文中における将来に関する事項は、別段の記載のない限り当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの経営成績等の状況の概要は次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」に記載のとおりであります。
①経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の新規感染者数の減少と拡大を繰り返し、経済活動が度々制約を受けました。加えて、原油高や資材高の影響などもあり、先行きはいまだ不透明な状況が続いております。
当社グループの主要ユーザーである自動車関連企業では、半導体や電子部品の供給不足等による生産調整の局面がありましたが、自動車の世界生産台数は前期と比較して堅調に推移しました。
このような環境のもと、当社グループは、新たな価値を創造し提供できる企業グループへの変革を加速させ、お客様やパートナー様から選ばれる存在を目指し、中期経営計画の施策を着実に実行してまいりました。
この結果、当連結会計年度の売上高は1,584億27百万円(前期比23.9%増)、営業利益は43億56百万円(前期比25.6%増)、経常利益は43億35百万円(前期比21.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は28億76百万円(前期比24.3%増)となり、連結の売上高、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益のいずれも過去最高を更新いたしました。
セグメントの業績は、次のとおりです。
(デバイス事業)
デバイス事業では、電子制御が進む自動車向けシステムLSIなどの半導体や電子部品の販売及び技術支援、組込システムのPoC(概念実証)開発支援や組込ソフトウエアを中心とした受託開発事業を行っております。
当連結会計年度におきましては、半導体や電子部品の供給継続に注力し販売が堅調だったことに加え、商流移管による売上増加が加わった結果、デバイス事業の売上高は1,346億61百万円(前期比27.2%増)、営業利益は26億63百万円(前期比23.1%増)となりました。
(ソリューション事業)
ソリューション事業では、IT機器、組込機器及び計測機器の販売や、ITプラットフォーム基盤及びIoTシステムの構築に加え、FAシステムや特殊計測システムの設計・製造・販売及び産業用コンピュータの開発・製造・販売を行っております。
当連結会計年度におきましては、前期と比較して主要顧客企業の生産活動が回復基調であり、それに伴う設備投資需要を積極的に取り込んだ結果、ソリューション事業の売上高は237億66百万円(前期比8.4%増)、営業利益は16億92百万円(前期比29.8%増)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度に比べ12億7百万円減少し85億6百万円となりました。
a.営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動の結果、使用した資金は49億5百万円(前連結会計年度は8億87百万円の獲得)となりました。
これは主に、税金等調整前当期純利益44億3百万円及び売上債権の減少額42億19百万円がありましたが、棚卸資産の増加額120億67百万円があったためであります。
b.投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動の結果、使用した資金は1億71百万円(前連結会計年度比1億1百万円の増加)となりました。
これは主に、投資有価証券の売却による収入1億18百万円がありましたが、投資有価証券の取得による支出1億14百万円、無形固定資産の取得による支出90百万円及び有形固定資産の取得による支出87百万円があったためであります。
c.財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動の結果、獲得した資金は35億64百万円(前連結会計年度比23億99百万円の増加)となりました。
これは主に、短期借入金の純増加額47億80百万円及び長期借入による収入24億円がありましたが、長期借入金の返済による支出27億円及び配当金の支払額7億96百万円があったためであります。
③生産、受注及び販売の状況
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
生産高(百万円) |
前期比(%) |
デバイス事業 |
2,196 |
△20.4 |
ソリューション事業 |
5,132 |
+2.6 |
計 |
7,329 |
△5.6 |
(注)金額は、販売価格によっております。
b.商品仕入実績
当連結会計年度において仕入高及び棚卸資産残高が著しく増加しております。
これは主に、自動車関連企業向けの販売量増加に対応し半導体不足のなか供給リスクを回避するため棚卸資産を増やした影響によるものです。
セグメントの名称 |
仕入高(百万円) |
前期比(%) |
棚卸資産残高 (百万円) |
前期比(%) |
デバイス事業 |
132,120 |
+41.2 |
26,325 |
+72.9 |
ソリューション事業 |
19,033 |
+9.5 |
2,780 |
+53.1 |
計 |
151,154 |
+36.3 |
29,105 |
+70.8 |
(注)金額は、仕入価格によっております。
c.受注実績
当連結会計年度において受注残高が著しく増加しております。
これは主に、両事業セグメントにおける主要顧客の生産活動の活発化と、需給逼迫を背景とした半導体製品の供給不足の影響によるものです。
セグメントの名称 |
受注高(百万円) |
前期比(%) |
受注残高(百万円) |
前期比(%) |
デバイス事業 |
142,850 |
+29.7 |
16,394 |
+99.9 |
ソリューション事業 |
25,635 |
+9.2 |
6,692 |
+55.4 |
計 |
168,485 |
+26.1 |
23,087 |
+84.6 |
d.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
販売高(百万円) |
