開設し、2021年9月には川崎市に「在宅ホスピス対応型ホーム(定員44名)」として住宅型有料老人ホームを開設いたしました。国策に沿った複合的なサービスを一体提供することによって「地域包括ケアシステム」を実現できることは3事業を展開している当社グループの特徴であると考えております。この当社グループの特徴を活かしつつ、行政や大手デベロッパーと協力して、高い収益性を確保できる地域包括ケアシステムのさらなる開発を推進し、少子高齢化社会の課題解決をもって地域社会に貢献してまいります。

 

(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、事業計画の達成状況に関するチェックと対策に月次単位で取り組んでおり、具体的には、損益報告による計画と実績の差異について検討と対策を実施し、併せて事業セグメント別に計画達成のキーとなるKPIを設定して、計画と実績の差異について検討と対策を実施しています。

以下、事業セグメント別のKPIについて説明いたします。

 

①医薬事業

a 処方箋枚数

来客数を表すKPIです。

b 処方単価

客単価を表すKPIです。なお、処方単価は大きく分けて、薬剤料単価(医薬品自体の売価)と技術料単価(各種調剤加算)に分解されます。

c 後発品調剤率

調剤のうち、後発品(ジェネリック医薬品)を処方した割合です。国の方針として、80%の後発品調剤率を目指しており、診療報酬もこれに応じた設定がなされております。国が定める率を満たすことで、後発医薬品調剤体制加算がとれ、技術料単価が上昇することからKPIとしております。

 

d かかりつけ薬剤師指導料(件数)

国が方針として掲げる「かかりつけ薬剤師」としての調剤を行った際に得られる加算(技術料)です。勤続年数等の一定の基準を満たした薬剤師が患者様から「かかりつけ薬剤師」の同意書を得ることにより算定できます。かかりつけ薬剤師としての処方件数が増えることで、技術料の増加につながるとともに、リピーターの増加にもつながることからKPIとしております。

e 在宅処方件数

地域包括ケアシステムを推進する中では、来局した患者様に対する対応だけではなく、介護施設や患者様のご自宅へ薬剤師が訪問し、在宅処方を行うことが求められます。一定以上の在宅処方を行うことで、技術料の増加につながることからKPIとしております。

 

②介護事業

a サービス付き高齢者向け住宅の入居率

サービス付き高齢者向け住宅(ミアヘルサオアシス)を地域拠点としたドミナント方式の事業展開を図る当社にとって、入居率の向上と安定推移は、付帯する介護サービス(デイサービス、訪問介護等)の利用者数増加につながるため、KPIとしております。

b 平均要介護度

介護報酬の金額は要介護度によって決定されるため、KPIとしております。

c デイサービス(通所介護)の利用者数

デイサービスは、施設規模に対する利用者数が適正に高い水準であることが重要になるため、KPIとしております。

 

③保育事業

a 受入児童数

保育園は児童の年齢別に定員が設定されており、受入児童数が定員に近い水準で推移することが経営上も重要であるためKPIとしております。

b 保育士採用におけるエントリー数、園見学数、選考面接数

保育士の採用について、採用説明会等へのエントリーを増やし、園見学へとつなげ、選考面接・内定への成約数を向上させることで、安定的な園運営、及び保育園数の拡大が可能になるため、KPIとしております。

 

(4)事業上及び財務上の対処すべき課題

①少子高齢化社会の到来に伴う国の財政逼迫と各種政策補助の減少

少子高齢化社会の到来による高齢化率の上昇は、医療費・介護費の増大を招くため、国は医療費・介護費を抑制しています。国の財政難による調剤報酬や介護報酬引き下げは、調剤薬局と介護事業を運営する当社グループの売上の減少という形で経営に大きく影響することから、国の方針への早期対応により調剤報酬・介護報酬の各加算項目の早期取得を志向し、医薬・介護・保育事業の機能をワンストップで提供することによって、売上を伸ばす必要があるものと認識しております。また、成長コンセプトを明確にした新サービスの開発を行うことにより収益性の向上を目指します。

 

②待機児童の減少

少子化による待機児童の減少によって全国的に保育園の入園希望者が減少する懸念があります。当社グループは、待機児童率が高い市区町村(特に東京圏の駅前立地)を条件として計画的に認可保育園の開園を進めつつ、公立保育園の民間委託事業の受託や学童保育といった、多様な保育及び子育て支援サービス展開を模索し、挑戦してまいります。

 

③有資格者の確保

当社グループ事業においては、薬剤師、介護福祉士、保育士といった有資格者の確保が必要不可欠であります。新卒・中途問わず、地方における採用を強化し、各資格者の専門性を活かした事業本部別の就業体系を構築し、柔軟な勤務環境を整備することで人材の育成・強化を図ります。

 

 

④競争力の強化

ブランディングプロジェクトを継続して推進し、各事業本部のコンセプトを明確にした活動に取り組み、地域集中出店(ドミナント出店)を意識した開発を行うことにより、地域の認知度を高め、ブランド力を強化いたします。

 

⑤多様性のある管理者の育成

店舗及び施設管理のための管理者の育成と「働き方改革」を課題として掲げており、多様な能力・創造性の発揮を可能にする人事制度の構築と、多様な人材を管理者として登用するための管理者教育を積極的に進めてまいります。

 

⑥業務の効率化

労働集約型の事業、併せて多店舗展開を行っている当社グループにとって、各拠点で行う業務の効率化と本社部門で行うデータの収集・分析は収益に直結することから、業務のマニュアル化及び標準化、さらにはIT化による業務の効率化が課題と考えております。

 

⑦自己資本比率の向上

財務上の課題として自己資本比率の向上が必要と考えており、有利子負債を圧縮することによる総資産の軽減に取り組み、併せて戦略的投資による成長分野の収益拡大とキャッシュ・フローの充実を行い、着実な利益拡大により自己資本比率の向上を図ります。

 

⑧新型コロナウイルス感染症の事業への影響

当社グループの医薬事業・介護事業・保育事業・その他(食品事業)は、こうした緊急時にも業務の継続が求められる事業であり、4事業あることで財務リスクを軽減できることを強みとしておりますが、全体への影響は少ないものの、医薬事業の処方箋枚数、介護事業の通所介護事業所や食品事業の学校給食への食材の卸売に影響が出るものと考えております。

なお、各事業本部ともに厚生労働省の基準を厳密に遵守し、衛生管理の徹底に取り組んでおります。

 

⑨スタンダード市場の上場維持基準適合へ向けて

当社は2022年4月4日に東京証券取引所の市場再編において、スタンダード市場に上場いたしましたが、現在においてはスタンダード市場の上場維持基準である流通株式時価総額について基準を満たしていない状況にあります。今後、当社が中長期的な企業価値向上を図る上においては、その前提としてスタンダード市場の上場維持基準を充足することが重要な経営課題になるものと考えております。

これらの課題に対処するため、2021年11月15日に提出した「新市場区分の上場維持基準の適合に向けた計画書」をもとに、速やかに改善できるよう取り組んでまいります。

 

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