業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 ①財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度における我が国経済は、自動車や半導体製造装置、鉄鋼などの輸出が比較的堅調だったものの、資源・エネルギーや原材料の価格高騰によって輸入が更に膨らみ、2年ぶりの貿易赤字となりました。また、個人消費につきましては、新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言等の発出・解除が繰り返されたため、人の移動や消費が落ち込むなど極めて厳しい状況で、消費マインドの持続的な高揚には至らず、停滞感の強い状態で推移致しました。

 外食産業におきましては、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置による時短営業要請の実施が長期間にわたり継続したことと、新しい生活様式の普及による外食機会の自粛傾向が続いていることにより、コロナ禍以前の売上水準に戻るには至らず、さらには原材料価格・物流費の高騰や人手不足によるコスト増加などの影響や、中食などとの競争環境がこれまで以上に一層激化するなど厳しい経営環境が続いております。

 このような状況の中、当社の主力事業である回転寿司事業におきましては、引き続きコロナ禍においても安心してお食事をお楽しみいただける店舗づくりに取り組んでおります。直近で改装した店舗には自動案内システムやセルフレジ・ご自身のスマートフォンがタッチパネル替わりになる「スマホオーダー」を導入するなどして、非接触型サービスを強化しており、今後も随時各店に導入を進めて行く予定です。また、店内の感染予防対策においては、従業員健康管理、マスクや手袋着用の実施、アルコール消毒液の設置、ソーシャルディスタンスの確保などを引き続き実施しております。さらに全国の自治体で行われている、飲食店における第三者認証制度とワクチン・検査パッケージ制度を随時認証取得しており、よりお客様に安心してご利用いただける環境づくりに取り組んでおります。また、たび重なる時短営業要請によって夜の外出を控える動きは変わらず、外食する時間帯は混雑する時間を避ける動きもあります。こうした行動変容に対応するためにも開店時間を早めて新たなニーズを取り込むことや、生産性向上の為に閉店時間を早めるなどの営業時間の見直しを一部店舗で実施いたしました。

 今後も新型コロナウイルスの収束時期が見通せず、これに起因した来客数・売上高への影響を慎重に検討した結果、当連結会計年度において固定資産に対して「固定資産の減損に係る会計基準」に基づき、減損処理を行い減損損失4億9百万円を計上いたしました。

 以上の結果、当連結会計年度の売上高は672億6百万円(前期比3.6%増)、営業損失は21億13百万円(前期営業損失15億72百万円)、経常損失は18億89百万円(前期は経常損失14億72百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益は7億36百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失11億49百万円)となりました。

 

 次に事業の種類別セグメントの概況をご報告申し上げます。

〈回転寿司事業〉

 回転寿司事業におきましては、回転寿司屋から脱却し妥協なく寿司屋の品質を目指す、というスローガンを掲げ、回転寿司チェーン店初の山形県産ブランド米「はえぬき」を単一使用へと踏み切り、2021年12月には、東日本と西日本それぞれの嗜好に調合した「お酢」のリニューアルを行い、更にシャリの品質向上に取り組みました。

 販売促進活動においては、日本国内で天然魚加工トップクラスの水産加工会社「玄天」とタッグを組み、第1弾として「九州産鯖」の販売を実施し、希少な天然魚を手軽に味わえることで大変ご好評いただきました。また、名店レシピ企画の第2弾として、ミシュラン2つ星「鮨処 つく田」の名店寿司職人が監修したレシピ3商品は、より寿司屋品質を表現する逸品となりました。人気のコラボレーション企画として、大人気アニメ「東京リベンジャーズ」とはアプリ会員限定となる「寿司卍會」のオジリナルパスケースプレゼントキャンペーンを実施し、新たな顧客層へのアプローチを行いました。「やんちゃ企画」シリーズは「食べてうまい」だけではなく「見て楽しい」を兼ね備えた商品として人気となり、SNSやwebメディアで話題となりました。

