業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(経営成績等の状況の概要)

(1) 経営成績の状況

当連結会計年度(2021年1月1日~2021年12月31日)における経済環境は、依然として新型コロナウイルス感染症拡大の影響下にあり、国内での感染拡大は縮小傾向にあるものの市場回復の遅れがみられ、サービス業を中心に経済の低成長が継続しました。海外では先進諸国においては経済の回復も顕著ですが、反面、多くの国や地域では未だに感染症再拡大が収まっておらず、その影響は当事国の経済停滞のみならず、サプライチェーンの混乱を受けた先進諸国にも及びました。また、従来からの人権問題に起因する米中の摩擦に加え、ウクライナ情勢をめぐる米ロ間の地政学的リスクが広がる等複合的要素により先行きが不透明な状況が続いております。

このような環境の下、当社グループにおきましては、日本国内及び海外の一部市場において筆記具需要の停滞が続きましたが、総体的には海外先進国を中心に回復傾向が強まりました。欧州諸国や日本国内では環境対応商品のニーズが高まり、当社の環境配慮商品(ビグリーン)が好評を得ております。

この結果、当期間の連結売上高は1,030億57百万円(前期比118.3%)となりました。

国内外別では、国内市場における連結売上高は250億58百万円(前期比100.8%)、海外市場における連結売上高は779億99百万円(前期比125.3%)となりました。

また、損益につきましては連結営業利益が193億25百万円(前期比136.7%)、連結経常利益が203億62百万円(前期比141.8%)、親会社株主に帰属する当期純利益は142億70百万円(前期比143.7%)となりました。

なお、当社グループにおきましては主力製品のほとんどを日本国内で製造しているため、東南アジア等における一部サプライチェーン混乱の影響は極めて軽微です。

 

各セグメント別の状況は以下のとおりです。

 

(日本セグメント)

国内のステイショナリー用品事業においては、年末に向けて感染症拡大の影響からの回復傾向がみられたものの、法人向け需要の減少等、依然として厳しい状況が続きました。その中においても、11月限定発売の30周年記念モデル「ドクターグリップ30カラーズ」や12月発売の新製品「ジュースアップ クラシックグロッシーカラー」等が好評を得て、店頭で品薄になる等、次年度につながるような動きがみられ、売り場の維持拡大及び活性化に努めました。

ステイショナリー用品事業の輸出においては、海外連結子会社向けの販売が引き続き好調であったことに加え、外部顧客向けの販売は、東南アジア、中東、南米等各地でコロナ禍の影響は残るものの、復調する国も多く売上が伸長しました。

玩具事業においては、低調な国内のクリスマス商戦の中にあっても、主力商品である「メルちゃん」シリーズや「おふろのおもちゃ」シリーズの好調が継続しました。

また、その他事業において、産業機械向けのセラミックス部品が順調な推移を続けております。

以上の結果、当セグメントにおける外部顧客に対する売上高は312億62百万円(前期比104.0%)、セグメント利益は海外子会社向けの出荷の拡大の効果や為替の影響も受け174億86百万円(前期比189.8%)となりました。

なお、当セグメントにおける主要な事業の売上高に関して、ステイショナリー用品事業は257億70百万円(前期比102.5%)となり、玩具事業は42億5百万円(前期比109.6%)となりました。

 

 

(米州セグメント)

米州地域につきましては、米国市場の回復が順調に進み、定番商品の「G-2(ジーツー)」や「フリクション」シリーズの販売が堅調に推移しました。ブラジル市場につきましても厳しい市場環境の中、当社販売は回復しつつあります。

以上の結果、当セグメントにおける外部顧客に対する売上高は272億90百万円(前期比122.5%)、セグメント利益は10億68百万円(前期比101.7%)となりました。

 

(欧州セグメント)

欧州地域につきましては、各国で感染症拡大防止措置が緩和され、コロナ禍が日常化する中で、「フリクション」シリーズをはじめとした主力商品が堅調に推移しました。また、環境規制対応商品やその他の付加価値のある製品群の充実等の施策により、シェアの拡大に努めました。

以上の結果、当セグメントにおける外部顧客に対する売上高は226億57百万円(前期比122.2%)、セグメント利益は21億14百万円(前期比149.0%)となりました。

 

(アジアセグメント)

アジア地域につきましては、中国で「P-500/700」、「ジュース」シリーズ等の販売好調が続き、その他の市場でも市場回復が進みました。

以上の結果、当セグメントにおける外部顧客に対する売上高は218億47百万円(前期比134.7%)、セグメント利益は11億55百万円(前期比143.0%)となりました。

 

(2) 財政状態の状況

当連結会計年度末の総資産は前連結会計年度末に比べ195億84百万円増加し、1,431億55百万円(前期比115.8%)となりました。

流動資産は前連結会計年度末に比べ164億35百万円増加し、989億16百万円(前期比119.9%)となりました。これは主に、「現金及び預金」が82億2百万円、「受取手形及び売掛金」が37億90百万円、「商品及び製品」が17億9百万円、「仕掛品」が13億53百万円それぞれ増加したことによるものです。

