当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要及び経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末(2020年3月31日)現在において判断したものであります。
また、当社の報告セグメントは、衣料品販売事業の単一事業であるため、経営成績等の状況に関するセグメントごとの記載は省略しております。
当事業年度(2019年4月1日から2020年3月31日まで)におけるわが国経済は、堅調な収益や雇用・所得環境の改善を背景に緩やかな回復基調で推移しているものの、米中貿易摩擦の影響や直近では新型コロナウイルス感染症の世界的な流行もあり、先行き不透明な状況にありました。アパレルファッション業界におきましても、相次ぐ台風の上陸や暖冬などの天候不順、10月からの消費増税による節約志向の高まり、新型コロナウイルス感染症の影響によるインバウンド需要の急速な減退及び国内の外出自粛ムードの広がり等、総じて厳しい状況で推移しました。
このような経営環境のもと、当社は今期より継続的に注力しているMDサイクル適正化に向けた取組み(タイムリーな売価変更を行うことで在庫と粗利率をコントロール)により、売上総利益率:50.0%(前年同期差+3.1P)、期末棚卸高前年同期対比95.3%(前年同期差△71百万円)となりました。併せて販管費削減の取組み継続により、販管費前年同期対比98.0%(前年同期差△76百万円)となるなど、収益構造の改善が着実に現れております。
商品面におきましては、今期より注力する立地別MD(店舗タイプ毎の客層に寄り添った品揃え)強化を継続し、B.S.T(Blue Standard)等のプライベートブランド(PB)アイテムで、春夏・秋冬と年間通して当社独自のヒット商品を開発することが出来ております。またレディースの主力PBであるfort point(フォートポイント)でも、10月からトライアルしてきた40歳代をターゲットにした新シリーズが好調に推移した事で、来期より全店で展開することとなりました。加えてOUTDOOR PRODUCTSでは、大人の男性客層を獲得すべく新たなシリーズとしてデビューした「BLACK LINE」(ブラックライン)は、OUTDOOR PRODUCTSブランド全体の価値向上に寄与し、狙い通りOUTDOOR PRODUCTS業態の男性客増加にも繋げることが出来ました。
一方でインバウンドに関しては、9月より免税対応店舗を全店に拡大(前年同時期差+55店舗)し、12月度からは訪日中国人向けに新たな販促施策をトライアルしたものの、中国での法改正等の影響もありまとめ買いも減ったことに加え、1月末からの新型コロナウイルス感染症の世界的な流行の影響を受けて旅行者自体が大幅に減少したことで、免税売上は前年同期間対比:78.8%(前年同期差△211百万円)と大幅な減収となりました。
店舗展開におきましては、「JEANS MATE」業態を1店舗、マルチブランド型MDショップ「JEM」(ジェイ・イー・エム)業態を4店舗、「OUTDOOR PRODUCTS」業態3店舗、合計8店舗を商業施設へ出店いたしました。これらにより、当事業年度末の総店舗数は84店舗(うち催事契約6店舗、前年同月度末店舗数76店舗)となりました。
以上の結果、当事業年度における売上高は7,769百万円(前年同期比:9.4%減)、営業利益28百万円(前年同期比:69.0%減)、経常利益35百万円(前年同期比:66.3%減)、当期純損失37百万円(前年同期は当期純利益19百万円)となりました。
当事業年度末の総資産は、前事業年度末に比べ415百万円減少し、4,307百万円となりました。
流動資産は、前事業年度末に比べ500百万円減少し、2,876百万円となりました。これは主に現金及び預金が338百万円減少、売掛金が90百万円減少、商品が71百万円減少したことによるものであります。
固定資産は、前事業年度末に比べ85百万円増加し、1,431百万円となりました。これは主に敷金及び保証金が30百万円増加、建物が28百万円増加したことによるものであります。
当事業年度末の負債合計は、前事業年度末に比べ377百万円減少し、929百万円となりました。
流動負債は、前事業年度末に比べ366百万円減少し、565百万円となりました。これは主に買掛金が221百万円減少、未払金が67百万円減少、賞与引当金が56百万円減少したことによるものであります。
固定負債は、前事業年度末に比べ10百万円減少し、364百万円となりました。これは主に資産除去債務が16百万円増加しましたが、リース債務が32百万円減少したことによるものであります。
当事業年度末の純資産合計は、前事業年度末に比べ37百万円減少し、3,378百万円となりました。これは主に当期純損失を37百万円計上したことによるものであります。
② キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)は、前事業年度末に比べ338百万円減少し、1,063百万円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローは次のとおりであります。
営業活動の結果支出した資金は、185百万円となりました。これは主に税引前当期純利益が4百万円、仕入債務の減少が221百万円となったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果支出した資金は、109百万円となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出が78百万円となったことによるものであります。
財務活動の結果支出した資金は、43百万円となりました。これは主にリース債務の返済による支出が43百万円となったことによるものであります。
当社の報告セグメントは、衣料品販売事業の単一事業であるため、仕入の状況につきましては商品部門別に、販売の状況につきましては商品部門別・都道府県別・単位当たりにて記載しております。
a.仕入実績
(注) 上記金額は仕入価額によっており、消費税等は含まれておりません。
b.販売実績
ⅰ) 商品部門別売上高
(注) 上記金額に消費税等は含まれておりません。
(注) 1.「その他」は短期契約店舗及び通信販売等であります。
2.上記金額に消費税等は含まれておりません。
(注) 1.売場面積は、実効面積の稼動月数により算出しております。
2.従業員数には、パート社員(1人1ヶ月172.0時間換算)が含まれております。
3.上記金額に消費税等は含まれておりません。
① 重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたり、見積りが必要な事項につきましては、一定の会計基準の範囲内にて合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。
詳細につきましては、「第一部 企業情報 第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 重要な会計方針及び追加情報」に記載しております。
② 当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
売上高は前年比9.4%減の7,769百万円となりました。売上高の詳細については、「第一部 企業情報 第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー状況の分析 (1) 経営成績の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。
差引売上総利益は前年比3.5%減の3,882百万円となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益、経常利益)
販売費及び一般管理費については、売上高販売費及び一般管理費率は前年比3.8ポイント増加し、3,853百万円となりました。
営業利益は前年同期間に対し、63百万円減少の28百万円となり、経常利益は同様に69百万円減少の35百万円となりました。
当期純損失は37百万円(前年同期間では当期純利益19百万円、57百万円減少)となりました。
③ 経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第一部 企業情報 第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
④ 資本の財源及び資金の流動性について
当社は運転資金及び設備資金の全額を自己資金で賄っております。新型コロナウイルス感染症により今後のキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性がありますが、予測不能な事態が生じない限り、自己資金の範囲内で安全かつ安定的な資金運用が可能であると認識しております。
⑤ 経営者の問題認識と今後の方針について
新型コロナウイルス感染症の影響長期化による国内外経済の下振れリスクが懸念される状況において、当社は「 MD 改革による PB( プライベートブランド)商品の再強化」、「 EC 事業への最注力」、「各種管理費の圧縮と人財配置の最適化によるコスト削減の推進」等に取組むことにより、売上高の確保と収益構造改善に繋げてまいります。
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