当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当事業年度におけるわが国経済は、 新型コロナウイルス感染症の拡大による経済活動の停滞に加え、ロシア・ウクライナ情勢に起因する国内外への経済活動への影響等により、先行きが非常に不透明な状況となっております。
当社を取り巻く事業環境につきましても、個人消費の多様化や少子化に新型コロナウイルス感染症拡大の影響が重なり、事業環境は厳しい状況が続いております。一方、有料動画配信市場の成長、モバイル端末の普及や通信インフラの発達によるスマートフォンゲーム市場は多様化・拡大が続くと共に、人気コンテンツの映画化やアニメ化、業界自体の収益機会の拡大も期待されています。
このような環境の中、当社はこれまでの方針を継続し、世界各国の顧客ニーズに合わせた魅力ある新製品開発を行うと共に、自社 IP ( Intellectual Property :キャラクターなどの知的財産)による製品開発に特に注力してまいりました。
卸売販売につきましては、国内市場では、新規自社IP製品『アルカナディア』より「ルミティア」を発売、自社IP製品『メガミデバイス』より「皇巫(オウブ)スサノヲ」、「朱羅 九尾 火舞羅」を発売、自社IP製品『創彩少女庭園』より「結城 まどか[桃桜高校・夏服]」、「小鳥遊 暦[令法高等学校・夏服]」を発売し、プラモデルの売上に貢献しました。プラモデル関連製品である『モデリング・サポート・グッズ』等も堅調な推移をみせ、業績を牽引しました。他社IP製品ではアニメ『呪術廻戦』より「五条 悟」を発売、アニメ『遊☆戯☆王デュエルモンスターズ』より「オシリスの天空竜」、「ラーの翼神竜」、「オベリスクの巨神兵」の三幻神を発売し、フィギュアの売上に貢献しました。
海外の北米地域におきましては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響が依然続き、物流の混乱等により一部製品の出荷遅延が生じているものの、フィギュア製品、プラモデル製品ともに売上は堅調な推移をみせました。
アジア地域におきましては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響も販売活動については限定的にとどまり、プロモーション活動を行うと共に、販売チャネル拡大を推進した結果、フィギュア製品の売上が好調な結果となりました。また、国内と同様に『メガミデバイス』シリーズを中心に自社IPのプラモデル製品も好調な結果となりました。
直営店舗による小売販売につきましては、『にじさんじ』関連商品が好調に推移するものの、新型コロナウイルス感染症に起因するインバウンド需要減少を主な要因とした来店客数の大幅な減少により、売上は伸び悩みました。店舗運営におきましては、引き続き新型コロナウイルス感染拡大予防のため、定期的な換気や消毒、レジ前に飛散防止シートの設置など行い、衛生管理やスタッフの健康管理を徹底いたしました。ECサイトによる通信販売におきましては、他社との差別化として直営店舗限定商品や特典の開発を積極的に推進したことにより売上は好調に推移しました。
以上の結果、当事業年度の売上高は14,292,351千円(前年同期比49.8%増)、営業利益は2,337,195千円(前年同期比136.7%増)、経常利益は2,332,388千円(前年同期比135.8%増)、当期純利益は1,621,161千円(前年同期比138.4%増)となりました。
また、当事業年度の財政状態の概況は次のとおりであります。
(流動資産)
当事業年度末における流動資産の残高は6,998,846千円で、前事業年度末に比べ2,100,537千円(42.9%)増加しております。これは売掛金の増加664,437千円、商品及び製品の増加493,029千円、前渡金の増加525,190千円があったことが主な要因であります。
(固定資産)
当事業年度末における固定資産の残高は3,621,710千円で、前事業年度末に比べ52,248千円(1.5%)増加しております。これは金型の増加79,133千円があったことが主な要因であります。
(流動負債)
当事業年度末における流動負債の残高は2,514,631千円で、前事業年度末に比べ587,405千円(30.5%)増加しております。これは買掛金の増加209,493千円、未払法人税等の増加315,175千円があったことが主な要因であります。
(固定負債)
当事業年度末における固定負債の残高は3,325,225千円で、前事業年度末に比べ25,619千円(0.8%)増加しております。これは株式給付引当金の増加11,010千円、退職給付引当金の増加15,944千円があったことが主な要因であります。
(純資産)
当事業年度末における純資産の残高は4,780,699千円で、前事業年度末に比べ1,539,761千円(47.5%)増加しております。これは配当金の支払いによる減少108,293千円の計上があった一方で、当期純利益1,621,161千円を計上したことにより利益剰余金が増加したことが主な要因であります。
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末と比べ23,147千円減少し、422,576千円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、売上債権の増加664,437千円、棚卸資産の増加548,899千円及び前渡金の増加525,190千円等による資金の減少があった一方で、税引前当期純利益2,336,705千円及び減価償却費765,474千円等による資金の増加を主な要因として、1,160,805千円の収入となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、定期預金の払戻による収入1,871,863千円による資金の増加があった一方で、有形固定資産の取得による支出734,823千円及び定期預金の預入による支出2,010,695千円を主な要因として、913,047千円の支出となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入れによる収入800,000千円及び長期借入れによる収入600,000千円等による資金の増加があった一方で、短期借入金の返済による支出1,050,000千円及び長期借入金の返済による支出450,955千円及び配当金の支払額108,152千円による資金の減少を要因として、197,200千円の支出となりました
当社はホビー関連品製造販売事業のみの単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
a 生産実績
当事業年度の生産実績は、次のとおりであります。
(単位:千円)
(注) 金額は、製造原価によっております。
b 仕入実績
当事業年度の仕入実績は、次のとおりであります。
(単位:千円)
