当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症に対する各種政策や新型コロナワクチン接種の普及の効果もあり、社会経済活動正常化への期待感は高まりつつありましたが、新たな変異株による感染再拡大による景気回復の遅れやウクライナ情勢の影響による物価上昇が懸念され、依然として先行きが不透明な状況で推移しております。
当社が事業展開するCATV及び情報通信関連分野におきましては、総務省推進による「ICTインフラ地域展開マスタープラン3.0」に基づいた通信インフラ基盤の整備が進められ、第5世代移動通信システムのバックボーンである光伝送路構築や、FTTH(※)等の大容量化が継続しております。また、防災関連分野におきましては、引き続き地方自治体防災システムのデジタル化が進んでおります。
※FTTHとは、Fiber to the Homeの略。通信事業者の設備から利用者建物等までを光ファイバーケーブルでつなぐアクセス方式。
このような状況のなか、前年特需のGIGAスクール構想案件の終息や消防通信設備案件の減少が影響しましたが、FTTH案件を多数受注し収益の減少を最小限に抑えた結果、当事業年度の売上高は、 17,581,435千円(前年同期比2.8%減)、売上総利益は2,736,983千円(前年同期比4.8%減)、営業利益は1,056,150千円(前年同期比7.4%減)、経常利益は1,057,597千円(前年同期比10.6%減)、当期純利益は703,626千円(前年同期比11.0%減)となりました。
事業区分別の営業概況は以下のとおりであります。
四国九州ブロック
GIGAスクール構想案件の終息が影響しましたが、FTTH案件の受注増加により好調に推移したことから、売上高は4,590,663千円(前年同期比2.0%増)、売上総利益は719,960千円(前年同期比3.0%減)となりました。
東日本ブロック
FTTH案件の受注増加により好調に推移しましたが、防災行政無線案件の受注が低調に推移したこと、及びGIGAスクール構想案件の終息が影響し、売上高は5,152,127千円(前年同期比16.3%減)、売上総利益は720,914千円(前年同期比18.0%減)となりました。
西日本ブロック
GIGAスクール構想案件の終息が影響しましたが、病院ネットワーク案件及びメガソーラー案件の受注増加により好調に推移したことから、売上高は5,824,397千円(前年同期比7.3%増)、売上総利益は960,135千円(前年同期比5.9%増)となりました。
東海北陸ブロック
GIGAスクール構想案件の終息が影響しましたが、FTTH案件の受注増加及びCATV局加入者用通信機器の販売が好調に推移したことから、売上高は2,014,246千円(前年同期比0.1%増)、売上総利益は335,973千円(前年同期比3.0%減)となりました。
商品区分別の営業概況は以下のとおりであります。
ケーブル
GIGAスクール構想案件の終息によりLANケーブルの販売が低調に推移しましたが、FTTH案件により光ケーブルの販売が増加したことから、売上高は4,467,755千円(前年同期比3.1%増)、売上総利益は、GIGAスクール構想案件の終息によるコストリーダーシップ商品の販売が減少したことにより売上総利益率が低下し、704,512千円(前年同期比3.7%減)となりました。
材 料
FTTH案件により架空幹線等に使用する材料の販売が増加しましたが、GIGAスクール構想案件の終息によりネットワーク用材料の販売が低調に推移したことから、売上高は8,158,001千円(前年同期比8.3%減)、売上総利益は1,426,857千円(前年同期比11.2%減)となりました。
機 器
GIGAスクール構想案件の終息及び防災行政無線案件が低調に推移し、ネットワーク機器や防災無線受信機等の販売が減少しましたが、病院ネットワーク案件受注による回線中継装置等の販売が増加、及びCATV局加入者用通信機器の販売が好調に推移したことから、売上高は4,913,476千円(前年同期比1.5%増)、売上総利益は598,826千円(前年同期比11.9%増)となりました。
そ の 他
その他は主に電気通信工事であり、売上高は42,203千円(前年同期比127.3%増)、売上総利益は6,785千円(前年同期比317.3%増)となりました。
(資産)
流動資産は、前事業年度末に比べて191,429千円増加し、11,727,856千円となりました。これは主に現金及び預金が270,374千円、売掛金が349,696千円、商品が395,593千円それぞれ増加し、受取手形が850,371千円減少したことによるものであります。
固定資産は、前事業年度末に比べて604,835千円増加し、3,150,890千円となりました。これは主に土地が562,740千円、リース資産(純額)が16,714千円、保険積立金が42,904千円それぞれ増加し、建物(純額)が24,687千円減少したことによるものであります。
(負債)
流動負債は、前事業年度末に比べて353,959千円増加し、7,106,848千円となりました。これは主に買掛金が527,417千円、前受金が66,276千円それぞれ増加し、支払手形が101,793千円、未払費用が12,795千円、未払法人税等が67,227千円、未払消費税等が60,132千円それぞれ減少したことによるものであります。
固定負債は、前事業年度末に比べて8,571千円減少し、620,588千円となりました。これは主にリース債務が24,167千円、退職給付引当金が21,260千円、役員退職慰労引当金が16,650千円それぞれ増加し、長期借入金が69,216千円減少したことによるものであります。
(純資産)
