業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当社グループは、当連結会計年度の期首より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。そのため、経営成績に関する説明においては、売上高について前期比増減率を記載せず、前期実績を記載して説明しております。なお、収益認識会計基準等の適用に関する詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」をご参照ください。

 

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。

 

① 財政状態および経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響による社会経済活動の制限により、厳しい状況で推移しました。ワクチン接種が進み、持ち直しの動きも見られましたが、依然として収束の目途が立たない状況が続いております。

当社グループでは社員および家族の健康と安全に配慮しつつ、顧客への製品やサービスの提供に影響を及ぼすことがないよう、新型コロナウイルス感染予防と事業継続に取り組んでおります。

 

当社グループが事業活動を展開する国内の印刷市場におきましては、デジタル化の進展による紙媒体の縮小、競争の激化、価格の低迷という構図が長期にわたり継続していることに加えまして、原材料価格の高騰も重なり、大変厳しい状況が続いております。また、新型コロナウイルス感染症の影響により、顧客における社内広報活動および販売促進活動の中止・延期による社内報、カタログ、チラシなどの商業印刷物が減少しております。

顧客における社内広報活動および販売促進活動は回復傾向にありますが、広告宣伝媒体のデジタル化(紙離れ)は今後も進むことが予想されており、以前の水準に回復することは困難な状況です。

 

このような状況において、当社はめざすビジネスモデルである「ワンストップソリューションの提供により、顧客の課題解決を実現するビジネスパートナー」の実現に向けて、コア事業における競争力の強化、新事業開発の強化、事業活動を支える経営基盤の強化という3つの改革を掲げ、事業構造改革を進めております。

顧客第一の基本方針のもと健全な危機感を持ち、売上高の確保、コスト・経費の削減はもちろんのこと、顧客にとっての価値(顧客価値)を創造する、または増大させる課題解決(ソリューション)提案を強化しております。そして、印刷物の提供により、顧客の広告宣伝活動を支援する従来型のビジネスモデルから領域を広げ、印刷物に限らない多種多様なソリューションを複合的且つ効果的に組み合わせたワンストップソリューションの提供により、顧客の課題解決を総合的に支援するビジネスパートナーへ、ビジネスモデルの転換に取り組んでおります。

今後も当社ウェブサイトに掲げる「Design Your Business. お客さまに合わせた最適解を」を体現するワンストップソリューション提案を強化し、印刷業という業種の壁を破り、印刷会社のイメージをくつがえし、顧客の課題解決を通じて広く社会に貢献してまいります。

 

こうした取り組みの結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

a. 財政状態

当連結会計年度末の資産の部は、現金及び預金、原材料及び貯蔵品などが増加いたしましたが、受取手形及び売掛金、土地、建設仮勘定、投資有価証券などの減少により、前連結会計年度末に比べ6億35百万円減少し、289億70百万円となりました。

負債の部は、電子記録債務、1年内返済予定の長期借入金、未払法人税等などが増加いたしましたが、支払手形及び買掛金、短期借入金、長期借入金などの減少により、前連結会計年度末に比べ15億19百万円減少し、140億38百万円となりました。

純資産の部は、利益剰余金などの増加により前連結会計年度末に比べ8億84百万円増の149億32百万円となり、自己資本比率は51.1%となりました。

 

b. 経営成績

当社グループの当連結会計年度における売上高は306億円(前期は311億8百万円)となりました。利益面では、営業利益8億13百万円(前期比125.3%増)、経常利益9億21百万円(前期比92.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益7億58百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失13億42百万円)となりました。

 

セグメント別の状況は、以下のとおりです。

 

<印刷セグメント 印刷事業>

印刷事業では大変厳しい市場環境の下、品質管理と情報セキュリティ管理を徹底した上で、紙媒体需要を着実に取り込むとともに、全体最適での生産設備の見直しによる低コスト生産体制の実現、ビジネスモデルにマッチした社内体制の再構築などの事業構造改革を進めております。

多様化している製品やサービスについて事業区分を再定義し、全社横断の事業強化プロジェクトの推進により、ワンストップソリューション提案を強化しております。その具体的な取り組みとしましては、各種BPOの受託、顧客へのDX支援による業務効率化とコスト削減を実現する受発注管理システムのプラットフォーム「TS-BASE」や動画制作などのデジタル関連の販売を強化しました。また、自社ウェブサイトによるデジタルマーケティングを駆使して、新規顧客開拓を積極的に行いました。

年間を通じて苦戦を強いられておりましたが、新型コロナウイルス感染症による社会経済活動の制限が年度末にかけて徐々に緩和されたこともあり、業績は回復に向かいました。

 

