業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 ①経営成績の状況

 当社グループは、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しております。この結果、当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度の売上高と比較して大きく減少しており、以下の経営成績に関する説明の売上高については、前期比(%)を記載せずに説明しております。

 当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症感染拡大が長期化する中、新たな変異株の出現等により経済活動が抑制され、一部企業収益と個人消費に落ち込みが見られました。景気の先行きについては、国際的な経済回復に伴う需給逼迫に加えて、ウクライナ情勢の緊迫化等による資源価格高騰の長期化懸念から、景気の減速が見込まれる等、依然として不透明な状態です。

 石油製品販売業界におきましては、原油価格は、期初から緩やかな上昇が続く中、1月の80ドル付近からウクライナ情勢の緊迫化に伴い、3月初めにかけて130ドル付近まで急騰しました。その後、アメリカが過去最大の石油備蓄放出を打ち出したことを受けて月末に100ドル付近まで下落しました。国内石油製品価格は、原油価格の動向や円安の影響を受けて大幅に上昇し、燃料油価格抑制制度が発動されました。一方、国内石油製品需要は、大幅に落ち込んだ前期から経済活動が再開したこと等により、前期を上回りました。

 再生可能エネルギー業界におきましては、経済産業省がFIT制度とFIP制度における2022年以降の買取価格、賦課金単価等を公表しました。太陽光発電や風力発電のFIT制度買取単価は2021年度よりも低下する予定ですが、地熱発電や中小水力発電、入札対象外のバイオマス発電は据え置きとなりました。今後、カーボンニュートラルの達成に向けて新たなエネルギー源の開発や導入も進むことが期待されています。

 当社はこのような状況下、長期ビジョン「nissin Vision 2030」のフェーズⅠにあたる2022年3月期からの3ヵ年を実施期間とした中期経営計画の1年目として、その基本方針のもと、次の通り取組みました。成長事業への積極投資につきましては、再生可能エネルギー関連事業におけるバイオマス発電燃料の営業活動の強化と安定出荷のため、ストックヤードや生産設備を整備し、販売数量が増加しました。コア事業である石油関連事業の強化につきましては、事業ポートフォリオを見直し、経営資源を集中させるため、ケンタッキーフライドチキン店の運営を事業譲渡しました。経営基盤の強化につきましては、人事戦略において各種研修や教育の実施、コーポレートガバナンスにおいて国内外主要子会社の業務やルールの標準化等を推進しました。SDGs経営の推進につきましては、サステナビリティ方針や特定したマテリアリティを公開しました。更に、経営幹部への教育や教育ツールの活用により、全社的な意識向上を図りました。

 当連結会計年度の当社グループ業績は、主に石油関連事業全体で原油価格の上昇に伴う販売価格の上昇等により、売上高は36,466,059千円(前期は53,692,034千円、「収益認識に関する会計基準」等の適用により32,330,214千円減少)となりました。また、石油関連事業において原油価格の上昇に伴い、前期と比べてマージンが圧縮されたこと等により、営業利益は427,737千円(前期比39.0%減)、経常利益は674,542千円(前期比22.5%減)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、ケンタッキーフライドチキン店の運営を事業譲渡したこと等による特別利益が発生したものの、前期の川崎充填所売却の反動等により、490,333千円(前期比63.2%減)となりました。

 「収益認識に関する会計基準」等の適用により、従前の会計処理と比較して、当連結会計年度の売上高、売上原価がともに32,330,214千円減少しておりますが、営業利益、経常利益及び税金等調整前当期純利益に与える影響はありません。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(会計方針の変更)」に記載のとおりであります。

 セグメント別及び部門別の状況は次のとおりであります。

 

 <石油関連事業>

 石油関連事業全体につきましては、原油価格の上昇に伴う販売価格の上昇等により、売上高は33,275,038千円(前期は49,899,711千円、「収益認識に関する会計基準」等の適用により32,234,793千円減少)となりました。セグメント利益は、原油価格の上昇に伴い、前期と比べてマージンが圧縮されたこと等により、前期比33.9%減の469,695千円となりました。

(直営部門)

 直営部門につきましては、原油価格の上昇に伴う販売価格の上昇や、前期の緊急事態宣言発出による時短営業対応に伴い減少した販売数量が回復したこと等により、売上高28,193,447千円(前期は20,560,246千円)となりました。なお、直営SS数は前期末と同じく53SSとなりました。

(卸部門)

 卸部門につきましては、原油価格の上昇に伴う販売価格の上昇等により、売上高は245,590千円(前期は6,406,435千円)となりました。なお、販売店SS数は前期末と比べ、2SS減少し、61SSとなりました。

 

(直需部門)

