業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。

 

①経営成績の状況

 当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症拡大の長期化や変異株による断続的な感染再拡大を繰り返しながらも、ワクチン接種等の感染拡大防止策の促進等により状況が徐々に緩和されつつあります。政府による各種政策の効果や海外経済の改善もあって日本国内の景気が持ち直していくことが期待されますが、ウクライナ情勢、原材料価格の上昇、米国をはじめとする世界各国の経済・金融政策や為替の動向、新型コロナウイルス感染症の再拡大等による影響を注視する必要があり、依然として先行き不透明な状況が続いております。

 このような経済情勢のなか、当社が主たる事業領域とする国内インターネット広告市場は成長を続け、2021年にはテレビ・新聞・雑誌・ラジオのマスコミ四媒体合計を上回る2兆7,052億円(前年比21.4%増)規模に拡大しました(出所:「2021年 日本の広告費」株式会社電通)。新型コロナウイルス感染症の影響が緩和し、広告市場全体が大きく回復するとともに、社会のデジタル化が進むなかでインターネット広告市場は今後も継続して拡大することが見込まれます。

 同様に、当社がクラウド営業支援ツールを開発し、サービス提供している国内SaaS市場も、2020年度の7,818億円から5年後の2025年度には1兆4,607億円規模に達するとの予測もみられ拡大傾向にあります(出所:「ソフトウェアビジネス新市場2020年版」株式会社富士キメラ総研、「Saas業界レポート2021」スマートキャンプ株式会社)。コロナ禍を契機として、デジタルトランスフォーメーション(DX)推進機運が高まりを見せておりますが(出所:「DXレポート2(中間取りまとめ)」経済産業省)、今後も働き方改革や生産性向上を実現するためのIT投資需要の増加は継続するものとみられ、市場規模の更なる拡大が見込まれます。

 当事業年度において当社では、このような市場環境を背景として、引き続き継続的かつ安定的な事業規模拡大を目指し、主力事業であるWebマーケティング事業を中心に、本社(東京都新宿区)及び関西支社(大阪府大阪市北区)を拠点とした営業活動やインターネットメディア経由の受注強化に加え、代理店開拓を強化し多様な販路の確立に継続して取り組んでまいりました。2020年11月の東京証券取引所JASDAQ(スタンダード)への上場を契機に、多様な販路確立の一環で進めている地域金融機関や全国に展開する大手企業等との関係強化にも進展がみられ、地域経済の活性化に貢献する地方創生に引き続き取り組むとともに、新たな市場でのシェア拡大を図ってまいりました。さらに、主力サービスであるSEO対策とWebサイト制作を統合し、新たに「オーガニックマーケティング」として、検索エンジン経由のWebサイト訪問件数の増加から、案件成約率の改善まで、一連のマーケティングプロセス全てを一社完結で支援するサービスへと進化・発展させ、既存顧客への提案力を高めアップセルやクロスセルをより一層推進するとともに、新たな顧客層の開拓にも取り組んでまいりました。加えて、デジタルトランスフォーメーション(DX)推進機運が高まるなかで、クラウド営業支援ツール「ネクストSFA」の新機能開発や「Google 広告」・「Yahoo!広告」等の他社サービスとの接続強化を進め、マーケティング機能とフォーム生成機能を新たに追加することで、より付加価値の高いサービス提供を可能とし、提供ツールの機能と利便性の向上に努めてまいりました。

 以上の結果、当事業年度の売上高は3,453,520千円(前年同期比13.6%増)、営業利益は194,644千円(同1.2%増)、経常利益は196,494千円(同12.5%増)、当期純利益は132,775千円(同19.3%増)となりました。

 なお、当社の報告セグメントは、開示上の重要性の観点からWebマーケティング事業のみとしており、その他の事業セグメントについてはセグメント情報の記載を省略しております。

 

②財政状態の状況

(資産)

