文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社の経営理念は次のとおりです。
① 技術を極め、顧客の高い満足と強い信頼を頂く商品を提供する。
② 地球環境を守り、企業責任を全うし、社業を通じて社会に貢献する。
③ 世界を視野に高い目標に挑戦し、企業の発展と個人の成長を実現する。
当社グループとして経営理念に基づき、ものづくりを本業とするメーカーとしてPQCD(Productivity 生産性、Quality 品質、Cost 価格、Delivery 納期)について世界最高の体制を構築し、高いCS(顧客満足)を得ることを目標に、製品の開発・生産・販売から廃棄までの全工程で地球保護に積極的に取り組みます。また、個人を尊重し、相手の立場で考え、意欲・能力を最大限に発揮することで、世界に飛躍する製品・技術・人を創造することに挑戦します。エンジンバルブの専門メーカーとして低燃費技術の進化を通じて社会に貢献してまいります。
(2)経営環境と対処すべき課題
現在の当社グループの経営環境は、新型コロナウイルスの感染が依然世界経済全体に大きな影響を及ぼしており、更にロシアのウクライナ侵攻等に起因する原材料価格やエネルギーコストの高騰、物流の混乱等、先行きは不透明感が続いております。ただ、ワクチンの接種が浸透してきたことによる経済活動の再開により、景気は緩やかな回復の基調に変わってきております。当社グループの主要需要先である自動車関連の受注は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響は小さくなってきた一方で、半導体不足や部品調達不足により生産減少が続くなど、引き続き不透明で下振れリスクを含む経営環境は継続するものと見込まれます。このような状況下、当社グループは、すべての関係者の皆様や従業員およびその家族の安全を最優先とした新型コロナウイルスの感染防止に努めるとともに、固定費を中心とした徹底的なコスト圧縮策を継続して推し進め、収益上の影響が最小限となるよう事業活動の継続を図ってまいります。
当社グループは、新たなスタートとして、昨年6月23日に2021年から2023年の3ヶ年の「2023年中期経営計画」により新たな目標を公表いたしました。原点に立ち返り、徹底した合理化・スリム化による収益確保・新規事業スタートへ向けた社内構造の改革・ESG経営の実践や社会貢献についても、当社グループ一丸となり取組んでまいります。
2023年中期経営計画基本方針
1.自動車部品事業の安定収益の確保
2.新規事業のスタートおよび基軸への成長
3.効率経営推進による社会貢献
定量目標
●エンジンバルブ事業の合理化推進による利益率向上
●新規事業、ESG関連中心の積極的な投資
●株主への利益還元目標は連結配当性向30%以上
中期経営指標と実績 (単位:億円)
(社業について)
当社は1952年の創業以来、輸送機、産業機械、農機、発電機、船舶などあらゆる内燃機関を製造するお客様に吸気・排気用バルブとその関連製品を供給してまいりました。その間独自の高機能バルブ開発に加え、親会社である大同特殊鋼株式会社とも連携した材料開発、工法・検査技術開発などにより、高度化するお客様のニーズに応えて内燃機関技術の向上を支え、産業基盤の発展に貢献してきたと自負しております。
国として宣言が出されたカーボンニュートラルへの対応として電気自動車への移行が広く伝えられておりますが、現在の電源構成において電気自動車はCO2フリーではありません。日本を含め多くの地域でライフサイクルアセスメント(LCA)での電気自動車のCO2排出量はガソリン車・ディーゼル車を上回っています。これはバッテリー製造および廃棄時のCO2排出が大きいことによるものです。またバッテリーには希少金属が必要で、昨今のブームによって資源価格の高騰が発生しております。
現在のバッテリーのエネルギー密度は400Wh/kg程度で、次世代では1,000Wh/kgを超える電池が期待されていますが、例えば液体燃料の10,000Wh/kg以上という高エネルギー密度とは比較になりません。物を運ぶということにおいて重量は大変重要なファクターで、貨物より重いバッテリーを運ぶわけにはいきませんので、一定の領域において内燃機関の活用は今後とも必要と思われます。しかしながらそのための燃料は化石由来から脱却する必要があります。最近メタネーション、e-fuel、水素エンジンなどのキーワードに象徴される代替燃料の議論が行われるようになってきました。このように輸送機器における脱炭素は電動、そしてカーボンニュートラル燃料の内燃機関の合わせ技で達成されていくものと考えられ、当社もすでにお客様との共同基礎開発を始めております。当社の本業においては今後も引き続き予想される燃焼技術や燃料の変化に備え、先読みによるシーズ開発によって引き出しを充実させ、短期化する開発期間においてもご満足いただける提案でお客様のご要望に応えていく所存であります。
しかしながら現在の社会情勢に鑑みて、当社が本業で更なる成長を図っていくことには困難が予想されます。そこでSDGs達成貢献を念頭に置いた新事業開発(新事業探索3つのアプローチとして有望企業のM&A探索、成長分野・シナジーを活かした新事業探索、連結子会社関連の新事業探索)にも取り組んでおります。今後10年で本業に並び立つ成長事業とすることを目標に現中期経営計画期間をそのスタート点と位置づけ経営資源を配分していきます。
(太陽光発電について)
昨年度より稼働を開始した本社工場900kW、メキシコ工場500kWの太陽光発電は概ね計画どおりの発電量が得られております。パネル1kW当たりの年間発電量は日本では約1,000kWh程度と言われており、またメキシコは日照条件が良好で日本の二倍の発電量が期待できます。グループ全体で2022年第二ステップ4,700kW、2023年第三ステップ4,000kW以上の追加設置を計画しておりましたが、電気単価の急騰を受けこれらの設置時期の前倒しや、規模の拡大を検討してまいります。
(2022年度の取り組み)
本年度はスローガンと基本方針を以下のように定め、それぞれの重点課題への取り組みの具体化による年度目標の実現を目指してまいります。
スローガン
『自分のためにチャレンジしよう。皆のために助け合おう』
~個人の成長=会社の成長~
基本方針
1.自動車部品事業の安定収益確保
効率的な生産体制の追求の推進を行うこと、特に人員の機動化・稼働ロス低減・検査自動化を進めてまいります。
2.新規事業のスタートおよび基軸への成長
事業戦略に基づく具体策を展開し、新分野事業・シナジーを活かした事業・地域関連事業の立案を検討・実行してまいります。
3.効率経営推進による社会貢献
働き方改革・DX推進・BCP等により経営基盤強化を図っていくとともに、SDGs活動の全社展開および推進によりESG経営を実践してまいります。
引き続き、会社全体の構造改革を推進するとともに、企業の社会的責任(CSR)を果たし、世界のなかで存在価値のある会社として認められる、理想を追求して行くことができる企業体質を目指します。
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