固定資産は前連結会計年度末に比べ31億48百万円増加し、442億39百万円(前期比107.7%)となりました。これは主に、有形固定資産が11億20百万円、「繰延税金資産」が7億80百万円、「退職給付に係る資産」が8億30百万円それぞれ増加したことによるものです。

流動負債は前連結会計年度末に比べ118億96百万円増加し、391億26百万円(前期比143.7%)となりました。これは主に、「支払手形及び買掛金」が44億70百万円、「1年内返済予定の長期借入金」が34億84百万円、「未払法人税等」が41億55百万円それぞれ増加した一方で、「短期借入金」が19億34百万円減少したことによるものです。

固定負債は前連結会計年度末に比べ67億86百万円減少し、16億80百万円(前期比19.8%)となりました。これは主に、「長期借入金」が66億18百万円減少したことによるものです。

純資産は前連結会計年度末に比べ144億74百万円増加し、1,023億48百万円(前期比116.5%)となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益142億70百万円を計上した一方で、22億68百万円の配当を実行したことによるものです。なお、自己株式を91億79百万円消却しております。

 

 

(3) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)は、前連結会計年度末に比べ81億19百万円増加し、458億44百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動による資金の増加は、198億15百万円(前連結会計年度は151億37百万円の増加)となりました。収入の主な内訳は、「税金等調整前当期純利益」205億1百万円、「減価償却費」36億79百万円、「仕入債務の増加額」44億6百万円であり、支出の主な内訳は、「売上債権の増加額」29億13百万円、「たな卸資産の増加額」21億68百万円、「法人税等の支払額」30億18百万円であります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動による資金の減少は、35億98百万円(前連結会計年度は44億61百万円の減少)となりました。これは主に、「有形固定資産の取得による支出」33億13百万円によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動による資金の減少は、79億65百万円(前連結会計年度は53億97百万円の減少)となりました。これは主に、「短期借入金の純減少額」23億4百万円、「長期借入金の返済による支出」31億73百万円、「配当金の支払額」22億64百万円によるものであります。

 

(生産、受注及び販売の実績)

(1) 生産実績

当社グループにおきましては、「日本」セグメントが当社の生産活動の中心となっております。

 

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

日本

41,689

119.3

 

(注) 1 上記の金額は工場出荷価格によっており、消費税等は含まれておりません。

2 上記の金額には外部への製造委託を含めております。

3 当社グループの生産は、当社、連結子会社であるパイロットインキ㈱及び東海化学工業㈱でその大半を占めているため、上記の金額は3社の金額を表示しております。

 

(2) 受注実績

見込生産を主体としており、受注生産は僅少であるため、記載を省略しております。

 

(3) 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

日本

31,262

104.0

米州

27,290

122.5

欧州

22,657

122.2

アジア

21,847

134.7

合計

103,057

118.3

 

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3 主要な販売先については、総販売実績に対する販売割合が10%以上の相手先はないため、記載を省略しております。

4 「アジア」には、アフリカ、オセアニアを含んでおります。

 

 

(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において判断したものであります。

 

(1)重要な会計方針並びに重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載されているとおりであります。

連結財務諸表の作成におきましては、当社グループにおける過去の実績等を踏まえ合理的に見積りを行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性が存在するため、これらの見積りと異なる場合があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。

なお、新型コロナウイルス感染症の影響については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載されているとおりであります。

 

①  棚卸資産の評価

当社グループは、棚卸資産の評価方法として原価法(貸借対照表価額は収益性の低下に基づく簿価切下げの方法により算定)を採用しており、期末における正味売却価額が取得原価を下回っている場合には、当該正味売却価額をもって貸借対照表価額としております。棚卸資産の収益性の低下、滞留、陳腐化が生じた場合、将来において追加の評価損の計上が必要となる可能性があります。

②  固定資産の減損

当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。

③  繰延税金資産の回収可能性

当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。

④  退職給付に係る負債及び退職給付に係る資産

退職給付に係る負債、退職給付に係る資産及び退職給付費用は、数理計算上使用される前提条件に基づいております。これらの前提条件には、割引率、発生した給付額、利息費用、年金資産の長期期待運用収益率、死亡率などの要素が含まれております。実際の結果がこれらの前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合、その影響は累積され、将来の会計期間にわたって償却されるため、将来の退職給付費用に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(2) 当連結会計年度の経営成績の分析

①  売上高

当連結会計年度の連結売上高は前連結会計年度から増加し、1,030億57百万円となりました。新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、日本国内及び海外の一部市場において筆記具需要の停滞が続いたものの、海外先進国を中心に回復傾向が強まりました。

