当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症に対するワクチン接種によりコロナとの共生が進むなか、一部に回復の動きが見られたものの、半導体不足の影響や、物流費・原材料価格の高騰により、依然として先行き不透明な状況が続いております。海外におきましては、経済活動の段階的な再開により回復の兆しが見られたものの、2021年末からの感染急拡大、中国の不動産市場の冷え込みや、ゼロコロナ政策下の経済活動抑制、ロシアのウクライナに対する軍事侵攻の影響等、こちらも先行きは依然として不透明な状況が続いております。
当社グループが関連する自動車業界におきましては、世界の自動車販売台数がコロナ危機前の水準へ回復傾向にあるものの、世界的な半導体不足による生産活動の停止により、国内の新車販売台数は2011年以来となる450万台を割り込みました。
また、カーボンニュートラルを中心とした環境問題への取組みの動きが急激に加速し、自動車業界は電動化を加速させ、電気自動車(EV)の新車販売台数が初めてハイブリッド車(HV)を上回りました。
当連結会計年度の主な活動といたしましては、日本・中南米・北米を中心に構造改革をはじめとする収益構造の改善、モノづくり競争力の強化によるコスト低減活動に取り組み、事業のスリム化・効率化、徹底的なコスト低減をグローバルで進め、収益性向上に努めております。また、3つの“シンカ”「深化」「進化」「新化」により事業ポートフォリオを変革すべく、「深化」ではフロントシートの骨格であるTTK-Xフレームや機構部品、トリムカバー、一体発泡といった部品ビジネスの受注が決まり量産に向けた活動が始まっております。「進化」では空間プロデューサーとして異業種とのコラボレーション活動を進め、将来モビリティにおける新しい空間体験価値の企画・提案を行っており、「新化」では新組織を発足し、オープンイノベーション活動をスタートさせました。また、カーボンニュートラルへの取り組みとしては中国、メキシコで太陽光発電パネルを設置し、国内では既に稼働している技術モノづくりセンターに加え複数の工場への導入に向け取り組んでおります。
このような経営環境のもと、当連結会計年度における業績は、売上高は2,064億4千1百万円と前年同期比4.0%増となり、これに伴い営業損失は42億3百万円(前年同期は営業損失77億5千3百万円)、経常損失は35億3千6百万円(前年同期は経常損失72億7千万円)、親会社株主に帰属する当期純損失は20億5千9百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失137億1百万円)となりました。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等の適用により、売上高は228億2千4百万円減少しております。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
日 本
売上高は807億6千3百万円(前年同期比8.7%減)、営業損失は16億8千4百万円(前年同期は営業損失22億3千6百万円)となりました。
なお、収益認識会計基準等の適用により、売上高は228億2千4百万円減少しております。
北 米
売上高は384億9千2百万円(前年同期比31.0%増)、営業損失は24億5千4百万円(前年同期は営業損失21億8千2百万円)となりました。
中 南 米
売上高は514億円2千万円(前年同期比24.9%増)、営業損失は16億2千7百万円(前年同期は営業損失40億1千万円)となりました。
欧 州
売上高は11億1千万円(前年同期比89.1%増)、営業利益は1億3千3百万円(前年同期比350.0%増)となりました。
中 国
売上高は326億2千9百万円(前年同期比13.5%減)、営業利益は19億6千9百万円(前年同期比73.1%増)となりました。
東南アジア
売上高は20億2千5百万円(前年同期比74.8%増)、営業損失は3億4千2百万円(前年同期は営業損失6億6千1百万円)となりました。
セグメントごとの生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
①生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 金額は販売価格によっております。
当社グループは主に自動車座席及び座席部品を製造・販売しており、主要な顧客である自動車メーカー各社に対する納品までの期間が極めて短期間であるため、受注高及び受注残高の記載を省略しております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 主な相手先別販売実績及びそれぞれの総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
(注) 前連結会計年度の三菱自動車工業株式会社につきましては、当該割合が100分の10未満のため記載を省略しております。
当連結会計年度のトヨタ紡織株式会社につきましては、当該割合が100分の10未満のため記載を省略しております。
当連結会計年度末の資産合計は、1,589億9千7百万円と前連結会計年度末に比べ80億3百万円増加しております。これは主に、現金及び預金が22億8千8百万円、原材料及び貯蔵品が34億1千5百万円それぞれ増加したことよるものであります。
セグメントごとの資産は、次のとおりであります。
日 本
総資産は1,138億8千8百万円と前連結会計年度末に比べ116億8千7百万円の増加となりました。これは主に、売却により投資有価証券が減少したものの、中南米セグメントの関係会社への資金の貸付により短期貸付金が増加したこと並びに原材料及び貯蔵品が増加したこと等によるものであります。
北 米
