業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

 当事業年度におけるわが国経済は、緩やかに持ち直しております。企業収益は、一部に弱さがみられるものの、総じてみれば改善しており、個人消費及び雇用情勢は緩やかに持ち直しております。

 当家電小売業界における売上は、スマートフォン等が好調、冷蔵庫等が堅調に推移いたしましたが、テレビ、ゲームやパソコン等が低調であったため、総じて低調に推移いたしました。

 このような状況の中、当社は、「家電を通じて 笑顔あふれる 明るく暖かいみらいをつくる くらし応援企業であること」をパーパスと定め、「お客様のくらしを『より快適に』『より便利に』『より楽しく』します。くらし応援コジマ」をビジョンに掲げ、ビックカメラとの連携による相乗効果を最大限に発揮し、「生産性の向上」及び「持続的な成長」を2大戦略として取り組み、企業価値の向上に努めております。また、当社はお客様の住まいに近く、くらし関連の不可欠な商品やサービスを提供し、地域のお客様の“必要”にお役に立てるよう、店舗運営やサービスの推進に取り組んでおります。なお、新型コロナウイルス感染症拡大防止の対策につきましては、お客様と従業員の安全確保を最優先に考え、マスク着用、丁寧な手洗い・消毒、従業員の出退勤時の検温、店内消毒、レジ・カウンター等への飛沫感染防止シート設置、ソーシャルディスタンスの確保等を継続して実施しております。

 当事業年度は、店舗における「集客力の強化」にこだわり、競合他社との差別化を図るため、「くらし応援」企業として地元企業や地方自治体と連携し、地域に密着したイベントの開催に取り組んでおります。包括連携協定を締結した地方自治体(栃木県、静岡市等)と連携し、2022年2月には「栃木物産展」を大阪府の店舗で開催し、3月には「しずおか市フェア」を神奈川県の店舗で開催しました。5月にはプロサッカーチーム「清水エスパルス」と連携した「お子様向けサッカー大会」を静岡市で開催、6月には、プロバスケットボールチーム「宇都宮ブレックス」と連携した「お子様向けバスケットボール教室」を宇都宮市で開催するなど、地域社会の活性化に貢献する取り組みを実施しております。そのほか、新たな形のイベントとして、野菜や果物の店頭販売イベント「コジマの朝イチ」やお得なギフト商品を集めた「大特価市」を開催し、家電製品の購入以外でも、お客様のご来店につながる機会の創出に取り組んでおります。さらに、ビックカメラグループの幅広い取り扱い商品や専門性を活かして、トイズや自転車、酒類などの商品カテゴリの拡充を引き続き進めており、2021年11月には、「コジマ×ビックカメラ 港北東急S.C.店」の増床リニューアルを実施し、当社最大級となるトイズコーナーを新規に導入するなど、よりお買物を楽しんでいただける店舗づくりに取り組んでおります。

 また、「女性・Smile推進室」のもと、女性メンバーならではの目線で行う実演や提案販売、商品展開を強化し、商品の使用や所有によって感じられる喜びや満足感がお客様に伝わる、魅力ある売場づくりや接客に努めております。住設事業においては、専任担当者を50店舗に配置し、太陽光発電と蓄電池を組み合わせ、環境に優しく、安心にもつながる商品のご提案に努めております。引き続き、お客様に快適なくらしをご提案できる売場や商品、接客の拡充に取り組んでまいります。

 インターネット通販サイト「コジマネット」においては、お申し込みいただいた商品を店頭でお支払い・お受け取りができる「店舗で受け取りサービス」を2021年11月に一部の店舗に導入し、さらに、2022年5月には全店舗に拡大いたしました。引き続き、店舗とインターネット通販サイトの連携強化に努めております。また、全店舗に導入していた「d払い」を2月に「コジマネット」でスタートさせ、決済手段の拡充にも努めるなど、より便利でお買い物しやすい仕組みづくりに取り組んでおります。

 店舗展開におきましては、2022年4月27日に「コジマ×ビックカメラ COTOE流山おおたかの森店」(千葉県流山市)、翌28日に「コジマ×ビックカメラ KAMEIDO CLOCK店」(東京都江東区)を2日連続でオープンし、8月26日には「コジマ×ビックカメラ 宇都宮テラス店」(栃木県宇都宮市)をオープンするなど、計6店舗を開店いたしました。一方で、「加須店」(埼玉県加須市)など5店舗を閉店し、2022年8月末現在の店舗数は141店舗となりました。