 当事業年度末における資産合計は1,966,985千円となり、前事業年度末に比べて271,752千円増加いたしました。

 流動資産は1,638,069千円となり、前事業年度末に比べ178,454千円増加いたしました。これは主に売上高の変動を要因として、前事業年度末時点と比較して当事業年度末の売掛金が103,257千円、現金及び預金が66,592千円増加したことによるものであります。

 固定資産は328,915千円となり、前事業年度末に比べ93,297千円増加いたしました。これは主に償却によりのれんが6,234千円減少した一方で、差入保証金が99,950千円増加したことによるものであります。

 

(負債)

 当事業年度末における負債合計は820,815千円となり、前事業年度末に比べて133,518千円増加いたしました。

 流動負債は665,150千円となり、前事業年度末に比べ23,995千円増加いたしました。これは主に返済により短期借入金が8,340千円減少した一方で、1年内返済予定の長期借入金が32,393千円増加したことによるものであります。

 固定負債は155,665千円となり、前事業年度末に比べ109,523千円増加いたしました。これは主に長期借入金が109,499千円増加したことによるものであります。

 

(純資産)

 当事業年度末における純資産合計は1,146,170千円となり、前事業年度末に比べ138,233千円増加いたしました。これは主に、当期純利益の計上に伴い利益剰余金が132,775千円増加したことによるものであります。

 

③キャッシュ・フローの状況

 当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末と比較して66,592千円増加し、1,258,663千円となりました。

 当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は42,402千円(前年同期比57.2%減)となりました。これは主に、減少要因として売上債権の増加額103,257千円、法人税等の支払額59,625千円があった一方で、増加要因として税引前当期純利益196,494千円があったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は114,203千円(前年同期は9,815千円の使用)となりました。これは主に、減少要因として差入保証金の差入による支出100,000千円、敷金の差入による支出7,470千円及び有形固定資産の取得による支出6,402千円があったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果得られた資金は138,393千円(前年同期比72.6%減)となりました。これは主に、減少要因として長期借入金の返済による支出158,108千円があった一方で、増加要因として長期借入れによる収入300,000千円があったことによるものであります。

 

④生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社が提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略しております。

 

b.仕入実績

 当事業年度の仕入実績は次のとおりであります。

セグメントの名称

当事業年度

(自 2021年3月1日

至 2022年2月28日)

金額(千円)

前年同期比(%)

Webマーケティング事業

 (Web広告)

1,898,601

123.8

 (注)1.セグメント間の内部振替はありません。

2.最近2事業年度の主な相手先別の仕入実績及び当該仕入実績の総仕入実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前事業年度

(自 2020年3月1日

至 2021年2月28日)

当事業年度

(自 2021年3月1日

至 2022年2月28日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

グーグル合同会社

ヤフー株式会社

803,357

427,879

52.4

27.9

932,732

388,580

49.1

20.5

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

c.受注実績

 当事業年度の受注実績は次のとおりであります。

セグメントの名称

当事業年度

(自 2021年3月1日

至 2022年2月28日)

受注高

(千円)

前年同期比

(%)

受注残高

(千円)

前年同期比

(%)

Webマーケティング事業

 (Webサイト制作)

259,512

154.0

81,377

130.8

 (注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

d.販売実績

 当事業年度の販売実績は次のとおりであります。

セグメントの名称

当事業年度

(自 2021年3月1日

至 2022年2月28日)

金額(千円)

前年同期比(%)

Webマーケティング事業

オーガニックマーケティング

(SEO対策)

848,587

96.4

(Webサイト制作)

241,813

123.6

小計

1,090,401

101.3

Web広告

2,227,227

122.0

 報告セグメント計

3,317,629

114.4

クラウドセールステック事業

135,891

97.4

合計

3,453,520

113.6

 (注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

2.セグメント間の内部振替はありません。

3.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は総販売実績の100分の10未満であるため記載を省略しております。

4.当社の報告セグメントは、Webマーケティング事業のみでありますが、販売実績においてはクラウドセールステック事業を併記しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績の分析

(売上高)

