(1) 経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が続くなか、ワクチン接種が進み国内外の経済活動にも明るい兆しが見えてはおりますが、新たな変異株の出現による感染再拡大が懸念されるなど、先行きは依然不透明な状況となっております。
当社の属する医療・介護業界においては、新型コロナウイルス感染拡大による医療・介護従事者及び患者様の感染対策やオンライン診療の規制緩和措置が拡大し、様々な対策が求められる状況となっております。
このような経営環境のなか、当社は、企業理念である「患者さん(利用者さん)が24時間365日、自宅で「安心」して療養できる社会インフラを創る」を実現するため、急成長しているきらりプライム事業を今後の事業展開の中核に据え、新たな事業・サービスの開発を進めるなどして、当社の目指す「プライマリーケアのプラットフォーム企業」に向け尽力しております。
この結果、当事業年度の売上高は5,782百万円(前年同期比13.7%増)となり、利益面では営業利益が519百万円(前年同期比127.5%増)、経常利益が506百万円(前年同期比101.9%増)、当期純利益が328百万円(前年同期比238.1%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
(在宅訪問薬局事業)
在宅訪問薬局事業では、新型コロナウイルス感染症の影響が続くなか、店舗では引き続き感染対策を実施し、患者様及び従業員の健康を守る取り組みを行っております。在宅患者数は当事業年度末時点において7,800人(前年同期比7.1%増)と好調に推移しており、2022年4月には「きらり薬局清川店」(福岡市中央区)及び「ぴょんた薬局」(北九州市戸畑区)を開局し、引き続きドミナント出店戦略を推進しております。
以上の結果、売上高は5,146百万円(前年同期比8.1%増)、セグメント利益は578百万円(前年同期比40.8%増)となりました。
(きらりプライム事業)
きらりプライム事業は、中小規模の薬局と提携し、効率的な在宅薬局の運営ノウハウの提供、人材研修、24時間対応のためのオンコール体制の支援、在宅薬局特化型の在宅訪問支援情報システム(ファムケア)の貸与及び医薬品購入の支援などのサービスを行っております。中小規模の薬局における在宅薬局の認知が高まっているなか、当事業の営業体制の強化及びWeb広告による加盟店増加施策を新たに実施することなどにより、当事業年度末時点で加盟法人数は424社(前期末は205社)、加盟店舗数は1,103店舗(前期末は533店舗)となり、提携薬局数は大幅な増加となっております。
以上の結果、売上高は433百万円(前年同期比143.8%増)、セグメント利益は259百万円(前年同期比146.7%増)となりました。
(ケアプラン事業)
ケアプラン事業では、「ケアプランサービスひゅうが大倉山事務所」(神奈川県横浜市港北区)の営業を一時休止しておりましたが、よりシナジーが見込める立地への開設を検討するため、2022年2月末に事務所を廃止いたしました。現在は西日本エリア3拠点、東日本エリア1拠点で引き続き事業体制強化に取り組んでおります。
以上の結果、売上高は122百万円(前年同期比22.1%増)、セグメント損失は7百万円(前期はセグメント利益2百万円)となりました。
(タイサポ事業)
タイサポ事業は、高齢者施設等への入居を検討される患者様に、医療介護の専門スタッフが身体の状態に適した施設や、入居先の希望エリアなど、ご希望に沿う施設を提案・紹介し、サポートするサービスであります。当社においては、在宅訪問薬局事業やケアプラン事業において広く構築しているネットワーク(医療ソーシャルワーカー、ケアマネージャー及び介護施設と相互連携)を利用することで、順調に成約数を増やしております。
以上の結果、売上高は66百万円(前年同期比36.8%増)、セグメント利益は17百万円(前年同期比31.9%増)となりました。
(その他事業)
当社のその他事業には、ICT事業を含めております。
ICT事業は、2021年9月から事業を開始しており、当事業年度においては販売した商品を実際の介護現場で利用いただくことで商品に関するフィードバックを受け、さらに有用な商品となるよう改良を続けております。
なお、2022年12月から高齢者施設運営事業の開始を予定しており、ICT事業と連携することでシナジーを高め、商品単体の販売と合わせて一体的な事業運営を進めてまいります。
以上の結果、売上高は14百万円、セグメント損失は14百万円となりました
(資産)
当事業年度末における流動資産は1,896百万円となり、前事業年度末に比べ334百万円増加いたしました。これは主に、2021年12月20日に東京証券取引所マザーズへの上場にあたり実施した公募増資による新株式発行50,000株等により現金及び預金が181百万円増加したこと及び新店舗の開局等により売掛金が163百万円増加したことなどによるものであります。
固定資産は635百万円となり、前事業年度末に比べ182百万円増加いたしました。これは主に、在宅訪問支援情報システム(ファムケア)の改修等により無形固定資産が125百万円増加したこと及び本社事務所の改修や新店舗の開局、既存薬局の移転等により有形固定資産が67百万円増加したことなどによるものであります。
この結果、総資産は2,531百万円となり、前事業年度末に比べ516百万円増加いたしました。
(負債)
当事業年度末における流動負債は1,235百万円となり、前事業年度末に比べ141百万円増加いたしました。これは主に、既存店の売上増加や新店舗の開局に伴う仕入増加等により買掛金が95百万円増加したことなどによるものであります。
固定負債は223百万円となり、前事業年度末に比べ87百万円減少いたしました。これは主に、長期借入金が約定返済等により90百万円減少したことなどによるものであります。
この結果、負債合計は1,459百万円となり、前事業年度末に比べ53百万円増加いたしました。
(純資産)