前期比(%) |
デバイス事業 |
134,661 |
+27.2 |
ソリューション事業 |
23,766 |
+8.4 |
計 |
158,427 |
+23.9 |
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績に対する割合
相手先 |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
||
販売高(百万円) |
割合(%) |
販売高(百万円) |
割合(%) |
|
株式会社デンソー |
74,422 |
58.2 |
80,073 |
50.5 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
①経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.売上高
当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ305億97百万円増加し1,584億27百万円となりました。
新型コロナウイルス感染症の拡大による経済活動の停滞状況から回復の兆しが見え始めたものの、当社グループの主要ユーザーである自動車関連企業では、半導体や電子部品の供給不足等による生産調整の局面があり、先行きは依然として不透明な状況が続いております。
このような環境のもと当社グループでは、成長市場に向け技術力を活かした顧客視点での提案活動を継続してきたことに加え、自動車、搬送・半導体設備関連の顧客の好調な生産に支えられ、過去最高の売上高となりました。
(デバイス事業)
デバイス事業におきましては、当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ287億55百万円増加し、1,346億61百万円となりました。
当連結会計年度において当社グループの主要ユーザーである自動車関連企業では半導体や電子部品の供給不足等による生産調整の局面がありましたが、自動車の世界生産台数が前期と比較して堅調に推移したことに加え、商流移管や採用品の展開による増加などもあり、売上高は大きく増加いたしました。
今後も半導体製品の需給が逼迫する状況による影響が考えられますが、当社グループでは、顧客及び仕入先との綿密な情報共有によりサプライチェーンの維持に注力するとともに、車載SoC事業拡大やソフトウエア・エンジニアリング確立といった中期経営計画の重点施策を着実に実施し、事業の成長を目指してまいります。
(ソリューション事業)
ソリューション事業におきましては、当連結会計年度の売上高は前連結会計年度に比べ18億41百万円増加し、237億66百万円となりました。
IT分野は、セキュリティやDXに関する顧客ニーズをとらえた提案を適切に行い、 売上高は増加いたしました。組込分野では、従来から注力して提案活動を行っておりました搬送・半導体設備関連の顧客の生産が好調に推移したことにより、売上高が大きく増加いたしました。
今後もDXファクトリー統合サービス市場でIT・組込・計測の三分野の事業融合による強みを活かしたソリューションを提案、提供するといった中期経営計画の重点施策を着実に実施し、事業の成長を目指してまいります。
b.売上原価、販売費及び一般管理費、営業利益
当連結会計年度の売上原価は、前連結会計年度に比べ278億73百万円増加し1,438億14百万円となりました。
これはデバイス事業及びソリューション事業において売上高の増加に伴い売上原価が増加したことによるものです。
また当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ18億35百万円増加し102億55百万円となりました。
売上増加に伴い商流移管に関する移管補償金の支払いが増加し、半導体製品を中心とした需給の逼迫状況に対応するため輸送コストが増大いたしましたが、前連結会計年度からリモートワークの環境整備を進めていたため旅費交通費などは引き続き低い水準に抑制することができました。
この結果、営業利益は前連結会計年度に比べ8億88百万円増加し43億56百万円となりました。
c.営業外収益、営業外費用、経常利益
営業外収益は、保有する金融商品の評価益が発生しなかったため投資有価証券評価益が53百万円減少したこと等により、前連結会計年度に比べ98百万円減少し1億14百万円となりました。
営業外費用は、債権流動化手数料が減少したため支払手数料が38百万円減少しましたが、営業外債権に対する貸倒引当金繰入額の計上により51百万円増加したことにより、前連結会計年度に比べ10百万円増加し1億35百万円となりました。
この結果、経常利益は前連結会計年度に比べ7億79百万円増加し43億35百万円となりました。
d.特別利益
特別利益は、投資株式の保有合理性の検証を行い当連結会計年度末までに4銘柄の売却を行ったこと等により、前連結会計年度に比べ41百万円増加し78百万円となりました。
e.特別損失
特別損失は、保有している土地の一部を売却したこと等により、前連結会計年度に比べ9百万円増加し10百万円となりました。
f.親会社株主に帰属する当期純利益
税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度に比べ8億10百万円増加し44億3百万円となりました。
税効果会計適用後の法人税等負担額は、主に課税所得の増加の影響によって前連結会計年度に比べ2億47百万円増加し14億73百万円となりました。
この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べ5億61百万円増加し28億76百万円となりました。
②財政状態の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.資産
資産合計は、前連結会計年度末に比べて91億40百万円増加し824億82百万円となりました。
流動資産は、前連結会計年度末に比べて89億75百万円増加し767億29百万円となりました。主な増減は、主要取引先の決済方法が電子記録債権に移行したこと等により、電子記録債権が77億83百万円増加した一方で受取手形、売掛金及び契約資産(前連結会計年度における受取手形及び売掛金)が119億7百万円減少しております。また、自動車関連企業向けの販売量増加に対応し半導体不足のなか供給リスクを回避するため棚卸資産を増やしたことにより、商品及び製品が112億52百万円増加しております。
