文中の将来に関する事項の記載については、有価証券報告書提出日現在において当社が判断したものであります。
1.経営方針
当社は、「夢をはぐくむひとりひとりに、快適で美しいくらしを提供します。」の基本理念のもと、常に時代の先を読み、お客様のニーズに応えられる新たな「空環(空間と環境)」創りを目指しています。
また、技術力、製品力、企画力及び提案力をみがき、高品質なマットレス及びベッドフレーム・リビングソファ・インテリア用品をお客様に提供することで、日常生活の中で暮らしを支え社会に貢献すると共に売上・利益の増大と経営効率の向上を図ることを経営方針としております。
2.中長期的な会社の経営戦略
当社の主力製品であるベッド(マットレス及びフレーム)は、主に家具・インテリア業界で事業展開しております。
ベッド(マットレス及びフレーム)の市場環境は、少子高齢化・人口減少に伴い、新規・買替え需要の顧客獲得をかけた競争が激化しており、さらに製造小売業(SPA)の台頭も加わり、持続的発展のため、より一層の競争力強化の施策を進めていくことが必要となっております。
このような市場環境下において、当社は、広告戦略(Web広告、SNS、テレビCM等メディア戦略の活用)、ブランドプロモーションサイトから店舗検索による最寄りの取扱い店舗への誘導、さらに来店促進施策によって実店舗で寝心地の良さを体感比較、その結果購買意思決定へという流れを創出してまいります。
広告出稿及び店舗検索において、自社商品の優位性・ターゲット・ポジショニングを明確化し、インターネットや既存メディア、イベントを組み合わせてマーケティング活動を最適化して、強いブランドアイデンティティを創造・構築することで、ブランドイメージの醸成と、ブランド認知度の向上に努めてまいります。
そのため引き続き、ペアリングツイン(※)等の戦略商品に関するデジタル広告を配信することで、ブランドプロモーションサイトにアクセスした「Serta(サータ)」に興味を持つ顧客が、製品内容、仕様、デザインを見て、直接来店し体感することで商品を購入する、という流れを柱とするマーケティング戦略を導入しております。また、国内のラグジュアリーホテルのスイートルームで採用されている「Serta(サータ)」マットレスと同じ仕様で、一般家庭でも使用できるようなホテルコラボレーション企画等も、継続してまいります。
拡大を続けるEC市場においては、家具販売店ECサイトを公認化して正規ECパートナーとするほか、ECモールへの取組みを検討するとともに、実店舗においては、主要家具販売店での体感機能を強化した「Serta Sleep Site(サータスリープサイト)」の開設による来店促進や店舗誘導をもって、「Serta(サータ)」のみならず「dreambed(ドリームベッド)」「ligne roset(リーン・ロゼ)」「RUF BETTEN(ルフ)」ブランドにもシナジー効果を発揮し、売上増加につなげてまいります。
中でも「ligne roset(リーン・ロゼ)」の浸透とさらなる業績寄与を追求するために、当社のホームページのデザイン更新やデジタル広告を中心としたデジタルプロモーションによる顧客創出、取扱店舗への誘致を図るとともに、売場(インショップ)のリニューアルを推進しております。その一環として、2021年12月に開設したリーン・ロゼ福岡に続き、2024年3月期には中部エリアにもリーン・ロゼ新店の開設を予定しております。
(※)ぺアリングツインとは、「Serta(サータ)」のシングルマットレス2台を接して並べその隙間にペアリングパッド(隙間用T字型パッド)を置き、1枚の大きなボックスシーツで覆い、一つのベッドとして2つの寝心地を実現した当社からの新たな提案です。
新型コロナウイルス感染症の影響拡大・長期化により、ホテル業界の客足回復によるホテル向け需要の回復にはまだ時間を要するものと見込まれますが、インバウンド需要のコロナ前水準までの回復を見込んで、さらに生産効率を高めるため新工場の建設を進めており、今後の需要増に対応できる体制を整えております。
3.経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、持続的な成長による企業価値の向上を目的として、収益力を高め、経営の効率化を図るため、売上高及び売上総利益率を重要な経営指標と位置づけております。今後も引き続き販路拡大による売上高の増加、売上原価の低減、費用削減に取り組むことによる、売上総利益率の上昇を目指してまいります。
4.優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
①「Serta(サータ)」のブランディング強化
少子高齢化・人口減少に伴うベッド市場の拡大余地が限られている環境認識の中で、当社がより一層の競争力強化を推し進めていくためには、主力の「Serta(サータ)」ブランドの競争力をより向上させることが重要であると考えており、次に掲げる施策を通じてその認知度の一層の向上に努めてまいります。
・「Serta(サータ)」ブランディング戦略