当事業年度末における純資産は1,072百万円となり、前事業年度末に比べ462百万円増加いたしました。これは主に、当期純利益の計上に伴い利益剰余金が328百万円増加したこと及び2021年12月20日に東京証券取引所マザーズへの上場にあたり実施した公募増資による新株式発行50,000株等により資本金及び資本剰余金がそれぞれ67百万円増加したことによるものであります。
② キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の残高は719百万円となり、前事業年度末に比べ181百万円増加いたしました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況と、それらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における営業活動の結果として増加した資金は、484百万円となり、前事業年度に比べ132百万円収入が増加いたしました。これは主に、税引前当期純利益487百万円の計上されたものの、売上債権が163百万円増加し、法人税等の支払額106百万円が計上されたことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における投資活動の結果として減少した資金は、320百万円となり、前事業年度に比べ242百万円支出が増加いたしました。これは主に、新規出店等による店舗数の増加の影響により有形及び無形固定資産の取得による支出255百万円が計上されたことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における財務活動の結果として増加した資金は、16百万円となり、前事業年度に比べ19百万円収入が減少いたしました。これは主に、2021年12月20日に東京証券取引所マザーズへの上場にあたり実施した公募増資による新株式発行50,000株等により119百万円が計上されたものの、長期借入金の返済による支出167百万円が計上されたことによるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a 生産実績
当社は生産活動を行っていないため、該当事項はありません。
b 仕入実績
当事業年度における仕入実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当事業年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
|
金額(百万円) |
前期比(%) |
|
在宅訪問薬局事業 |
2,566 |
9.0 |
きらりプライム事業 |
0 |
- |
ケアプラン事業 |
2 |
- |
タイサポ事業 |
- |
- |
その他事業 |
6 |
△49.8 |
合計 |
2,575 |
8.8 |
(注)金額は、仕入価格によっております。
c 販売実績
当事業年度における販売実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当事業年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
|
金額(百万円) |
前期比(%) |
|
在宅訪問薬局事業 |
5,146 |
8.1 |
きらりプライム事業 |
433 |
143.8 |
ケアプラン事業 |
122 |
22.1 |
タイサポ事業 |
66 |
36.8 |
その他事業 |
14 |
- |
合計 |
5,782 |
13.7 |
(注)主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績に対する割合が10%以上の相手先がいないため記載を省略しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末日現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたりまして、採用した会計方針及びその適用方法並びに見積りの評価については、当社が現在入手している情報および合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の結果は様々な要因により大きく異なる可能性があります。
財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」をご参照ください。
② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容については、「(1)経営成績等の状況の概要」に含めて記載しております。
③ 経営成績に重要な影響を与える要因
当社の経営成績に重要な影響を与える要因は、「第2 事業の状況2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
④ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社の資金需要の主なものは、商品仕入、人件費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。また、新規出店等の新たな投資、ソフトウエアなどへの投資による一人当たりの生産性向上を目的とした投資に係る資金需要が生じております。
当社は、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を自己資金から安定的に確保することを基本方針としておりますが、必要に応じて多様な調達手段を検討しております。
⑤ 経営者の問題認識と今後の方針
経営者の問題認識と今後の方針については、「第2 事業の状況1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
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