文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社は、「声のする方に、進化する」を経営理念としており、常にお客様の立場に立って日々の暮らしに密着した安心と信頼を提供し、お客様の生活文化の向上に役立つとともに、より高品質の商品とサービスの提供に努めております。また、「共存共栄」の精神で、お客様の満足を第一に、加盟店と取引先の発展、そして地域社会への貢献に努めることが当社の発展につながるものと確信しております。
(企業理念)
Dream(めざす姿) |
お客様の声を経営に活かします。 |
Purpose(存在意義) |
機能と価格に新基準を実現し、生活者の「可処分所得」を増やします。 |
Belief(価値観、行動指針) |
ローコスト経営、データ経営、標準化を柱に100年の競争優位を築き、全てのステークホルダーとの長期的な優良関係を目指します。 |
(2)経営戦略
「機能と価格に新基準」を実現するため、データ経営を軸に持続的成長を目指しており、その経営戦略は以下のとおりであります。
①店舗展開
当社独自の出店基準で候補地を選定し、ベスト立地にローコストの出店を実施、各地域でドミナントエリアの構築に取り組みます。客層拡大を目的としたワークマンプラスや#ワークマン女子の出店を強化するほか、既存店舗をワークマンプラスへ改装転換し、一般のお客様にも入りやすく、親しんでいただける店舗づくりに取組み、新規顧客の獲得を目指します。
②商品政策
「より良いものをより安く」をモットーに、素材・機能・価格・サステナブルの4つのテーマを追求したPB商品の拡大と売り切る体制づくりに取組み、「エブリデー・ロー・プライス」戦略をさらに推し進めてまいります。また、機能やデザイン性にこだわったスタイリッシュな商品開発にも取組み、同じ商品が働く方と一般消費者の双方に価値を創出し、新たな客層の拡大と買上げ点数の増加により個店売上の向上を図ってまいります。
③販売政策
販売分析データの活用で、需要予測による緻密な品揃えと地域特性にあわせた売場づくりを展開するとともに、アンバサダーマーケティングを推進し、使用者目線での共同商品開発と各メディアでの情報発信力の強化で客層拡大に取り組んでまいります。
④加盟店支援策
商品の検品、品出し、発注などの作業軽減や効率化を図るシステム構築を行い、販売業務に専念できる環境づくりの整備と基本4原則(フレンドリーサービス、クリンリネス、商品マッサージ、こまめな発注)の徹底指導と法人営業支援体制の強化、各種顕彰制度で加盟店の継続的な成長をバックアップしてまいります。
⑤物流政策
需要予測に基づき、販売・生産に紐づけられた計画で在庫の適正化を図るとともに、継続的な物流インフラへの投資を行い、フラットな入出荷を実現することでコストの抑制と加盟店への安定供給に取り組みます。
(3)経営環境
①市場環境
当社が属するワーキングウエア市場は、国内の人口減少や高齢化等に伴う構造的な諸問題を抱えており、建設技能労働者(職人)人口の減少など、先行きの見通しが難しい状況となっております。また、生産面では、為替相場の影響や原材料費及び物流費の高騰など仕入価格の上昇で厳しい経営環境が続いております。
当社は、客層拡大を目的として、ワーキングウエア市場で培った品質や機能性を活かした商品を、安心の低価格で一般消費者の日々の生活の中で提案を行い、アウトドアウエア・スポーツウエア市場にも参入しております。アウトドア需要や健康志向の高まりで機能性ウエアが見直されていることに加え、ファッションの分野においてもアウトドアやスポーツの要素を取り入れた「アスレジャー」が定着しつつあり、良好な市場環境となっております。
②競合環境
a.ワーキングウエア市場
ワーキングウエア業界は、店舗販売を主としたグループと大企業向けの法人販売を主としたグループに分かれており、当社は店舗販売中心のグループに属しております。顧客の購買行動として、馴染みの店舗で販売している使い慣れた商品を好む傾向が強く、作業手袋や靴下、作業靴等の消耗品の購入から始まり、利益率の高いワーキングウエアの購入に至るまで時間を要します。また、全国展開している唯一の企業であるため、競合他社からベンチマークされており、セームプライス等で対応されるケースが多く見られます。
その他にワーキングウエアのEC販売も拡がりを見せており、価格面での競合環境も激化しております。
b.アウトドアウエア・スポーツウエア市場
アウトドアウエアやスポーツウエアを普段着に取り入れるアスレジャー需要の高まりや、キャンプ等のアウトドアブームにより市場は拡大しておりますが、異業種からの参入が相次ぎ、業種・業態の垣根を越えた厳しい競合環境となっております。
③顧客動向
購入支出については、可処分所得の伸び悩みにより、個人消費は弱さが見られ、お客様の消費活動は慎重さが窺えます。当社は、「機能と価格に新基準」を実現し、低価格商品の展開で生活者の可処分所得を増やしてまいります。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
①在庫管理体制
一般消費者への客層拡大に伴い、自社開発であるアウトドア・スポーツ向けPB商品の取扱いが増加傾向にあり、商品在庫高の水準が高まっております。これら商品は嗜好の変化や気候など外部環境変化に影響を受けやすいため、当社独自の需要予測に基づいた販売・生産計画の精度を高め過剰在庫の抑制を図り、在庫の適正化に取り組みます。また、流通センター運営委託費、運送費及び外部倉庫家賃等の物流コストが上昇しております。流通センターの増設等、適切な物流投資を継続的に行うことで、物流の効率化によるコスト抑制及び加盟店への安定供給を図ります。
②お客様ニーズに合った店舗展開
一般消費者への認知が広がったことで、駐車台数の不足や売場面積の関係上で販売機会ロスが増加するなど、店舗運営課題が生じております。新規出店やスクラップ&ビルドを行った店舗から敷地面積の拡張に取り組み集客力を高めております。そのほか、顧客ターゲットを明確にした#ワークマン女子やワークマンプロを展開することで、顧客の棲み分けを図り、満足度の向上と加盟店の繁忙緩和に取り組んでおります。
③競合他社との競合優位性
当社の商品政策は、トレンドを追うのではなく、ワーキングウエアとしての「機能性」に注力しております。機能や価格、デザインで訴求力を高めたPB商品の開発強化で競合他社との差別化をさらに鮮明にし、一層の客層拡大に取り組みます。
(5)目標とする経営指標
当社の収益基盤は、フランチャイズ経営を基本としており、加盟店との荒利分配方式による収益であります。したがって当社の事業活動の最重要課題は、加盟店の業績向上とフランチャイズ・ストア化の推進であります。
当社の目標とする経営指標は、既存店売上高の伸び率とフランチャイズ比率を重視しており、当事業年度の既存店売上高は1.5%増加、フランチャイズ比率は95.7%となりました。
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