業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

(1) 経営成績の状況

第14次中期事業計画では、「主幹部品の収益性向上」「事業基盤の強靭化」「環境変化への適応力向上」「CSR活動の強化」を戦略テーマとして設定し、グループ全体の事業基盤をさらに強固にすると共に、電動化を見据え新たな成長の創出を目指し事業を展開して参りました。

1.「主幹部品の収益性向上

各部品の戦略チームが中心となり各領域、各地域での戦略を見直し、課題抽出及び改善施策立案を確実に実行して参りました。主幹部品のライン最適化により収益確保に向けた体質づくりを進めており、確実な完了に向け展開中です。さらに日本・地域本部の役割を明確にするよう取り組んでおります

2.「事業基盤の強靭化」

主幹事業の将来を見据え、事業の「選択と集中」を進めるために、グローバルな視点で経営資源の最適化、将来に向けた企業基盤の強化を目的とした事業戦略機能を設置し、展開をしております。主には、生産の最適化及び経営判断スピードアップを目指し、北米地域等の子会社再編を実施しました。また、国内子会社の黒字化に向けた事業再編及び収益体質強化に取り組んでおります。

3.「環境変化への適応力向上」

人材領域においては、従来の人材育成プログラムに加え、グローバル人材を目的とした教育プログラムの展開、採用適正化、活性化施策等を実施して参りました。

デジタルツールを活用した次世代工場確立を目指し、IoT化モデル工場を定め、一部ラインの運用を開始しました。また、新時代をリードできる柱づくりとして保有技術を活かした新製品の探索及び検討を進めております。

4.「CSR活動の強化」

安全、環境、内部統制、リスクマネジメントなどの主要施策を推進しております。また、世界的な新型コロナウイルス感染症拡大リスク対応については、グローバルでの感染状況のモニタリングを行い、従業員の健康と安全を第一に配慮した取り組みを継続しております。

さらに、脱炭素社会に向けた取り組みを強化しステークホルダーにとって安心・信頼できる企業を引き続き目指して参ります。

 

また個別優先課題への対応状況としては、

①モーター部品の安定生産・収益性向上

生産及び品質安定化については、目標達成することができました。収益性向上については、製造原価低減の目標を達成する目途が立ちました。

引き続き、施策の継続推進を確実に進めるとともに、将来の事業性向上に向けた取り組みを強化展開して参ります。

②生産体質強化による国内黒字化

国内生産体質強化への取り組みとして各部品戦略チームによる各領域の戦略の見直し、課題抽出及び改善施策を実行して参りました。目標に向け施策を確実に推進することにより、国内黒字化に向けた体質づくりができました。

その結果、当社個別業績は半導体供給不足による減収影響があったものの、生産体質強化に伴う効果に加え、経費削減、円安効果、海外からの収入増等により営業黒字を確保することができました。なお、固定資産減損損失等については引き続き課題認識しております。

また、当社は、繰延税金資産の回収可能性を評価するに際して、将来の課税所得の見込み及び利益計画に基づき、回収可能性を十分に検討し、回収可能な額を計上しておりますが、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合は、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。この会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 連結財務諸表注記 4.重要な会計上の見積り及び見積を伴う判断」に記載しております。

今後においては、引き続き施策を確実に実行し継続した国内黒字化に向けた取り組みを推進して参ります。

③北米地域の再建、安定化

北米地域では、地域の再建に向け、日本と合同プロジェクトによる改善活動により、着実に収益改善を行って参りました。

さらに、経営のスリム化、収益改善のスピードアップ及び財務体質向上を目論み、米国オハイオ州の連結子会社であるカーディントン・ユタカ・テクノロジーズ・インコーポレーテッドと米国アラバマ州の連結子会社であるアラバマ・カルマン・ユタカ・テクノロジーズ・リミテッド・ライアビリティ・カンパニーの統合手続きを完了し2021年4月1日より新会社を発足し運用を開始致しました。

今後においては、北米収益強化に向け統合による経営判断及び収益改善を加速し、収益面での安定化を進めて参ります。

なお、財務課題として認識していた日米移転価格については、日米APA(事前確認制度)の相互協議において合意が成立いたしました。これにより、合意に伴う価格調整金を当社からカーディントン・ユタカ・テクノロジーズ・インコーポレーテッドへ支払うこととしました。また、固定資産減損等については引き続き課題認識しております。

