当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大や半導体供給遅れによる電子部品の不足という懸念材料に加え、ロシアによるウクライナ侵攻とこれに対する各国政府による経済制裁に伴うエネルギー価格の高騰により、これまでにも増して先行き不透明な状態が続いております。しかしながら、脱炭素化に向けた世界的な流れは持続しており、今後も自動車の電動化が加速すると同時に、電気自動車向け部品やバッテリー等の市場においては、設備投資環境が堅調に推移すると予想しております。
このような環境の下、当社グループの売上高は振動シミュレーションシステム及びテスト&ソリューションサービスの伸長により、前年同期を312百万円上回る11,888百万円となりました。利益面では、研究開発費の増加や運送費用の世界的な高騰に伴い営業利益が825百万円(前年同期比242百万円減)、経常利益が1,237百万円(前年同期比72百万円減)、親会社株主に帰属する当期純利益が1,065百万円(前年同期比128百万円増)となりました。
当社グループは、ROICを主要な経営指標として採り上げ、株主重視の経営を推進しております。中長期の観点でROIC8%以上の水準を意識し、経営資源を既存コア事業の拡大や新規事業の立ち上げに効率的に投入して収益性の向上に努めるとともに、資本効率のさらなる向上を目指しております。
当連結会計年度におけるROICは4.6%(前年同期比1.2ポイント減少)であり、目標である8%以上の水準を下回りましたが、引き続き当該指標の向上に取り組んでまいります。
ROIC=営業利益×(1-法定実効税率)÷(株主資本+借入金)
ROICは法定実効税率を30.4%を前提として計算しております。
品目別の営業の概況は次のとおりであります。
海外市場におきましては、欧州、米国及び中国における電気自動車向け大型案件に恵まれ前年同期を上回りました。また、サービス部門におきましては、アンプ更新やオーバーホールの需要が旺盛であり前年同期を上回りました。一方、国内市場におきましては、自動車関連業界における設備投資の回復が遅れた影響に加え、前年同期に航空宇宙及び原子力発電所向け大型案件が計上された反動もあり減収となりました。
以上の結果、この品目の売上高は8,791百万円(前年同期比426百万円増)となりました。
国内市場におきまして、前年同期はCOVID-19の感染拡大に伴う経済活動の制限による受託試験の延期などにより低迷しましたが、当連結会計年度において電気自動車向け部品やバッテリー試験を中心に回復がみられ、これらに加えて、日本高度信頼性評価試験センター(e-TCJ)におけるEMC試験や環境試験も伸長しました。
以上の結果、この品目の売上高は2,237百万円(前年同期比211百万円増)となりました。
国内市場におきましては、原子力発電所向け振動監視装置の更新時期が一区切り着いたことに加え、電子部品類の供給不足や各種プラント向け振動計測装置の販売が伸び悩んだことから前年同期を下回りました。さらに海外市場におきましては、COVID-19による影響で主力であるフィリピン向け地震監視装置の販売が伸び悩み、前年同期を下回りました。
以上の結果、この品目の売上高は860百万円(前年同期比324百万円減)となりました。
当社グループの事業は単一セグメントでありセグメント情報を記載していないため、品目別に記載しております。
当連結会計年度における生産実績を品目別に示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は販売価格によっております。
当連結会計年度における受注実績を品目別に示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は販売価格によっております。
当連結会計年度における販売実績を品目別に示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は販売価格によっております。
当連結会計年度末における資産は、前連結会計年度末と比べ157百万円減少し、16,964百万円となりました。流動資産は、現預金が360百万円減少しましたが、棚卸資産が431百万円増加したことから前連結会計年度末と比べ162百万円増加し、11,434百万円となりました。固定資産は、投資有価証券が121百万円減少及び減価償却が進捗したことにより前連結会計年度末と比べ319百万円減少し、5,529百万円となりました。
当連結会計年度末における負債は、前連結会計年度末と比べ903百万円減少し、8,688百万円となりました。流動負債は、未払金が121百万円増加したことから前連結会計年度末と比べ101百万円増加し、7,509百万円となりました。固定負債は、長期借入金が1,000百万円減少したことから前連結会計年度末と比べ1,004百万円減少し、1,178百万円となりました。
当連結会計年度末における純資産は、利益剰余金が905百万円増加したことから、前連結会計年度末と比べ745百万円増加し、8,275百万円となりました。この結果、自己資本比率は前連結会計年度末と比べ4.9ポイント増加し48.8%となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、742百万円の資金が増加(前連結会計年度は2,098百万円増加)しました。これは、税金等調整前当期純利益1,358百万円、減価償却費574百万円の資金の増加要因が、棚卸資産の増加339百万円及び法人税等の支払額689百万円等の資金の減少要因を上回ったことによるものであります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、189百万円の資金が減少(前連結会計年度は162百万円減少)しました。これは、有形固定資産の取得による支出383百万円の資金の減少要因が投資有価証券の売却による収入195百万円の資金の増加要因を上回ったことによるものであります。
財務活動によるキャッシュ・フローは、1,001百万円の資金が減少(前連結会計年度は1,158百万円減少)しました。これは主に長期借入金の返済897百万円に伴う資金の減少によるものであります。
これらの活動の結果、現金及び現金同等物の残高は前連結会計年度末の3,652百万円から378百万円減少し、3,273百万円となりました。
資本の財源及び資金の流動性について、当社グループの主な運転資金需要は製品製造の為の原材料購入のほか、製造費用、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資等によるものであります。当社グループは、事業の運営に必要な資金の調達について、調達手段の多様化を図ることで、低コストかつ安定的に資金を確保するよう努めております。また、グループ各社における余剰資金の一元管理を図り、資金効率の向上と金融費用の削減を目的として、国内外でキャッシュ・マネジメントを実施しております。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。連結財務諸表の作成にあたっては、過去の実績やその時点で合理的と考えられる情報に基づき、会計上の見積りや判断を行っております。
連結財務諸表に与える影響が大きいと考えられる会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は以下のとおりです。
(固定資産の減損)
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産グループについて、当該資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上することとしております。
減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定にあたっては、経営環境などの外部要因に関する情報や当社グループが用いている内部の情報(事業計画等)に基づく合理的な仮定により検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化などにより、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、減損損失が発生する可能性があります。
(繰延税金資産)
当社グループは、繰延税金資産の回収可能性評価に際し、将来の課税所得を合理的に見積もっております。繰延税金資産の回収可能性の評価にあたっては、決算時点で入手可能な情報等に基づき合理的に判断しておりますが、将来の課税所得の見積りに依存するため、経営環境の変化などにより見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、繰延税金資産が取り崩され、税金費用を計上する可能性があります。
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