当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当連結会計年度におけるわが国経済は、依然として新型コロナウイルス感染症の終息が見通せないなか、世界的な原油高に加えて、資材高騰や半導体不足などもあり企業活動や個人消費に力強さが戻らず、先行き不透明な状況が続いております。
こうした環境のなか当印刷業界におきましては、電気やガスなどの燃料費が高騰するなか、用紙やインキ、アルミ版など資材の値上げもあり、製造コストが大幅に増加しております。
このような状況下にあって当社グループは、事業領域拡大のため2022年10月1日付けで持株会社体制へ移行を目指しております。事業体制の中心は商業印刷・出版印刷事業ですが、加えてデジタルコミック関連やバリアブル印刷物の製造といったデジタル事業や、生分解性プラスチック製造などの環境事業分野にも取り組むことで、強い事業体制の構築を目指しております。
これらの結果、当連結会計年度の業績は、売上高が前期と比べ10億5千5百万円(2.9%)増収の377億9千5百万円、営業利益は前期と比べ9億2千2百万円(126.3%)増益の16億5千2百万円、経常利益は前期と比べ9億6千5百万円(175.0%)増益の15億1千6百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は8億6千5百万円(前期は16億4千5百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)になりました。
売上高は、前期と比べ10億5千5万円(2.9%)増収の377億9千5百万円になりました。
商業印刷につきましては、前第1四半期に大きく減少しました折込チラシの緩やかな回復に加えて、通販カタログ類・製品カタログ類の受注量が増加したことなどにより、前期と比べ5億9千3百万円(1.9%)増収の313億2千2百万円になりました。
出版印刷につきましては、堅調な受注環境のデジタルコミック関連に加えて、厳しい環境が続いていた旅行関連情報誌の受注が、緩やかに回復したことなどにより、前期と比べ2千1百万円(0.4%)増収の57億4千7百万円になりました。
その他売上につきましては、子会社の生分解性プラスチックの扱い高を計上したことなどにより、前期と比べ4億3千9百万円(154.1%)増収の7億2千5百万円になりました。
売上総利益は、前期と比べ7億1千9百万円(18.0%)増益の47億1千8百万円になりました。これは、前年に減少していた折込チラシやダイレクトメールといった集客媒体が緩やかに回復したことと、既存印刷業の構造改革に加え、デジタル事業や生分解性プラスチック製造など事業領域を拡充したこと等によります。
営業利益は、前期と比べ9億2千2百万円(126.3%)増益の16億5千2百万円になりました。これは、前期より取り組んでおります事業構造改革によるコスト削減や生分解性プラスチックフィルムの製造効率向上に取り組むなか、グループ全体で品質を重視した企業体制を構築したことが功を奏したことによります。
経常利益は、前期と比べ9億6千5百万円(175.0%)増益の15億1千6百万円になりました。これは、営業利益の増加に加えて、産業立地交付金や受取配当金が増加したことなどによります。
特別利益は、固定資産売却益9千5百万円等を計上しております。
特別損失は、固定資産除却損や減損損失など2億9百万円等を計上しております。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
親会社株主に帰属する当期純利益は8億6千5百万円(前期は16億4千5百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)になりました。これは、経常利益が回復したことなどによります。
当社の中長期的な収益目標であるROE10.0%に対して、当連結会計年度におけるROEは5.5%となりました。引き続き、厳しい市場環境に屈することなく、企業価値を高め、持続的な成長を図ります。
当社は、印刷事業以外の事業の重要性が乏しいため、セグメント情報の記載を省略しております。そのため、セグメント別の記載に代えて製品種類別の概況を記載しております。
当連結会計年度における生産実績を製品種類別に示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は、販売価格によっております。
当連結会計年度における受注実績を製品種類別に示すと、次のとおりであります。
(注) 1.金額は、販売価格によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当連結会計年度における販売実績を製品種類別に示すと、次のとおりであります。
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
流動資産は、前連結会計年度末に比べて6.9%減少し、233億7千4百万円となりました。これは、棚卸資産が増加したものの現金及び預金や売掛金が減少したことなどによります。
固定資産は、前連結会計年度末に比べて4.4%増加し、196億2千9百万円となりました。これは、前年度より取り組んでいる事業構造改革での土地の取得により有形固定資産が増加したことによるものです。
これらの結果、資産合計は、前連結会計年度末に比べて2.1%減少し、430億3百万円となりました。
流動負債は、前連結会計年度末に比べて1.6%減少し、157億2百万円となりました。これは、電子記録債務が増加したものの、支払手形及び買掛金の減少に加え、短期借入金が減少したことなどによります。
固定負債は、前連結会計年度末に比べて10.0%減少し、112億5千9百万円となりました。これは、長期借入金やリース債務が減少したことなどによります。
これらの結果、負債合計は、前連結会計年度末に比べて5.3%減少し、269億6千1百万円となりました。
純資産は、前連結会計年度末に比べて3.9%増加し、160億4千2百万円となりました。これは、利益剰余金が増加したことなどによります。
これらの結果、自己資本比率は前連結会計年度末と比べ2.2ポイント改善し、37.2%となりました。
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、129億4千3百万円と前期と比べ17億3千1百万円の減少となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、棚卸資産の増加、仕入債務の減少がありましたが、税金等調整前当期純利益が回復したことなどにより29億6千8百万円の獲得となり、前期と比べ11億6千1百万円の増加となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出などにより24億2千万円の使用となり、前期と比べ15億2千2百万円の減少となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済による支出や、リース債務の返済による支出などがあり、22億7千9百万円の使用となり、前期と比べ19億4千9百万円の減少となりました。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、グループ全体の持続的な成長を図るなかで必要な運転資金や設備資金を借入金、自己資金により充当しています。設備投資については、品質向上等顧客満足の徹底や成長が見込まれる分野への投資が主な内容です。資金調達については、営業活動によるキャッシュ・フローに加えて、経済情勢や金融環境などを考慮し、安定的な資金調達を計画的に行い、有利子負債に対する依存度の圧縮に努めています。
<キャッシュ・フロー指標>
自己資本比率 : 自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率 : 株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比 : 有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ : キャッシュ・フロー/利払い
(注) 1.いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。
2.株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。
3.キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。
4.有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としています。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を利用しております。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表」に記載のとおりであります。この連結財務諸表作成にあたって、見積りが必要となる事項については合理的な基準に基づき会計上の見積りを行っております。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響等不確実性が大きく将来事業計画等の見込数値に反映させることが難しい要素もありますが、期末時点で入手可能な情報をもとに検証等を行っております。
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