<印刷セグメント 半導体関連マスク事業>

半導体関連マスク事業では、世界的な半導体不足により車載向け製品などで出荷減少がありましたが、新型コロナウイルス感染症の影響は総じて限定的でありました。第5世代移動通信システム(5G)や企業でのテレワークの浸透、巣ごもり需要の高まりによるスマートフォンやパソコンなどのデジタル情報端末や周辺機器の需要を取り込んだため、年間を通じて好調に推移しました。

同事業におきましては、グループ全体最適とシナジーの最大化をめざしております。当社、㈱プロセス・ラボ・ミクロン、東京プロセスサービス㈱の3社における人材交流や情報共有による課題解決を図るほか、共同研究による新技術および新製品の開発を組織的に進めております。

海外事業では、当社グループが進出しておりますベトナムやタイでは、新型コロナウイルス感染症の感染拡大が続いており、営業活動の制限や顧客工場の稼働停止により、業績に若干の影響がございました。なお、前連結会計年度において非連結子会社でありました富来宝米可龍(蘇州)精密科技有限公司は重要性が増したため、当連結会計年度より連結範囲に加わっております。

今後も国内のみならず、中国および東南アジア地域における新型コロナウイルス感染症の感染状況や影響を注視しつつ、速やかな事業拡大をめざしてまいります。

 

上記の結果、印刷セグメントの売上高は210億48百万円(前期は200億14百万円)、営業利益は6億52百万円(前期比160.5%増)となりました。

 

<物販セグメント 物販事業>

物販事業では、印刷事業と同様に厳しい市場環境にありますが、印刷関連総合商社のリーディングカンパニーとして、日本全国に展開する拠点を活用し、顧客ニーズの発掘ときめ細かなフォローの徹底によるシェア向上を図っております。また、異業種を含めた新規顧客の開拓、利益率の高い自社ブランド製品の販売強化、それを支える人材の育成による総合力で他社との差別化を図り、売上高および利益の確保に努めております。

しかしながら、市場の縮小と新型コロナウイルス感染症の影響により、顧客である印刷会社からの受注が減少し、売上高が伸び悩みました。資材販売では増収に転じましたが、機械販売は減収となりました。利益面では、機械販売の利益率改善を図るほか、旅費交通費などの販売費を確保しつつ固定費の削減を徹底し、利益確保を図りました。

 

上記の結果、物販セグメントの売上高は100億68百万円(前期は117億35百万円)、営業利益は1億48百万円(前期比49.6%増)となりました。

なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等の適用に伴い、代理人として関与した取引について売上高を純額とした影響で売上高が7億57百万円減少しております。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ7億70百万円増加し、53億46百万円となりました。当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。

なお、上記内容には新規連結に伴う現金及び現金同等物の増加1億1百万円を含んでおります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、固定資産除売却損益3億25百万円、仕入債務の減少5億45百万円などに対し、税金等調整前当期純利益10億20百万円や減価償却費9億11百万円、売上債権の減少5億38百万円などがあったため、16億15百万円の収入(前期は68百万円の収入)となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出7億21百万円、無形固定資産の取得による支出1億32百万円などに対し、有形固定資産の売却による収入15億27百万円などがあったため、6億51百万円の収入(前期は12億47百万円の支出)となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の減少(純減額)9億円や長期借入金の返済による支出6億72百万円などがあったため、16億35百万円の支出(前期は6億72百万円の収入)となりました。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

(1)生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前期比(%)

印刷

21,933

5.5

物販

-

-

合計

21,933

5.5

(注)生産実績は、販売価額により表示しております。

 

(2)受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前期比

(%)

受注残高(百万円)

前期比

(%)

印刷

21,478

5.6

3,175

15.7

物販

10,101

△12.0

103

47.1

合計

31,580

△0.8

3,279

16.5

 

(3)販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前期比(%)

印刷

21,048

5.2

物販

10,068

△14.2

消去

△516

△19.5

合計

30,600

△1.6

(注)販売実績は、販売価額により表示しております。

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

 

① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a. 経営成績

当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度(以下「前期」)に比べ5億8百万円減少し、306億円(前期は311億8百万円)となりました。なお、当連結会計年度の期首より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しており、売上高が7億57百万円減少しております。適用前の基準にて比較しますと、実質的には増収となりました。売上原価は、前期に比べ10億14百万円減少し241億96百万円(前期比4.0%減)となり、売上原価率は、前期の81.0%から79.1%へ改善しました。販売費及び一般管理費は、前期に比べ53百万円増加し55億91百万円(前期比1.0%増)となりました。この結果、営業利益は前期と比べ4億52百万円増加し8億13百万円(前期比125.3%増)となりました。

