(1)経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①経営成績の状況
当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染拡大により緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が発出される等、経済活動に大きな制約を受けました。ワクチン接種の普及や緊急事態宣言等の解除により経済活動は徐々に正常化に向かうものの、新たな変異株の出現など依然として不透明な状況が続いております。
このような状況の中で、当社は「感動プロデュース企業へ」という経営ビジョンのもと、既存の出版社の枠にとらわれず「メッセージやストーリーの詰まったコンテンツとサービスで、新たな時間の使い方や、ライフスタイルを提案し、感動の輪を広げる」ことを目的として、紙・電子出版による雑誌や書籍、コミックの発行、女性向けWEBサイト「オズモール」や小説サイト「野いちご」等の運営、オンラインを含むイベント開催とそれらを掛け合わせたPR・販促ソリューションの提供を軸として事業を運営してまいりました。また「デジタルマーケティングを駆使する出版社へ」をスローガンに掲げ、デジタルマーケティングを活用した自社サービスの認知向上にも注力してまいりました。
当事業年度は、新型コロナウイルス感染拡大および緊急事態宣言の発出等により、前事業年度から引き続き施設予約サービス「オズのプレミアム予約」の利用者数が低迷する等の影響を大きく受けております。一方で、書籍・コミックの販売は発行点数の増加及びSNS等を活用した販促施策が奏功し売上が大きく伸長したことにより、全社業績は堅調に推移いたしました。
このような営業活動の結果、当事業年度の売上高は55億92百万円(前期比26.1%増)、営業利益は8億15百万円(前期比381.5%増)、経常利益は9億25百万円(前期比253.0%増)、当期純利益は5億66百万円(前期比226.6%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
なお、当事業年度より、報告セグメントの名称を従来の「東京マーケティングドメイン」から「メディアソリューション事業」に、「投稿コンテンツドメイン」から「書籍コンテンツ事業」に変更しております。この報告セグメントの名称変更がセグメント情報に与える影響はありません。
<メディアソリューション事業>
メディアソリューション事業では、オリジナルのマーケティング・モデルを創造するという戦略のもと、当社独自の基準で厳選したビューティサロン・ホテル・レストラン等の施設予約サービスを提供する「オズのプレミアム予約」と、「オズモール」「オズマガジン」「メトロミニッツ」を中心とした自社メディアとSNSコミュニティ「東京女子部」等を活用したPR・販促ソリューションを展開してまいりました。
「オズのプレミアム予約」では、利用者満足度の高い施設の開拓と予約プランの開発やSEO等のユーザー集客施策の強化、クーポン施策等のCRM強化によるユーザー満足度の向上に注力してまいりました。当事業年度は、新型コロナウイルス感染症拡大による政府・自治体からの外出自粛要請及び掲載施設の休業、営業時間短縮などの影響を大きく受け、第3四半期までは利用者数等が前期比で減少しておりましたが、第4四半期において感染者数が減少し、緊急事態宣言が解除されたことで利用者数等が復調したことにより、売上高は前期比で増加いたしました。
PR・販促ソリューションでは、度重なる緊急事態宣言の発出等により雑誌及びWEB広告の掲載見合わせ、タイアップイベントの延期等が発生いたしましたが、フリーマガジン「メトロミニッツ」のリニューアル、SNSや動画、オンラインイベントを掛け合わせた提案が奏功し、売上高は前期比で増加いたしました。
このような営業活動の結果、メディアソリューション事業の売上高は23億7百万円(前期比4.6%増)、営業損失は3億33百万円(前事業年度は、営業損失4億54百万円)となりました。
<書籍コンテンツ事業>
書籍コンテンツ事業では、書籍・コミックの発刊点数の増加、SNS等を活用した販促施策に注力してまいりました。書籍の販売は「スターツ出版文庫」の売れ行きが新刊・既刊ともに好調であり、また昨年創刊した「ベリーズファンタジー」「野いちごジュニア文庫」が順調に売れ行きを伸ばしたことにより売上高が好調に推移いたしました。
コミックの販売は、昨年12月に創刊した「ベリーズファンタジーコミックス」の好調な売れ行きと各レーベルの発行点数の増加及び新規販路の開拓が奏功し売上高が好調に推移いたしました。利益面では、利益率が高い紙媒体の既刊書籍の増刷及び電子コミック、電子書籍の販売が増加したことにより、前事業年度と比較して利益率が上昇いたしました。
また、新たな取組みとして、5月より男性を含めた幅広い層をターゲットに異世界ファンタジーコミック誌『comicグラスト』を電子雑誌として創刊いたしました。8月からは掲載作品の単行本の販売を開始しており、順調に販売数を伸ばしております。
このような営業活動の結果、書籍コンテンツ事業の売上高は32億85百万円(前期比47.4%増)、営業利益は12億43百万円(前期比74.5%増)となりました。
②財政状態の状況
当事業年度末の総資産は、前事業年度末と比べて9億98百万円増加し、67億54百万円となりました。