固定資産は、前連結会計年度末に比べて1億64百万円増加し57億53百万円となりました。
b.負債
負債合計は、前連結会計年度末に比べて68億24百万円増加し431億13百万円となりました。
流動負債は、前連結会計年度末に比べて54億36百万円増加し365億31百万円となりました。主な増減は、1年内返済予定の長期借入金が16億75百万円減少した一方で短期借入金の増加47億80百万円及び契約負債が11億6百万円計上されたことによるものであります。
固定負債は、前連結会計年度末に比べて13億88百万円増加し65億82百万円となりました。これは主に、長期借入金が13億75百万円増加したことによるものであります。
c.純資産
純資産合計は、前連結会計年度末に比べて23億16百万円増加し393億69百万円となりました。主な増減は、親会社株主に帰属する当期純利益による利益剰余金の増加28億76百万円及び為替換算調整勘定の増加3億9百万円、配当の支払いによる利益剰余金の減少7億96百万円であります。
この結果、上記b.負債で記載した負債の増加要因もあり、自己資本比率は2.5ポイント低下し45.2%(前連結会計年度末は47.7%)となりました。
③資本の財源及び資金の流動性
a.当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析
当連結会計年度のキャッシュ・フロー状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
b.財務政策
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものであります。投資活動に関する資金需要としては、業容拡大に伴う事業所設備や社内システム等の設備投資等であります。
必要な資金については、内部資金のほか、調達コストと財務体質とのバランスを勘案しながら、借入金、売掛債権の流動化による調達に加え、資本増強等を組み合わせて調達しております。
また、機動的かつ安定的な資金調達枠確保のため、取引銀行3行と合計50億円のコミットメントライン契約を締結しております(当連結会計年度末の借入未実行残高50億円)。
株主還元につきましては、財務の健全性等を総合的に勘案しながら、業績に裏付けられた成果の配分を基本方針として実施しており、連結配当性向30%を目途としております。
④経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の達成状況
経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標である中期経営計画の目標値の達成状況は以下の通りであります。
|
2021年3月期(実績) |
2022年3月期(実績) |
2024年3月期(目標値) |
売上高 |
1,278億円 |
1,584億円 |
1,700億円 |
営業利益 |
34億円 |
43億円 |
50億円 |
ROE |
6.8% |
8.0% |
8.0% |
各指標とも2022年3月期におきましては、新型コロナウイルス感染症の影響を受けました2021年3月期から回復し、中期経営計画における2024年3月期の目標値に向け、堅調に推移しております。
⑤重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し、合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、第5 経理の状況 の連結財務諸表の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」にて記載しておりますが、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
なお、新型コロナウイルス感染症の収束時期及び当社グループへの影響を予測することは依然として困難でありますが、連結会計年度末時点で入手可能な情報を基に検討等を実施しております。連結会計年度末時点においては、今後の業績に与える影響は軽微であると考えております。
a.収益の認識基準
当社グループの売上高は、履行義務を充足した時点で収益を認識しております。また、保守等のサービス業務のうち履行義務が一定期間にわたり充足されるものについては、サービス提供期間にわたり定額でまたは進捗度に応じて収益を認識しております。
b.棚卸資産の評価基準
当社グループが販売する棚卸資産は市場の需給の影響を受け、市場価格が低下する場合があるため、評価基準として、原価法(収益性の低下に基づく簿価切り下げの方法)を採用しております。
なお、正常営業循環過程から外れた滞留棚卸資産については、販売可能期間内の一定の年数で、規則的に帳簿価額を切り下げる方法を採用しております。当社グループが保有する棚卸資産の販売状況が悪化し滞留在庫が増大した場合には多額の評価損を計上する可能性があります。
c.繰延税金資産の回収可能性の評価
当社グループは、繰延税金資産について、将来の回収可能性を十分に検討し、回収可能な額を計上しておりますが、繰延税金資産は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積り額が減少した場合には繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
d.固定資産の減損処理
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候が見られる資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上します。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。
e.貸倒引当金の計上基準
当社グループは、債権の貸倒による損失に備えるため、回収不能見込額を貸倒引当金として計上しております。将来、顧客の財務状況等が悪化し支払能力が低下した場合には、引当金の追加計上又は貸倒損失が発生する可能性があります
お知らせ