(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
(金融経済環境)
2021年度の国内経済は、新型コロナウイルス感染症や世界的な供給制約の影響などから個人消費や生産が弱い動きとなる局面があったものの、基調としては持ち直しの動きとなりました。ただし、年度末にかけては、ウクライナ情勢の緊迫化に伴い、先行きに対する不透明感が強まりました。
地元九州の経済も、国内経済と同様の動きとなりました。
2021年度の日経平均株価は、新政権への政策期待から9月に一時30,000円台をつける局面がありましたが、新型コロナウイルス感染症への警戒感が根強い中、米国の金融緩和縮小の動きやウクライナ情勢の緊迫化等も加わり上値が重い展開となり、年度末は27,000円台となりました。
国内長期金利は、日本銀行による金融緩和政策が継続していることから、上昇幅は限られ、0.0%から0.2%付近で推移しました。
為替相場は、円安・ドル高方向で緩やかに推移していましたが、日米金利差の拡大を背景に年度末にかけて円安・ドル高が急速に進行しました。
(財政状態)
当連結会計年度末における総資産は前連結会計年度末比1兆523億円増加し、13兆1,279億円となり、総負債は前連結会計年度末比1兆725億円増加し、12兆5,971億円となりました。また、純資産は前連結会計年度末比201億円減少し、5,307億円となりました。
主要勘定の期末残高につきましては、預金・譲渡性預金は前連結会計年度末比3,506億円増加し、9兆8,346億円となりました。貸出金は前連結会計年度末比730億円減少し、8兆4,708億円となりました。有価証券は前連結会計年度末比2,665億円増加し、1兆7,733億円となりました。
(経営成績)
経常収益は、前連結会計年度比35億34百万円増加し、1,384億84百万円となりました。経常費用は、前連結会計年度比75億70百万円減少し、1,006億16百万円となりました。この結果、経常利益は、前連結会計年度比111億5百万円増加し、378億68百万円となり、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度比61億47百万円増加し、242億36百万円となりました。
(セグメントの業績)
① 銀行業
株式会社西日本シティ銀行及び株式会社長崎銀行で構成される銀行業における経常収益は、前連結会計年度比28億39百万円増加し、1,269億25百万円となりました。セグメント利益は前連結会計年度比112億円増加し、323億67百万円となりました。
② その他
その他における経常収益は前連結会計年度比23億92百万円増加し、247億64百万円となりました。セグメント利益は前連結会計年度比16億58百万円増加し、116億81百万円となりました。
(生産、受注及び販売の状況)
「生産、受注及び販売の状況」は、銀行持株会社における業務の特殊性のため、該当する情報がないので記載していません。
(参考)
(1)国内・国際業務部門別収支
当連結会計年度の資金運用収支は、国内業務部門916億97百万円、国際業務部門56億76百万円、合計で973億73百万円と前連結会計年度比53億47百万円の増加となりました。
役務取引等収支は、国内業務部門209億79百万円、国際業務部門△47百万円、合計で209億32百万円と前連結会計年度比18億85百万円の増加となりました。
信託報酬は0百万円、特定取引収支は19億19百万円、その他業務収支は14億15百万円となりました。
(注) 1 「国内業務部門」は当社及び連結子会社の円建取引、「国際業務部門」は連結子会社の外貨建取引です。ただし、円建対非居住者取引、特別国際金融取引勘定分等は国際業務部門に含めています。
2 相殺消去額は、国内業務部門と国際業務部門の間の取引に関する相殺額を記載しています。
3 資金調達費用は金銭の信託運用見合費用(前連結会計年度0百万円、当連結会計年度0百万円)を控除して表示しています。
(参考)
(2)国内・国際業務部門別資金運用/調達の状況
当連結会計年度の資金運用勘定平均残高は、前連結会計年度比5,526億91百万円増加し、10兆1,289億7百万円、利回りは0.96%、受取利息は982億28百万円となりました。
資金調達勘定平均残高は、前連結会計年度比1兆3,930億59百万円増加し、12兆6,465億87百万円、利回りは0.00%、支払利息は8億55百万円となりました。
