(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の流行が長期化しており、断続的に発出される緊急事態宣言やまん延防止等重点措置に伴う行動制限等による影響は、各種制限の解除により一時期持ち直しの動きが見られたものの、その先行きは依然として不透明な状況が続いております。
当社グループが属するエンタテインメント業界の環境としましては、音楽ビデオを含む音楽ソフトの生産金額が前年同期比0.4%減の1,936億38百万円(2021年1月~12月。一般社団法人日本レコード協会調べ)、有料音楽配信売上金額が前年同期比14.4%増の895億38百万円(2021年1月~12月。一般社団法人日本レコード協会調べ)となりました。映像関連市場につきましては、映像ソフトの売上金額が前年同期比0.2%減の1,369億26百万円(2021年1月~12月。一般社団法人日本映像ソフト協会調べ)となったものの、映像配信市場規模は前年同期比14.0%増の4,230億円(2021年1月~12月。一般財団法人デジタルコンテンツ協会調べ)となり、今後も拡大する事が予想されます。また、ライヴ市場につきましては、総公演数が前年同期比148.0%増の26,383公演となり、総売上高は前年同期比96.3%増の1,530億81百万円(2021年1月~12月。一般社団法人コンサートプロモーターズ協会調べ)となりました。
このような事業環境の下、当社グループでは中長期的な成長を実現するため、「ライヴ市場の回復に依存しない収益構造の確立」と「グローバル市場・新たなテクノロジー市場への着手」の2つをミッションとして取り組んでまいりました。収益構造の確立においては、若年層に支持される新たなアーティスト・タレント・クリエイターとの契約やコンテンツ制作を推進するとともに、国内外の有力なパートナー企業との連携により、ライヴの有料配信サービスの開始や、音楽ストリーミングにおける販路拡大を推進いたしました。また、グローバル市場や新たなテクノロジー市場においては、グローバル市場をターゲットとした新たなアーティストの開発、当社コンテンツやアーティスト公式グッズの全世界流通の開始、メタバースと呼ばれる仮想空間におけるNFTコンテンツの販売開始など、未来のエンタテインメントの可能性に対する取り組みを推進いたしました。
さらに、当社は2022年3月に本社を移転し、都内最大級のワンフロアの執務スペース(約750席)に様々なグループ各社や部署を集約し、社員同士のチームワークと多くのコミュニケーションの創出に取り組むとともに、新たに約400拠点のシェアオフィスを活用し、より自由で柔軟に働くスタイルを選択できるハイブリッド型の働き方を推進いたしました。
これらの取り組みのほか、ライヴ・イベントにおける制限緩和措置が進んだことにより、ライヴ・イベントの公演数増加による収益改善及び音楽パッケージの販売も好調に推移し、前連結会計年度を上回る販売実績となりました。
以上の結果、売上高は984億37百万円(前年度比20.7%増)、営業利益は25億82百万円(前年度は営業損失62億78百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益は9億19百万円(前年度比92.8%減)となりました。
セグメントの経営成績は、以下のとおりであります。
① 音楽事業
(単位:百万円)
ライヴ公演数の増加及び音楽パッケージ作品の販売数増加等により、売上高は676億円(前年度比34.3%増)、営業利益は45億40百万円(前年度は営業損失27億72百万円)となりました。
② アニメ・映像事業
(単位:百万円)
映画作品等のノンパッケージの利益率向上等により、売上高は103億90百万円(前年度比14.1%減)、営業利益は12億59百万円(前年度は営業損失2億19百万円)となりました。
③ デジタル・プラットフォーム事業
(単位:百万円)
Eコマースの売上増加等により、売上高は275億16百万円(前年度比5.4%増)、営業損失は5億75百万円(前年度は営業損失8億98百万円)となりました。
④ 海外事業
(単位:百万円)
売上高は30億29百万円(前年度比35.3%増)、営業損失は4億2百万円(前年度は営業損失6億57百万円)となりました。
⑤ テクノロジー事業
(単位:百万円)
売上高は29億14百万円(前年度比55.1%増)、営業損失は16億97百万円(前年度は営業損失16億24百万円)となりました。
⑥ その他
(単位:百万円)
売上高は30億62百万円(前年度比36.5%増)、営業損失は5億47百万円(前年度は営業損失1億44百万円)となりました。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりであります。
(注) 1 金額は、販売価格によっております。
2 セグメント間取引については、相殺消去しております。
該当事項はありません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、以下のとおりであります。
① 売上高
売上高は、前連結会計年度に対して169億10百万円増加し、984億37百万円(前年度比20.7%増)となりました。これは主に、ライヴ公演数の増加及び音楽パッケージ作品の販売数増加等によるものであります。
② 売上原価、販売費及び一般管理費及び営業利益