 店舗面におきましては、2021年8月にモレラ岐阜店、2021年11月に横浜西口エキニア店を出店いたしました。また、賃貸契約終了により3店舗、自社保有土地売却により2店舗、コロワイドグループ内の業態転換で1店舗の閉店を行った結果、当連結会計年度末の店舗数は309店舗となりました。

 

 以上の結果、回転寿司事業の売上高は529億79百万円(前期比1.3%増)となりました。

 

〈デリカ事業〉

 デリカ事業におきましては、コンビニやスーパーストアを中心とした既存顧客に対する寿司弁当・調理パン等の商品の拡充、新製品の提案や新規取引先の発掘など販売強化に取り組むと共に各拠点間での生産移管等を通じて生産能力の充実と効率化に取り組みました。

 

 以上の結果、デリカ事業の売上高は142億27百万円(前期比13.2%増)となりました。

 

 ②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、営業活動によるキャッシュ・フローが25億77百万円増加、投資活動によるキャッシュ・フローが3億6百万円増加、財務活動によるキャッシュ・フローが14億円減少した結果、前連結会計年度末より14億82百万円増加し、94億7百万円(前連結会計年度末は79億24百万円)となりました。

 

 営業・投資・財務による各々のキャッシュ・フローの主な内容は次の通りです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は25億77百万円となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益8億36百万円、減価償却費19億82百万円、減損損失4億9百万円、売上債権の減少3億36百万円、仕入債務の減少4億85百万円、法人税等の還付額2億83百万円等によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果得られた資金は3億6百万円となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出8億75百万円、有形固定資産の売却による収入12億90百万円によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は14億円となりました。これは主に、短期借入金の返済による支出40億円、長期借入れによる収入60億円、長期借入金の返済による支出3億80百万円、社債の償還による支出17億20百万円、割賦債務の返済による支出11億91百万円によるものであります。

 

③生産、仕入及び販売の実績

(1)生産実績

当連結会計年度の生産実績は次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

デリカ事業

12,086

112.2

合計

12,086

112.2

(注)1.金額は製造原価によっております。

 

(2)仕入実績

 回転寿司事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、「生産実績」に代えて「仕入実績」を記載いたします。当連結会計年度の仕入実績は、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

回転寿司事業

20,669

103.2

合計

20,669

103.2

(注)1.上記仕入実績は、セグメント間の取引高を消去した金額となっております。

 

(3)販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

回転寿司事業

52,979

101.3

デリカ事業

14,227

113.1

合計

67,206

103.6

(注)1.上記販売実績は、セグメント間の取引高を消去した金額となっております。

2.金額は販売価格によっております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

①当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

経営成績等

1)財政状態

(資産)

 当連結会計年度末における総資産は316億48百万円となり、前連結会計年度末に比べ3億59百万円減少いたしました。これは主に、現金及び預金が14億82百万円増加、売掛金が3億36百万円減少、機械及び運搬具が2億89百万円増加、土地が7億10百万円減少、敷金及び保証金が2億96百万円減少したことによるものです。

(負債)

 当連結会計年度末における総負債は199億21百万円となり、前連結会計年度末に比べ11億18百万円減少いたしました。これは主に、買掛金が4億85百万円減少、短期借入金が40億円減少、長期借入金及び1年内返済予定の長期借入金が56億20百万円増加、社債及び1年内償還予定の社債が17億20百万円減少、未払金及び長期未払金が3億45百万円減少、リース債務が1億10百万円減少したことによるものです。

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産は117億27百万円となり、前連結会計年度末に比べ7億59百万円増加いたしました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益7億36百万円により利益剰余金が増加したことによるものであります。

2)経営成績

 (売上高)

 当連結会計年度の売上高は672億6百万円(前期比3.6%増)となり、前連結会計年度末に比べ23億25百万円増加いたしました。セグメント別の売上高については、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。

(売上総利益)

