当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、2021年9月30日に緊急事態宣言及びまん延防止等重点措置が解除され、新型コロナウイルスワクチン接種が進んだことなどから新規感染者数も大幅に減少し、経済・社会活動は緩やかながら回復に向かいつつありましたが、半導体不足による各産業への影響や原油をはじめとする資源価格の高騰等に加え、感染力の強い新型コロナウイルス変異株(オミクロン株)の世界的な流行が懸念されるなど、国内景気の見通しは依然として不透明な状況であります。
また、世界経済は、欧米諸国を中心にワクチン接種の普及等により行動制限の緩和策が取られ、経済・社会活動は国や地域によるばらつきがあるものの回復しつつあります。一方で、半導体不足や資源価格の高騰等に加え、オミクロン株による感染症の再拡大が懸念されるなど、世界経済の先行きは不透明な状況が続いております。
コンタクトレンズ業界におきましては、急速な少子高齢化に伴う人口減少が進んでいるものの、1日使い捨てタイプコンタクトレンズへのニーズのシフトが継続していることや近視人口の急激な増加・若年化が進んでいること、また、カラーコンタクトレンズ市場の拡大等もあり、コンタクトレンズ市場全体は緩やかながら成長基調にあるものと推測しております。しかしながら、価格、販路、広告戦略等々における各メーカー間の競争が激化していることに加え、新型コロナウイルス感染症拡大により外出自粛の動きが広がるなど当社を取り巻く環境は厳しい状況が継続しております。
このような状況の中、当社主力商品であるシリコーンハイドロゲル素材コンタクトレンズ「SINCERE 1DAY S」の売上高が967,661千円(前連結会計年度比47.4%増)、ドラッグストア専売コンタクトレンズである「1Day EyeWell」シリーズの売上高が197,599千円(同28.4%増)などと順調に拡大し、当社ブランドのクリアレンズ全体の売上高は2,175,033千円(同26.3%増)となりました。一方で、プライベートブランド商品につきましては、カラーコンタクトレンズの売上高は第4四半期に大型案件の獲得などがあったものの新型コロナウイルス感染症拡大による需要減をカバーするには至らず688,932千円(同1.0%減)、クリアレンズの売上高は、販売各社における販売計画の遅延等により1,270,527千円(同4.3%減)と厳しい状況が継続しております。
この結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高が4,557,183千円(同8.8%増)となりました。売上総利益は、為替レートが円安方向に推移したこと、当社及び海外子会社における商品の評価損をそれぞれ19,641千円及び13,549千円計上したものの売上高増加が寄与し1,377,263千円(同3.8%増)となりました。しかしながら、「Fairy海外旗艦店」において販売促進活動などで59,961千円の費用が発生したことやマーケティング部門強化を目的としたマーケティング人材の採用及びマーケティング活動の強化などにより販売費及び一般管理費が1,272,066千円(同13.9%増)となりました。この結果、営業利益は105,197千円(同49.9%減)、経常利益は113,888千円(同47.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は83,934千円(同41.0%減)となりました。
なお、当連結会計年度より「Tmall Global(天猫国際)」へ出店した「Fiary海外旗艦店」での売上高は中国政府によるゼロコロナ政策の影響などにより当初の見込みを大きく下回り、当社グループ全体の利益を押し下げる要因となりました。このような中、「Fiary海外旗艦店」の継続は困難であると判断し2022年2月末をもって閉店することといたしました。
当社の財政状態は、次のとおりであります。
当連結会計年度末の資産につきましては、前連結会計年度末に比べ392,396千円増加し、3,289,532千円となりました。主な要因は、外国為替差入証拠金が84,499千円、現金及び預金が68,243千円それぞれ減少したものの、商品が208,234千円、受取手形及び売掛金が201,289千円、デリバティブ債権が70,139千円それぞれ増加したことによるものであります。
当連結会計年度末の負債につきましては、前連結会計年度末に比べ320,224千円増加し、1,249,489千円となりました。主な要因は、未払法人税等が82,456千円、流動負債のその他に含まれる未払消費税等が37,192千円、デリバティブ債務が33,922千円それぞれ減少したものの、長期借入金が259,996千円、1年内返済予定の長期借入金が80,004千円、流動負債のその他に含まれる前受金が79,005千円それぞれ増加したことによるものであります。
当連結会計年度末の純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ72,172千円増加し、2,040,043千円となりました。主な要因は、繰延ヘッジ損益が78,382千円、親会社株主に帰属する当期純利益83,934千円の計上及び剰余金の配当81,484千円により、利益剰余金が2,449千円それぞれ増加したことによるものであります。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ68,243千円減少し、1,087,584千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
