経営成績等の状況の概要
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において判断したものであります。
(1)経営成績および財政状態の概要
当連結会計年度におけるわが国経済は、昨年から続く新型コロナウイルス感染症の感染拡大が続く中、首都圏や大都市を中心に度重なる緊急事態宣言発出により経済活動が抑制され、企業収益や個人消費に大きな影響を与え厳しい状況で推移いたしました。先行きについては、ワクチン接種が進んでいるものの、いまだ収束は見通せず、原油価格および原材料価格の高騰、円安リスクなど厳しい状況が続くと予想とされます。また、海外においても新型コロナウイルス感染症の感染拡大に収束が見えず、世界的な半導体不足やロシアによるウクライナ侵攻など、かつてない先行き不透明な状況が続いております。
当社グループが属する介護・福祉用具業界におきましては、利用者である高齢者人口の長期的な増加傾向により市場の拡大が見込まれておりますが、新型コロナウイルス感染症の長期化が営業活動や消費者ニーズを低下させ、事業活動へ大きな影響を与えることが予想され、また、生産拠点である中国においても、新型コロナウイルス感染症による生産活動の鈍化や停滞、原油価格および原材料価格高騰の影響など、今後も予断を許さない経営環境が続くことが予想されます。
このような状況のなか、当社グループは、「1.取扱い製品領域の拡大」、「2.シニア関連事業の拡大」、「3.介護ロボット事業の確立」、「4.海外事業の開拓」を主な経営方針として、事業活動を進めております。
当連結会計年度におきましては、「1.取扱い製品領域の拡大」では、連結子会社である株式会社シクロケアが取り扱う介護保険における住宅改修用品および介護保険貸与(レンタル)の対象となる手すりやスロープ、また、介護保険販売の対象品目となる特定福祉用具の入浴補助具(すのこ)等、これまで当社の市場シェアが低いもしくは参入できていなかった製品領域への参入を推進しております。
「2.シニア関連事業の拡大」では、連結子会社である株式会社ネクストケア・イノベーションがEC事業を展開しており、インターネット等を利用した介護用品・福祉用具の販売を展開しております。また、連結子会社である株式会社幸和ライフゼーションは、介護サービス事業として福祉用具貸与(レンタル)事業等を行っており、当社の事業領域拡大の一翼を担っております。
「3.介護ロボット事業の確立」では、利用者の転倒防止を目的とした「自立支援型転倒防止ロボット歩行車」および認知症の人の生活不安・ストレスを軽減する「コミュニケーションロボット」の開発を公的機関等の支援や介護の現場で実際に使用いただき、そのデータを開発に反映するなど、積極的に開発を進めておりましたが、新型コロナウイルス感染症が蔓延する中、緊急事態宣言およびまん延防止等重点措置等発出の影響から、実証実験を進めることができない状況となり、「自立支援型転倒防止ロボット歩行車」(2021年2月期上市予定)および「コミュニケーションロボット」(2022年3月上市予定)両製品の上市予定を未定としております。
「4.海外市場の開拓」では、すでに老人長期療養保険制度(日本の介護保険制度に相当する制度)が導入されている韓国や2018年2月に介護保険制度が導入となった台湾を中心に営業活動を展開しており、新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大の影響から現地での営業活動が困難な状況となるなか、Web会議による既存得意先や販売代理店との関係強化を中心に、営業活動を進めてまいりました。
この結果、当連結会計年度の財政状態および経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ55,433千円減少し、5,028,666千円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ1,076,816千円減少し、2,780,117千円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ1,021,382千円増加し、2,248,549千円となりました。
b.経営成績
当連結会計年度の経営成績は、売上高5,717,345千円(前年同期比9.6%増)、営業利益590,441千円(前年同期比60.1%増)、経常利益は545,808千円(前年同期比40.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は、400,961千円(前年同期比3.0%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
①介護用品・福祉用具製造販売事業
介護用品・福祉用具製造販売事業の当連結会計年度の売上高は、新型コロナウイルス感染症感染拡大による外出自粛要請や営業活動の制約等の影響が一部で見られたものの、チェーンストアルートの需要の回復および「シトレア」を中心とした歩行車の売上が好調に推移した結果、5,000,026千円(前年同期比18.2%増)となり、さらに業務の効率化や固定費抑制等を行った結果、セグメント利益は683,403千円(前年同期比24.7%増)となりました。
②介護サービス事業
介護サービス事業の当連結会計年度の売上高は、2021年1月にデイサービス事業を譲渡したこと、福祉用具貸与事業において新型コロナウイルス感染症感染拡大の影響を受けたことにより、187,148千円(前年同期比66.2%減)となりましたが、引続き固定費削減等の効率化を進めた結果、セグメント利益16,167千円(前年同期はセグメント損失14,655千円)となりました。
③EC事業