売上原価は、前連結会計年度に対して73億1百万円増加し、632億9百万円となりました。また、販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に対して7億48百万円増加し、326億45百万円となりました。
この結果、営業利益は25億82百万円(前連結会計年度は営業損失62億78百万円)となりました。
③ 営業外損益及び経常利益
営業外収益は、前連結会計年度に対して1億93百万円減少し、1億36百万円となりました。また、営業外費用は前連結会計年度に対して2億22百万円減少し、3億68百万円となりました。
この結果、経常利益は23億51百万円(前連結会計年度は経常損失65億38百万円)となりました。
④ 特別損益及び税金等調整前当期純利益
特別利益は、前連結会計年度に対して312億90百万円減少し、3億26百万円となりました。これは主に、前連結会計年度において固定資産売却益及び投資有価証券売却益等を計上したことによるものであります。また、特別損失は前連結会計年度に対して51億16百万円減少し、4億46百万円となりました。これは主に、前連結会計年度において固定資産の減損損失及び希望退職制度実施に伴う割増退職金並びに災害による損失等を計上したことによるものであります。
この結果、税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度に対して172億84百万円減少し、22億31百万円となりました。
⑤ 法人税等(法人税等調整額を含む)、非支配株主に帰属する当期純利益及び親会社株主に帰属する当期純利益
法人税等は、前連結会計年度に対して52億4百万円減少し、11億48百万円となりました。また、非支配株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に対して1億68百万円減少し、1億62百万円となりました。
この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は9億19百万円(前年度比92.8%減)となりました。
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べて73億3百万円減少し、978億1百万円となりました。これは主に、投資有価証券が14億20百万円増加したものの、現金及び預金が79億83百万円及び未収入金が20億43百万円それぞれ減少したことによるものであります。
負債は、前連結会計年度末に比べて96億58百万円減少し、371億6百万円となりました。これは主に、支払手形及び買掛金が10億98百万円増加したものの、未払法人税等が57億75百万円、流動負債の「その他」が24億28百万円及び未払金が22億89百万円それぞれ減少したことによるものであります。
純資産は、前連結会計年度末に比べて23億54百万円増加し、606億94百万円となりました。これは主に、利益剰余金が42億84百万円減少したものの、自己株式が50億65百万円減少(純資産は増加)し、その他有価証券評価差額金が16億29百万円増加したことによるものであります。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、446億71百万円(前年同期は526億54百万円)となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、△44億64百万円(前年同期は△64億80百万円)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益22億31百万円、減価償却費21億70百万円及び未収入金の減少19億23百万円により資金が増加したものの、法人税等の支払額64億30百万円及び未払金の減少28億85百万円により資金が減少したことによるものであります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、△33億87百万円(前年同期は700億41百万円)となりました。これは主に、無形固定資産の取得による支出22億97百万円により資金が減少したことによるものであります。
財務活動によるキャッシュ・フローは、△3億14百万円(前年同期は△289億28百万円)となりました。これは主に、自己株式の処分による収入52億8百万円により資金が増加したものの、配当金の支払額50億94百万円及び非支配株主への配当金の支払額3億31百万円により資金が減少したことによるものであります。
(資本の財源及び資金の流動性についての分析)
当社グループは、運転資金及び投資等の資金需要に対して、自己資金を充当することを基本方針とし、必要に応じて主として金融機関からの借入金によって資金を確保しております。
資金の流動性の確保に関しては、コロナ禍での不測の事態に備え、安定的かつ機動的な資金調達体制を構築するため、複数の取引金融機関との間でコミットメントライン契約を締結しております。また、流動資金の効率的な運用を目的として、国内子会社(一部を除く)に限り、CPS(キャッシュプーリングシステム)による資金貸借を行っており、資金を当社が一元管理しております。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
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