① 国内業務部門
(注) 1 平均残高は、日々の残高の平均に基づいて算出しています。
2 「国内業務部門」は、当社及び連結子会社の円建取引です。
3 資金運用勘定は無利息預け金の平均残高(前連結会計年度1,942,922百万円、当連結会計年度2,830,973百万円)を、資金調達勘定は金銭の信託運用見合額の平均残高(前連結会計年度9,860百万円、当連結会計年度11,629百万円)及び利息(前連結会計年度0百万円、当連結会計年度0百万円)をそれぞれ控除して表示しています。
4 ( )内は、国内業務部門と国際業務部門の間の資金貸借の平均残高及び利息(内書き)です。
② 国際業務部門
(注) 1 平均残高は、日々の残高の平均に基づいて算出しています。
2 「国際業務部門」は、連結子会社の外貨建取引です。ただし、円建対非居住者取引、特別国際金融取引勘定分等は国際業務部門に含めています。
3 資金運用勘定は無利息預け金の平均残高(前連結会計年度71百万円、当連結会計年度74百万円)を控除して表示しています。
4 ( )内は、国内業務部門と国際業務部門の間の資金貸借の平均残高及び利息(内書き)です。
5 国際業務部門の国内店外貨建取引の平均残高は、月次カレント方式(前月末TT仲値を当該月のノンエクスチェンジ取引に適用する方式)により算出しています。
③ 合計
(注) 1 資金運用勘定は無利息預け金の平均残高(前連結会計年度1,942,993百万円、当連結会計年度2,831,048百万円)を、資金調達勘定は金銭の信託運用見合額の平均残高(前連結会計年度9,860百万円、当連結会計年度11,629百万円)及び利息(前連結会計年度0百万円、当連結会計年度0百万円)をそれぞれ控除して表示しています。
2 相殺消去額は、国内業務部門と国際業務部門の間の資金貸借の平均残高及び利息をそれぞれ記載しています。
(参考)
(3)国内・国際業務部門別役務取引の状況
当連結会計年度の役務取引等収益は、国内業務部門322億37百万円、国際業務部門2億30百万円、合計で324億68百万円となりました。また、役務取引等費用は、国内業務部門112億57百万円、国際業務部門2億78百万円、合計で115億36百万円となりました。この結果役務取引等収支は、209億32百万円となりました。
(注) 「国内業務部門」は当社及び連結子会社の円建取引、「国際業務部門」は連結子会社の外貨建取引です。ただし、円建対非居住者取引、特別国際金融取引勘定分等は国際業務部門に含めています。
(参考)
(4)国内・国際業務部門別特定取引の状況
① 特定取引収益・費用の内訳
当連結会計年度の特定取引収支は19億19百万円となりました。
(注) 「国内業務部門」は当社及び連結子会社の円建取引、「国際業務部門」は連結子会社の外貨建取引です。ただし、円建対非居住者取引、特別国際金融取引勘定分等は国際業務部門に含めています。
② 特定取引資産・負債の内訳(末残)
当連結会計年度の特定取引資産及び特定取引負債はありません。
(注) 「国内業務部門」は当社及び連結子会社の円建取引、「国際業務部門」は連結子会社の外貨建取引です。ただし、円建対非居住者取引、特別国際金融取引勘定分等は国際業務部門に含めています。
(参考)
(5)国内・国際業務部門別預金残高の状況
○ 預金の種類別残高(末残)
(注) 1 「国内業務部門」は当社及び連結子会社の円建取引、「国際業務部門」は連結子会社の外貨建取引です。ただし、円建対非居住者取引、特別国際金融取引勘定分等は国際業務部門に含めています。
2 流動性預金=当座預金+普通預金+貯蓄預金+通知預金
定期性預金=定期預金+定期積金
(参考)
(6)国内・海外別貸出金残高の状況
① 業種別貸出状況(末残・構成比)
(注) 「国内」とは当社及び国内連結子会社です。
② 外国政府等向け債権残高(国別)
該当ありません。
(参考)
(7)国内・国際業務部門別有価証券の状況
○ 有価証券残高(末残)
(注) 1 「国内業務部門」は当社及び連結子会社の円建取引、「国際業務部門」は連結子会社の外貨建取引です。ただし、円建対非居住者取引、特別国際金融取引勘定分等は国際業務部門に含めています。
2 「その他の証券」には、外国債券及び外国株式を含んでいます。
連結会社のうち、「金融機関の信託業務の兼営等に関する法律」に基づき信託業務を営む会社は、株式会社西日本シティ銀行1社です。
(注) 共同信託他社管理財産については、前連結会計年度(2021年3月31日)及び当連結会計年度(2022年3月31日)のいずれも取扱残高はありません。
