課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

 当社グループは、経営ビジョンを『世界一のスポーツの伝道者となる』と定めております。

 その実現のため、独自の企業活動を通じて、あらゆるボーダーを超えたスポーツ文化の定着と発展を図ること、多様化するライフスタイルにおけるスポーツの役割を考え続けること、お客様に最適な商品・サービスを提供すること、スポーツと商品に対する知識と技術を高め続けることをミッションとしております。

 また、長期経営方針である『Sustainable Sporting Life(サステナブル・スポーティング・ライフ)』を提唱し、「既存の販売事業を進化させる」「スポーツに触る・語る環境の開発および運営」「スポーツすることを続けられるスポーツサステナビリティ事業の開発」の3つの戦略活動を通じて、その実現に努めてまいります。

 

(2)経営戦略等

 当社グループは、2024年8月期を最終年度とする中期経営計画を策定いたしました。

 本中期経営計画期間(2022年8月期から2024年8月期)は、ウィズ/アフターコロナの環境に適合すべく、「ECおよび既存店の販売力の強化と新規出店による規模の成長」を第一優先の戦略目標といたします。加えて、長期の投資活動により盤石な経営基盤を築きつつ、新規事業開発と収益化を推進します。以上により、長期成長への道筋を作るための期間と位置付け、以下の重点戦略を遂行してまいります。

①既存事業の収益性向上にむけた戦略

 ・スタッフとデジタルを基軸としたお客様購買体験レベルの向上

 スタッフの能力開発とデジタルツールの積極的な活用により、スポーツの持つ可能性や世界観を体験し、喜びが感じられる商品構成や店舗づくりを実現させ、従来のお客様はもとより新規のお客様も積極的に獲得していきます。そのためのスタッフへの能力開発投資およびデジタル関連への投資を重点的に行います。

 ・新規出店戦略

 不採算店舗の整理の局面が終了し、今後はより多くのお客様に当社のサービスを提供するため、大都市商圏や未出店エリアへの積極的な出店を行います。

 ・カテゴリー別の専門業態の開発

 従来の総合スポーツ取扱いの店舗運営だけでなく、スポーツの奥深さをより表現するためにカテゴリーに特化した専門的な業態を開発し、出店先におけるお客様に対する役割を増やし、より多くのお客様へより幅広く深いサービスレベルを提供します。

 ・EC、フルフィルメント全体での収益化

 実店舗だけでなく、ECでの収益基盤をさらに強固なものとするために、全社的な観点からフルフィルメントを含めた改善を実行し、システム関連への投資も積極的に実行することで今後需要がより一層高まるEC市場での成長を目指します。

②持続成長可能な組織体制の構築と経営基盤の強化

 人事制度改革により、従業員の主体性と成果の向上を実現する組織風土『HIMARAYA3.0』を醸成します。次世代経営者育成を含め、全ての従業員の成長と活躍を促す「ヒトの力の熟成」を目指すとともに、従業員の業績貢献に対する還元強化に努めてまいります。

 また、サステナビリティへの取組みと、コーポレートガバナンスの強化に努めることにより、企業価値の向上を目指してまいります。

 

(3)経営環境

 当社グループは、スポーツ、レジャー用品の販売を主たる事業とする株式会社ヒマラヤと、インターネット販売におけるフルフィルメント事業を行う子会社コアブレイン株式会社で構成されております。

 当社グループが属するスポーツ用品小売市場は、新型コロナウイルスの感染対策に伴うスポーツ活動の制限による需要抑制は解消傾向にあり、市民スポーツ、学校スポーツの活動の正常化が一段と進むなど、本格的な市場回復にむけた取り組みが重要となりますが、物価上昇による消費の落込みやエネルギーコスト上昇の影響を注視する必要があります。

 競合環境については、従来の同業他社に加え、メーカーによる自社ECサイトでの直販、衣料を中心とした商品群についての異業種からの市場参入などの動きも顕著となってきております。

 販売チャネルについては、SNSなどを介した購買意思決定プロセスの多様化が進んでおります。リアル店舗、EC店舗それぞれの強みを活かし、効果的なタッチポイントを増やすことが重要となります。

 

(4)優先的に対処すべき事業上および財務上の課題

 国内経済は新型コロナウイルス感染症の影響の低減により、経済社会活動の正常化が進み、景気が持ち直していく事が期待されておりますが、円安や原材料価格の高騰を背景にした企業物価、消費者物価上昇により、先行きは不透明な状況にあります。また、従来からの少子高齢化による国内のオーバーストア化・DX化等の技術革新によるお客様の購買行動の変化も重要な課題であります。

 これらの対処すべき課題に対して、当社グループは中期経営計画における戦略目標等に基づく、以下の取り組みを行ってまいります。

①本質的な競争力の強化

 「新しい生活様式」と親和性が高いゴルフやアウトドア、およびEC事業は好調に推移していることから、かかる好調カテゴリーや事業を推進力としながら、新規出店とEC事業の成長を軸に収益の拡大と安定化を図ってまいります。同時に、主力である一般スポーツの強化と新規事業の開発および収益化を図り、人材の育成を中心に据えた経営基盤の強化に努めることにより、長期成長に向けた体制整備を推進してまいります。

