業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は当事業年度末現在において判断したものであります。

 ①財政状態及び経営成績の状況

 当事業年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症拡大による経済活動停滞からの回復で急激に需要が復調する一方で、サプライチェーンの混乱や人手不足等による供給側の混乱が続いております。その中で新たな問題としてウクライナ紛争による天然資源等の供給制限が発生、また中国のゼロコロナ政策における都市封鎖の影響による混乱が懸念されております。このようなグローバルインフレ圧力については依然として収束する兆しは見えず、景気の先行きの不透明感は極めて強いものとなっております。一方で国内においては各種行動制限が緩和されるとの前提では、物価上昇や供給制限等が一部影響するものの企業の業績は緩やかに回復すると考えられます。

 当管材業界におきましても、需要増加・供給制限による原材料価格の上昇やそれに伴う製品価格の値上げが今後も続くことが予想されます。また、ガソリン価格上昇に伴う物流費等の負担増や経済活動再開による人手不足と人件費増加は企業収益の押し下げ要因となっており、当社を取り巻く事業環境は引き続き予断を許さない状況にあります。

 このような状況の下、当社は当事業年度より経営理念を刷新いたしました。また、「3カ年事業戦略中期経営計画」を策定、そのビジョンとして掲げた3つの事業戦略を推進してまいりました。

 

経営理念

 

社員の成長と幸せを追求し、永続かつ発展的に企業価値を高め、より良い社会環境創りに貢献します

 

3カ年事業戦略中期経営計画 ビジョン

 

「中部圏強化」 「首都圏地盤固め」 「働き方改革 生産性重視」

 

  今後も主力商品の営業を強化するとともに営業設備の拡充や脱炭素化につながる次世代商品の在庫の充実等を行うことで一層の売上拡大を図ってまいります。また、デジタルトランスフォーメーションによる業務合理化を推進、ロジスティクス改革やEC拡大等による事業基盤の整備を進めることで、収益の確保と企業価値の向上に取り組んでまいります。

 

 この結果、当事業年度における財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

イ.財政状態

当事業年度末の資産合計は前期末と比較して12億68百万円増加し、210億32百万円となりました。

当事業年度末の負債合計は前期末と比較して8億63百万円増加し、81億25百万円となりました。

当事業年度末の純資産合計は129億7百万円となり、前期末と比較して4億5百万円増加しました。

ロ.経営成績

売上高は266億15百万円(前期比11.3%増)となりました。

利益面につきましては、営業利益は6億円(前期比323.8%増)、経常利益は7億86百万円(前期比184.1%増)、当期純利益は5億30百万円(前期比2.5%増)となりました。

 

 ②キャッシュ・フローの状況

 当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動により資金を9億26百万円獲得(前期は6億14百万円の使用)し、投資活動により77百万円使用(前期は2億50百万円獲得)し、財務活動により91百万円資金を使用(前期は91百万円の使用)したことにより、7億57百万円増加し、21億44百万円となりました。

 なお、当事業年度におけるフリー・キャッシュ・フローは、8億48百万円となりました。

当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 (営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果獲得した資金は9億26百万円となりました。これは主に法人税等の支払いが2億41百万円あったことや売上債権の増加が3億96百万円、棚卸資産の増加が2億59百万円ありましたが、税引前当期純利益を7億86百万円計上し、仕入債務の増加が7億39百万円、減価償却費が1億20百万円あったこと等によります。

 (投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は77百万円となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出が34百万円あったことや投資有価証券の取得による支出が26百万円あったこと等によります。

 (財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は91百万円となりました。これは配当金91百万円を支払ったことによります。

 

(注)フリー・キャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合算したものであります。

 ③仕入及び販売の実績

 当社の事業は単一セグメントであるため、セグメント情報の記載を省略しておりますが、品目別の業績を示すと次のとおりであります。

イ.仕入実績

当事業年度における仕入実績を品目別に示すと次のとおりであります。

区分

仕入高(千円)

前年比(%)

バルブ・コック類

7,712,345

106.9

継手類

4,400,404

117.8

冷暖房機器類

2,981,703

108.6

衛生・給排水類

2,297,809

99.3

パイプ類

3,555,745

133.0

その他

2,294,327

100.0

23,242,333

110.8

(注)  金額は、仕入価格によっております。

 

ロ.販売実績

当事業年度における販売実績を品目別に示すと次のとおりであります。

区分

売上高(千円)

前年比(%)

バルブ・コック類

8,904,349

107.9

継手類

5,338,904

118.8

冷暖房機器類

3,347,902

107.5

衛生・給排水類

2,517,627

98.7

パイプ類

3,748,790

136.3

その他

2,757,530

100.1

26,615,102

111.3

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 文中の将来に関する事項は当事業年度末現在において当社が判断したものであり、予測しえない様々な要因があるため、その結果について保証するものではありません。

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

  イ.財政状態の状況に関する認識及び分析・検討内容

     (資産)

 当事業年度末の資産につきましては、流動資産合計が147億28百万円となり、前事業年度と比較して13億46百万円増加しました。これは主に受取手形が5億16百万円減少しましたが、現金及び預金が7億57百万円、電子記録債権が4億82百万円、売掛金が4億29百万円、商品が2億59百万円増加したこと等によります。

  固定資産合計は、前事業年度と比較して77百万円減少し、63億3百万円となりました。これは主に、建物が50百万円、投資有価証券が35百万円減少したこと等によります。