営業外収益は、前期と比べ26百万円増加し2億48百万円(前期比11.9%増)となり、営業外費用は、前期と比べ35百万円増加し1億40百万円(前期比33.6%増)となりました。この結果、経常利益は前期と比べ4億43百万円増加し9億21百万円(前期比92.7%増)となりました。

特別利益は、当社関東地区の拠点売却等による固定資産売却益3億46百万円を計上したため、前期と比べ3億45百万円増加し3億86百万円(前期は41百万円)となりました。特別損失は、特別退職金5億94百万円を計上しました前期に比べ7億38百万円減少し、2億87百万円(前期比71.9%減)となりました。法人税等合計は、繰延税金資産の取り崩しなどにより法人税等調整額を7億22百万円計上した前期と比べ5億73百万円減少し、2億58百万円(前期比68.9%減)となりました。この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、7億58百万円(前期は13億42百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。

 

以上のように業績が回復した要因としましては、前期に実施した希望退職者の募集、生産設備の見直しなどによる固定費削減により、売上減少にも耐えうる組織体制が整備されたことが挙げられます。その上で、当社がめざすビジネスモデルである「ワンストップソリューションの提供により、顧客の課題解決を実現するビジネスパートナー」の実現に向けて、コア事業における競争力の強化、新事業開発の強化、事業活動を支える経営基盤の強化という3つの改革を掲げる事業構造改革の成果が、表れ始めている結果であると認識しております。

 

b. 経営成績等に重要な影響を与えた要因

当連結会計年度の経営成績等に重要な影響を与えた要因としては、印刷事業および物販事業では、デジタル化の進展による紙媒体の縮小、競争の激化、価格の低迷という構図が長期にわたり継続していることおよび原材料価格の高騰に加えまして、コロナ禍における社会経済活動の制限による影響を大きく受けました。

印刷事業および物販事業における、新型コロナウイルス感染症による業績への影響額につきましては、イベントプロモーション受託や顧客における販売促進活動および社内広報活動の中止・延期による商業印刷物の減少などの直接的影響のみならず、従来から継続しておりますデジタル化の進展による印刷市場の縮小(紙離れ)を同感染症が一層加速させるといった間接的影響がありますので合理的な算定ができません。しかしながら、後述の半導体関連マスク事業が好調に推移するも、全体として売上高が伸び悩んでいる現状を踏まえますと、これらの直接的もしくは間接的な影響が主要因であると認識しております。

半導体関連マスク事業におきましては、新型コロナウイルス感染症による業績への影響は軽微でありました。世界的な半導体不足により車載向け製品などで出荷減少がありましたが、第5世代移動通信システム(5G)や企業でのテレワークの浸透、巣ごもり需要の高まりによるスマートフォンやパソコンなどのデジタル情報端末や周辺機器の需要を取り込んだため、年間を通じて好調に推移しました。

次期につきましては、ウクライナ情勢による世界経済への影響等により、エネルギー価格や原材料価格の高騰などが懸念されているため、全事業において影響が生じる見通しです。

 

セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりです。

 

<印刷セグメント 印刷事業>

顧客における社内広報活動および販売促進活動は回復傾向にありますが、広告宣伝媒体を紙媒体からデジタル媒体への変更がなされるなど、デジタル化の進展(紙離れ)に歯止めがかからない状況が続いております。そのため、以前のような水準に回復することは期待できず、今後もさらに厳しい状況が続くものと予想しております。

現在、印刷事業では「ビジネスモデルへの転換」を急いでおり、現在はその過渡期にあります。具体的には、印刷物の提供により、顧客の広告宣伝活動を支援する従来型のビジネスモデルから領域を広げ、印刷物に限らない多種多様なソリューションを複合的且つ効果的に組み合わせたワンストップソリューションの提供により、顧客の課題解決を総合的に支援するビジネスパートナーへ、ビジネスモデルの転換を進めています。

社内体制において、デジタル化の進展による紙媒体の縮小(紙離れ)による受注内容の変化に対応するため、多様化している当社の製品やサービスについて事業区分を再定義し、各々の収益性や成長性を見極め、更なる事業強化と成長分野への積極投資が必要と認識しております。また、全体最適での生産設備の見直しによる低コスト生産体制の追求、ビジネスモデルにマッチした製造体制の再構築、子会社との連携などを進めております。

今後も紙媒体需要の取り込みを継続しますが、当社が持つ制作体制、情報セキュリティ体制、システム構築力を駆使し、WEB・システムや動画などのデジタル媒体の制作を強化してまいります。

