当連結会計年度における当行グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
2021年度のわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症による厳しい状況が残る中で、景気は一部に弱さがみられるものの持ち直しの動きが続きました。先行きについては新型コロナウイルス感染症への対策に万全を期し、経済社会活動が正常化に向かい、景気は持ち直していくことが期待されますが、ウクライナ情勢等、景気の下振れリスクを内包しています。
このような中、長期金利はロシアによるウクライナ侵攻やそれに伴うロシアに対する日米欧などの金融制裁を背景にした世界景気の悪化を懸念し、一時的に低下する局面がみられましたが、米国の利上げ加速観測を背景とした金利上昇圧力が波及し、3月後半には0.25%に上昇しました。
日経平均株価は金利上昇や原油価格の急騰を背景としたリスク回避の動きにより下落傾向が続きましたが、ロシアとウクライナの停戦協議の進展期待や世界経済の先行きに対する警戒感が和らいだことで上昇に転じ、3月後半には28,000円台に回復する場面がみられました。
為替は対ドルベースで115円近辺の狭いレンジで推移しましたが、ウクライナ情勢の不透明感や原油高、米国金利の上昇などにより円安・ドル高に振れ、3月後半には123円台まで円安が進みました。
こうした中、当地山陰の経済は設備投資や雇用・所得環境に緩やかな持ち直しの動きがみられたものの、観光関連などでは主要温泉地の旅館・ホテルの宿泊客数や空港利用者数は大幅に落ち込み、持ち直しの動きにやや一服感が見られました。
当行グループの第172期の業績につきましては、役職員一丸となって業績の向上と経営の効率化、顧客サービスの充実に努めてまいりました。また、SBIグループとの収益向上に係る各種連携を行った結果、次のようになりました。
預金につきましては、個人預金が増加しましたが、法人預金が減少したことなどから、全体では期中40億円減少し4,672億円となりました。
また、貸出金は、地公体向け貸出金が減少しましたが、個人向け貸出金が増加したことなどから、全体では期中263億円増加し3,345億円となりました。
有価証券は、受益証券が増加したことなどから、全体で期中50億円増加し1,218億円となりました。
総資産は前期比59億円減少し5,230億円となり、純資産は37億円減少し140億円となりました。
経常収益は、有価証券利息配当金や国債等債券売却益が減少しましたが、貸出金利息や役務取引等収益が増加したことから、全体では前期比26百万円増加し8,210百万円となりました。経常費用は、国債等債券売却損が減少しましたが、与信関連費用及び営業経費が増加したことなどから、全体では前期比157百万円増加し7,925百万円となりました。
この結果、経常利益は前期比131百万円減少の285百万円となり、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比62百万円減少の294百万円となりました。
セグメントごとの業績につきましては、「銀行業」では経常収益10百万円減少の6,354百万円、セグメント利益は111百万円減少の260百万円となりました。
「リース業」では経常収益が38百万円増加の1,916百万円、セグメント利益は19百万円減少の32百万円となり、「その他」では経常収益及びセグメント利益は、持分法による投資利益が0百万円減少の1百万円となりました。
この結果、連結自己資本比率(バーゼルⅢ国内基準)は、「銀行法第14条の2の規定に基づき、銀行がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準(2006年金融庁告示第19号)」に基づき算出した結果、前期比0.63%低下し6.87%となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末比28,564百万円減少し46,418百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動により使用した資金は、18,986百万円(前連結会計年度は52,051百万円の獲得)となりました。これは主に、コールローン等の減少による収入7,999百万円や借用金の増加による収入1,470百万円を、貸出金の増加による支出26,332百万円や預金の減少による支出4,072百万円などが上回ったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動により使用した資金は、9,470百万円(前連結会計年度は9,694百万円の使用)となりました。これは主に、有価証券の売却による収入や有価証券の償還による収入を有価証券の取得による支出が上回ったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動により使用した資金は、106百万円(前連結会計年度は43百万円の使用)となりました。これは主に、配当金の支払による支出によるものであります。
経営者の視点による当行グループの経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、以下の記載における将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において判断したものであります。
当行グループの2021年度における損益状況は以下のとおりになりました。
(ア) 連結