ステイショナリーの外部顧客への売上高は、日本セグメント、米州セグメント、欧州セグメント、アジアセグメントの報告セグメントすべてにおいて、前年を上回り、その結果、前連結会計年度に比べ153億77百万円増加し、975億42百万円となりました。また、主に日本セグメントで行っている玩具を含むその他の製商品の外部顧客への売上高は、前連結会計年度を5億83百万円上回り、55億15百万円となりました。

なお、連結売上高は、当社及び連結子会社において外貨建ての売上高を換算する際、並びに海外連結子会社の個別財務諸表を円貨に換算する際に使用する為替レートの変動による影響を受けております。これにより当連結会計年度の連結売上高は31億13百万円増加したと試算しており、この影響を除きますと128億47百万円の増加となります。

②  営業利益

当連結会計年度の連結営業利益は前連結会計年度に比べ51億84百万円増加し、193億25百万円となり、売上高営業利益率は前連結会計年度より2.5%増加の18.8%となりました。これは主に、連結売上高の増加に加えて、製造原価の低減、また、多くの取引通貨に対し為替レートが円安に推移したことに伴う売上総利益の増加によるものです。

③  経常利益

当連結会計年度の連結経常利益は前連結会計年度に比べ60億5百万円増加し、203億62百万円となり、売上高経常利益率は前連結会計年度より3.3%増加し、19.8%となりました。これは主に、営業利益の増加に加えて、前連結会計年度は為替差損3億27百万円を計上したのに対して、当連結会計年度は為替差益5億86百万円計上したことによるものです。

④  親会社株主に帰属する当期純利益

当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べ43億37百万円増加し、142億70百万円となりました。これは、連結経常利益が増加した一方、法人税等の額が増加したことによるものです。

 

(3) 当連結会計年度の財政状態の分析

当連結会計年度の財政状態の分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(経営成績等の状況の概要)(2) 財政状態の状況」をご参照ください。

なお、連結ベースの財政状態に関する主な指標のトレンドは下記のとおりであります。

 

2020年12月

2021年12月

流動比率(%)

302.9

252.8

固定比率(%)

47.4

43.8

有利子負債自己資本比率(D/Eレシオ)(倍)

0.2

0.1

 

(注)流動比率               : 流動資産/流動負債

固定比率                     : 固定資産/自己資本

有利子負債自己資本比率      : 有利子負債/自己資本

・各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。

・有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。

 

 

(4) 資本の財源及び資金の流動性についての分析

①  当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析

当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(経営成績等の状況の概要)(3) キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

なお、連結ベースのキャッシュ・フロー指標のトレンドは下記のとおりであります。

 

2020年12月

2021年12月

自己資本比率(%)

70.2

70.6

時価ベースの自己資本比率(%)

92.4

121.2

債務償還年数(年)

1.0

0.5

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

105.2

186.6

 

(注)自己資本比率           : 自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率     : 株式時価総額/総資産

債務償還年数           : 有利子負債/営業キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ : 営業キャッシュ・フロー/利払い

・各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。

・株式時価総額は、期末株価数値×期末発行済株式総数(自己株式控除後)により算出しております。

・有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。

・営業キャッシュ・フロー及び利払いは、連結キャッシュ・フロー計算書に計上されている「営業活動によるキャッシュ・フロー」及び「利息の支払額」を用いております。

②  財務政策

当社グループの資金需要のうち主なものは、運転資金及び設備投資によるものであります。

運転資金につきましては主に自己資金により充当しており、必要に応じて金融機関からの短期借入金による調達も行っております。設備投資資金につきましては自己資金及び金融機関からの長期借入金による調達を基本としております。

また、重要な設備投資の予定及びその資金の調達源につきましては、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画 (1) 重要な設備の新設等」をご参照ください。

なお、資金の流動性を維持するため、主要取引金融機関と特定融資枠契約(コミットメントライン)及び当座貸越契約を締結しております。

 

(5) 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、ステイショナリー関連事業をはじめとした各事業において、グループが持つ強みを生かした高付加価値商品群の開発・拡販を継続的に推進し、ブランド認知度の向上及び世界シェアのさらなる拡大を図るとともに、将来を見据えた業務の効率化及び生産性の向上を図ってまいります。また、当年度で終了する中期経営計画を総括した上で、長期的な成長につながる次期中期経営計画を策定し、目標をしっかりと見据えた中で、必要に応じて生産設備やIT環境の整備・拡張への投資、広告宣伝費等の販売促進へ向けての投資のほか、人財育成に向けた投資等、積極的な投資配分を実施して行く予定です。同時にサステナビリティへの取り組みも推進し、企業価値向上と持続可能な社会の実現を目指してまいります。

長期的な成長につながる次期中期経営計画において設定した目標とする経営指標及び財務指針は、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 3.中長期的な会社の経営戦略・目標とする経営指標」に記載しております。

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