文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1)経営方針
当社グループは、事業の拡大と収益性の向上を目指し、また、将来のグループの収益の柱となる事業の創造を積極的に行うことにより、当社の企業価値ひいてはステークホルダーの共同の利益向上を目指し、多数の投資家の皆様に当社株式を長期継続して保有していただくため以下の施策を実施しております。
経営理念及び経営の基本方針について
当社の経営理念は「人が好き、車が好き」を合言葉に「ヒューマンカーライフの創造を通じ社会に貢献する」ことを念じています。
① サービスステーション(略称SS)でのカーケア関連商品事業の拡大と拡充の実践活動を進めます。
② 新規事業の創出と推進を進めます。
③ 人財の開発と育成に取組んでまいります。
④ ESG経営を推進いたします。
(2)中長期的な経営戦略
①基本営業の徹底によるSS内及びSS数シェア拡大
構造的需要減による総SS件数減少によって、当社グループの実取引数も減少傾向にありますが、基本営業を徹底することによる信頼・信用・提案力を武器に、SS内での取引アイテム数拡大及び、減少傾向にある実取引数の維持拡大を図ってまいります。また、石油元売各社及びSSとの連携を強化しカーメンテナンスの拡充を図ってまいります。
②成長事業の創出
今後数年間は市場の再拡大が見込まれる既存事業であるSS市場へ更なる営業特化を行い、業績拡大を目指します。同時に他業者との提携や既存メーカ-との新商品開発や新事業の展開によって、新しい市場を開拓し持続的成長を目指してまいります。
③人材育成
持続的成長を見据えた人材確保のため、経営幹部の育成、抜擢及び社員の待遇改善(勤怠・給与・職場環境)に取り組みます。また、営業セールスのスキルは、当社グループの競争力強化や同業他社との差別化に直結することから、営業力強化のための研修制度の充実や社員がチャレンジできる機会を創出してまいります。
④ESG経営
サステナブル経営の実現には、企業理念を礎に長期的なあるべき姿であるビジョンを策定し、その実現に向けた課題の設定を行います。中期経営計画・単年度計画に基づいたESGを意識した事業推進を行い、事業推進の結果を、どのような社会課題へ貢献するかをSDGsとの関係性を整理しながら検討し、価値創造ストーリーを構築することで最終的な企業価値の向上を図ります。
(3)経営環境
SS業界は大手石油元売会社の経営統合が一段落し、業界的には落ち着きを見せているものの、コロナ禍の影響や原油の高騰が続き、市場は混乱しています。その影響から燃料販売は前年販売量から大きく下回っておりますが、販売価格は高値安定となり、SS業界全体ではある程度の利益が確保できている状態であると推定されます。しかしながら、SSにおけるメンテナンス(点検整備)による収益は物価高によるユーザーの買い控えやSSスタッフ数の問題等により減少傾向にあります。その結果として、本来ユーザ-が行うべき日常点検が不足し、整備不良による車両故障、事故は増加傾向にあります。
世界的なカーボンニュートラルの取り組みにより、自動車のEV化が加速していく中、今後も燃料販売は減少していくと思われますが、SSは収益源である燃料マージン、カーケア収益のほか、レンタカー事業や車輌販売その他さまざまな燃料販売以外のサービスを展開する経営の多角化による対応を進めております。一方、生活インフラの一部として地域に必要とされるSSも数多く存在しております。どちらにしても今後も内燃機関車両への燃料の安定供給は必要であります。
このような環境の中、SSがいかに新しいニーズに応え形態を変えながら存続していくか、石油元売各社もビジネスモデルの転換を急いでいます。
当社グループの販売するカーケア関連商品におきましては、内燃機関車、EV車にかかわらず、メンテナンス(点検整備)不足による車両故障、事故を未然に防ぐだけでなく、環境配慮についても必要不可欠な商品であることから、今後も提案、供給を継続してまいります。
また、石油元売各社及びSSとの連携を強化しながら新たなビジネスモデルを創造してまいります。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループはSS業界だけでなく、自動車業界の動向に対しても柔軟に対応できる体制を構築することが今後の課題であります。
これに対処すべく、当社グループは以下の項目の強化が課題と捉えております。
なお、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響は当期末においても軽微なものとなりましたが先行きは未だ不透明であり、厳しい状況にあります。
事業の維持・拡大と収益性の向上
SS業界においては、1990年代から石油製品の輸入自由化による価格競争の激化、地下貯蔵タンク問題、経営者の高齢化や後継者不足、労働者不足による廃業、石油元売各社の統廃合、燃費の向上によるガソリン需要の減少等により、SS業界の縮小が続いておりますが、石油元売会社、SS、仕入先等の関係各社と連携を強化することで市場変化に迅速に対応してまいります。また、当社ビジネスの基軸である基本営業をより深く進め、当社の強みである価値の高い提案営業を継続していくことによりシェアアップを図り、既存事業の維持・拡大と収益性の向上を目指してまいります。さらに、そこから見えてくる新たな事業戦略にも挑戦してまいります。
既存事業以外においても業務提携等を行いながら、新たな事業モデルの創造を行ってまいります。
人材育成
営業セールスのスキルは、当社グループの競争力強化や差別化に直結するため、継続的なスキルアップや社員の健康、働き方改革は重要な経営課題と捉えております。営業力強化に向けた研修制度の充実や人員配置も含め、社員がチャレンジできる機会を創出してまいります。
ガバナンス体制の充実
株主をはじめとする多様なステークホルダーとの適切な関係を維持し、社会に対する責任を果たすことが、企業としての長期的な業績向上や持続的成長という目的に適うものと考えております。このためコーポレート・ガバナンスの充実と透明性・公平性の高い経営を目指し、経営機構の整備を進めてまいります。また、事業戦略、人事戦略、コンプライアンス、セキュリティといった経営リスクに対しての報告を強化し、対策について議論検討を進めてまいります。
ESG経営
当社グループは、社会発展のために果たすべき義務や役割を理解し、事業や地域貢献などの活動を通じて企業価値の向上と社会課題解決を実現してまいります。また、従業員一人ひとりが健康意識を高めるとともに、法令や企業倫理などのコンプライアンスを徹底し、社会や環境に負の影響を与えうる企業活動のリスク軽減に取り組んでまいります。
社会課題の解決やSDGsの達成にあたっては、ステークホルダーとの対話によって、当社グループ自らが課題を発見し取り組む直接的な影響と、顧客に提供する商品、サービスを通じて寄与する間接的な影響があります。また、従業員をはじめとするステークホルダーの声を経営に活かしていくことで、持続的な成長を実現します。
(5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、資産効率の向上及び株主資本の有効利用が全てのステークホルダーの利益に合致するものと考え、「総資産経常利益率(ROA)」及び「自己資本利益率(ROE)」を重要な指標として位置付けております。当連結会計年度におけるROAは 4.0%(前年同期は 2.8%)であり、ROEは 4.4%(前年同期は 3.0%)でした。引き続きこれらの指標について、改善されるよう取り組んでまいります。
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