 当連結会計年度の売上総利益は335億23百万円(前期比0.4%増)となり、前連結会計年度末に比べ1億33百万円減少いたしました。また、売上総利益率は、食材価格の高騰の影響を受け、前連結会計年度末に比べ1.6ポイント減少し、49.9%となりました。

(営業利益)

 当連結会計年度の販売費及び一般管理費は356億36百万円(前年比1.9%増)となり、前連結会計年度末に比べ6億74百万円増加いたしました。これは主に、人件費や物流費の高騰によるコスト増加などの影響によるものであります。以上の結果、当連結会計年度の営業利益は前連結会計年度末に比べ5億40百万円減少し、営業損失21億13百万円(前期は営業損失15億72百万円)となりました。

(経常利益)

 当連結会計年度における営業外収益は、前連結会計年度末に比べ1億50百万円増加し、6億9百万円(前期比32.7%増)となりました。当連結会計年度における営業外費用は、前連結会計年度末に比べ26百万円増加し、3億85百万円(前期比7.5%増)となりました。以上の結果、当連結会計年度の経常利益は、前連結会計年度末に比べ4億16百万円減少し、経常損失18億89百万円(前期は経常損失14億72百万円)となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

 当連結会計年度における特別利益は、前連結会計年度末に比べ29億52百万円増加し、37億26百万円(前期は7億74百万円)となりました。これは主に、助成金収入が25億29百万円増加したことによるものであります。当連結会計年度における特別損失は、前連結会計年度末に比べ2億92百万円増加し、10億円(前期比41.3%増)となりました。これは主に、臨時休業による損失が2億92百万円増加したことによるものであります。以上の結果、当連結会計年度末における親会社株主に帰属する当期純利益は7億36百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失11億49百万円)となりました。

 

3)キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」記載のとおりであります。

 

4)経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を企図し、営業利益率6%以上を目指しております。

 当連結会計年度における営業利益率は、コロナウイルス感染拡大の影響を大きく受け△3.1%となりました。引き続き指標について、改善されるように取り組んでまいります。

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当社グループの主な資金需要は主に、材料費、外注費、人件費及び一般管理費等の営業費用並びに設備投資等であります。

 これらの資金需要につきましては、営業キャッシュ・フロー及び自己資金のほか、金融機関からの借入等による資金調達にて対応していくこととしております。

 なお、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は94億7百万円となっております。また、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は117億66百万円となっております。

 また、重要な設備投資の予定及び資金調達方法については、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画 (1)重要な設備の新設」をご参照ください。

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。

 

1)繰延税金資産

 当社グループは、繰延税金資産について定期的に回収可能性を検討し、当該資産の回収が不確実と考えられる部分に対して評価性引当額を計上しております。回収可能性の判断においては、将来の課税所得見込額と実行可能なタックス・プランニングを考慮して、将来の税金負担額を軽減する効果を有すると考えられる範囲で繰延税金資産を計上しております。

 将来の課税所得見込額はその時の業績等により変動するため、課税所得の見積りに影響を与える要因が発生した場合には、回収可能見込額の見直しを行い繰延税金資産の修正を行った結果、繰延税金資産が減額され税金費用が計上されるため、当社グループの業績を悪化させる可能性があります。

2)固定資産の減損処理

 当社グループは、固定資産の減損に係る回収可能性の評価にあたり、キャッシュ・フローを生み出す最小単位として、営業店舗及び工場を基本単位とした資産のグルーピングを行っております。営業活動から生ずる損益が継続してマイナスになっている資産グループについて、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。

 なお、当該資産の回収可能価額は使用価値により算定しております。使用価値は将来キャッシュ・フローを7.5%~8.0%で割り引いて算定しております。

 減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、当初見込んでいた収益が得られなかった場合や、将来キャッシュ・フロー等の前提条件に変更があった場合、固定資産の減損を実施し、当社グループの業績を悪化させる可能性があります。

 

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