(自己資本比率の状況)
(参考)
自己資本比率は、銀行法第52条の25の規定に基づき、銀行持株会社が銀行持株会社及びその子会社の保有する資産等に照らしそれらの自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準(2006年金融庁告示第20号)に定められた算式に基づき、連結ベースについて算出しています。
なお、当社は、国内基準を適用のうえ、信用リスク・アセットの算出においては基礎的内部格付手法を、オペレーショナル・リスク相当額の算出においては粗利益配分手法を、それぞれ採用しています。
連結自己資本比率(国内基準)
(単位:億円、%)
(資産の査定)
(参考)
資産の査定は、「金融機能の再生のための緊急措置に関する法律」(1998年法律第132号)第6条に基づき、株式会社西日本シティ銀行及び株式会社長崎銀行の貸借対照表の社債(当該社債を有する金融機関がその元本の償還及び利息の支払いの全部又は一部について保証しているものであって、当該社債の発行が金融商品取引法(1948年法律第25号)第2条第3項に規定する有価証券の私募によるものに限る。)、貸出金、外国為替、その他資産中の未収利息及び仮払金、支払承諾見返の各勘定に計上されるもの並びに貸借対照表に注記することとされている有価証券の貸付けを行っている場合のその有価証券(使用貸借又は賃貸借契約によるものに限る。)について債務者の財政状態及び経営成績等を基礎として次のとおり区分するものです。
1.破産更生債権及びこれらに準ずる債権
破産更生債権及びこれらに準ずる債権とは、破産手続開始、更生手続開始、再生手続開始の申立て等の事由により経営破綻に陥っている債務者に対する債権及びこれらに準ずる債権をいう。
2.危険債権
危険債権とは、債務者が経営破綻の状態には至っていないが、財政状態及び経営成績が悪化し、契約に従った債権の元本の回収及び利息の受取りができない可能性の高い債権をいう。
3.要管理債権
要管理債権とは、三月以上延滞債権及び貸出条件緩和債権をいう。
4.正常債権
正常債権とは、債務者の財政状態及び経営成績に特に問題がないものとして、上記1から3までに掲げる債権以外のものに区分される債権をいう。
株式会社西日本シティ銀行(単体)の資産の査定の額
株式会社長崎銀行(単体)の資産の査定の額
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、以下の記載における将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において判断したものです。
当社グループのセグメントは「銀行業」と「その他」に区分していますが、経営成績に占める割合は、「銀行業」が大宗であり、「その他」の事業は僅少であることから、セグメント別の状況は記載していません。
(当連結会計年度の経営成績)
当連結会計年度を振り返ってみますと、マイナス金利政策による収益の下押し基調が続く中、コロナ禍の長期化や、ロシア軍のウクライナ侵攻に伴う地政学リスクの増大など、極めて不透明な経営環境でした。
こうした経営環境ではありましたが、親会社株主に帰属する当期純利益は3期ぶりの増益となりました。増益に寄与したのは、資金利益、役務取引等利益の増加、経費、信用コストの減少などです。
この背景には、中期経営計画の各種施策が順調に進捗していることが挙げられ、資金利益、役務取引等利益、経費は、「有価証券運用力の強化」、「企業、個人のお客さまへの"One to Oneソリューション"の提供」、「業務革新の加速」などの施策の効果が現れたものと考えています。
こうしてみると、当連結会計年度の決算は、中期経営計画の施策の効果が実績に結び付いた、良い内容であったと思います。
(単位:百万円)
経常収益は、有価証券利息配当金や役務取引等収益の増加等により、前連結会計年度比35億34百万円増加し、1,384億84百万円となりました。
業務粗利益は、その他業務利益が減少しましたが、資金利益、役務取引等利益の増加等により、前連結会計年度比56億7百万円増加し、1,216億40百万円となりました。また、経費は、人件費の減少により、前連結会計年度比5億27百万円減少し、780億76百万円となりました。
この結果、実質業務純益は、前連結会計年度比61億34百万円増加し、435億63百万円、コア業務純益は前連結会計年度比79億30百万円増加し、426億8百万円となりました。