純資産合計は、前事業年度末に比べて450,877千円増加し、7,151,310千円となりました。これは主に利益剰余金が当期純利益の計上により703,626千円増加し、剰余金の配当により255,960千円減少したことによるものであります。
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ 67,023千円 減少し、 824,604千円 となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
営業活動によって得られた資金は、前事業年度に比べ 533,180千円 増加し、 1,215,798千円 となりました。資金の主な増加要因は、税引前当期純利益 1,057,597千円 、売上債権の減少 500,675千円 、仕入債務の増加 425,189千円 などによるものであり、主な減少要因は、棚卸資産の増加額 394,632千円 、法人税等の支払額 416,348千円 などによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によって使用した資金は、前事業年度に比べ 43,344千円 増加し、 946,833千円 となりました。資金の主な増加要因は、定期預金の払戻による収入 5,287,013千円 などであり、減少要因は、定期預金の預入による支出 5,624,411千円 、有形固定資産の取得による支出 563,261千円 などによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によって使用した資金は、前事業年度に比べ 195,459千円 増加し、 335,910千円 となりました。資金の主な減少要因は、長期借入金の返済による支出 69,216千円 、配当金の支払額 255,960千円 などによるものであります。
資本政策につきましては、財務の健全性や資本効率など当社にとって最適な資本構成を追求しながら、成長のための内部留保の充実と、株主への利益還元との最適なバランスを考え実施してまいります。
短期運転資金については、自己資金を基本とし、設備投資については、金融機関からの長期借入金や公募増資等を検討した上で調達してまいります。
第47期事業年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債残高は412,687千円となっており、現金及び預金の残高は6,400,066千円となっております。
a. 生産実績
生産に該当する事項がないため、生産実績に関する記載はしておりません。
当事業年度における商品仕入実績を事業区分別に示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は仕入価格によっております。
当社においては受注から販売までの所要日数が短く、常に受注残高は僅少であります。そのため、受注状況には重要性がなく、記載を省略しております。
当事業年度における販売実績を事業区分別に示すと、次のとおりであります。
(注) 最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10以上に該当する相手先がないため、記載を省略しております。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
当社の財務諸表は、わが国において一般的に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたっては、決算日における財政状態、経営成績に影響を与えるような見積り・予測を必要としております。当社は過去の実績値や状況を踏まえ、合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り・予測を実施しております。これらの見積りについては、継続し、必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りによる不確実性が伴うため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。
また、新型コロナウイルスの感染拡大の影響に関する会計上の見積りについて、「第一部 企業情報 第5 経理の状況 追加情報」に記載の通りです。
「第一部 企業情報 第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載した課題事項についての、当事業年度における対応状況・進捗状況等に係る主な分析・検討内容は以下のとおりです。
当事業年度における当社の業績は前事業年度比で減収減益となりました。売上高は前年特需のGIGAスクール構想案件の終息や消防通信設備案件の減少が影響しましたが、FTTH案件を多数受注し収益の減少を最小限に抑えた結果、前事業年度比で510,874千円減少し17,581,435千円となりました。売上総利益は前事業年度比で137,214千円減少し2,736,983千円となりました。
販売費及び一般管理費は1,680,833千円(前事業年度比97.0%)であり、売上高に占める割合は9.6%(前事業年度9.6%)となりました。
営業外収益は14,638千円(前事業年度比29.6%)、営業外費用は13,190千円(前事業年度比179.2%)となりました。
法人税、住民税及び事業税は349,121千円(前事業年度比99.1%)、法人税等調整額は4,850千円(前事業年度法人税等調整額38,669千円)となりました。
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