また、テレワークの浸透・定着により、今後も企業における働き方改革が進むことが予想されます。顧客における業務効率の改善やコスト削減に貢献するロジスティクス事業や各種BPO受託をビジネスチャンスとして認識しており、積極的に挑戦を続けております。そのなかでも、デジタルトランスフォーメーション(DX)支援による業務効率化とコスト削減を実現する受発注管理システムのプラットフォーム「TS-BASE」は、多くの引き合いをいただいており、今後も新機能の追加などサービスメニューの拡大を図ってまいります。

コロナ禍の長期化により厳しい状況が続いておりましたイベントプロモーション受託においては、ワクチン接種が進むとともにコロナ禍も徐々に収束に向かいつつあり、回復傾向に入ったと認識しております。長期化した自粛への反動により、顧客における需要は確実に回復するものと予想しております。

 

<印刷セグメント 半導体関連マスク事業>

半導体関連マスク事業では、新型コロナウイルス感染症による業績への影響は軽微でありました。なお、前期まで非連結子会社でありました富来宝米可龍(蘇州)精密科技有限公司が連結範囲に加わったため、売上高および利益の拡大に寄与しました。世界的な半導体不足により車載向け製品などで出荷減少がありましたが、第5世代移動通信システム(5G)や企業でのテレワークの浸透、巣ごもり需要の高まりによるスマートフォンやパソコンなどのデジタル情報端末や周辺機器の需要を取り込んだため、年間を通じて好調に推移しました。世界的な半導体不足や新型コロナウイルス感染症の感染拡大などの不安要素もございますが、市場は引き続き拡大が続くものと予想しております。

同事業では、グループ全体最適とシナジーの最大化をめざし、人材交流や情報共有による課題解決を図るほか、共同研究による新技術および新製品の開発を組織的に進めております。また、㈱プロセス・ラボ・ミクロンの生産体制を強化するため、本社工場新棟建設のほか、九州工場の改築と生産設備の導入等を計画的に実施してまいります。これらの活動を通じて、さらなる売上拡大とコスト低減を実現し、特定の電子機器の需要・販売動向に左右されない、安定したビジネス基盤の構築をめざします。

海外では依然として新型コロナウイルス感染症の感染拡大が続いており、当社グループが事業を展開するベトナムやタイでは営業活動の制限や顧客工場の稼働停止により、業績に若干の影響がございました。今後も中国および東南アジア地域における新型コロナウイルス感染症の状況には注視が必要と認識しております。

印刷事業ではマイナス要因となる「デジタル化の進展」が、本事業においては逆に追い風となる部分があり、リスク分散の意味合いにおきましても、当社グループにおける半導体関連マスク事業の充実を進めてまいります。

 

<物販セグメント 物販事業>

物販セグメント(物販事業)は、印刷事業同様に厳しい環境下ではありますが、顧客ニーズの発掘ときめ細かなフォローの徹底によるシェア向上のほか、異業種を含めた新規顧客の開拓、利益率の高い自社ブランド製品の販売強化、それを支える人材育成などによる総合力で他社との差別化を図り、売上・利益の確保をめざしてまいります。

しかしながら、印刷事業同様に、今後も厳しい状況が続くものと予想しております。また、長年にわたる印刷関連市場の停滞により、取引先における経営環境の悪化が懸案となっておりますが、新型コロナウイルス感染症の影響による関連倒産が世界的にも不安視されており、与信管理面でも慎重な取引が今後も求められます。

新型コロナウイルス感染症の影響による顧客のビジネススタイルの変化に対応し、当社グループも変革してまいります。従来からの訪問による売り込み型の営業だけではなく、顧客の事業内容を熟知し、顧客ごとに最適な製品やサービスを提案できる、顧客にとってのナンバーワンのビジネスパートナーをめざしております。今後も常に良質な情報発信を行い、顧客に選ばれ、頼りにされるサプライヤーとしての地位を確立してまいります。

 

c. 中長期的な目標に照らした経営成績の分析・評価

「目標とする経営指標」で述べましたように、当社グループの目指すところは、顧客にとっての価値を創出あるいは増大させることにより、顧客との長期的な信頼関係を築くとともに、営業利益率を高めて行くことです。当連結会計年度の営業利益率は2.7%となりました。

当連結会計年度を含む直近5期の営業利益率の推移は、2.1%→1.6%→1.4%→1.2%→2.7%という状況です。3期連続で低下を続けておりましたが、当期は前期に比べ1.5ポイント改善いたしました。将来的には、安定的に5%レベルの営業利益を計上できる状況を目指してまいります。そのためには、前述いたしました、印刷事業におけるビジネスモデルへの転換が必須であり、そのスピードを速めることが重要であると考えております。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容ならびに資本の財源および資金の流動性に係る情報