当事業年度末の負債は、前事業年度末と比べて5億51百万円増加し、14億75百万円となりました。
当事業年度末の純資産は、前事業年度末に比べて4億47百万円増加し、52億79百万円となりました。
③キャッシュ・フローの状況
当事業年度における現金および現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度に比べて10億90百万円増加し、22億88百万円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、法人税等の支払43百万円、売上債権の増加2億64百万円の一方で、税引前当期純利益9億17百万円、減価償却費1億24百万円等により、12億11百万円の資金を獲得(前事業年度は61百万円の資金を獲得)いたしました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、「オズモール」のシステム開発等の無形固定資産の取得44百万円等により、54百万円の資金を使用(前事業年度は1億円の資金を使用)いたしました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払により67百万円の資金を使用(前事業年度は67百万円の資金を使用)いたしました。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当事業年度の生産実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
第39期 (自 2021年1月1日 至 2021年12月31日) |
前期比(%) |
メディアソリューション事業(千円) |
2,557,724 |
3.8 |
書籍コンテンツ事業(千円) |
3,874,250 |
49.4 |
合計(千円) |
6,431,975 |
27.2 |
(注)1.金額は販売価格によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
当社は売上の大半を見込生産で行っているため、受注実績の記載を省略しております。
c.販売実績
当事業年度の販売実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
第39期 (自 2021年1月1日 至 2021年12月31日) |
前期比(%) |
メディアソリューション事業(千円) |
2,307,155 |
4.6 |
書籍コンテンツ事業(千円) |
3,285,597 |
47.4 |
合計(千円) |
5,592,753 |
26.1 |
(注)1.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績は次の通りであります。
相手先 |
第38期 (自 2020年1月1日 至 2020年12月31日) |
第39期 (自 2021年1月1日 至 2021年12月31日) |
||
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
日本出版販売株式会社 |
665,608 |
15.0 |
877,164 |
15.7 |
株式会社メディアドゥ |
- |
- |
661,325 |
11.8 |
株式会社トーハン |
477,632 |
10.8 |
650,091 |
11.6 |
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.前事業年度の株式会社メディアドゥに対する販売実績は、総販売実績に対する割合が10%未満であるため記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたり、決算日における資産・負債の報告数値及び報告期間における収入・費用の報告数値に影響を与える見積り及び判断を行っております。過去の実績や状況に応じて合理的と考えられる様々な要因に基づき見積り及び判断を行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性により、これら見積りと異なる場合があります。
なお、当社の財務諸表の作成における重要な会計方針は、「第5 経理の状況 重要な会計方針」に記載しております。
②当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
1)経営成績の分析
(売上高)
メディアソリューション事業においては、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、施設予約サービス「オズのプレミアム予約」の利用者数の減少、雑誌及びWEB広告の掲載見合わせ等の影響を受けましたが、第4四半期において感染者数が減少し、緊急事態宣言が解除されたことで「オズのプレミアム予約」の利用者数等が復調したこと等により、前事業年度と比較すると売上高は増加いたしました。書籍コンテンツ事業においては、書籍、コミックの発行点数の増加、新レーベルの創刊、SNS等を活用した販促施策が奏功し、前事業年度と比較すると売上高は大きく増加いたしました。その結果、売上高は55億92百万円(前事業年度比26.1%増)となりました。
(売上総利益)