営業活動によるキャッシュ・フローは、主に税金等調整前当期純利益120,637千円の計上及び前受金79,005千円の増加があったものの、たな卸資産179,008千円の増加、売上債権166,569千円の増加及び法人税等の支払額130,478千円の計上により、423,595千円の減少(前連結会計年度比686,220千円の収入減)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、主に有形固定資産の取得による支出30,064千円を計上したものの、外国為替差入証拠金84,499千円の減少及びデリバティブ取引による収入17,400千円の計上により、75,696千円の増加(前連結会計年度比136,181千円の支出減)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、主に配当金の支払額81,450千円の計上及び長期借入金の返済による支出60,000千円を計上したものの、長期借入れによる収入400,000千円の計上により、258,500千円の増加(前連結会計年度比333,292千円の支出減)となりました。
③ 生産、受注及び販売の状況
当社グループは、製品の生産を行っていないため、該当事項はありません。
当連結会計年度の商品仕入実績は次のとおりであります。なお、当社グループはコンタクトレンズ事業の単一セグメントであります。
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当社グループは、製品の生産を行っていないため、該当事項はありません。
当連結会計年度の販売実績は次のとおりであります。なお、当社グループはコンタクトレンズ事業の単一セグメントであります。
(注) 1.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。
新型コロナウイルス感染症拡大に伴う外出自粛の影響などにより、カラーコンタクトレンズの売上高が減少しましたが、当社主力商品であるシリコーンハイドロゲル素材コンタクトレンズ「SINCERE 1DAY S」を中心にクリアレンズの販売が順調に拡大したことなどにより売上高は4,557,183千円(前連結会計年度比8.8%増)となりました。
為替レートが円安方向に推移したこと、当社及び海外子会社における商品の評価損を計上したものの売上高増加が寄与し、売上総利益は1,377,263千円(同3.8%増)となりました。しかしながら、「Fairy海外旗艦店」において販売促進活動などで費用が発生したことやマーケティング部門強化を目的としたマーケティング人材の採用及びマーケティング活動の強化などにより販売費及び一般管理費が1,272,066千円(同13.9%増)となり、営業利益は105,197千円(同49.9%減)となりました。
(経常利益)
デリバティブ評価益や貸倒引当金戻入を計上したこと等により経常利益は113,888千円(同47.2%減)となりました。
法人税、住民税及び事業税を計上したこと等により親会社株主に帰属する当期純利益は83,934千円(同41.0%減)となりました。
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの資金需要のうち主なものは、商品の仕入のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用であり、その運転資金については、営業活動によるキャッシュ・フローおよび金融機関からの借入金を基本としております。
資金の流動性につきましては、予測不能な事態が生じない限り、安定的な資金運用が可能であると認識しております。なお、資金の流動性保持の観点から、取引銀行1行と当座貸越契約を締結しております。
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要となる事項につきましては、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。その詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。その作成は、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告数値に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案して合理的に見積りを行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は、これらの見積りと異なる場合があります。
なお、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定における新型コロナウイルス感染症の影響につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載しております。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下の通りです。
(たな卸資産の評価)
「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
(繰延税金資産の回収可能性)
当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
(固定資産の減損処理)
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産について、当該資産から得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、将来の利益計画や市場環境の変化により、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、減損処理が必要となる可能性があります。
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