当連結会計年度におけるフリー・キャッシュ・フローは22億66百万円となり、当年度末の現金及び現金同等物は53億46百万円となりました。この金額は、運転資金、設備投資に必要な資金、将来の柱となる事業の開発あるいは取得に必要な資金として適正な水準であると考えておりますが、必要に応じて躊躇なく借入などのアクションを取り、タイミングを逃すことなくM&A等の必要な投資に積極的に取り組んでいきたいと考えております。

その施策の一つとして、今後の積極的な事業展開に必要な資金需要に対し、機動的かつ安定的な資金調達手段を確保することで財政基盤の強化並びに安定性向上を図ることを目的として、2020年5月に株式会社三菱UFJ銀行及び株式会社三井住友銀行との間でコミットメントライン契約を締結しております。株式会社三菱UFJ銀行とは契約極度額15億円、株式会社三井住友銀行とは同10億円を個別相対方式、無担保・無保証にて各々締結しております。なお、当連結会計年度末における借入実行残高はございません。

新型コロナウイルス感染症の影響による資金繰りへの影響は、現時点ではさほど大きなものではないと考えておりますが、万が一の場合には上記のコミットメントライン契約にて充分に対応可能と考えております。

 

③ 重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成しております。その作成に当たっては、決算日における資産・負債及び当連結会計年度における収益・費用の報告金額、並びに開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会社方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」をご参照ください。

なお、新型コロナウイルス感染症の影響に関連する重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」をご参照ください。

 

④ 当社グループにおける新型コロナウイルス感染症拡大への対策、経営方針および事業への影響と今後の取り組み

a.当社グループにおける感染予防対策

当社グループは、社員および家族の健康、人命を最優先させるとともに、顧客へのサービス停止の最小化を目指し、本社および各拠点が一体となって新型コロナウイルス感染予防に取り組んでおります。当社グループの社員と家族に感染者が確認されておりますが、当社グループにおける国内拠点においては事業を継続しており、出荷遅延も発生しておりません。また、仕入先や協力会社とのサプライチェーンにも支障は出ておりません。

新型コロナウイルス感染拡大が長期化するなか、BCP(事業継続計画)新型コロナウイルス編に従い、拠点を構える関東、中部、関西における各地域の状況に即した対策を実行してまいりました。当社グループにて行っております具体的な感染予防対策は、以下のとおりです。

 

<社員への対応>

・在宅勤務、時差出勤の実施

・オフィスにおける飛散防止パネルの設置

・社内における常時マスクの着用、手洗いとうがいの徹底、消毒液の配置、定期的な室内換気

・毎朝の検温(37.5度以上の発熱時や体調不良時は出勤停止)と行動記録簿の作成

・出張(国内・海外)の禁止

・25人以上の会議の禁止およびリモート会議の奨励

・不要不急の外出、特に人が密集するセミナー・イベント・観光・飲食を伴う場所への外出の自粛

・ワクチン接種における特別休暇制度の実施 など

 

<顧客への対応>

・来社自粛の要請

・来社時における検温のご協力

・リモート会議による商談・打合せの実施

・当社ネット販売サイトを通じた感染予防用備品の提供

 

b.経営方針および各事業への影響と今後の見通し

当社としましては、新型コロナウイルス感染症による影響は収束時期等の見通しが立っておらず、2022年度(2023年3月期)におきましても一定程度継続するものと考えております。また、このたびのコロナ禍に伴う印刷物の減少につきましては、収束後においても旧来の水準に戻ることは困難であると分析しております。

当社グループにおける経営方針において目指すべき方向性自体に変更はありませんが、半導体関連マスク事業の強化や印刷事業における「紙媒体への依存度が高い従来型ビジネスモデルからの転換」について、これまで以上にスピード感を高めて進める必要性に直面していると判断しております。

この状況下にて我々が今為すべきことは、自らの感染予防を継続しつつ、顧客における事業活動や社内広報活動および広告宣伝活動が回復した際に、真っ先にお声がけをいただける「ファーストコールカンパニー」であり続けることです。現在受注しております業務を全社員が懇切丁寧に行うこと、どんな状況においても顧客とのコミュニケーションを絶えず取り続けること、顧客の事業内容に対する理解を深めるとともに、ご提案できる製品やサービスの研究を続けることなどの準備を行いまして、来るべき時に備えております。同時に、生産設備(その種類・能力と配置)の最適化や固定費の削減などにより、市場縮小による受注減少に柔軟に対応できる低コスト生産体制の整備を引き続き進めてまいります。

 

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