 当事業年度の売上高は、3,453,520千円(前年同期比13.6%増)となりました。これは主に、新型コロナウイルス感染症拡大の影響はあったものの、本社及び関西支社を拠点とした営業活動やインターネットメディア経由の受注強化に加え、代理店開拓を強化し多様な販路の確立に継続して取り組んだことによるものであります。

 

(売上原価、売上総利益)

 当事業年度の売上原価は、2,535,857千円(同17.7%増)となりました。これは主に、Web広告の売上高の増加に伴う広告仕入の増加365,599千円によるものであります。

 この結果、当事業年度の売上総利益は、917,662千円(同3.5%増)となりました。

 

(販売費及び一般管理費、営業利益)

 当事業年度の販売費及び一般管理費は、723,018千円(同4.2%増)となりました。これは主に、テレワーク導入に伴う業務効率改善等を行った一方で積極的な採用活動による人件費の増加16,153千円、金融機関や代理店からの紹介案件の増加による販売手数料の増加9,937千円によるものであります。

 この結果、当事業年度の営業利益は、194,644千円(同1.2%増)となりました。

 

(営業外収益、営業外費用及び経常利益)

 当事業年度の営業外収益は、3,318千円(同40.4%増)となりました。これは主に、受取手数料の増加2,294千円によるものであります。営業外費用は、1,468千円(同92.7%減)となりました。これは主に、新規上場に伴う株式交付費の減少18,439千円によるものであります。

 この結果、当事業年度の経常利益は、196,494千円(同12.5%増)となりました。

 

(特別利益、特別損失及び当期純利益)

 当事業年度の特別損益は発生しておりません。

 この結果、当事業年度の税引前当期純利益は、196,494千円(同12.5%増)となり、法人税等を63,719千円計上したことにより、当期純利益は、132,775千円(同19.3%増)となりました。

 

b.財政状態の分析

 当事業年度の財政状態の分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」に記載しております。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当社の当事業年度のキャッシュ・フローは、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 当社の運転資金需要のうち主なものは、広告仕入等の売上原価、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。

 当社は、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としており、短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本とし、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。

 なお、資金の流動性については、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は1,258,663千円となっており、また、取引銀行1行と当座貸越契約を締結しているため、十分な流動性を確保しているものと考えております。

 

③重要な会計方針及び見積り

 当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたり、会計基準の範囲内で、一定の見積りが行われている部分があり、資産・負債、収益・費用の金額に反映されております。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。

 当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。また、会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症の影響につきましては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 追加情報」に記載しております。

 

④経営成績に重要な影響を与える要因について

 「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

⑤経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の分析

 当社は、売上高及び営業利益を重要な経営指標と位置付けております。

 第18期事業年度においては、本社及び関西支社を拠点とした営業活動やインターネットメディア経由の受注強化に加え、代理店開拓を強化し多様な販路の確立に継続して取り組んでまいりました。さらに、地域金融機関や全国に展開する大手企業等との関係強化を図り、地域経済の活性化に貢献する地方創生に引き続き取り組んでまいりました。

 その結果、売上高は前年同期比113.6%、営業利益は前年同期比101.2%となっております。

 第19期事業年度においては、新型コロナウイルス感染症拡大の長期化や断続的な感染再拡大の影響により、依然として先行き不透明な状況にありますが、今後も引き続きサービス品質の向上に努め、有益なサービスの提供を継続し、着実な事業拡大へ取り組んでまいります。

 また、当社が市場環境の変化や需要を的確に捉え、より大きく成長するためには、人材投資(採用促進、育成等)により組織体制を拡充することが不可欠であるため人材投資及び採用後の定着化、戦力化に要する期間等を考慮した先行費用の増加、営業利益の減益が見込まれますが、売上高の安定的な増収を見込むとともに、中長期的な企業価値の向上を目指してまいります。

 

 最近2事業年度の経営指標は次のとおりであります。

 

 

前事業年度

(自 2020年3月1日

至 2021年2月28日)

当事業年度

(自 2021年3月1日

至 2022年2月28日)

金額(千円)

金額(千円)

前年同期比(%)

売上高

営業利益

3,040,408

192,339

3,453,520

194,644

113.6

101.2

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