(注) 連結粗利益=(資金運用収益-資金調達費用)+(役務取引収益-役務取引費用)+(その他業務収益-その他業務費用)
資金利益につきましては、前連結会計年度に比べ158百万円減少の4,744百万円となりました。資金利益減少の主な要因は、貸出金利息は前連結会計年度に比べ246百万円増加しましたが、有価証券利息配当金が前連結会計年度に比べ405百万円減少し、預金利息が前連結会計年度に比べ62百万円増加したことなどによります。貸出金利息の増加は、本業支援取組を積極的に推進したことや、SBIグループのノウハウやネットワークを活用した新しい融資(住信SBIネット銀行住宅ローン「住宅つなぎ資金」など)の促進により貸出金残高、期中平均残高ともに前連結会計年度に比べ増加したことなどが要因となっております。預金利息の増加は、キャンペーン定期の取組みを強化したことなどにより期中平均残高が前連結会計年度に比べ増加したことが要因となっております。有価証券利息配当金の減少は、受益証券に係る期中収益分配金が399百万円減少したことが要因となっております。
役務取引等利益につきましては、前連結会計年度に比べ167百万円増加の212百万円となりました。役務取引等利益増加の主な要因は、役務取引等費用が前連結会計年度に比べ14百万円減少したことや、役務取引等収益が前連結会計年度に比べ153百万円増加したことによります。役務取引等収益の増加は、住信SBIネット銀行住宅ローン「住宅つなぎ資金」に係る取扱手数料や、保険窓販業務及びビジネスマッチング業務が好調に推移したことなどが要因となっております。役務取引等費用の減少は、コスト削減に努め各種支払手数料の減少が要因となっております。
その他業務利益につきましては、前連結会計年度に比べ414百万円増加の133百万円となりました。その他業務利益増加の主な要因は、その他業務収益が前連結会計年度に比べ81百万円減少しましたが、その他業務費用が前連結会計年度に比べ495百万円減少したことによります。その他業務収益の減少は、債券の売却を抑制したことが要因となっております。その他業務費用の減少は、受益証券の売却損が減少したことが要因となっております。
この結果、連結粗利益は、前連結会計年度に比べ423百万円増加の5,091百万円となりました。
経費につきましては、平田支店及び大田支店の新設移転に伴う費用や、「しまぎんアプリ」リニューアルに伴う費用を計上したことなどから物件費が増加したことが主因となり、全体では前連結会計年度に比べ114百万円増加の4,272百万円となりました。
貸倒償却引当費用の増加につきましては、当連結会計年度は大口債務者の民事再生手続きの申立て事象があったことなどから前連結会計年度に比べ554百万円増加の785百万円となりました。
株式等関係損益は、当連結会計年度においては株式等の売却損の計上がなかったことから、前連結会計年度に比べ4百万円増加となりました。
この結果、経常利益は前連結会計年度に比べ131百万円減少の285百万円となりました。
特別損益の増加につきましては、減損損失の計上額が前連結会計年度に比べ142百万円減少し13百万円となったことなどから、前連結会計年度に比べ119百万円増加の6百万円となりました。
この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ62百万円減少の294百万円となりました。
(イ)単体
銀行単体において、中期経営計画「お客さまのために考動するしまぎん」(計画期間2019年4月~2022年3月)、(以下、「中期経営計画」という。)を掲げ、その数値目標達成のため各種施策を積極的に取り組んでまいりました。この結果、中期経営計画の数値目標に対する実績等につきましては、次のとおりとなりました。
コア業務純益につきましては、(ア)連結で記載した要因により、前事業年度に比べ109百万円減少の778百万円となりましたが、2021年度目標(計画期間最終年度)に対する目標水準を大きく上回る結果となりました。
資金利益は、有価証券利息配当金の減少及び預金利息の増加を主因に160百万円減少の4,766百万円となりました。
役務取引等利益は、前事業年度に比べ167百万円増加し213百万円となりました。
その他業務利益は、前事業年度に比べ414百万円増加し133百万円となりました。
経費は、前事業年度に比べ115百万円増加の4,202百万円となりました。
なお、コア業務純益(除く投資信託解約損益)につきましては、コア業務純益と同額の778百万円となっております。
融資事業先数増加率につきましては、当事業年度実績が3,774先となり、2018年度実績3,070先を基準とする増加率は22%となったことから、2021年度目標(計画期間最終年度)に対する目標水準を上回る結果となりました。これは、SBIグループの取扱う幅広い金融商品・サービスの提供を受け、SBIグループの有するノウハウ・リソースを活用することにより、「人・モノ・金」の経営資源を集中投下することが可能となり、「Face to Face」による「顧客中心主義」の営業に徹し、コロナ禍における地元中小企業・個人向けの資金供給を積極的に行ったことや、高度化するお客さまニーズへの対応を積極的に行った結果であります。
経費削減率につきましては、当事業年度経費が4,202百万円となり、2018年度経費実績4,648百万円を基準とする削減率は9%となりました。これは、過年度に実施した店舗統廃合による経費削減効果があった一方で、当事業年度において連結同様に、店舗の新築移転に伴う費用や「しまぎんアプリ」リニューアルに伴う費用等が発生したことが要因となります。経費削減は着実に実績として表れておりますが、2021年度目標(計画期間最終年度)に対しては今一歩至りませんでした。