 直需部門につきましては、燃料油において原油価格の上昇に伴う販売価格の上昇や、潤滑油において工場等を稼働停止していた大手法人顧客を中心に販売数量が回復したこと等により、売上高は3,251,703千円(前期は18,703,429千円)となりました。

(産業資材部門)

 産業資材部門につきましては、石油化学製品の販売価格の上昇等により、売上高は1,263,520千円(前期は3,377,955千円)となりました。

(その他部門)

 その他部門につきましては、LPガス価格の販売価格の上昇等により、売上高は320,777千円(前期は851,644千円)となりました。

 

 <再生可能エネルギー関連事業>

 再生可能エネルギー関連事業につきましては、太陽光発電関連機器の販売やバイオマス発電燃料であるPKS(Palm Kernel Shell:パーム椰子殻)の納入があったこと等により、売上高は1,754,760千円(前期は1,787,223千円、「収益認識に関する会計基準」等の適用により94,809千円減少)となりました。セグメント利益は、連結子会社であるNSM諏訪ソーラーエナジー合同会社の太陽光発電所において、想定以上の降雪があったことで売電収入が減少したこと等により前期比51.2%減の46,052千円となりました。

 

 <外食事業>

 外食事業につきましては、ケンタッキーフライドチキン店の運営を2021年9月30日付で事業譲渡したこと等により、売上高は780,147千円(前期は1,385,859千円、「収益認識に関する会計基準」等の適用により611千円減少)となりました。セグメント損失は、5,100千円(前期はセグメント利益14,280千円)となりました。

 

 <不動産事業>

 不動産事業につきましては、「EDIAN(エディアン)」シリーズをはじめとする賃貸マンションの堅調な稼働等により、売上高は656,112千円(前期は619,240千円、「収益認識に関する会計基準」等の適用による影響はありません)となりました。セグメント利益は、前期比7.0%増の363,154千円となりました。

 

 ②生産、受注及び販売の実績

 a. 生産実績

セグメント

事業部門

当連結会計年度

自 2021年4月1日

至 2022年3月31日

金額(千円)

前連結会計年度比(%)

石油関連事業

産業資材

328,445

7.9

 (注)1 金額は、製造原価によっております。

2 日新レジン株式会社が化成品の生産を行っております。

 

 b. 受注実績

 受注生産は行っておりません。

 c. 仕入実績

セグメント

事業部門

当連結会計年度

自 2021年4月1日

至 2022年3月31日

金額(千円)

前連結会計年度比(%)

報告セグメント

石油関連事業

直営

23,885,283

30,388

直需

2,159,077

産業資材

748,820

その他

219,468

小計

27,043,038

再生可能エネルギー関連事業

1,357,959

外食事業

394,520

不動産事業

合計

28,795,519

 (注)  当連結会計年度より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。これに伴い、当連結会計年度における仕入実績は、前連結会計年度と比較して大きく減少しております。そのため、当連結会計年度における経営成績に関する説明の、仕入実績については前連結会計年度と比較しての前年同期比(%)を記載せずに説明しております。

 d. 販売実績

セグメント

事業部門

当連結会計年度

自 2021年4月1日

至 2022年3月31日

金額(千円)

前連結会計年度比(%)

報告セグメント

石油関連事業

直営

28,193,447

245,590

直需

3,251,703

産業資材

1,263,520

その他

320,777

小計

33,275,038

再生可能エネルギー関連事業

1,754,760

外食事業

780,147

不動産事業

656,112

合計

36,466,059

 (注)1 セグメント間の取引については相殺消去しております。

2 当連結会計年度より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。これに伴い、当連結会計年度における販売実績は、前連結会計年度と比較して大きく減少しております。そのため、当連結会計年度における経営成績に関する説明の、販売実績については前連結会計年度と比較しての前年同期比(%)を記載せずに説明しております。

 

 

 e. 主要な販売先

 該当事項はありません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づいて作成しております。連結財務諸表の作成に当たって会計上の見積りが必要となる事項については、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。

 また、連結財務諸表作成に当たって用いた会計上の見積りのうち、重要なものは以下のとおりであります。

 a. 固定資産の減損

 減損を認識する際の将来キャッシュ・フローは、資産又は資産グループの使用状況や経営計画に基づく合理的な使用計画等を考慮し見積り、減損の要否を判定しております。判定の結果、減損が必要と判断された場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減損し、当該減少額を減損損失として計上しております。

 b. 繰延税金資産の回収可能性

 繰延税金資産の回収可能性の判断等につきましては、過去の実績や経営計画等を用いた合理的な見積りを行っており、将来において回収が見込めない部分については評価性引当額を計上しております。

 