②店舗販売力の強化

 サービスの高付加価値化を目指し、人材、デジタルインフラ、店舗改修のための積極的な投資を行ってまいります。人による店舗運営力と商品知識力の強化、デジタルインフラ整備による店舗オペレーションの改革を図ります。スタッフの総合的な接客力向上を図り、顧客のファン化を促進するとともに、スポーツを通じた「ヒトの力の熟成」を目指します。あわせて、メンバーシッププログラムの開発とロイヤリティ化を促進し、ヒマラヤファンであることの価値を高めてまいります。2023年春には、店舗とECのシームレス化を推進し、お客様の購買体験の向上を図るために「ヒマラヤメンバーズアプリ(仮称)」のリリースを予定しております。

 新規出店についても、大都市圏の大型店舗や専門業態を中心に積極的に展開してまいります。

③商品力の強化

 担当者の専門性を高め、仕入先企業との密なコミュニケーションを通して、その世界観を尊重し、最適な表現方法を追求します。並行して、自社商品も含めた全体的な商品構成を最適化します。現在好調なアウトドアブランドである「VISION PEAKS」を始めとするPB(プライベートブランド)については、専任部署の設置と生産管理体制の強化を行い、ブランド価値を高めながら規模の拡大を図ってまいります。

④EC販売力の強化

 拡大するEC事業については、将来の成長ステージに応じた人材の育成、マーケティング戦略、物流機能の拡張計画を設定し、子会社であるコアブレイン株式会社と連携を行いながら、適切なタイミングでの段階的な投資により、ECの規模の拡大と収益性の向上の両立を図ってまいります。

⑤人材の強化

 当社の強みである専門知識の高い社員による接客力の向上を図りながら、加速していく事業環境の変化に対応し、持続的な成長を果たしていくためには、人の育成が重要な課題と認識しています。この課題に対応するために、全ての従業員をスキルとマインドの両面から公正に評価し、各人の能力発揮の機会の提供と、教育・研修制度の充実によって人の育成を図ることを基本方針としております。また、多分野での専門人材の拡充のため早急な対応が必要と考えております。

 こうした中、当社は現在、社内の人材を3つの階層にグルーピングし、「①部長職以上の管理職を次世代経営者層と位置付けた中核人材の育成プログラムの実施」「②管理職に対しては、『過去のやり方にこだわらずに自分で考えること』を意識したマネジメント能力の強化」「③若手人材における積極的な活躍機会の提供、および権限の付与による早期の育成」をテーマに取り組んでおります。さらに今後、これらを支える制度の整備やキャリアパスの多様化への対応に加えて、様々な視点での多様性の実現に向けて、女性活躍推進法等の法改正対応にとどまらず、各人の個性を尊重した社風の醸成に取り組んでまいります。

⑥新規事業の開発及び収益化

 サステナブル・スポーティング・ライフ事業では、より多くの人々がスポーツすることを通じて健やかな心と体を手に入れ、同時に、地球の未来を築くライフスタイル『Sustainable Sporting Life(サステナブル・スポーティング・ライフ)』を楽しめるための事業開発を行い、新たなノウハウの獲得とビジネスチャンスの拡大を図ってまいります。

⑦気候変動問題に対する取組み(カーボンニュートラル宣言)

 当社グループは、全世界で加速する温室効果ガス削減等の社会課題解決に向け、以下のとおりカーボンニュートラルを目指した取組みを実施して、自社グループの温室効果ガス排出量を、2050年までにネットゼロにすることを宣言いたしました。

 1.「Sustainable Sporting Life」の浸透

地球環境の改善と保全を意識した生活とスポーツを融合させた豊かなライフスタイルの発信を行い、社会課題に対する取組みに一人一人が真摯に向き合い、実践して行く環境の醸成に貢献します。

 2.当社グループからの温室効果ガス排出量(Scope1、2)

当社グループが事業活動を行うことで、使用する電力等により間接的に排出している温室効果ガスの排出量を、2030年までにネットゼロにします。

 3.当社グループを取り巻く事業環境からの温室効果ガス排出量(Scope3)

当社グループが事業活動を行うことで、取り巻く事業環境から間接的に排出される温室効果ガスの排出量について、2050年までにネットゼロを目指します。

⑧目標とする経営指標

 当社グループは、中長期経営戦略目標である売上高1,000億円、経常利益50億円の達成に向けて、本中期経営計画期間の最終年度である2024年8月期の連結業績目標を売上高750億円、経常利益30億円、当期純利益17.5億円、ROE9.5%と定めております。

 また、翌連結会計年度の目標値として、売上高595億円、経常利益24億円、当期純利益14.8億円、ROE9.1%を見込んでおります。

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