  以上の結果、当事業年度末の資産合計は、前事業年度と比較して12億68百万円増加し、210億32百万円となりました。

 

     (負債)

 負債につきましては、流動負債合計が71億15百万円となり、前事業年度と比較して8億88百万円増加しました。これは主に電子記録債務6億12百万円、買掛金が1億27百万円、未払法人税等が58百万円増加したこと等によります。

  固定負債合計は、前事業年度と比較して25百万円減少し、10億9百万円となりました。これは主に退職給付引当金が34百万円増加しましたが、繰延税金負債が61百万円減少したこと等によります。

  以上の結果、当事業年度末の負債合計は、前事業年度と比較して8億63百万円増加し、81億25百万円となりました。

 

    (純資産)

  純資産につきましては、当事業年度末の純資産合計は129億7百万円となり、前事業年度と比較して4億5百万円増加しました。これは主に利益剰余金が4億38百万円増加したこと等によります。

ロ.経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

(売上高)

当事業年度の売上高は266億15百万円となり、前事業年度と比較して26億99百万円増加しました。これは主に主要営業基盤である中部地区において半導体及び工作機械製造業向けとして、当社主力商品のバルブ・コック類、継手類及びパイプ類の販売が増加したこと等によります。

(営業利益)

当事業年度の営業利益は6億円となり、前事業年度と比較して4億58百万円の増加となりました。これは主に売上高が増加したことにより売上総利益が増益になったことによります。

(経常利益)

当事業年度の経常利益は7億86百万円となり、前事業年度と比較して5億9百万円の増加となりました。これは主に営業利益の増加によります。

(当期純利益)

当事業年度の当期純利益は5億30百万円となり、前事業年度と比較して特別利益が減少したものの、主に営業利益が増加したため、13百万円の増加となりました。

ハ.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社は管工機材卸売業の単一セグメントであるため、セグメント情報は記載していません。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当事業年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況  3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載したとおりであります。

なお、当社のキャッシュ・フロー指標等の推移は、下記のとおりであります。

 (参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移

 

 

第66期

2018年5月期

第67期

2019年5月期

第68期

2020年5月期

第69期

2021年5月期

第70期

2022年5月期

自己資本比率

(%)

65.5

62.5

62.7

63.3

61.4

時価ベースの自己資本比率

(%)

43.6

37.1

32.3

32.0

29.7

 キャッシュ・フロー

対有利子負債比率

(%)

 インタレスト・カバレッジ・レシオ

(倍)

46.8

319.4

101.4

△586.4

636.8

自己資本比率             : 自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率       : 株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率  : 有利子負債/キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ     : キャッシュ・フロー/利払い

(注)1 株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。

(注)2 キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。

(注)3 有利子負債は貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。

資本の財源及び資金の流動性に係る情報につきましては、下記のとおりであります。

 当社の事業活動における資金需要につきましては、運転資金及び設備資金などがあります。資金需要への対応としては内部資金または借入により資金調達することとしております。運転資金については主に短期借入金、設備資金等については長期借入金にて調達することとしております。

 2022年5月31日現在での借入金はありません。

 2022年5月31日現在において複数の金融機関との間で合計55億円の当座貸越契約及び合計20億円のコミットメントライン契約を締結しております。

③経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社が掲げる経営指標は「売上高経常利益率3%以上及び自己資本利益率4%以上の達成」であります。

当社の過去3期分の経営指標推移は以下のとおりであります。

指標

2020年5月期

(実績)

2021年5月期

(実績)

2022年5月期

(実績)

前期

対比

売上高経常利益率

    1.4%

    1.2%

    3.0%

  1.8P

自己資本利益率(ROE)

    5.1%

    4.2%

    4.2%

  0.0P

原材料価格の高騰もありメーカー各社からの値上げ要請を踏まえ、価格転嫁を図れた事等により経営指標である売上高経常利益率は達成できました。引き続き売上総利益の改善やコスト縮減などにより、経営指標の安定的な達成に向けて取り組んでまいります。

 

④重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。

この財務諸表の作成に際し、決算日における資産・負債の数値、報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積り及び仮定設定を行っております。この見積り及び仮定設定に関しては、過去の実績や状況に応じた合理的かつ妥当な判断を行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、当初の見積りと異なる場合があります。

なお、当社の採用する重要な会計方針は、第5〔経理の状況〕の(重要な会計方針)に記載しております。

 特に以下の事項は、経営者の会計上の見積りの判断が財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼすと考えております。

イ.貸倒引当金

 当社は、売上債権等の貸倒損失に備えるため、回収不能見込額を貸倒引当金として計上しております。したがって、顧客の財務状況が変化した場合には、貸倒引当金の計上額が当初の見積額から変動する可能性があります。

ロ.商品評価損

 当社は、商品について正味売却価額が取得原価を下回る場合、棚卸資産の簿価切下げに伴う評価損を計上しております。将来、顧客の需要減少に伴う陳腐化が生じた場合、棚卸資産の評価額に重要な影響を及ぼす可能性があります。

ハ.減損損失

 当社は、資産のグルーピングを拠点別に行い、収益性が著しく低下した資産グループについて、帳簿価額を回収可能価額まで減額し当該減少額を減損損失として計上しております。事業計画や市場環境の変化により、その見積額の前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、翌事業年度以降の財務諸表において追加の減損処理が必要となる可能性があります。

ニ.繰延税金資産

 当社は、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると慎重に判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上していますが、繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積額の前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。

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