④英国子会社工場閉鎖

英国における、生産子会社であるユーワイエス・リミテッドは2021年7月に生産を終了し、2022年3月に土地・建物の売却が完了しております。引き続き、最終清算完了に向けて推進して参ります。

⑤新型コロナウイルス感染症等の状況

世界的に発生した新型コロナウイルス感染症の拡大により日本及び当社グループ海外拠点においても生産停止、国際的な物流課題等が発生しておりました。2022年3月期は新型コロナウイルス感染症からの回復により収益面においては改善が図られております。しかし、今後においても、中国地域ロックダウン等の不透明な状況は継続していくことが予測されますので、従業員の安全確保、雇用維持を重要課題と認識し継続的な展開を行って参ります。

また、新型コロナウイルス感染症に加え、世界的な半導体供給不足等による生産調整や原材料・物流費等の高騰が懸念される状況ではありますが、収益面、資金課題等については、引き続き当社グループ全体で対応を推進して参ります。

⑥環境課題への取り組み強化

全社戦略テーマであるCSR活動強化として、CO2削減、廃棄物削減等の環境改善への取り組みを進めております。そのような中で世界では脱炭素社会に向けた取り組みがさらに加速する状況を課題認識し、当社グループとしての対応をより一層強化して参ります。

 

当連結会計年度の売上収益は、2,133億9千5百万円(前年同期比11.5%増)、営業利益88億5千3百万円(前年同期比143.1%増)、税引前利益113億6千5百万円(前年同期比196.2%増)、当期利益68億7千9百万円(前年同期は当期損失2億4百万円)、親会社の所有者に帰属する当期利益44億6千6百万円(前年同期は親会社の所有者に帰属する当期損失13億3千5百万円)となりました。

セグメントの業績を示すと次のとおりであります。

(日本)

半導体供給不足による影響はありましたが、新型コロナウイルス感染症からの回復に伴う顧客からの受注増や海外からの収入増に加え円安効果により増収となりました。利益面では、増収効果に加え前期での固定資産減損損失計上に伴う影響がなくなったことによる増加があったものの、当期において日米APAの合意に伴う価格
調整金を引当計上したことにより、売上収益379億8千8百万円(前年同期比1.6%増)、営業損失83億3千9百万円(前年同期は営業損失68億8千8百万円)となりました。

(北米)

半導体供給不足に伴う顧客からの受注減影響はあるものの、新型コロナウイルス感染症からの回復に伴う顧客からの受注増に加え、日米APAの合意に伴う価格調整金を収入計上したことにより、売上収益346億円(前年同期比16.8%増)、営業利益50億6千4百万円(前年同期比1,352.4%増)となりました。

(アジア)

半導体供給不足に伴う顧客からの受注減影響はあるものの、主にインドネシアとタイにおいて新型コロナウイルス感染症からの回復に伴う顧客からの受注増により、売上収益229億8千4百万円(前年同期比29.3%増)、営業利益13億6千7百万円(前年同期は営業損失1千8百万円)となりました。

(中国)

顧客からの受注増により売上収益1,320億7百万円(前年同期比10.0%増)、営業利益109億7千5百万円(前年同期比6.7%増)となりました。

(その他)

イギリスの工場閉鎖に伴う売上収益の減少があったものの、会社清算手続きに伴う固定資産売却等があり、売上収益29億7千7百万円(前年同期比46.5%減)、営業利益9千2百万円(前年同期は営業損失2千万円)となりました。

 

(注) 上記に記載しているセグメント別の売上収益は、外部顧客への売上収益とセグメント間の内部売上収益

の合計であります。

 

 

(2) 生産、受注及び販売の実績

  1.生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

日本

24,606

△4.1

北米

38,926

34.8

アジア

21,561

39.9

中国

145,025

25.3

その他

2,786

△38.2

合計

232,904

22.4

 

(注) 1.金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。

   2.当連結会計年度において、生産実績に著しい変動がありました。その内容等については、「第2「事業の状況」3「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」(1)経営成績の状況」に記載しております。

 

  2.受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期末比(%)

日本

25,555

3.7

2,483

△9.3

北米

32,493

9.5

3,885

△35.8

アジア

20,881

32.1

1,955

24.2

中国

128,861

9.9

16,646

45.8

その他

2,877

△37.8

77

△85.7

合計

210,667

9.7

25,046

12.3

 