経常利益は、信用コストの減少やその他臨時損益の増加等により、前連結会計年度比111億5百万円増加し、378億68百万円となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、経常利益の増加により、前連結会計年度比61億47百万円増加し、242億36百万円となりました 。
(中期経営計画の目指す経営指標に関する分析)
「1経営方針、経営環境及び対処すべき課題」に記載した、中期経営計画「飛翔2023 ~地域の元気を創造する~」(計画期間:2020年4月から2023年3月までの3年間)の「目指す経営指標」について、本計画2年目となる2021年度までの実績は、以下のとおりとなりました。
※1…親会社株主に帰属する当期純利益
※2…(役務取引等利益+特定取引利益+国債等債券損益と通貨スワップコストを除くその他業務利益)÷
業務粗利益(全て連結計数)
※3…経費÷業務粗利益(全て連結計数)
※4…自己資本÷リスク・アセット等(全て連結計数)
・連結当期純利益
(当連結会計年度の経営成績)に記載のとおりです。
・非金利収益比率
非金利収益比率は、預り資産関連手数料や法人関連手数料の増加を主因に役務取引等利益が増加したことなどにより、前連結会計年度比0.8pt上昇し、19.3%となりました。
・連結ОHR
連結OHRは、業務革新の効果等により経費が減少したことなどにより、前連結会計年度比3.5pt低下し、64.2%となりました。
・連結自己資本比率
連結自己資本比率は、利益剰余金の積上げ等により自己資本額が増加した一方、貸出金(財務省向けを除く)及び有価証券の残高増加等によりリスク・アセットが増加したことなどから、前連結会計年度比0.21pt低下し、9.28%となりました。
(キャッシュ・フローの状況並びに資本の財源及び資金の流動性)
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況は以下のとおりです。
① 営業活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における営業活動による資金は、預金、借用金の増加等により、1兆1,510億円の収入超過(前連結会計年度は2,430億円の収入超過)となりました。
② 投資活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における投資活動による資金は、有価証券の取得が売却及び償還を上回ったこと等により、2,684億円の支出超過(前連結会計年度は2,043億円の支出超過)となりました。
③ 財務活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における財務活動による資金は、配当金の支払、自己株式の取得等により、76億円の支出超過(前連結会計年度は159億円の支出超過)となりました。
以上の結果、当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度比8,750億円増加し、期末残高2兆6,080億円となりました。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については以下のとおりです。
当社グループの中核事業は銀行業であり、預金等により調達した資金を、貸出金及び有価証券等により運用しています。
重要な資本的支出については、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除去等の計画」に記載のとおり、設備投資の計画がありますが、調達原資はすべて自己資金となっており、流動性についての問題はありません。
(重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定)
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しています。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いていますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しています。
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