以上のとおり、経費削減率を除く、数値目標は達成となりました。SBIグループとの連携効果は着実に表れており、当行は今後もSBIグループとの連携を推し進めてまいります。また、2022年度より新中期経営計画「夢への架け橋!~オープンイノベーションバンクしまぎん~」(計画期間:2022年4月~2025年3月)に基づき、「地域の活性化」をお客さまと当行の共通の「夢」と捉え、この「夢」の実現のためには、より多角的な金融サービスが必要不可欠であり、当行は自治体や支援機関等との連携強化や各種業務提携等を通じて得た新たなネットワークを活用し、お取引先へのご支援、課題解決を通じて「地域の活性化」を実現してまいります。
当行グループの資金状況は、以下のとおりとなります。営業活動によるキャッシュ・フローについては、コールローン等の減少による収入7,999百万円や借用金の増加による収入1,470百万円がありましたが、貸出金の増加による支出26,332百万円や資金調達の源泉である預金の減少による支出4,072百万円があり18,986百万円の資金使用となりました。また、投資活動によるキャッシュ・フローは、有価証券の売却による収入6,877百万円、有価証券の償還による収入13,458百万円がありましたが、受益証券等の取得による支出29,422百万円等があり9,470百万円の資金使用となりました。さらに、財務活動によるキャッシュ・フローは配当金の支払による支出99百万円があったこと等から106百万円の資金使用となりました。
また、当行グループは資金繰りの把握、資金繰りの安定に努め、適切なリスク管理体制の構築を行っております。貸出金や有価証券等の資金運用については、顧客からの預金を中心に資金調達を行い、一部を日本銀行借入金にて資金調達しております。
なお、当面の設備資金、貸出金、有価証券への投資は預金での調達を主とした自己資金で対応する予定であります。
当行グループが連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
当連結会計年度の資金運用勘定平均残高は、497,384百万円と前期比67,185百万円の増加となりました。また、資金運用利回りは、1.02%と前期比0.19ポイントの低下となりました。
資金調達勘定平均残高は、522,316百万円と前期比78,567百万円の増加となりました。また、資金調達利回りは、0.07%と前期と同水準となりました。
(注) 1 平均残高は、原則として日々の残高の平均に基づいて算出しておりますが、連結子会社については半期毎の残高に基づく平均残高を利用しております。
2 資金運用勘定は無利息預け金の平均残高(前連結会計年度13,800百万円、当連結会計年度25,387百万円)を、資金調達勘定は金銭の信託見合額の平均残高(前連結会計年度509百万円、当連結会計年度584百万円)及び利息(前連結会計年度0百万円、当連結会計年度0百万円)を、それぞれ控除して表示しております。
3 連結相殺消去後の金額を記載しております。
当連結会計年度の役務取引等収益は、921百万円と前期比153百万円の増加となりました。また、役務取引等費用は、708百万円と前期比14百万円の減少となりました。
○ 預金の種類別残高(末残)
(注) 1 流動性預金=当座預金+普通預金+貯蓄預金+通知預金
2 定期性預金=定期預金+定期積金
○ 有価証券残高(末残)
(自己資本比率の状況)
(参考)
自己資本比率は、銀行法第14条の2の規定に基づき、銀行がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準(2006年金融庁告示第19号)に定められた算式に基づき、連結ベースと単体ベースの双方について算出しております。
なお、当行は、国内基準を適用のうえ、信用リスク・アセットの算出においては標準的手法を採用しております。
連結自己資本比率(国内基準)
(単位:百万円、%)
単体自己資本比率(国内基準)
(単位:百万円、%)
(資産の査定)
(参考)
資産の査定は、「金融機能の再生のための緊急措置に関する法律」(1998年法律第132号)第6条に基づき、当行の貸借対照表の社債(当該社債を有する金融機関がその元本の償還及び利息の支払の全部又は一部について保証しているものであって、当該社債の発行が金融商品取引法(1948年法律第25号)第2条第3項に規定する有価証券の私募によるものに限る。)、貸出金、その他資産中の未収利息及び仮払金、支払承諾見返の各勘定に計上されるものについて債務者の財政状態及び経営成績等を基礎として次のとおり区分するものであります。
1 破産更生債権及びこれらに準ずる債権
破産更生債権及びこれらに準ずる債権とは、破産手続開始、更生手続開始、再生手続開始の申立て等の事由により経営破綻に陥っている債務者に対する債権及びこれらに準ずる債権をいう。
2 危険債権
危険債権とは、債務者が経営破綻の状態には至っていないが、財政状態及び経営成績が悪化し、契約に従った債権の元本の回収及び利息の受取りができない可能性の高い債権をいう。
3 要管理債権
要管理債権とは、三月以上延滞債権及び貸出条件緩和債権をいう。
4 正常債権
正常債権とは、債務者の財政状態及び経営成績に特に問題がないものとして、上記1から3までに掲げる債権以外のものに区分される債権をいう。
資産の査定の額
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