 なお、新型コロナウイルス感染症の影響につきましては、SS・店舗の来店客数減少や法人向け営業活動の停滞等による業績低下の懸念がありますが、「新しい生活様式」に則った各種対策を講じることにより、当社グループの財政状態及び経営成績等に与える影響は限定的であるとの仮定のもと、会計上の見積りを行っております。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 a. 経営成績の分析

(営業利益)

営業利益につきましては、石油関連事業において、原油価格の上昇に伴い、前期と比べてマージンが圧縮されたこと等により、前連結会計年度と比較し273,979千円減益の427,737千円となりました。

(経常利益)

経常利益につきましては、営業利益が上述のとおり減益となったことにより、前連結会計年度と比較し195,513千円の減益となり、674,542千円となりました。

(親会社株主に帰属する当期純利益)

 親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、ケンタッキーフライドチキン店を事業譲渡したことによる特別利益が発生したものの、前期の川崎充填所売却の反動等により、前連結会計年度と比較して842,614千円の減益となり、490,333千円となりました。

 

 b. 財政状態の分析

(総資産)

 総資産は、前連結会計年度末に比べ、1,268,389千円増加し、33,924,907千円となりました。これは、現金及び預金が1,107,729千円、長期滞留債権が154,541千円減少したものの、受取手形が100,124千円、売掛金が1,743,425千円、建物及び構築物が282,613千円、土地が432,941千円増加したことなどによるものです。

(負債)

 負債は、前連結会計年度末に比べ、989,510千円増加し、14,336,179千円となりました。これは、支払手形及び買掛金が311,633千円、未払法人税等が340,912千円、社債が112,000千円減少したものの、借入金が1,976,652千円増加したことなどによるものです。

(純資産)

 純資産は、前連結会計年度末に比べ、278,879千円増加し、19,588,728千円となりました。これは、非支配株主持分が62,150千円減少したものの、利益剰余金が349,528千円増加したことなどによるものです。

 この結果、1株当たり純資産は前連結会計年度末と比べ、72.21円増加し、2,893.76円となりました。

 

 c. キャッシュ・フローの分析

 当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、財務活動によるキャッシュ・フローにおいて資金が増加したものの、営業活動によるキャッシュ・フロー及び投資活動によるキャッシュ・フローにおいて資金が減少したことにより、前連結会計年度末に比べ1,107,729千円減少し、3,376,551千円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動によるキャッシュ・フローでは、1,630,112千円の資金の減少となりました。これは、税金等調整前当期純利益795,792千円、減価償却費の計上512,794千円などにより資金が増加したものの、売上債権の増加額1,716,187千円、仕入債務の減少額が304,261千円、法人税等の支払額595,965千円などにより資金が減少したことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動によるキャッシュ・フローでは、1,088,274千円の資金の減少となりました。これは、有形固定資産の売却による収入180,000千円、事業譲渡による収入210,000千円などにより資金が増加したものの、有形固定資産の取得による支出1,484,199千円などにより資金が減少したことによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動によるキャッシュ・フローでは、1,615,927千円の資金の増加となりました。これは、借入金の返済による支出273,347千円、社債の償還による支出112,000千円などにより資金が減少したものの、短期借入金の増加額2,200,000千円などにより資金が増加したことによるものです。

 

(キャッシュ・フローの指標)

項目

第74期

 2018年3月期

第75期

 2019年3月期

第76期

 2020年3月期

第77期

 2021年3月期

第78期

 2022年3月期

自己資本比率

           (%)

58.5

54.5

55.4

58.1

56.9

時価ベースの自己資本比率

           (%)

18.0

17.5

15.9

19.4

17.4

キャッシュ・フロー対有利子

負債比率       (年)

9.7

7.6

5.7

インタレスト・カバレッジ・
レシオ        (倍)

7.4

8.1

10.0

(注) 自己資本比率          ・・・自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率    ・・・株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率

                ・・・有利子負債/営業キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ・・・営業キャッシュ・フロー/利払い

ア.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。

イ.株式時価総額は、期末株価終値×発行済株式数(自己株式数控除後)により算出しております。

ウ.営業キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表上に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。

エ.第74期及び第78期は、営業活動によるキャッシュ・フローがマイナスであるため、キャッシュ・フロー対有利子負債比率及びインタレスト・カバレッジ・レシオを記載しておりません。

 

(3)資本の財源及び資金の流動性

 当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

 短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。

 また、当社グループの運転資金需要の主なものは、石油製品の仕入や販売費及び一般管理費等の営業費用であり、投資を目的とした資金需要は、主に再生可能エネルギー関連の設備やSSの機械装置等の設備投資によるものであります。

 なお、当連結会計年度末における借入金等の有利子負債の残高は9,542,528千円、現金及び現金同等物の残高は3,376,551千円となっております。

 

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