(注)金額は、仕入価格によっております。
当事業年度における販売実績を販路別、製品形態別に示すと、次のとおりであります。
(単位:千円)
(注) 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討の内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたっては、決算日における資産・負債及び事業年度における収入・費用の数値に影響を与える確かな見込みに基づく見積りにより行われておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの結果と異なる場合があります。当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は後記「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しておりますが、財務諸表の作成にあたって用いた特に重要な会計上の見積り及び仮定については下記のとおりであります。
(棚卸資産の評価)
当社は、棚卸資産について、正味売却価額が簿価を下回った場合、正味売却価額まで簿価の切下げを行っております。また、一定期間以上の滞留が認められる棚卸資産については、販売の実現可能性が相当程度低下していると仮定し、期間の経過に応じ、規則的に簿価を切下げる方法を採用しております。さらに処分見込の棚卸資産については、処分見込価額まで簿価の切下げを行っております。
なお、規則的な簿価の切下げについては、販売実績や処分実績に基づき実施しておりますが、市場環境の著しい変化により、棚卸資産の保有状況と過去の実績に乖離が生じた場合には、翌事業年度の財務諸表において、棚卸資産の金額に重要な影響を与える可能性があります。
(繰延税金資産の回収可能性)
当社は、繰延税金資産の認識について、将来の事業計画に基づく課税所得の発生時期及び金額を基礎として見積りを実施しております。
将来の不確実な経済状況や市場環境の著しい変化等により、実際に発生した課税所得の金額や時期が見積りと乖離が生じた場合には、翌事業年度の財務諸表において、繰延税金資産の金額に重要な影響を与える可能性があります。
② 財政状態の分析
財政状態の分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。
③ 経営成績の分析
(売上高)
概要及び売上高の分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。
(売上原価、販売費及び一般管理費)
売上原価は前事業年度に比べ2,924,546千円(50.8%)増加し、8,678,249千円となりました。これは主に、当期製品製造原価の増加によるものであります。また、販売費及び一般管理費は前事業年度に比べ474,143千円(16.9%)増加し、3,276,906千円となりました。これは主に売上高増加にともなう荷造運賃及び従業員賞与が増加したことを主な要因としております。
(営業利益)
上記の結果、営業利益は前事業年度に比べ1,349,923千円(136.7%)増加し、2,337,195千円となりました。
(経常利益)
当事業年度において、為替差益21,051千円の計上等により営業外収益を26,220千円計上いたしました。一方で、支払利息30,135千円の計上等により営業外費用を31,027千円計上いたしました。
この結果、当事業年度における経常利益は、前事業年度に比べ1,343,332千円(135.8%)増加し、2,332,388千円となりました。
(当期純利益)
当事業年度において、法人税等を715,544千円計上しました。この結果、当事業年度における当期純利益は前事業年度に比べ941,253千円(138.4%)増加し、1,621,161千円となりました。
④ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
当社の資本の財源及び資金の流動性につきましては次のとおりであります。
当社の資金需要のうち主なものは金型及び仕入代金の支払い、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。
当社は事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保し、効率的に活用することを基本方針としております。短期運転資金は自己資金を中心に賄い、金融機関からの短期借入金として資金調達をおこなうことを基本としております。設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入金を基本としております。
なお、当事業年度末における有利子負債の残高は3,470,421千円となっております。また、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は422,576千円となっております。
⑤ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、営業活動から生じた営業利益に、金融収支を加味した経常利益の売上高に対する比率である売上高経常利益率を主要な経営指標としております。
当事業年度における売上高経常利益率は16.4%(前年同期比6.1ポイント改善)となりました。引き続き当該指標について、改善されるよう取り組んでまいります。
⑥ 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社は、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおり、事業環境、事業内容、事業運営体制、法的規制等様々なリスク要因が当社の経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。
そのため、当社はつねに市場動向に留意しつつ、内部管理体制を強化し、市場のニーズにあったサービスを展開していくことにより、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散・低減し、適切に対応を行ってまいります。
⑦ 経営者の問題意識と今後の方針について
当社が今後の業容を拡大し、より良いサービスを継続的に展開していくためには、経営者は、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の様々な課題に対応していくことが必要であると認識しております。それらの課題に対応するために、経営者はつねに外部環境の構造やその変化に関する情報の入手及び分析を行い、現在及び将来における事業環境を確認し、その間の課題を認識すると同時に最適な解決策を実施していく方針であります。
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