EC事業の当連結会計年度の売上高は新型コロナウイルス感染症感染拡大の影響による外出自粛により、前連結会計年度に引続きインターネット等を介した介護用品の販売需要が増加したことにより685,919千円(前年同期比25.3%増)となり、更なる業務の効率化を進めた結果、セグメント利益は32,715千円(前年同期比116.8%増)となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、1,375,331千円となり、前連結会計年度末に比べ458,544千円減少となりました
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は516,655千円(前年同期は628,922千円の獲得)となりました。主な要因は、税金等調整前当期純利益575,051千円、減価償却費230,869千円、仕入債務の増加額184,498千円等の増加要因が、たな卸資産の増加額278,184千円、事業譲渡益29,119千円、売上債権の増加額15,639千円等の減少要因を上回ったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、215,416千円(前年同期は29,450千円の使用)となりました。主な要因は、有形固定資産の取得による支出128,601千円、投資有価証券の取得による支出59,192千円、無形固定資産の取得による支出35,200千円の減少要因によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は822,923千円(前年同期は1,411,224千円の使用)となりました。主な要因は、長期借入金の返済による支出1,224,901千円、リース債務の返済による支出111,533千円の減少要因が、株式の発行による収入583,096千円の増加要因を上回ったことによるものであります。
(3)生産、受注及び販売の実績
①生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年3月1日 至 2022年2月28日) |
|
金額(千円) |
前年同期比(%) |
|
介護用品・福祉用具製造販売事業 |
1,491,118 |
137.2 |
介護サービス事業 |
5,190 |
3.2 |
EC事業 |
- |
- |
合計 |
1,496,309 |
119.6 |
(注)1.金額は製造原価によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.金額には、消費税等は含まれておりません。
②商品仕入実績
当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年3月1日 至 2022年2月28日) |
|
金額(千円) |
前年同期比(%) |
|
介護用品・福祉用具製造販売事業 |
2,380,069 |
134.0 |
介護サービス事業 |
96,513 |
52.0 |
EC事業 |
310,297 |
139.8 |
合計 |
2,786,880 |
127.6 |
(注)1.金額は実際仕入原価によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.金額には、消費税等は含まれておりません。
③受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年3月1日 至 2022年2月28日) |
|||
受注高(千円) |
前年同期比(%) |
受注残高(千円) |
前年同期比(%) |
|
介護用品・福祉用具製造販売事業 |
765,002 |
96.8 |
146,905 |
80.4 |
介護サービス事業 |
8,408 |
5.4 |
726 |
18.7 |
EC事業 |
- |
- |
- |
- |
合計 |
773,410 |
81.8 |
147,632 |
79.1 |
(注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.金額には、消費税等は含まれておりません。
④販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年3月1日 至 2022年2月28日) |
|
金額(千円) |
前年同期比(%) |
|
介護用品・福祉用具製造販売事業 |
4,844,932 |
117.8 |
介護サービス事業 |
186,494 |
33.6 |
EC事業 |
685,919 |
125.3 |
合計 |
5,717,345 |
109.6 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先 |
前連結会計年度 (自 2020年3月1日 至 2021年2月28日) |
当連結会計年度 (自 2021年3月1日 至 2022年2月28日) |
||
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
パナソニックエイジフリー株式会社 |
525,499 |
10.1 |
643,556 |
11.3 |
3.金額には、消費税等は含まれておりません。
(4)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。なお、「重要な会計方針および見積り」については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。
また、新型コロナウイルス感染拡大にともなう影響に対する会計上の見積りにつきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」および「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(追加情報)」をご参照ください。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容