(注) 1.金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。

   2.当連結会計年度において、受注高及び受注残高に著しい変動がありました。その内容等については、「第2「事業の状況」3「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」(1)経営成績の状況」に記載しております。

 

 

  3.販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

日本

24,801

5.3

北米

34,499

18.2

アジア

20,955

32.6

中国

130,288

10.2

その他

2,853

△37.7

合計

213,395

11.5

 

(注) 1.金額は販売価額によっております。 

2.当連結会計年度において、販売実績に著しい変動がありました。その内容等については、「第2「事業の状況」3「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」(1)経営成績の状況に記載しております。

3.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

 

相手先

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

東風本田汽車有限公司

80,136

41.9

94,219

44.2

本田技研工業株式会社

17,537

9.2

21,352

10.0

ホンダオブアメリカマニュファクチュアリング・インコーポレーテッド

12,701

6.6

7,260

3.4

 

 

(3) 財政状態の状況

当連結会計年度末の資産につきましては、現金及び現金同等物や営業債権及びその他の債権、棚卸資産の増加
により、前連結会計年度末に比べ191億5千5百万円増加し、2,083億3千4百万円となりました。

負債につきましては、主に営業債務及びその他の債務の増加により、前連結会計年度末に比べ99億4千5百万円増加し、1,133億6千万円となりました。

資本につきましては、利益剰余金やその他の資本の構成要素の増加により、前連結会計年度末に比べ92億1千1百万円増加し、949億7千4百万円となりました。

 

(4) キャッシュ・フローの状況

①資金需要の動向

当社グループの財務戦略の基本的な考え方は、強固な財務体質と高い資本効率を両立しつつ、企業価値向上のために戦略的に経営資源を配分することを基本方針としております。

強固な財務体質の維持に関しては、営業キャッシュ・フローによる十分な債務償還能力を前提に厳格な財務規律の下で負債の活用も進めることにより、資本コストの低減および資本効率の向上に努めて参ります。

当社グループの2022年3月期の資本コストは、加重平均資本コスト(WACC)で算出すると1.1%であります。今後も、利益の向上に努め資本コストを上回る高い付加価値を生み出し、企業価値の向上を目指します。

収益計画の基本的な方針については、事業環境の変化に対し、部門及び案件ごとの正確な収益分析を行い、主幹部品の収益性の向上、事業の選択と集中で事業性の向上を図り、利益を確保することとしております。

当社グループとしての、利益配分の基本方針としては、「成長投資への支出」「株主還元の充実」「有利子負債の返済と内部留保の充実」をバランスよく配分することを目標としております。

成長投資への支出としては利益成長への資本活用として、新機種投資、次世代製品投資、改善合理化、開発投資、グローバル最適化に向けた資本投資と位置づけ将来への収益拡大を図って参ります。

株主還元の充実としては安定的及び持続的な配当額の向上を基本方針とし株主還元の充実を図って参ります。

有利子負債の返済と内部留保の充実については、事業活動により得られた資金のうち、投資と株主還元を差し引いたフリーキャッシュフローについては、有利子負債の返済を進め、無借金経営を目指して参ります。

返済完了後は、内部留保の充実を図って参ります。

②資金調達の方法

当社グループは事業活動維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、内部資金および外部資金を有効に活用しております。

設備投資額は営業キャッシュ・フローの範囲内とすることを原則としておりますが、安定的な資金調達手段としては、金融機関からの借入等を一部活用しております。

また、緊急時の対応として国内金融機関において、アンコミットメントラインを設定しており、柔軟な対応ができる流動性を確保しております。

当連結会計年度としては、成長投資及び株主還元については、予定通り配分し、内部留保についても確保することができております。

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、402億4千9百万円(前年同期末比25.3%増)となりました。

 

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は121億4千2百万円(前連結会計年度比24.8%減)となりました。これは主に法人所得税等の支払額や棚卸資産の増加による支出がありましたが、税引前利益や減価償却費及び償却費による収入が上回ったことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は39億4千7百万円(前連結会計年度比54.6%減)となりましたこれは主にイギリス工場の閉鎖に伴う固定資産の売却による収入がありましたが、新機種投資及び合理化投資に伴う有形固定資産の取得による支出が上回ったことによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は27億9千3百万円(前連結会計年度比346.8%増)となりました。これは主に配当金の支出によるものであります。

 

4.重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載しております。

 

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