 当社は、企業活動を通じて社会課題を解決し、企業価値を高め成長することを目的とした「サステナビリティ経営」を推進すべく、「サステナビリティ推進室」を設置し、2022年4月に「コジマSDGs宣言」を公表いたしました。さらに、6つの優先課題(マテリアリティ)を特定し、具体的な取り組みについて策定を進めております。また、8月には、取締役会の諮問機関として「サステナビリティ推進委員会」を新設するとともに、気候変動問題がもたらすリスク等の把握やその対策に取り組むことを宣言するため、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言への賛同を表明いたしました。これらの活動を通じて、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。

 以上の結果、当事業年度末の財政状態及び経営成績は次のとおりであります。

a.財政状態

 当事業年度末の総資産は、前事業年度末に比べ 46億28百万円増加(前事業年度末比 4.1%増)し、1,171億54百万円となりました。

 当事業年度末の負債合計は、前事業年度末に比べ 16億80百万円増加(前事業年度末比 3.1%増)し、552億12百万円となりました。

 当事業年度末の純資産合計は、前事業年度末に比べ 29億48百万円増加(前事業年度末比 5.0%増)し、619億41百万円となりました。

b.経営成績

 当事業年度の売上高は 2,793億74百万円(前年同期は 2,975億35百万円)、営業利益は 81億7百万円(前年同期は 88億61百万円)、経常利益は 85億25百万円(前年同期は 92億44百万円)、税引前当期純利益は 78億円(前年同期は 85億25百万円)、当期純利益は 57億61百万円(前年同期は 63億2百万円)となりました。

 品目別売上高のうち物品販売事業につきまして、音響映像商品の売上高が 461億59百万円(前年同期は 503億32百万円)、家庭電化商品の売上高が 1,303億38百万円(前年同期は 1,411億23百万円)、情報通信機器商品の売上が 748億30百万円(前年同期は 739億49百万円)、その他の商品は 265億46百万円(前年同期は 304億70百万円)となりました。

 なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当事業年度の期首から適用しており、当事業年度に係る各数値については、当該会計基準等を適用した後の数値となっているため、対前期増減額及び対前期増減率は記載しておりません。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (会計方針の変更)に記載のとおりであります。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ 6億20百万円減少し、174億35百万円となりました。当事業年度末における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果獲得した資金は 77億72百万円(前事業年度は 19億18百万円の獲得)となりました。これは主に、棚卸資産の増加 13億22百万円があったものの、税引前当期純利益 78億円、減価償却費 14億33百万円の計上によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は 23億89百万円(前事業年度は 14億66百万円の使用)となりました。これは主に、投資その他の資産の減少額6億76百万円があったものの、定期預金の預入による支出 15億円、有形固定資産の取得による支出 17億79百万円によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は 60億3百万円(前事業年度は 125億40百万円の使用)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出 46億25百万円、配当金の支払額 10億78百万円によるものであります。

 

③生産、受注及び販売の実績

品目別売上高

品目別

当事業年度

(自 2021年9月1日

至 2022年8月31日)

売上高

(百万円)

構成比

(%)

前年同期比増減率

(%)

 

音響映像商品

カメラ

6,008

2.1

テレビ

22,867

8.2

レコーダー・ビデオカメラ

4,931

1.8

オーディオ

4,063

1.4

その他

8,288

3.0

小計

46,159

16.5

家庭電化商品

冷蔵庫

22,519

8.1

洗濯機

20,441

7.3

調理家電

17,248

6.2

季節家電

34,561

12.4

理美容家電

13,529

4.8

その他

22,037

7.9

小計

130,338

46.7

情報通信機器

商品

パソコン本体

19,776

7.1

パソコン周辺機器

11,537

4.1

パソコンソフト

729

0.3

携帯電話

26,374

9.4

その他

16,413

5.9

小計

74,830

26.8

その他の商品

ゲーム

9,974

3.6

時計

507

0.2

スポーツ用品

1,823

0.6

玩具

3,265

1.2

医薬品・日用雑貨

1,586

0.6

工事(住設含む)

6,587

2.3

その他

2,802

1.0

小計

26,546

9.5

物品販売事業

277,874

99.5

その他の事業

1,499

0.5

合計

279,374

100.0

(注)「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当事業年度の期首から適用しており、当事業年度に係る各数値については、当該会計基準等を適用した後の数値となっているため、前年同期比増減率は記載しておりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しており、その作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。

 当社の財務諸表の作成にあたり用いた重要な会計方針については、「第5経理の状況 1財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計方針)」に記載のとおりであります。

 当社の財務諸表の作成にあたり用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5経理の状況 1財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 また、引当金の計上や資産の評価等、当社の財務諸表の作成にあたり必要となる見積りについて、経営者は過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果とは異なる場合があります。

 

②当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績等

1)財政状態

(資産の部)