a.売上高および売上総利益
新型コロナウイルス感染症感染拡大による人の移動制限や得意先への営業活動が大きく制限されましたが、女性にも扱いやすい軽量コンパクトな前腕支持歩行車「シトレア」を発売するなど業績拡大に取組んだことにより、売上高は5,717,345千円(前期比9.6%増)となりました。利益面では、原材料の高騰等の影響により、売上総利益率が前年に比べ3.5ポイント減少し、返品調整引当金控除後の売上総利益は2,683,625千円(前期比0.6%増)となりました。
b.販売費及び一般管理費および営業利益
業績確保に向けた組織の見直しや業務の効率化を図り、固定費の抑制を行い、販売費及び一般管理費が205,241千円減少した結果、2,093,183千円となり、営業利益は590,441千円(前期比60.1%増)となりました。
c.営業外損益および経常利益
営業外収益として賃貸収入34,042千円、政府補助金事業等による補助金収入24,459千円等を計上し、営業外費用として為替差損48,893千円、支払利息29,255千円等を計上した結果、当連結会計年度の経常利益は545,808千円(前期比40.5%増)となりました。
d.特別損益および当期純利益
特別利益として事業譲渡益29,119千円等を計上したことにより、当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は575,051千円(前期比34.3%増)となり、法人税、住民税及び事業税、法人税等調整額を計上した結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は400,961千円(前期比3.0%増)となりました。
③財政状態の分析
a.流動資産
流動資産は、前連結会計年度末と比較し98,381千円減少の3,171,319千円となりました。主な要因は、現金及び預金458,544千円等の減少要因が商品及び製品272,139千円、原材料及び貯蔵品55,965千円等の増加要因を上回ったことによるものであります。
b.固定資産
固定資産は、前連結会計年度末と比較し42,948千円増加の1,857,347千円となりました。主な要因は、建物及び構築物53,603千円、投資有価証券54,176千円等の増加要因が、のれん17,328千円、リース資産13,320千円、繰延税金資31,908千円等の減少要因を上回ったことによるものであります。
c.流動負債
流動負債は、前連結会計年度末と比較し、38,146千円減少の1,533,174千円となりました。主な要因は、1年内返済予定の長期借入金189,184千円、未払金61,024千円等の減少要因が、支払手形及び買掛金226,043千円等の増加要因を上回ったことによるものであります。
d.固定負債
固定負債は、前連結会計年度末と比較し、1,038,669千円減少の1,246,943千円となりました。主な要因は、長期借入金が1,035,717千円、リース債務8,208千円等の減少によるものであります。
e.純資産
純資産は、前連結会計年度末と比較し、1,021,382千円増加の2,248,549千円となりました。主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上等による利益剰余金の増加331,424千円、公募増資および第三者割当増資の実施等による資本金の増加297,430千円および資本剰余金の増加297,430千円、為替換算調整勘定の増加89,336千円によるものであります。
④キャッシュ・フローの状況の分析
キャッシュ・フローの状況につきましては、「経営成績等の状況の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
⑤経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「2 事業等のリスク」に記載のとおり、様々なリスク要因が当社グループの経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。
そのため、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散・低減し、適切に対応を行ってまいります。
⑥経営者の問題認識と今後の方針について
経営者の問題認識については「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
⑦経営戦略の現状と見通し
経営戦略の現状と見通しについては、「1 経営方針、経営環境および対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
⑧資本の財源および資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資、M&A等によるものであります。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
短期運転資金は自己資金を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、2022年2月期に実施した公募増資と第三者割当による増資で得た資金および金融機関からの長期借入を基本としております。
なお、当連結会計年度末における借入金およびリース債務を含む有利子負債の残高は1,533,904千円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は1,375,331千円となっております。
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