主力ブランドである「Serta(サータ)」の想定顧客層にフォーカスした、マーケティング施策を展開しております。「Serta(サータ)」における上質なブランドイメージと国内生産における信頼を、デジタルマーケティングによる訴求と、家具販売店または当社のショップ/ショールームでリアルに体験、体感してもらうことで、バーチャルとリアルの融合によりさらなる顧客層の拡大に努めてまいります。
・EC関連の取組み
ドリームベッド正規ECパートナー認定登録制度を実施し、認定店のECサイトでの認定マークの設定や当社ホームページとのリンクで、得意先ECサイトの信頼度向上の支援を行いました。さらにECモールへの取組み検討等を強化する予定です。
②ドリームベッドブランド及び他の海外ブランドの拡販
当社はライセンス契約を締結している海外ブランド「Serta(サータ)」「ligne roset(リーン・ロゼ)」「RUF BETTEN(ルフ)」及び自社ブランド「dreambed(ドリームベッド)」と国内唯一のウォーターベッドである「Water World(ウォーターワールド)」等、複数のブランドを有していることが強みであり、その優位性及び各ブランド間でのシナジー効果を発揮し、「Serta(サータ)」ブランド同様にその他ブランドも成長ステージに進めるべく、商品開発等に取り組んでまいります。
中でも、「ligne roset(リーン・ロゼ)」は、「Serta(サータ)」「dreambed(ドリームベッド)」に次ぐ第三の売上規模のブランドで、ソファを中心とするインテリア領域が主力のため、ベッド以外の新しい法人向け販路の開拓等による成長に向けて強化する予定です。
③ショールームの活用
デジタルマーケティングにて「Serta(サータ)」ブランドの認知度を向上させていく中で、実際に顧客が当社製品を体験、体感できるリアルの場としてのショールームの活用が重要であると認識しております。東京ショールームを旗艦店として増床し、2022年度新たに名古屋ショールームを開設することで、より多くの顧客にご来場いただくとともに、百貨店との取引並びにハウジングルートの拡大を図ってまいります。
加えて全国の主要家具販売店において、体感機能や展示ラインを強化した「Serta Sleep Site(サータスリープサイト)」を開設し、顧客に体感機会を提供してまいります。
④スリープテック(※)及び製品開発への取組み
当社の技術力、製品力、企画力及び提案力により、家具販売店や最終消費者からも支持されるマットレスは生み出されており、これが競争力の源泉の一つであると考えております。一方で、昨今取り沙汰されている睡眠そのものへの科学的アプローチとして、スリープテックへの取組みが重要であると認識しております。
2021年度は購入検討顧客向けに最適なマットレスを提案するマットレス診断システム「ネルゴリズム」を開発し、多くの方にご利用いただきました。今後は睡眠データを切り口とした、購入顧客へのサービスや、データに基づく商品開発を強化しさらなる進化につなげてまいります。また、顧客それぞれの身長、体形、好みに応じたオーダーベッドの開発も検討してまいります。
(※)スリープテックとは、IT技術を活用して睡眠環境を計測、記録、分析し、睡眠の質を改善するための製品やサービスのことです。
⑤商業施設向けの営業施策の強化
ホテル等の宿泊施設の需要見通しは、未だ不安定な状況が続き、緩やかな回復基調に留まると予想されます。
このような環境下において、従来の宿泊施設営業に加えて、ショールーム、オフィス、ロビー、ショップ等の多様な法人需要の掘り起こしに努め、これらの設計を手掛ける大手設計・デザイン事務所が、スペックやデザインを企画・立案する段階から営業を行い、空間としての提案を進めることで、新しい商業施設向けの販売経路の拡販を進めてまいります。
⑥人材の確保及び育成
超高齢社会が進展している我が国において、当社の技術力、製品力、企画力及び提案力等の特徴を支える人材を、いかに継続的、安定的に雇用し定着させていくことができるかが課題であると認識しております。
積極的な新卒及び中途採用の促進、商品及び製品知識向上のためのマイスター研修や「ligne roset(リーン・ロゼ)」研修、トーク集を用いた営業研修、その他外部講師による研修等の各種研修制度の充実、毎週特定曜日をノー残業デーとする等の働き方改革への取組みのほか、公平かつやりがいの持てる人事制度改革に取り組んでまいります。
⑦物流効率の向上
将来さらに上昇が予想される物流コスト、物流業界における働き方改革としての2024年問題、及び数年来続く運転手不足等に対して、物流効率の向上が重要であると認識しております。物流会社との協力関係を強化し、安定的なロジスティクス体制を構築するための調査及び計画を立案し、新たに物流会社との取引を拡大していくとともに、流通センターの高機能化にも取り組んでまいります。
⑧SDGsへの取組み
2021年12月に発表した当社「SDGs宣言」をさらに加速させ、廃棄・回収されたペットボトルを100%使用した再生ポリエステル糸による生地の使用や、廃棄処理における解体しやすいマットレスの開発、また廃棄マットレスの分解・再資源化等、新たなビジネスモデルを構築し、収益に結び付けるべく取り組んでまいります。
お知らせ