 当事業年度末の総資産は、前事業年度末に比べ 46億28百万円増加(前事業年度末比 4.1%増)し、1,171億54百万円となりました。主な要因は、現金及び預金の増加8億79百万円、商品の増加 12億29百万円、前払費用の増加7億59百万円、長期前払費用の増加 14億97百万円があったことによるものであります。

(負債の部)

 当事業年度末の負債合計は、前事業年度末に比べ 16億80百万円増加(前事業年度末比 3.1%増)し、552億12百万円となりました。主な要因は、前受金の減少 34億23百万円、長期借入金の減少 41億20百万円があったものの、契約負債(流動負債及び固定負債)の増加 100億74百万円があったことによるものであります。

(純資産の部)

 当事業年度末の純資産合計は、前事業年度末に比べ 29億48百万円増加(前事業年度末比 5.0%増)し、619億41百万円となりました。主な要因は、剰余金の配当(純資産の減少)10億79百万円、収益認識関係基準等の適用による利益剰余金の当期首残高の減少(純資産の減少)17億89百万円があったものの、当期純利益(純資産の増加)57億61百万円によるものであります。

 

2)経営成績

(売上高、売上原価、販売費及び一般管理費)

 当社の品目別売上高の状況につきましては、スマートフォンが好調に推移いたしましたが、テレビが低調に推移した結果、当事業年度における売上高は 2,793億74百万円(前年同期は 2,975億35百万円)となりました。

 一方、売上原価は 2,039億99百万円(前年同期は 2,117億97百万円)となりました。

 また、販売費及び一般管理費は 672億66百万円(前年同期は 768億75百万円)となりました。これは主として運送費を 120億55百万円(前年同期は 125億15百万円)、支払手数料を 64億47百万円(前年同期は 103億88百万円)それぞれ計上したことによるものであります。

(営業外収益、営業外費用)

 営業外収益は5億65百万円(前年同期は6億13百万円)となりました。これは主として受取保険金を2億3百万円(前年同期は1億51百万円)、助成金収入を1億64百万円(前年同期は2億96百万円)それぞれ計上したことによるものであります。

 一方、営業外費用は1億47百万円(前年同期は2億30百万円)となりました。これは主として支払利息を 60百万円(前年同期は 82百万円)、支払手数料を 18百万円(前年同期は 54百万円)、契約違約金を 42百万円(前年同期は 65百万円)それぞれ計上したことによるものであります。

(特別利益、特別損失)

 特別利益は2億59百万円(前年同期は2億96百万円)となりました。これは主として固定資産売却益を2億26百万円計上したことによるものであります。

 一方、特別損失は9億83百万円(前年同期は 10億15百万円)となりました。これは主として減損損失を2億12百万円、災害による損失を5億47百万円それぞれ計上したことによるものであります。

 

 当社の経営成績に重要な影響を与える要因としましては、競争激化や季節要因等を事業等のリスクとしております。詳細につきましては「第2事業の状況 2事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

3)キャッシュ・フローの状況

 主な内容は「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 なお、キャッシュ・フロー指標トレンドは、次のとおりであります。

 

2020年8月期

2021年8月期

2022年8月期

自己資本比率

(%)

42.1

52.4

52.8

時価ベースの自己資本比率

(%)

34.1

44.8

42.1

キャッシュ・フロー対有利子負債比率

(年)

1.2

8.6

1.5

インタレスト・カバレッジ・レシオ

(倍)

221.3

23.8

132.3

自己資本比率 : 自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率 : 株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率 : 有利子負債/キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ : キャッシュ・フロー/利払い

※ 各指標は、いずれも財務数値より算出しております。

※ 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。

※ キャッシュ・フローはキャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。

※ 有利子負債は、貸借対照表に計上されております負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。

 

b.資本の財源及び資金の流動性

資金需要

 当社の資金需要のうち主なものは設備投資及び当社で販売するための商品の購入の他、販売費及び一般管理費の営業費用であります。営業費用の主なものは、運送費、給与手当、地代家賃であります。

財務政策

 当社の事業活動を支える資金調達に際して、低コストでかつ安定的に資金が確保できることを目標に取り組んでおります。また、株式会社ビックカメラとの資本提携により財務基盤の強化を図るとともに、資産構成に合わせた最適資金調達と安定的な流動性の確保を重視し、銀行借入により資金の調達を行いました。

 また一方では財務健全化を図るため、有利子負債の圧縮にも注力した結果、有利子負債残高は前事業年度末に比べ 49億24百万円減少し、116億78百万円となりました。

 

c.経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社は、5ヵ年の中期経営計画を策定し、その計画を遂行することで経営目標として年間の経常利益 100億円を目指しております。

 

 

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