売上原価は、書籍コンテンツ事業において書籍、コミックの発刊点数が増加したことなどにより、29億24百万円(前事業年度比5.5%増)となり、売上総利益は26億68百万円(前事業年度比60.4%増)となりました。さらに前事業年度の返品調整引当金を戻入れ、当事業年度の返品調整引当金の繰入を行った結果、差引売上総利益は25億91百万円(前事業年度比57.3%増)となりました。
(営業利益)
販売費及び一般管理費は、書籍・コミックの販促費の増加等により、17億76百万円(前事業年度比20.1%増)となりました。その結果、営業利益は8億15百万円(前事業年度比381.5%増)となりました。
(経常利益)
主な営業外収益は投資有価証券にかかる受取配当金88百万円等が発生いたしました。その結果、経常利益は9億25百万円(前事業年度比253.0%増)となりました。
(税引前当期純利益)
当事業年度は、固定資産除却損が8百万円発生したことにより、税引前当期純利益は9億17百万円(前事業年度比249.8%増)となりました。
(当期純利益)
法人税、住民税及び事業税並びに法人税等調整額3億50百万円を計上し、当期純利益は5億66百万円(前事業年度比226.6%増)となりました。
2)財政状態の分析
(資産)
当事業年度末の総資産は、前事業年度末と比べて9億98百万円増加し、67億54百万円となりました。
流動資産は、その他流動資産が2億14百万円減少した一方で、現金及び預金が10億90百万円、売掛金が2億64百万円増加したこと等により、前事業年度末に比べて11億38百万円増加し、57億69百万円となりました。
固定資産は、減価償却が進んだこと等により前事業年度末と比べて1億40百万円減少し、9億84百万円となりました。
(負債)
当事業年度末の負債は、前事業年度末と比べて5億51百万円増加し、14億75百万円となりました。
流動負債は、預り金が17百万円減少した一方で、買掛金が66百万円、未払法人税等が3億13百万円、返品調整引当金が76百万円増加したこと等により、前事業年度末と比べて5億92百万円増加し、13億15百万円となりました。
固定負債は、前事業年度末と比べて40百万円減少し、1億59百万円となりました。
(純資産)
当事業年度末の純資産は、前事業年度末に比べて4億47百万円増加し、52億79百万円となりました。
3)キャッシュ・フローの状況
当事業年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
4)セグメントごとの財政状況及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当事業年度のセグメントごとの財政状態及び経営成績の状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。
b.当社の経営成績に重要な影響を与える要因
雑誌、書籍の出版事業に関しては、デジタルデバイスの発展等によるメディアの多様化による読書時間の減少、読者の嗜好の変化、新規参入を含めた競合他社との競争激化、紙等の材料費、流通コストの高騰等の影響を受けます。WEBサービスに関する事業については、新規参入を含めた競合他社との競争激化、通信に係る新法制の施行、自然災害等によるネットワークの切断等の影響を受けます。
なお、上記の他、当社の経営成績に重要な影響を与える要因として、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載しております。
c.当事業年度の資本の財源及び資金の流動性について
1)キャッシュ・フローについて
当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は、前事業年度末残高11億98百万円に対して10億90百万円増加し、22億88百万円となりました。なお、当事業年度におけるキャッシュ・フローの概況は「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」をご参照下さい。
2)資金需要
当社の事業活動における資金需要は、運転資金需要と設備資金需要の二つがあります。運転資金需要のうち主なものは、雑誌、書籍等の製品の製造費や販売費及び一般管理費等の営業費用によるものであります。また、設備資金需要としては、オズモールや小説サイトを運営するためのシステム開発やインフラ強化等によるものであります。
3)財務政策
当社は現在、運転資金につきましては、全て自己資金により充当しております。また、設備資金につきましても全て自己資金の範囲内で計画をしております。
d.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断する客観的な指標等
当社は、目標とする経営指標といたしましては、売上高、営業利益、営業利益率を重視しております。
指標 |
第37期 (自 2019年1月1日 至 2019年12月31日) |
第38期 (自 2020年1月1日 至 2020年12月31日) |
第39期 (自 2021年1月1日 至 2021年12月31日) |
売上高 |
4,902百万円 |
4,434百万円 |
5,592百万円 |
営業利益 |
575百万円 |
169百万円 |
815百万円 |
営業利益率 |
11.7% |
3.8% |
14.6% |
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