総資産は452億2百万円と前連結会計年度末に比べ39億3千8百万円の増加となりました。これは主に、現金及び預金並びに売掛金が増加したことによるものであります。
中 南 米
総資産は334億9千6百万円と前連結会計年度末に比べ39億9百万円の増加となりました。これは主に、売掛金並びに原材料及び貯蔵品がそれぞれ増加したこと等によるものであります。
欧 州
総資産は25億8千4百万円と前連結会計年度末に比べ1億2千2百万円の増加となりました。これは主に、現金及び預金が増加したこと等によるものであります。
中 国
総資産は317億7千3百万円と前連結会計年度末に比べ4億6千万円の減少となりました。これは主に、売掛金が減少したこと等によるものであります。
東南アジア
総資産は51億1千5百万円と前連結会計年度末に比べ2億1千5百万円の減少となりました。これは主に、現金及び預金が減少したこと等によるものであります。
負債合計は、798億1千6百万円と前連結会計年度末に比べ74億9千2百万円増加しております。これは主に、支払手形及び買掛金が22億7千1百万円増加したことに加え、長期借入金からの振替を除いた短期借入金の増加が36億8千万円であったことによるものであります。
純資産合計は、791億8千1百万円と前連結会計年度末に比べ5億1千1百万円増加しております。これは主に、利益剰余金が33億7千8百万円減少したものの、為替換算調整勘定が45億4千2百万円増加したことによるものであります。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、293億6千万円と前連結会計年度末に比べ21億6千3百万円(8.0%)増加しました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により使用した資金は、3億5千4百万円であり、前連結会計年度と比べ15億9千1百万円(81.8%)減少しました。これは主に、税金等調整前当期純損失が前連結会計年度と比べ123億3千8百万円改善したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により得られた資金は、20億6百万円であり、前連結会計年度と比べ83億3千3百万円(前連結会計年度は63億2千6百万円の使用)増加しました。これは主に、有形固定資産の売却により43億7千9百万円、投資有価証券の売却により12億8百万円それぞれ増加したことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により使用した資金は、8億1千2百万円であり、前連結会計年度と比べ59億4千1百万円(前連結会計年度は51億2千8百万円の調達)増加しました。これは主に、短期借入による資金の調達が49億4千5百万円減少したことによるものであります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりであります。
当社グループは営業活動から得られるキャッシュフローのほか、自己資金及び金融機関との間で締結したコミットメントラインを含む短期借入枠により資金の流動性を十分に確保しております。
また、設備投資資金については投資計画に基づき、自己資金に加え外部借入を機動的に活用することで資本コストの適正化と財務の健全性の確保に努めております。
株主還元については経営における重要課題の一つと考えております。当社の配当政策については、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」をご参照ください。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、決算日における資産・負債の報告数値及び報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積り及び判断は、過去の実績や状況に応じて合理的と考えられる様々な要因に基づき行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針及び重要な会計上の見積りは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」及び「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載しております。
事業戦略における、3つの“シンカ”の「深いシンカ」では、共通フレームの適用拡大、AI外観検査の開発、トリムカバー組付け技術開発等を進めております。「進むシンカ」では、空間プロデューサーとして異業種とも連携し、クルマでの体験価値、モビリティの新たな価値の検討を行い、シートを中心とした車室内空間の新たな価値創出に向けた準備をしています。「新しいシンカ」では、当社のパーパスを目指す活動を、グループの強みである基盤技術・コア技術を土台にオープンイノベーションで推進しているところであり、社会課題やビジネストレンドを事業と結合させ、サステナブルな社会に貢献するためにさまざまな可能性を追求しております。
2021年度は収益の構造改革等を計画通り実行しましたが、半導体供給不足等による得意先自動車メーカーでの生産調整の影響により、営業利益が未達となった結果、ROEは△2.8%となりました。第4四半期ではグローバルで黒字化し、営業利益率は4%を達成し、収益改善の効果が出始めております。DOEに関しましては、2024年度4%に向け、計画通り2021年度は3%に引き上げております。
一方、品質面ではこれまでの地道な取組みが評価され、各地域において昨年度同様お得意先から多くの品質賞を受賞しております。
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